●「労使コミュニケーションの実態と意義」調査から見えるもの その2 (H26.1月号)

~今年は社内報を有効に活用しよう~



新春、あけましておめでとうございます。
本年もどうかこのメールマガジンにお付き合い賜りますよう、よろしくお願いいたします。


さて、労使コミュニケーションの円滑化は、多くの経営者にとって大切な課題であると認識されています。良好なコミュニケーションは良好な社内風土につながり、ひいては企業力のアップに繋がると考えられるからです。
前回は、(独)労働政策研究・研修機構による調査、「労使コミュニケーションの実態と意義」を題材として、労使コミュニケーションの有り方について考えました。その中でも経営者が関心があると思われる「労使コミュニケーションの手段・方法」という項目を中心に考察し、世間では「朝礼」や「経営者と管理職の懇談会」など、 さまざまな施策を行われていることをご紹介しました。


そんな様々な施策の中で、前記調査には、「社内報」を活用している企業がまったく触れられていませんでした。今回は有効なコミュニケーションツール、「社内報」について、導入の提案を申し上げたいと思います。


社内報とは、自社内で発行する情報誌や新聞のようなものです。その発行は、隔週、毎月、隔月、4半期ごとなど、一定の期間ごとに従業員向けの読み物として発行します。不定期刊行もありますが、できれば負担にならないサイクルで、定期化するのが望ましいと思います。

誰が作成するかですが、担当者(部署)を決めて発行する方式と、持ち回り方式があります。
最初は役割を明確にするためにも、紙面の質の維持のためにも、適性のある者か自薦者に任せる方が良いと思います。軌道に乗ってくれば、持ち回りも検討していいでしょう。


紙面構成は、定型フォーマットを作成しておいて、発行の都度、部分的にカスタマイズして再使用するのが、負担感も少ないと思います。


従業員が読んでくれる読み物とするためには、企画内容が何よりも大切ですが、一般的には以下のようなコーナーが考えられます。



1.社員紹介

毎回、順番に紹介する方法、誕生月ごとにくくって紹介する方法などが考えられます。その紹介項目は、

◎誕生日
◎出身地
◎出身校
◎家族構成
◎血液型や星座、動物占い
◎趣味
◎ひと言メッセージなど

とにかく、人間は自分との共通性を発見したり、他人の自己開示を受けると、その人に親近感を持つ心理作用があります。



2.新入社員紹介

新しく入社した社員にスポットを当て、組織の一員として認められたという承認欲求を満たすと共に、周りの先輩にも情報提供する作用があります。

「ニューフェイス誕生!その名は、木村君です。皆さん、よろしく!!」とか。



3.定年、寿退職者情報

2とは逆に、円満に退社して行く社員をねぎらう意味で、その情報を広報します。

「20年にわたり、我が社に貢献された大先輩、福本課長が12月に定年退職されます!大変お疲れ様でした・・・・。そして、ありがとうございました!!」とか。



4.結婚、出産情報

社員に新しい家族ができたら、みんなでお祝いするものです。

「横田さんに、初めての男の子が誕生しました!! その名は大樹君です」という感じで。



5.寄 稿

今はSNSにより、自由に個人が情報発信できる時代になりましたが、それでも自分の意見や考えが印刷されて、皆に読まれるのは嬉しいものですし、普段のコミュニケーションでは汲み取ることのできない社員の深い部分を知るきっかけにもなります。



6.会社行事案内と結果報告

社員旅行、忘年会、社内研修など。



7.得意技講座

たとえば、料理が得意な社員なら、シリーズ「秘伝の味・私の料理レシピ」とか。



8.表彰者の発表

たとえば、「今月の縁の下の力持ち大賞」とか、永年勤続表彰とか。



9.おすすめ情報

たとえば、「恋人と初デートで行くならこのお店」とか。



10.お客様の声

たとえば、「●●産業様より、庶務課山田さんの電話応対が素晴らしいとのお褒めのお言葉をいただきました!!」とか。


その他にも、

11.社内アンケート

12.対談、座談会

13.会社の歴史ものがたり

14.編集後記

15.社長からのメッセージ   などなど・・・・・・・・・・・・。



まだまだ、アイデアはあると思いますが、なんだかワクワクしてきませんか?ぜひ、お試しあれ!!

