中国を訪ね、バスに乗り車窓を眺めて感じたことは、島国国家と大陸国家では、思考方法と、国防の仕方が根本から違うなということであります。


(山一つ見えない草原で見る地政学?)

 北京市内から万里の長城がある丘陵地帯まで50キロは平地でありました。仮に、騎馬民族に万里の長城を破られたら北京を守る術はありません。事実、中国4千年の歴史で人口の90%を占める漢民族が統治したのは漢・宋・明・中華人民共和国の900年余でしかなく、他は北方民族に支配されていました。近年でも昭和20年夏、日本の関東軍との戦で、ソビエト軍が一週間で東北(満州)を占領した戦歴があります。中国軍がロシアを仮想敵国とすることは理解できます。


(中国の誇り)

 ガイドさんが明朝の十三陵の石像示し「この衣装が漢民族のものです、皆さんがチャイナドレスと言うのは清(満州族)のものです」と言い切った。少数の騎馬民族が広大な国土を支配するには、漢民族の文化を受け入れなければ国家経営が成り立たない。そこで、他民族が統治しても、漢民族の文化を大事にすれば、皆同胞、漢民族が中心とする中華思想を満足させることが出来た。日中戦争では、石原莞爾将軍が主張した通り、少数の日本軍で中国を支配すると考えたのは大きな間違いでありました。数の多さに脅え、優越感だけで接し、漢民族の誇りを大きく傷つけてしまった。


(60年前の光景)

 60年余前、私の叔父は郷土の連隊歩兵として、もう一人の叔父は近衛連隊の車両隊としてこの草原を行軍した。毎日毎日行軍の連続で「軍隊は歩くことか」と思ったそうです。遮るものもなく、遙か遠方から日本軍の行動は中国軍から見て取れたでしょう。戦いにならなず、昼だけ線と点を占拠したに過ぎず。消耗戦を強いられた、ただ国力を消耗するだけの無益な戦をしたことかと思い知りました。
 戦いに敗れ、東北(満州)では100万人の引揚者が歩いた。私の家族も祖父を先頭に乾いた大地を引き揚げ船の港に向かって歩く惨め姿を思い浮かべた。


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