9月1日の研修会は、長野県税理士協同組合主催、県連共催、後援はあんしん財団で、講師は岩下忠吾先生、テーマ「中小企業と新しい事業承継」4時間の講義を頂きました。当日は8月申告提出日でしたが、200名を超える会員に受講頂きました。これも税協とあんしん財団のご支援の賜と感謝申し上げます。


(中小企業と事業承継)

 この20年で100万事業所(法人・個人)が廃業しています。時にここ数年は年間10万事業所が廃業しております。この中小企業の継続、すなわち事業承継に関して税制面の対応以前の問題として、相続人間に紛争、とりわけ後継者への事業用資産、株式の集中に対する他の相続人による遺留分減殺請求権の主張、これに基づく資産分割の困難性、遺言又は死因贈与に対する不平、不満、後継者への生前贈与を特別受益と認識すべきかどうか、後継者の会社への貢献による株式価値の増加分を遺産分割上考慮すべきかどうかなど、現行民法によっても解決できない事柄が存在します。
 このような背景の中で、中小企業の事業承継の障害を除去し、円滑な事業承継を支援する制度を構築する必要があるとの視点から、今回経済産業省の中小企業庁が中心となって民法特例法を提案したところです。
 この提案を受けて、自民党税制調査会は平成21年度の税制改正において事業の後継者を対象とした「取引相場のない株式等に係わる相続税の納税猶予制度」を創設することとなりました。  (岩下忠吾先生のテキストより)


(求められた連携)

 中小企業の振興は経済産業省・中小企業庁の所管事項であります。これまで、商工会議所・商工会、中小企業振興センター、中小企業診断士の努力にもかかわらず、廃業の勢いは収まらない。そこで、政府は縦割りでなく税制と金融を連携させ、地方における雇用と知的財産を守る事業承継策を図ることとなりました。そこで、税理士にもその国策に参画することを願われ、岩下先生に税法ではない民法特例法たる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)を学ぶこととなりました。


(他士業の動向)

 中小企業診断士は勿論、弁護士もこの法律施行をビジネスチャンスと捉え、勉強会を設け、親族間の問題解決を図る動きが出ています。


(制度の理解)

 民法の特例法と税法の納税猶予制度、金融支援策は相互にリンクする関係でなく、個々独立した制度であるあるとの理解が必要であるとのこと。企業と個人との適用にも相違があり、選択には注意が求められます。



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