15年07月03日
小規模企業の管理職研修のあり方を考える
~社長一人の力は限界。殻を破れるかは、管理職の出来で決まる~
●小規模企業の管理職研修のあり方を考える (H27.7月号)
今まで社会保険労務士として約18年間、中小企業の労務管理をサポートさせていただいている者の感想として、小規模企業がその殻を破り、社長の器を超えて発展するには、良い番頭がいるかどうか、にかかっていると言っても過言ではないと思っています。この番頭とは必ずしも従業員としての管理職だけを指すのではなく、時には兄弟などの親族も含んでのことですが、いわば社長の片腕と言える人が一人、いるかどうかで企業の伸びは著しく差が出るように感じています。
親族に優秀な番頭を見出し得ず、かつ、まだまだ会社を伸ばしたい!と希求する社長であれば、社内で優秀な管理職を育成するしかありません。ところが多くの小規模企業では、優秀な管理職がなかなか育たず、社長の苦労が絶えません。大手企業などの管理職経験者をヘッドハンティングして来るという選択肢もありますが、私の個人的感想として、こういった人材は小規模企業へ来ると、期待はずれに終わることが多いと感じています。この理由を探求することは今回のメインテーマでないため割愛しますが、今後数回のシリーズで、小規模企業の管理職を如何に育成するべきかについて考えて行きたいと思います。
このことを考える前に、そもそも小規模企業に採用されている従業員とはどういう人たちでしょうか?
2:6:2の法則と言われるものがあります。つまり優秀な人財は2割、また反対に採用してはいけない人罪も2割。その中間にいる大多数の普通の人材が6割ということです。上位2割はまず小規模企業で採用することは不可能です。大手企業ですらこの層の人財は獲得競争が苛烈化しています。また下位2割は教育指導以前の問題になるため、絶対に間違っても採用してはいけません。この下位2割の見極めについては、かつてこのメルマガにて特集しておりますので割愛します。
| A 優秀な人財(自立的人財)
|(自分で発火することができる)
| 20%
|—————————-
| B 普通のまともな人材
|(火を付けてもらえば動き出すが、
| 自然発火はしない)
| 60%
|
|—————————-
| C 採ってはいけない人罪
|(採用段階で排除する) 20%
|______________
そこで真ん中にいる6割の人材、ここを安定的に採用し、教育して行くことになるのですが、この中間層の教育のあり方に小規模企業ではちょっとしたコツがあると思うのです。
結論から申し上げます。小規模企業の社員教育は、社員を信じて自主性に任せてはいけません。強制して追い込んで行く仕組みが必要なのです。特に期待して管理職に任じた人材ほどそうしなければなりません。彼らはまともな人材ではあるのですが、決して自然発火はしないのです。いわばマッチと一緒。常に摺って火を点し続ける必要があるのです。
これに対して、上位2割の人財は元々自立型人財であり、自分で考え、自分で行動し、自分で工夫する人達ですので、あまり強制的に介入する必要がなく、むしろ自主性に任せ、難しい仕事をどんどん与えて行けばよいのです。しかし中間層の人達にも同じような自主性を期待してはいけません。ところが以外にも、経営者は自主性に期待する傾向があり、それが裏切られることに歯噛みすることとなるのです。
先ほど強制して追い込んで行く仕組みが必要であると申しました。また、特に期待して管理職に任じた人材ほどそうしなければならないとも申しました。これにらにも意味があります。
前者の追い込んで行く仕組みについては次回以降で考えたいと思います。後者についてですが、小規模企業の場合の教育プランは、全員に等しく行うのではなく、ターゲットを絞って行う必要があるからです。下図をご覧ください。
実績↑
|Ⅱ専門家 ¦Ⅰ片腕
| ¦
|———————————
|Ⅳ及第点 ¦Ⅲ片腕候補
| ¦
|===========
| Ⅴ 異動・退場
|___________ →総合力
ⅠからⅤまでの五つの領域に分けます。縦軸は実績(成果)、横軸は総合力(ポテンシャル)です。この5領域に従業員名を入れてみます。そうするとこの中で今後、鍛えて行くべき人は、ⅠとⅢに入った人です。ちなみにⅡの方は、管理職には向かないため、自分自身のスキルを上げて会社に貢献してもらう道を模索します。いわゆるスペシャリストです。Ⅳの方は何とか留まることを許された人達で、ここに教育資源を投資することはしません。Ⅴは残念ながら、転職を含めて検討してもらった方が良い人です。
小規模企業は数少ないⅠとⅢ、特にⅢの領域にある人達に向けて教育資源を集中させます。つまり管理職には就いているが物足りない人、管理職にしたいと考えている人、今後伸びる可能性のある人に絞って強制して追い込んで行くこととなります。
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
●小規模企業の管理職研修のあり方を考える (H27.7月号)
今まで社会保険労務士として約18年間、中小企業の労務管理をサポートさせていただいている者の感想として、小規模企業がその殻を破り、社長の器を超えて発展するには、良い番頭がいるかどうか、にかかっていると言っても過言ではないと思っています。この番頭とは必ずしも従業員としての管理職だけを指すのではなく、時には兄弟などの親族も含んでのことですが、いわば社長の片腕と言える人が一人、いるかどうかで企業の伸びは著しく差が出るように感じています。
親族に優秀な番頭を見出し得ず、かつ、まだまだ会社を伸ばしたい!と希求する社長であれば、社内で優秀な管理職を育成するしかありません。ところが多くの小規模企業では、優秀な管理職がなかなか育たず、社長の苦労が絶えません。大手企業などの管理職経験者をヘッドハンティングして来るという選択肢もありますが、私の個人的感想として、こういった人材は小規模企業へ来ると、期待はずれに終わることが多いと感じています。この理由を探求することは今回のメインテーマでないため割愛しますが、今後数回のシリーズで、小規模企業の管理職を如何に育成するべきかについて考えて行きたいと思います。
このことを考える前に、そもそも小規模企業に採用されている従業員とはどういう人たちでしょうか?
