07年12月23日
労働契約法5条までの解説
労働契約法が先日成立しました。
こちらでポイント解説をしております。
http://www.geocities.jp/igarasi001/h20-roudoukaiyaku-1.html
この法律は新しく作られたもので、3ヶ月以内に施行されることとなっています。
随時、この法律を施行するに当たっての指針や通達なども出されると思いますが、
しばらくの間、法律の条文を読み込んでいこうと思います。
まずは、第1条
(目的)
第一条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
※
ここでは、この法律の目的を知る事ができます。
結論として、労働者の保護と、個別労働関係の安定を目指すもの、と文末から分かります。
その為に、合理的な労働条件の決定・変更が円滑に行なわれる事をこの法律で設定する事としています。
ですから、この法律には、雇い入れ時の労働条件、雇用期間中の労働条件の変更が、スムーズに行われる為の内容を記されている事と分かります。
また、労働契約成立変更についての根底には、労使の合意で行なわれる事を明記しています。
これについて、労働基準法には、労基法を下回る労働契約は無効、契約期間の上限の定め、というものしかありませんでした。
そもそも、労働契約も契約行為にあたり、当事者の合意は当然存在します。ですが、このことをわざわざ労働法令において、文章化してきた事になります。
労働契約法により、この部分を徹底したいという思いが伝わります。
(定義)
第二条 この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。
※
この法律の中での用語の意味を記す条文です。
この内容は、特別難しくなく、文章の通りです。
(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
*
第3条1項では、労働契約を労使が対等の対場で締結する事を求めています。また、その変更時にも、同様の内容を求めています。
労働者は、使用者から賃金を得る立場ですが、労働という役務を提供しています。使用者から見ても、賃金を払うばかりでなく、役務を受け取っています。その大原則の考えは、当然双方にあるものとし、その契約において、どちらかの力関係が上回る事は、決して無い事を、明文化し、徹底化を労使に求めています。
2項では、均衡とは、例えば同様の職務に就く者との処遇の違いが、理由の無いまま、大きくならないよう、求めていると考えます。現在、非正規雇用者の増加等により、待遇などの差が開きすぎている事が存在します。その増長を防ぐためのものでしょう。
3項では、いわゆるワークライフバランスの考え方を取り入れたものです。労働契約において、生活と仕事とを両立できるような、極端な内容とならないよう求めています。
4項では、信義則の原則が記載されました。信義とは、ここでは、その労働契約の内容に当事者が従う事を約束する事かと考えます。その上で、約束した事を果たすよう、労働者は役務の提供を行い賃金を得ること、使用者は賃金を払って役務を得ることを、実行しなければならないことを記しています。一般社会では、常識的に当然の事ですが、条文化することでその徹底を求めているのだと考えます。
5項では、労使ともに、労働契約を行使する事について、行き過ぎはしてはならないとしています。例えば、使用者による働かせすぎ、は役務の提供を受ける権利を、過大にしたものであれば権利濫用とされ、禁止されるだとう考えます。
(労働契約の内容の理解の促進)
第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び締結し、又は変更した後の労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする。
※
4条1項は、使用者に課せられた行為です。労働契約の内容を労働者がしっかりと理解・認識できるようにするものとする事が求められています。
2項では、前項を踏まえ、労働契約を書面化する努力を求めています。現在でも、労働基準法により、労働条件の通知について、書面交付が義務付けられてます。この労働契約法では、労働契約の書面交付が求められますから、労働条件ではないため、それぞれ別途の内容を記した書面がある事になります。現段階でこの労働契約法で求められる書面の記載事項は、定かではありませんが、通常、今までの労働契約書は、非常に簡単に、契約開始日と雇用契約であるという記載程度であることが多かったと思います。セットに用意する労働条件通知書に記載されている事柄を、労働契約書にも重複する事をしない場合が多いからです。その様な中で、労働契約法による書面には、何を記載するのか、ここの規定については、今後、行政による解説が行なわれる事かと思います。
ただ、一点、今後は変更時においても、その内容を記した書面が求められるようです。労働条件通知書は、契約締結時に1度限りが多く、その後は、辞令で新しい処遇を通知するだけの事が多かった為、今後は、今まで以上の対応が求められる事は間違いないと思われます。
(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
※
