ちょっと意識を傾けると気づくものですが、世の中には、いろいろな場面で三つ“あ”」があるようです。
 ある小学校の先生が授業の中で生徒たちに教えているのは「あいさつ、あんぜん、あとかたづけ」。
 ほかの小学校では「ありがとう、あいさつ、あたたかいこころ」。
 恩師からの大事な言葉だという「あらそわない、あなどらない、あせらない」。
 成功本のメッセージを要約すると「ありのまま、あせらない、あたえ続ける」。
 脇道に逸れますが、ダイエットの大敵は「あぶら、アルコール、あまいもの」。
 そして、いつの世も心に残る名言として、多くの人たちが胸に刻んでいる言葉は「あせらず、あわてず、あきらめず」です。
 やってもやっても思うような結果が出ないときは、気持ちばかりが焦ります。焦って心に余裕がなくなると優先順位を誤るので、「今」やるべきことを見落として「目先」のことばかり気になります。目の前のことに取り組むのが悪いわけではありません。目先の事態に翻弄されて自分のペースが乱れることがまずいのです。
 何のためにやっているのかが見えなくなると人は混乱します。頭がぐちゃぐちゃになって集中力がなくなり、やる気がわいてきません。だから諦めてしまいます。
 「あせらず、あわてず、あきらめず」は商売にも通じる「三つの“あ”」でしょう。
 仕事がはかどらないときも焦る気持ちを抑えて落ち着き、たとえ問題が山積みでも慌てることなく今やるべきことに少しずつ取り組み、決して諦めないこと。もっと言えば、どんなときも「あせらず、あわてず、あきらめず」の精神で日々コツコツ続ける商売は揺るぎません。日々のコツコツは大変地味ですが底力があるからです。
 もし商売の達人がいるとすれば、それは「コツコツ」の達人でしょう。どんなに大変な状況でもコツコツと頑張っている人は大勢います。「あせらず、あわてず、あきらめず」は希望につながる「三つの“あ”」でもあります。今一度、コツコツの達人を目指して「あせらず、あわてず、あきらめず」精神でいきましょう。