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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14年01月07日 | Category: General
Posted by: nishimura
「労使コミュニケーションの実態と意義」調査から見えるもの (H25.12月号)

~社内報を有効に活用しよう~


労使コミュニケーションの円滑化は、多くの経営者にとって大切な課題であると認識されています。良好なコミュニケーションは良好な社内風土につながり、ひいては企業力のアップに繋がると考えられるからです。

先般、(独)労働政策研究・研修機構が昨年末に企業と従業員のコミュニケーションの実態を調査した結果が、「労使コミュニケーションの実態と意義」としてまとまりました。これは30人未満の企業のアンケート結果も集約されており、政府統計よりもかなり小規模中小企業の実態も反映したものとなっています。

ただ、調査の性格上、経営者が本当に知りたいコミュニケーション技法、どうしたらいいの?という疑問に関することはこの調査からは詳しく読み取ることはできませんが、その中から関心があると思われる「労使コミュニケーションの手段・方法」という項目に絞ってご紹介し、若干の提案も試みたいと考えています。


まず企業が従業員側とのコミュニケーションを円滑にするため制度として実施している手段は、多い順から以下の通りとなっています(回答は事前に用意された項目からの選択式)。

1.朝礼(69.1%)
2.経営者と管理職の懇談会(59.9%)
3.パーティや懇親会(58.6%)
4.経営方針・経営計画発表会(51.8%)

ここまでは5割を超えている施策で5割以下の施策では、

5.日報(49.8%)
6.経営理念の作成(43.0%)
7.社内の各種委員会等(41.3%)
8.集合研修(40.0%)
9.社員旅行(39.0%)
10.小集団活動(30.6%)


この中で、コミュニケーション円滑化のために重要性か増加しているかどうかを尋ねたところ、「2.経営者と管理職の懇談会」と「4.経営方針・経営計画発表会」の項目を除いて、ほとんどの項目で「変化なし」という回答が最も多かったようです。

これは推測ですが、この調査は経営指針を非常に重視する中小企業家同友会の会員企業にも調査を依頼している影響が大きいのではと思います。また「変化なし」という回答はネガティブな印象を持ちますが、もともとコミュニケーションの変化というのは、非常に『緩慢な変化』であるため、実感しにくいことが影響しているように思います。緩慢ではありますが、継続すれば5年前とを比較すると、確実に変化は起こっているものと思います。


再び調査結果に戻りますと、労使コミュニケーションの円滑化のため、従業員の要望や不満を表明するルートについて尋ねたところ、以下の順になりました(回答は事前に用意された項目からの選択式)。

1.目標面談など上司と部下の話し合い(61.6%)
2.自己申告制度(42.1%)
3.提案制度(投書箱、目安箱含む)(32.2%)
4.苦情処理制度(24.7%)
5.従業員意識調査(24.5%)
6.人事労務担当者による巡回個人面談(24.1%)
7.電子メールによる提案制度(19.1%)


上司と部下の話し合いが重要であることから、「1.目標面談など上司と部下の話し合い」は仕組みが無くてもできることから、一番多いのは理解できますが、前段にある『目標面談』がどの程度行われているのか、もっといえば従業員に対して経営者が「こうなって欲しい」「こうして欲しい」という思いが仕組みとして伝わっているのかは疑問なところです。2から4の施策は制度が設計されていないとできない項目です。大多数の中小企業ではここまで制度設計されているかも疑問です。



ここまで「労使コミュニケーションの手段・方法」という項目に絞って、ご紹介しましたが、経営者の皆様、ご自身の企業ではいかがでしょうか?何か参考にできる施策はありましたでしょうか?
他のの企業ではどのようなことを行っているか、その一旦は垣間見れたのではないかと思います。


今回はここまでとして、次回は上記調査に上がっていなかった施策である「社内報」の効用について、ご提案申し上げたいと思います。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
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13年12月05日 | Category: General
Posted by: nishimura
社内規程は会社の法律 法律をきちんと執行して望ましい姿へ政策的に誘導しよう(H25.11月号)