いわゆる安全配慮義務が明記されました。裁判上では、労働契約本体に自動的に付随する使用者の義務としてメジャーな定義ですが、解雇権の定義と同様にこちらも、条文化されたことになります。なお、解雇権の濫用に当たるかどうかは明確な線引きが難しい為、労働基準監督署では扱いません。安全配慮義務違反に当たるかどうかの判断も同様に労働基準監督署では取り扱わない事と私は考えます。
本日はここまで
こちらでポイント解説をしております。
http://www.geocities.jp/igarasi001/h20-roudoukaiyaku-1.html
この法律は新しく作られたもので、3ヶ月以内に施行されることとなっています。
随時、この法律を施行するに当たっての指針や通達なども出されると思いますが、
しばらくの間、法律の条文を読み込んでいこうと思います。
まずは、第1条
(目的)
第一条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
※
ここでは、この法律の目的を知る事ができます。
結論として、労働者の保護と、個別労働関係の安定を目指すもの、と文末から分かります。
その為に、合理的な労働条件の決定・変更が円滑に行なわれる事をこの法律で設定する事としています。
ですから、この法律には、雇い入れ時の労働条件、雇用期間中の労働条件の変更が、スムーズに行われる為の内容を記されている事と分かります。
また、労働契約成立変更についての根底には、労使の合意で行なわれる事を明記しています。
これについて、労働基準法には、労基法を下回る労働契約は無効、契約期間の上限の定め、というものしかありませんでした。
そもそも、労働契約も契約行為にあたり、当事者の合意は当然存在します。ですが、このことをわざわざ労働法令において、文章化してきた事になります。
労働契約法により、この部分を徹底したいという思いが伝わります。
(定義)
第二条 この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。
2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。
※
この法律の中での用語の意味を記す条文です。
この内容は、特別難しくなく、文章の通りです。
(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
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第3条1項では、労働契約を労使が対等の対場で締結する事を求めています。また、その変更時にも、同様の内容を求めています。
労働者は、使用者から賃金を得る立場ですが、労働という役務を提供しています。使用者から見ても、賃金を払うばかりでなく、役務を受け取っています。その大原則の考えは、当然双方にあるものとし、その契約において、どちらかの力関係が上回る事は、決して無い事を、明文化し、徹底化を労使に求めています。
2項では、均衡とは、例えば同様の職務に就く者との処遇の違いが、理由の無いまま、大きくならないよう、求めていると考えます。現在、非正規雇用者の増加等により、待遇などの差が開きすぎている事が存在します。その増長を防ぐためのものでしょう。
3項では、いわゆるワークライフバランスの考え方を取り入れたものです。労働契約において、生活と仕事とを両立できるような、極端な内容とならないよう求めています。
4項では、信義則の原則が記載されました。信義とは、ここでは、その労働契約の内容に当事者が従う事を約束する事かと考えます。その上で、約束した事を果たすよう、労働者は役務の提供を行い賃金を得ること、使用者は賃金を払って役務を得ることを、実行しなければならないことを記しています。一般社会では、常識的に当然の事ですが、条文化することでその徹底を求めているのだと考えます。
5項では、労使ともに、労働契約を行使する事について、行き過ぎはしてはならないとしています。例えば、使用者による働かせすぎ、は役務の提供を受ける権利を、過大にしたものであれば権利濫用とされ、禁止されるだとう考えます。
(労働契約の内容の理解の促進)
第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び締結し、又は変更した後の労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする。
※
4条1項は、使用者に課せられた行為です。労働契約の内容を労働者がしっかりと理解・認識できるようにするものとする事が求められています。
2項では、前項を踏まえ、労働契約を書面化する努力を求めています。現在でも、労働基準法により、労働条件の通知について、書面交付が義務付けられてます。この労働契約法では、労働契約の書面交付が求められますから、労働条件ではないため、それぞれ別途の内容を記した書面がある事になります。現段階でこの労働契約法で求められる書面の記載事項は、定かではありませんが、通常、今までの労働契約書は、非常に簡単に、契約開始日と雇用契約であるという記載程度であることが多かったと思います。セットに用意する労働条件通知書に記載されている事柄を、労働契約書にも重複する事をしない場合が多いからです。その様な中で、労働契約法による書面には、何を記載するのか、ここの規定については、今後、行政による解説が行なわれる事かと思います。
