どんな組織でも、その存在を広く「知らしめる」広報宣伝活動は重要な経営戦略であります。江戸時代中期、大衆演芸として落語が登場して江戸市中にあった多くの寄席で大衆娯楽のスターとなり始めていました。そこで、善光寺は落語家に、地獄の閻魔様と希代の悪人石川五右衛門を登場させ善光寺の御利益(ごりやく)を落(おち)とする話を依頼し、落語「善光寺お血脈」が生まれました。
 結果、多くの大衆が信州善光寺詣を、あるいは江戸での出開帳に参拝頂き、悪人でも極楽へ行けるという御利益あるお札(お血脈)を求めて頂き、善光寺経営への浄財提供に結び付けられました。


(落語「善光寺お血脈」のあらすじ)

 一分というお金(現代では一万円程度の価値と推定されます)を出してお血脈(けちみゃく)の御印を額に押していただくだけで極楽往生ができるということで、善光寺は大変な人気。このために地獄は大変な不況に見舞われ、閻魔大王は鬼たちと何か手だてはないかと相談。幸い、地獄には泥棒が沢山来ているので、誰かにお血脈を盗ませればよかろうと相談がまとまり、協議の末選ばれたのが石川五右衛門。閻魔大王の命を受けて勇んで出かけ、善光寺に忍び込んだ。見事御印を盗み出したのはいいが、「まんまと宝蔵へ忍び入り、奪い取ったるお血脈の御印、これさえありゃあ大願成就。ありがてえ。かたじけねえ。」と額に押し当た弾みで御印が額にペタッ。そのまま極楽に行っちまった。
(長野ライオンズクラブ岩崎会報委員長の掲載記事)


(分かり易い小話)

 善光寺は落語という当時新しい娯楽に着目し、聞いただけで難しい御利益も理解できる効果を期待しました。事実多くの信者を獲得した善光寺の戦略は素晴らしい。現代のコマーシャルの先達であります、新しいチャンネルを組み入れる柔軟さを組織として保っていることに敬意をおぼえます。


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