アベノミクスが好調です。その政策の基本は第一の矢として、まず長きにわたるデフレから脱却させるために大胆な金融政策を実施し、第二の矢として公共事業を復活するなど積極的な財政政策により実体経済を刺激し、第三の矢である成長戦略によって再び稼げる日本に復活させようとするものです。

私は経済評論家ではありませんので、アベノミクスの功罪を表するのがここでの目的ではなく、アベノミクスを通じて企業経営を考えたいと思うのです。



政府は第三の矢、つまり日本を再び稼げる国へ復活させるために、様々な政策を打とうとしています。そしてその政策とは元をたどれば法律のことなのです。つまり政府が「こういう国にしたい」と思った時、それを政策として実施できる基盤が法律なのです。逆に言えば根拠となる法律がなければ「こうしたい」という思いを実現することができません。

このように法律には一定の意思をもって、望ましいと思われる方向へ企業や国民を誘導する効果があるのです。その根拠法があるからこそ(特に真面目な日本人は)その法律に自らの活動を準拠させ、その結果として「望ましい姿」へ変貌を遂げて行くこととなるのです。

この変化は劇的な時もあるかもしれませんが、緩慢に変化することのほうが多く、そのプロセス中においては実感しにくいのですが、時間がたち、振り返って過去を見たとき、変化が起きていることをはっきり認識できるのです。

例えば、需要を喚起するため、賃金を上昇させることを意図したとします。そうすると「賃金アップを図った企業に対して税金を安くしますよ」という税制の法律を作ってメッセージを出し、実際に給与アップへ誘導しようとします。

例えば、外国の投資をもっと積極的に呼び込みたいと意図したとします。そうすると「規制を緩和しますから進出してください」という特区を作る法律によってメッセージを出し、投資を呼び込もうとします。

つまりある意思をもった法律が、きちんと執行されて初めてその効果が発生し、変化が起こってゆくということです。



これを企業に置き換えましょう。企業にも就業規則をはじめ、様々な社内規程があるはずです(社内規程を総称して就業規則と呼ぶ)。これは企業にとって取りも直さず法律に当たります。蛇足ですが最高裁判所もこのように言っています。


「就業規則は当該事業所内での社会的規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至っているものと解すべきであるから、当該事業所の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然に、その適用を受けるものというべきである。」
(秋北バス事件 最高裁 昭和43年12月25日)


40年前の判決ですが、現在もその考え方は維持されています。就業規則は法的規範になるのです。そして個別労働者の同意を得なくとも、周知されていれば当然に適用を受けるものなのです。法律って、そんなものです。知らないから許されるということでもなく、私は気に入らないから従わないということもありません。



しかし・・・・。

しかしです。折角、就業規則を作ってもそれがきちんと執行されているでしょうか?法律を作った会社の意思が従業員に伝わっているでしょうか?そして会社が望ましいと思う方向へ誘導できているでしょうか?

それがなければ、折角、法律を作っても、絵に描いた餅です。政策効果が全く上がらないこととなります。


例えば・・・・

◎従業員に社会人として企業人としてモラルを身に着けて欲しいと意図したとします。そうすると「服務規律規程」を作成します。

◎従業員にも会社業務の向上のために、どんどんアイデアを出してもらういたいと意図したとします。そうすると「提案制度」という規程を作成します。

◎従業員に業務に必要な公的資格の取得をどんどん取得して欲しいと意図したとします。そうすると「資格奨励制度」という規程を作成します。

◎やる気のある従業員には自ら役職者に立候補してもらいたいと意図したとします。そうすると「役職者任命規程」という規程を作成します。


こういったことはいくらでも規程化(法律化)できます。でも作っただけなら絵に描いた餅です。その先が大事です。こいった政策をきちんと周知し執行して、望ましい企業風土へ誘導してゆきましょう。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
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13年11月01日 | Category: General
Posted by: nishimura
●将来の見える化をして有為の人材を引き留めよう (H25.10月号)
~賃金制度、人事制度の整備の必要性を考える~


