業務請負(委託)と派遣の最大の違いは、注文者(委託者)ないし派遣先に当該労働者に対して指揮命令権があるか否かにあります。

 業務請負(委託)の場合には、注文者(委託者)には労働者に対する指揮命令権がないのに対し、派遣先には雇用関係はないけれども指揮命令権があります。

 概念的にはこのように明確に区別ができても、注文者・委託者・派遣先の職場で委託者等の業務をを処理する場合、委託者等に直接雇用された労働者も派遣労働者も受託会社の社員も同じように仕事をしていますから、労働実態の違いが不明瞭になりがちです。

 そこで、労働者派遣法に関して定められている区別のために基準(労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準)があります。

 そこでは、契約の形式よりも実態を重視して、請負形式をとっている場合も、以下の条件を満たさないときは、労働者派遣であると判断するとして、規制をしています。

1 請負人(業務受託者)が次のいずれにも該当して自己の雇用する労働者の労働力を直接利用すること 
(1)業務遂行方法の指示その他の管理、業務遂行の評価等の指示その他の管理を自らおこなうこと 
(2)始就業時刻・休憩・休日・休暇等の指示管理等、時間外・休日労働の指示管理その他の労働時間等の指示管理を自ら行うこと                                       (3)服務規律の指示管理、配置等の決定変更などの秩序維持等のための指示管理を自ら行うこと

2 業務を自己の業務として契約の相手方から独立して処理すること                  (1)業務処理の資金を自らの責任で調達・支弁すること                          (2)業務処理につき法律上の事業主としてのすべての責任を負うこと                 (3)単に肉体的な労働力の提供でないこと(自己の責任と負担で機材等を準備調達し業務を処理するか、自らの企画や専門的技術・経験により業務を処理すること)

07年09月05日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
  出向と労働者派遣は、いずれも他社の雇用する労働者を自社の指揮命令の下に自社の業務に従事させるもので、外形的には区別がつきません。

 両者の違いは、これを受け入れた自社との間に雇用関係が生じるか否かにあります。

 派遣の場合には、派遣先との間に雇用関係を生じないのに対し、出向(在籍出向)の場合には出向先との間にも雇用関係を生じます。

 このことが両者の法的規制の有無に差異を生じさせるのです。

 すなわち、派遣の場合、雇用関係がないのに派遣先の指揮命令監督権に服するため、労働者派遣法による規制が派遣元・派遣先の双方になされているのに対し、出向の場合、出向先と雇用関係が生じるため、特別の法的規制がないのです。

07年09月04日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
 異動に伴って労働環境が変わるため、あらためて労働者の同意を得る必要があるのかが問題となります。

1 配置転換については、就業規則などにその旨の定めがあれば、既に他の労働条件と共に労働契約上の同意(包括的な同意)を得ているとして、個別の労働者の同意は不要とされています(最判S61,7,14)。ただ、家族の介護など、労働者の受ける不利益が大きすぎる場合、転勤命令を認めなかった判例もあります。

2 出張命令は、一般には会社の指揮命令権の範囲内に属することから、配転のように就業規則に根拠を求めるまでもなく、労働者の同意は不要と解されています。ただ、特別な事情がある場合や長期に及ぶ場合などには、労働者の同意を得るべきでしょう。

3 出向(在籍出向)の場合、指揮命令権者が変わって労働条件が大きく異なり、また、民法上使用者がその権利を第三者に譲渡するには労働者の承諾が要求されていますから、会社の人事権は配転の場合よりかなり制限されると解されます。しかし、就業規則の規定により個別の労働者の同意は不要とする判例が多数あります。

4 転籍(移籍出向)は、現在の会社との労働契約を終了させて、同時に移転先との労働契約を締結させることです。転籍は、移転先との新たな労働契約の成立を前提としますから、元の会社が労働協約や就業規則で自由に転籍を命じ得る旨を定めることはできません。それゆえ、転籍の場合、原則として労働者の個別の同意が必要となります。

07年09月03日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
 失業率:7月は3.6% 9年5カ月ぶりの低水準


 総務省が31日公表した労働力調査(速報)によると、7月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.1ポイント改善し、98年2月以来、9年5カ月ぶりの低水準となる3.6%だった。男性は0.1ポイント減の3.7%、女性は0.2ポイント減の3.3%。完全失業者数は、前年同月比34万人減の234万人となった。



 雇用者数は、前年同月比53万人増の5535万人。失業率を年齢層別にみると、最も高い15〜24歳男性も前年同月に比べ1.2ポイント減の7.6%になるなど、大半の年齢層で改善が進んでいる。



 ただ、4〜6月平均の非正規社員数は、対前年同期比84万人増の1731万人で、全雇用者に占める非正規社員の割合も0.9ポイント増の33.2%に上昇した。増加幅の84万人のうち49万人は55歳以上で、いったん退職した団塊の世代の多くが非正規として再就職したことをうかがわせている。



 一方、厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.07倍だったが、正社員に限ると0.01ポイント減の0.59倍だった。(毎日新聞 2007年8月31日)



 このように非正規社員が増加の一途をたどっている。非正規社員は正社員に比べ、どうしても地位が不安定である。特に短時間労働者はそうである。そのため、パート労働者を保護すべく、改正パートタイム労働法が平成20年4月1日から施行される。

07年08月31日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
 労働関係を記事にするようになってから、労働問題に関するメール相談がチラホラ来るようになりました。なかでもやはり、解雇に関する相談が一番多いです。

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする(労基法18条の2)。

 これは、判例法理として確立していたものを、平成15年の改正のとき盛り込まれたものです。

 この解雇のルールを念頭に入れて、使用者も労働者も行動しましょう。

07年08月29日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
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