08年01月12日

私は悪い不動産屋

『私は悪い不動産屋』大倉辰吾著

また、本の紹介です。これも私の好きな本です。

不動産屋さんが自らを悪いと言う。なんとも良識のある本です。

不動産業界はおかしなところで、法律よりも慣習が優先している。

明らかに法律違反なのに、ほとんど全ての不動産屋さんが同じような法律違反をしている。それが慣習となっている。

それを正そうと言う動きもほとんどない業界。

そんなことをして、不動産屋が不利になるようなことをしたら、同業から不動産の紹介をしてもらえなくなります。

不動産屋は業界のネットワークが大事ですから、そのネットワークを壊すようなことはなかなかできない。

不動産屋がネットワークから外れたら、仕事になりませんから。

おまけに不動産に関しては消費者はかなり無知の状態。これが悪い不動産屋の活躍にも貢献しています。

良く、私に『不動産屋をやったら?』と言ってくれる方がいます。

確かに私の仕事の内容から、不動産屋をすれば儲かるかもしれません。しかし、法律違反とわかっていても、不動産屋をやる以上その慣習にしたがって、消費者に対して嘘をつくのが心苦しいので、現時点では不動産をやるつもりはありません。

将来、悪しき慣習を正そうという業界の流れや法律改正が起きたら考えますが。

今は不動産屋と消費者の間に立って、消費者が不動産で被害に合わないように正しい知識を消費者に教えることにしています。

特に買い手に対しては、買う気をなくさせるような物件の不利なところは言いません。
※法律上定められていることは重要事項説明で言うかもしれませんが、そうでないことは言いません。

例 バス便は本数がほとんどない。
  朝夕は渋滞で車が動かない。排気ガスがいっぱい。(見学に行く土日は空いているので渋滞に気付いてない。)
  昔、首切りの処刑場だった
など。

この本の著者は、こんな悪い不動産屋のテクニックを紹介しています。

●高い査定で調子に乗せる
●ケチをつけて売価を下げる
●欠陥住宅を高く買わせる
●クズ地を押し付ける
●敷金を返さない
●申し込み金をふんだくる

ぜひ、ご参考に。


昨日、ラジオであるハウスメーカー(工務店?)の社員募集のCMがありました。

『売れて売れて困っています。営業、現場監督を緊急募集しています。』

とのこと。

売れて売れて困っているのなら、営業がなぜそんなに必要なのでしょう?

可能性としては、CMにつられてやってくる見込み客を管理する営業担当者が足りなくて、成約までもっていけないケース。

つまり売れているわけではなく、完全に売れるまでいかせるために営業の人が必要ということで、売れて売れて困っているのではなく、正確には売れそうだけど売れないので営業を募集ということでしょう。


まあ、営業の募集はともかく、ひっかかるのは現場監督を募集していること。

現場監督は手抜き工事や工事ミスがないかを現場でしっかり監督する人。

大工の管理能力やきちんとした工事ができる技術が必要です。

さて、そんな現場監督で優秀な方はこういうハウスメーカーに就職するでしょうか?

優秀な現場監督であれば仕事はたくさんあるでしょうから、そんなところに就職するわけがありません。

つまり、そこに就職するのはどこからかクビになった力の無い現場監督。ただの飾りで置くための現場監督です。

そんな現場監督が自分の家の監督をしていたらどう思いますか?

自ら自分のところはロクな現場監督無しであなたの家を建てますよと公言しているようなもの。

それでもそんなところで家を建てようとする方は、現場監督の重要性を理解されていない。

日本の消費者はマダマダ家に関する知識が足りないのかなと思います。
初売りイベントで住宅展示場に行かれた方もいらっしゃるでしょう。

住宅展示場では、最初はなるべく自分の情報を教えないようにしてください。

住宅展示場からみると、まず土地があるお客はすぐに成約しやすいおいしい客です。

土地を持っているとなると、建物のみの費用で済みますので住宅ローンも借りやすいですから。

土地のことを話すと営業マンは

『土地の調査だけでもしましょう!』

『プランだけでも作りましょう。』

『大丈夫。無料ですから!』

と、無料ということで安易にお願いすると大変です。まず他のメーカーの見学に行く時間がなくなりますし、トントン拍子に話しを進められます。

そうすると『無料でココまでしてもらって悪いな。』
と断りづらくなることも。

それが営業マンの狙いでもあるのですが。

ただより高いものは無いとそういうことで遠慮しがちになって言いたいことも言えずに契約にいたると大変です。

相場より100万円以上も高い契約になったり、欠陥になったりと。

住宅展示場では、個人情報はしっかりガードしてください。
中古のマンションや戸建のチラシに

「リフォーム済み!すぐ入居できます!」という文句がありますが、これも注意が必要です。

リフォーム済みということは、壁などに亀裂などの欠陥、水漏れ・雨漏りの染みなどがあっても見た目にはわからなくなっている可能性があります。

表面がきれいだと買いたくなる気持ちもわかりますが、注意が必要です。

よく「買った後欠陥が見つかっても直してくれるのでは?」と思っている方がいますが、それは新築の場合です。

中古の場合は売主が一個人であるため、契約書に「現状のまま引渡し、瑕疵担保責任は負わない」とうたっている場合が多いのです。

つまり、買った後に欠陥を見つけても買い主以外に責任をとってくれないのです。
※仲介した不動産屋に重要事項説明義務違反といえなくもないですが、訴訟にするなどで大変です。

中古の物件を買うときはできれば、前の人が住んだ時のままで、買う方が安く・安全なものが買えます。

買った後でリフォームしたほうが中間業者の利益が無いので結果的にお得です。

ただ、一般の方は欠陥があるかを判断するのは難しいのでプロに同行してもらうのが良いでしょう。

わずかな費用を払ってでも欠陥住宅を買わない方が絶対に安心です。

万が一欠陥住宅を買ってしまったら今度は売るに売れません。なんとか売るとしたら、同じように欠陥を隠して売りますか?被害者が加害者になってしまいます。

くれぐれもそのようなことがないように。
新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

多くの相談者から年賀状を送っていただきましてありがとうございます。

相談者のご家族の幸せそうな写真と「大変お世話になりました。」「幸せな生活へ導いていただきありがとうございました。」という感謝の一言をいただき、大変うれしく思います。

特に念願のマイホームを安心にしかも安価に手に入れることができた方のお手伝いができたのはうれしいものです。

正月に読んだ本で阪神大震災で倒壊した建物の多くが欠陥住宅であったことがかいてありました。

築年数が古かったこともありますが、欠陥がなければ
倒壊せずに済み、助かった命も多くあったのかと思うと心が痛みます。

それでも欠陥住宅はなくなりません。

2年前の耐震偽装問題もしかりです。人の命を預かる住宅・建物に携わっている人間が震度5で倒壊するかもしれない建物を平気で作っている事実。

それを知りながら、何も知らない消費者へ売りつけて責任を取らない不動産会社の存在。

自分の仕事のせいで人の命が失われるかもしれないと全ての建設関係者が思えば欠陥住宅は無くなるかもしれません。

しかし、そうもいかない現実。

多くの建設業者・工務店が経営危機に陥っています。
原材料高、注文数の激減です。

もしも今までまじめに欠陥住宅を作らないようにしていた工務店でも、体力も資金力の無いところは、自分たちの生活を守るために欠陥、手抜きに手を染めるかもしれません。

今年は昨年以上に建設業界は大変です。

私も昨年以上に多くの方に安心・安全なマイホームを手に入れていただくために頑張ってまいります。
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