私は社会保険労務士であるとともに、賃金コンサルタントとして、多くの中小(小規模)企業の人事制度のお手伝いをさせていただきました。ただ、当方から勧奨して人事制度を導入することはまずありません。お客様自身がその必要性を感じ、「何かしなければならない」とのニーズが発生しご依頼いただいてから、初めて仕事としてかからせて頂きます。

労務政策は大きく分けて三つの側面があります。一つは確実迅速な手続きを行う事務処理型労務管理、二つ目はトラブル対応型の守りの労務管理、三つ目は人材活用型の攻めの労務管理です。特に三つ目の攻めの労務管理は、企業経営自体に余裕がないと、なかなか腰を落ち着けて取り組めない政策テーマです。こちらから勧奨しないのは、経営者自身が「攻めの人事政策をやりたい」との強い思いがなければ、絶対にうまくいかないからです。

そこでいつか機が熟し、攻めの労務管理に取り掛かれるようになったとき、必ずと言っていいほど申し上げていることがあります。それは「これから御社で可能性のある人材が、将来、上昇して行ける仕組みを従業員に見える化してゆきましょう」ということです。{将来に対する見える化}とは、一体どういうことでしょうか?


中小企業の組織風土に欠落しがちな要素に「適度な競争原理」と「上昇志向」があります。人材が活性化するにはこの二つは欠かせません。しかし将来、上の方へ上がって行ける道筋がないと、有為な人材でも上昇志向を引き出せません。

特に中小企業の場合、ほとんどが同族経営で運営されています。ですからいくら頑張っても、経営家系でない限り、経営者と同じ立場に上り詰めることはあり得ません。つまり社長を目指す!という人は、その会社で力を発揮する可能性はなく、仮に一時社員であったとしても、その人には単なるステップアップの踏み台でしかありません。こういう人は引き留める人材というより、初めから割り切って考える必要のある人でしょう。

中小企業にとって必要なのは、経営を任せるごく一部の後継者ではなく(これはまた別のテーマである)、部長をそつなく安定的にこなしてくれる、信頼のおける人材のことです。つまり経営者と同等の立場までは求めない、しかし会社のことを考えて仕事はして欲しい、かつ信頼できる存在であることが重要です。

ただ、こういった上昇志向のある人材も中小企業の場合、たくさんいるわけではありません。非常に限られた人材の中から、財産となる{人財}を育てて行かなければならないのです。単に社員をフローの人材(いわば日常業務をこなせば良い取り換えの効く人材のこと)としてとらえ、経営者自身が企業に上昇志向を持たないケースは除外されますが、そうでなく、会社を伸ばして行きたい動機があるのであれば、やはり信頼のおける部長の存在は欠かせないのです。



私自身もサラリーマンで数社の転職経験がありますが、残念ながら多くの中小企業には{将来に対する人事制度の見える化}が十分ではありません。これを働く社員の立場でみると、「今はいいとしても、いい年になったときまでこの会社でずっと頑張る意味があるのかな」とか、自分の先輩を見るにつけ「俺の10年後の姿はこの人と同じか・・・・・」となると、その潜在能力を発揮できないままに埋もれてしまうことになるのです。または転職するでしょう。

ここで注意が必要なのは、全社員が必ずしも、上昇志向があるとは限らないことです。全員が人事制度によって上昇して行くというのは残念ながら幻想です。ここで大事なのは、ごく一部の限られた有為の人材を失わないことです。仕組みがあれが、上の方へ上がって行ける可能性がある人材であるにもかかわらず、その仕組みがないため、埋もれてしまうとしたら会社にとっても本人にとっても不幸なことです。ですから{将来に対する見える化}が必要なのです。


{将来に対する見える化}とはおおよそ、以下のようなことを文書化して明示公開することです(但しA3用紙1枚ものとか簡潔に!)