2:6:2の法則と言われるものがあります。つまり優秀な人財は2割、また反対に採用してはいけない人罪も2割。その中間にいる大多数の普通の人材が6割ということです。上位2割はまず小規模企業で採用することは不可能です。大手企業ですらこの層の人財は獲得競争が苛烈化しています。また下位2割は教育指導以前の問題になるため、絶対に間違っても採用してはいけません。この下位2割の見極めについては、かつてこのメルマガにて特集しておりますので割愛します。
| A 優秀な人財(自立的人財)
|(自分で発火することができる)
| 20%
|—————————-
| B 普通のまともな人材
|(火を付けてもらえば動き出すが、
| 自然発火はしない)
| 60%
|
|—————————-
| C 採ってはいけない人罪
|(採用段階で排除する) 20%
|______________
そこで真ん中にいる6割の人材、ここを安定的に採用し、教育して行くことになるのですが、この中間層の教育のあり方に小規模企業ではちょっとしたコツがあると思うのです。
結論から申し上げます。小規模企業の社員教育は、社員を信じて自主性に任せてはいけません。強制して追い込んで行く仕組みが必要なのです。特に期待して管理職に任じた人材ほどそうしなければなりません。彼らはまともな人材ではあるのですが、決して自然発火はしないのです。いわばマッチと一緒。常に摺って火を点し続ける必要があるのです。
これに対して、上位2割の人財は元々自立型人財であり、自分で考え、自分で行動し、自分で工夫する人達ですので、あまり強制的に介入する必要がなく、むしろ自主性に任せ、難しい仕事をどんどん与えて行けばよいのです。しかし中間層の人達にも同じような自主性を期待してはいけません。ところが以外にも、経営者は自主性に期待する傾向があり、それが裏切られることに歯噛みすることとなるのです。
先ほど強制して追い込んで行く仕組みが必要であると申しました。また、特に期待して管理職に任じた人材ほどそうしなければならないとも申しました。これにらにも意味があります。
前者の追い込んで行く仕組みについては次回以降で考えたいと思います。後者についてですが、小規模企業の場合の教育プランは、全員に等しく行うのではなく、ターゲットを絞って行う必要があるからです。下図をご覧ください。
実績↑
|Ⅱ専門家 ¦Ⅰ片腕
| ¦
|———————————
|Ⅳ及第点 ¦Ⅲ片腕候補
| ¦
|===========
| Ⅴ 異動・退場
|___________ →総合力
ⅠからⅤまでの五つの領域に分けます。縦軸は実績(成果)、横軸は総合力(ポテンシャル)です。この5領域に従業員名を入れてみます。そうするとこの中で今後、鍛えて行くべき人は、ⅠとⅢに入った人です。ちなみにⅡの方は、管理職には向かないため、自分自身のスキルを上げて会社に貢献してもらう道を模索します。いわゆるスペシャリストです。Ⅳの方は何とか留まることを許された人達で、ここに教育資源を投資することはしません。Ⅴは残念ながら、転職を含めて検討してもらった方が良い人です。
小規模企業は数少ないⅠとⅢ、特にⅢの領域にある人達に向けて教育資源を集中させます。つまり管理職には就いているが物足りない人、管理職にしたいと考えている人、今後伸びる可能性のある人に絞って強制して追い込んで行くこととなります。
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com