ただ、一点、今後は変更時においても、その内容を記した書面が求められるようです。労働条件通知書は、契約締結時に1度限りが多く、その後は、辞令で新しい処遇を通知するだけの事が多かった為、今後は、今まで以上の対応が求められる事は間違いないと思われます。
(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
※
いわゆる安全配慮義務が明記されました。裁判上では、労働契約本体に自動的に付随する使用者の義務としてメジャーな定義ですが、解雇権の定義と同様にこちらも、条文化されたことになります。なお、解雇権の濫用に当たるかどうかは明確な線引きが難しい為、労働基準監督署では扱いません。安全配慮義務違反に当たるかどうかの判断も同様に労働基準監督署では取り扱わない事と私は考えます。
本日はここまで
07年12月10日
来年の手帳
今年もそろそろ終わりです。
その為の準備を少しずつ始めています。
仕事の上では、いつもより早め早めに作業を始め、
終わりの時期を前倒しできるようにしています。
それから先日こんな事も有りました。
年明け4日くらいの予定を書き込もうとしたら、
手帳のページが無かったのです。
おかげで白紙の予備ページにメモしておきました。
今年もそろそろ終わりだということをすごく実感しました。
手帳自体は、来年分を買ってあります。
その新しい手帳を見たら、今年の12月分のページが有りました。
その手帳は今使っているものと全く同じものです。
使いやすいので同じものにしました。
そして、この手帳の中では、既に年が変わっていることを意識しました。
その為の準備を少しずつ始めています。
仕事の上では、いつもより早め早めに作業を始め、
終わりの時期を前倒しできるようにしています。
それから先日こんな事も有りました。
年明け4日くらいの予定を書き込もうとしたら、
手帳のページが無かったのです。
おかげで白紙の予備ページにメモしておきました。
今年もそろそろ終わりだということをすごく実感しました。
手帳自体は、来年分を買ってあります。
その新しい手帳を見たら、今年の12月分のページが有りました。
その手帳は今使っているものと全く同じものです。
使いやすいので同じものにしました。
そして、この手帳の中では、既に年が変わっていることを意識しました。
07年12月04日
安全衛生マネジメントシステムの研修
本日の午後、名古屋市中区丸の内で安全衛生関係の研修がありました。
愛知労働局主催の「OSHMS推進研修会」でした。
当初、第1部、第2部、第3部のプログラムがあるとの事で、
全部希望したのですが、第1部だけしか申し込みできなかった経緯が有ります。
しかし、会場に着くと、全3部とも、同じ時間に始まり、休憩時間もリンクしていました。
あらかじめ、全会場のプログラムが示され、休憩時間中に会場を移る事ができる形式でした。
また、資料も全会場分をはいふされていました。
3会場で、ワンフロアを占有しており、それぞれの会場は、120名ほど収容でした。
大変、規模の大きな研修で感心しました。
それぞれの会場は、製造業向け、建設業向け、実践編、という内容です。
それらがそれぞれの会場で、並行して研修がおこなわれています。
私は製造業向けに出席しました。
キリンビール名古屋工場、三河設備、両社の実例紹介がありました。
両社とも、OSHMSの認定を受けているとの事でした。
[OSHMS]は、‘オーエスエイチエムエス‘と言います。
中央労働災害防止団体「中災防」が厚生労働省から認定実施期間とされているそうです。
企業が認定を受けるものとして、ISOがメジャーです。
9000と14000の2シリーズがあります。
これらの取得効果は顧客に対してのものです。
OSHMSは、従業員向けです。
労働安全衛生に積極的な企業とされる事になります。
愛知労働局主催の「OSHMS推進研修会」でした。
当初、第1部、第2部、第3部のプログラムがあるとの事で、
全部希望したのですが、第1部だけしか申し込みできなかった経緯が有ります。
しかし、会場に着くと、全3部とも、同じ時間に始まり、休憩時間もリンクしていました。
あらかじめ、全会場のプログラムが示され、休憩時間中に会場を移る事ができる形式でした。
また、資料も全会場分をはいふされていました。
3会場で、ワンフロアを占有しており、それぞれの会場は、120名ほど収容でした。
大変、規模の大きな研修で感心しました。
それぞれの会場は、製造業向け、建設業向け、実践編、という内容です。
それらがそれぞれの会場で、並行して研修がおこなわれています。
私は製造業向けに出席しました。
キリンビール名古屋工場、三河設備、両社の実例紹介がありました。
両社とも、OSHMSの認定を受けているとの事でした。
[OSHMS]は、‘オーエスエイチエムエス‘と言います。
中央労働災害防止団体「中災防」が厚生労働省から認定実施期間とされているそうです。
企業が認定を受けるものとして、ISOがメジャーです。
9000と14000の2シリーズがあります。
これらの取得効果は顧客に対してのものです。
OSHMSは、従業員向けです。
労働安全衛生に積極的な企業とされる事になります。