1.今やっている仕事がずっと続くのではない。もっとレベルの高い仕事、難しい仕事にもチャレンジしてもらう予定であること。

  →能力や仕事が上がれば、それを受け止める賃金が整備されている必要があります。

2.今のレベルやポジションがずっと続くのではない。もっと裁量がありかつ責任が重い、重要な役割を与えて行く予定であること。

  →重要な役割を任せられれば、自己裁量が発揮でき、その役割に対する金銭的インセンティブが整備されている必要があります。

3.かといって、過度な成果主義、能力主義はとらず、生活できる賃金にも優しく目配せすること。

  →業績配分のボーナスは別として、月例賃金は生計費という視点を忘れないこと。


整備したら自信をもって、社員に説明しましょう。「上がって行ける仕組みは整備した。その階段を昇るかどうか、あとは自分次第だ。上がってきてくれる人には報いる。応援もする。だから共に頑張って行こう」と。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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13年10月01日 | Category: General
Posted by: nishimura
●当たり前の労務管理を採用活動に活かそう
~募集効果をアップさせることにもつながる~


御社では、普通に残業代を出していますか? 年1回、健康診断を行っていますか? 労働条件をきちっと文書で交付していますか? 有給休暇はありますか? 社会保険にはちゃんと加入させていますか? 労働紛争が起こらない職場ですか? ブラック企業になっていませんか?

今回のテーマは、いかに求人募集において、応募効果を上げるかということなのですが、これは非常に難しいテーマです。いうまでもなくタイミングに依るところが多く、仕事内容や募集条件、企業規模や立地など様々な要因が絡み合います。なかなか当たりが出ないくじ引きをするようなものです。一般的には仕事内容を細かく書くとか、会社の魅力をアピールするとかが思いつきますが、今回は少し違った視点で確率が上がる求人の出し方を考えてみたいと思います。


私が今回ご提案したいのは、「当たり前の労務管理を採用活動に活かそう」です。これは一体どういうことなのでしょうか?


通常、中小企業の経営は世襲で行われています。経営一家に育てば、その子は親の会社に就職することになるのです。つまりこれは自分の会社以外、つまり世間の会社がどのようになっているのか、非常にイメージが湧きにくい状態といえます。一方、労働者の方はどうかと言うと、多くの中小企業を転職して来ているのが普通です。これは中小企業の経営者ほど、他の中小企業のことが分からず、中小企業の労働者ほど、他の中小企業の実態を知っているということです。


そして世間では、意外?にも、冒頭のような当たり前の労務管理が行われていない実態が非常に多くあるのです。そして労働者はそういった現実を体験して把握しています。例えば…、


限度を超えて長時間労働になっている・・・・・。

残業代が出ない・・・・・。

正社員にすら健康診断を行っていない、ましてやパートなど・・・・・。

労働条件は社長の意のままで、勝手に変更されることも。契約を交わすという発想がない・・・・・。

そもそも有給休暇など、うちの会社にはないと言われた・・・・・・。

社会保険は認められた者だけしか入れない・・・・・・。



まだまだ一杯、ありますが、残念ながらこれが多くの中小企業の実態なのです。



実は転職労働者は、このような当たり前のはず?のことが、中小企業ではきちっと行われていないことを理解しており、ほとんどが妥協しながら良心的に我慢している現実があるのです。ということは、今の世の中、当たり前の労務管理がきちっとできていること自体が、特別魅力的で有利な労働条件を提示できなくとも、まだまだ武器となり得るのです。むしろ中小企業間で特別有利な労働条件を提示できることの方が少ないでしょう。どこも似たり依ったりの条件が並ぶのです。


そんな中、当たり前の労務管理ができている会社は、そのことをアピールするのです。「ここはきちっとしている会社」ということがアピールできれば、相対的に有利になります。


ただ形式的な労働条件を並べただけの募集広告で効果が出ないというなら、そもそも自分の会社の労務管理はどうなっているのか、点検すべきです。そしてきちっとした労務管理は採用後の定着や、紛争防止にも繋がるはずです。当たり前の労務管理ができているなら、それをもっとアピールしませんか?



{募集広告例}


残業はほとんどありません。定時帰宅がモットー。仕事と私生活のバランスを大切に考える会社です。

残業時間は1日平均1.5時間程度。サービス残業はありません。やった分をきちっとお支払いします。

年1回 健康診断あり。パートの方も受けられます。従業員の健康第一!

就業規則、労働契約書完備。きちっと書面で行っています。

多くの従業員が有給休暇を満喫しています。パートさんもイキイキと!


文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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13年09月09日 | Category: General
Posted by: nishimura
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