大阪市職員の学歴詐称問題、すなわち、多くは大学卒なのに高校卒限定の採用試験を受け、職員に採用された者が、全職員約4万5000人のうち1、141人もいたというのには驚くばかりだ。
 さらに、その処分にも驚く。このような事案では、神戸市などは懲戒免職にしているが、何と1ヶ月の停職処分というのだ。

 それは、業務に支障が出ては市民に迷惑がかかるというのが、表向きの理由であろう。しかし、そこには甘えがないか。高校卒の者が大学卒の学歴詐称を行えば、間違いなく懲戒免職であろう。政治家でも、出てもいない大学卒を詐称すれば、政治家生命さえも危うくする。

 しかし、採用試験において、本来あるものを過少申告して試験を受けることは、本来ないものをあるものとして試験を受けることと、本質的に異ならない。なぜならば、その学歴詐称をしなければ、その採用試験を受けることができなかったのであるから。

 「公務員として安定した生活をしたかった」というのが、学歴詐称の理由のようであるが、この人達は、自分が学歴詐称して採用試験を受けたため、本来採用されるべきであった高校卒の人達が、蹴落とされてしまったという認識があるのであろうか。彼らの就職する権利を侵害したのである。

 何ともスッキリしない処分であった。

 今回はこの辺で。



07年04月21日 | Category: つぶやき
Posted by: marutahoumuj
 民法772条の嫡出推定規定に不都合な場合があることは、以前にも記事にしましたが、今回は嫡出の推定がなされる前夫の立場からの記事です。

 15日、民法772条に関連して裁判などを経験した男性3人が、大阪市内で記者会見を行いました。その中の一人は、海外で単身赴任中、妻から「好きな人ができて妊娠した。離婚してください。」と打ち明けられ、帰国後の説得も空しく、離婚に至った。離婚して約2ヵ月後に出産したため、嫡出の推定が働きます。そこで、子供を法的に実際の父親の子とするため、嫡出否認の訴えを家庭裁判所に訴えました。

 彼は、裁判で「着床時、元妻と性交渉がなかった」ことも証言させられ、非常に気まずい思いをさせられました。自分の子でないと公の場で証明するのが辛かったし、10年経ってやっと話せるようになった、とも語っておられます。

 このように精神的負担を課す制度は、このままでいいのでしょうか。嫡出推定を覆すためには、必ず裁判によらなければならないものでしょうか。前夫の否認とDNA鑑定で親子関係の認定をする方向にもって行くべきではなかろうか。民法772条の早期の改正が望まれます。 

 今回はこの辺で。

07年04月16日 | Category: つぶやき
Posted by: marutahoumuj
  長勢法相は、国民投票法案の今国会成立が確実になったことを受けて、民法と少年法がそれぞれ「20歳」と定めている成年年齢の引き下げの是非について、検討に入る考えを明らかにした。国民投票法案は投票権年齢を「18歳」とし、法施行までの3年の間に民法などの成年年齢を引き下げるよう付則で求めているからです。

 もともと明治民法が、当時15歳をもって成年とする慣習を修正し、満20歳を成年年齢としたのは、1876年の太政官布告において課税や兵役の基準年齢を満20年(丁年)としていたことや、民法草案の模範となったフランス民法が成年年齢を21歳と定めていたことが影響していると考えられています。

 民法の成年年齢の引き下げは、18歳で行為能力(単独で完全に法律行為の効果を帰属させうる能力)が認められることになるため、これまでのように親の同意を得ていないからという理由で、法律行為を取消すことが出来なくなります。

 では、仮に民法で成年年齢が18歳と定められた場合、少年法、公職選挙法、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法などの他の法律はどうなるであろうか。

 元来、民法の成年年齢と選挙権年齢や少年年齢とは関係がなかった。1925年の普通選挙法では25歳以上の男子のみ選挙権が与えられていたし、少年法はもともと18歳未満を少年としていたものが、戦後の改正により20歳が基準とされたのです。

 そうです。私法上の権利義務関係を帰属させうる能力と、候補者を選びうる能力や人格の可塑性に富んだ少年年齢とは、必ずしも関連はないのです。統一した方が便利だからという観点からではなく、それぞれの法律の目的から決定すべきものと考えます。

 この観点からすれば、現行法は、飲酒や喫煙は20歳を基準としているが、18歳を基準とすべきであろうか。未成年者の飲酒や喫煙は、未成年者の心身の発達を阻害するということが立法趣旨でありますから、この観点から年齢設定をすべきでしょう。果たして、18歳になれば飲酒や喫煙をしても心身の発達を阻害することはない、という判断をするのでしょうか?

 法改正を見守っていきましょう。

 今回はこの辺で。

07年04月13日 | Category: つぶやき
Posted by: marutahoumuj
07年04月12日

死後生殖の行方

 最近は、科学の発達が倫理や法律に影響を及ぼす報道が多く見られる。

 向井さん夫妻の代理出産もそうであるが、今日は死後生殖のことについて考えてみます。

 昨日、長野県の某医療機関が、04年に西日本の女性が病死した夫の凍結精子を使って妊娠出産した旨を公表した。

 この死後生殖で生まれた子に関して、最高裁は夫の子とは認めない判断を下している。そして、14日の日本産科婦人科学会総会でも禁止される見通しである。

 先の医療機関の院長は、「死後生殖禁止は遺産相続への悪用などを抑えるためだけの安易な発想であり、純粋な思いで生殖医療を望む患者を切り捨てることはできない」、と述べた。

 現行の民法は、認知の規定を含めて、死後生殖で生まれた子と死んだ夫との親子関係を認めていない、というより、想定していない。また、相続権については、胎児は生まれたものとみなされるため、相続権があるが、そのためには少なくとも夫が死んだ時点で妊娠していなければならない。したがって、死んだ後で妊娠しても、生まれてきた子には相続権はない。親子関係が認められないのであるから、当然といえば当然なのだが。

 この死後生殖については、イギリスでは、父親本人の書面による同意があれば親子関係は認めるが、相続権は認めていないようである。アメリカでは、原則として不可としながら、父親本人の同意があれば相続権を含め親子関係を認めている。一方、ドイツでは、死んだ人から子が生まれるのは不自然ということで認められていない。フランスでも、公序良俗に反するとか両親を持つという子供の利益に反するとかの理由で認められていない。

 この問題に対して、わが国はどのように対処していくべきであろうか。確かに、「法律は人間のためにある」のであるから、法律が時代にそぐわなくなったのであれば、改正等の法整備が必要となる。しかし、そのためには、国民一般の倫理観が、死後生殖によって生まれた子と死んだ夫との親子関係を認めることに抵抗がなくなることが要求されるであろう。

 このように見てくると、この問題の解決には相当長い時間が必要となると思われる。唯一つだけ言えることは、「愛した人の子供が欲しいと純粋に考える人の気持ちは救われなければならない」ということです。

 今回はこの辺で。

07年04月12日 | Category: つぶやき
Posted by: marutahoumuj
 政府は、e社会を目指して、官公署に提出する書類を電子申請化しようとしている。不動産登記や商業登記についても然りである。

 社会保険労務士や行政書士が作成して官公署に提出する書類についても、電子申請化の一途にある。社労士の方は、全社連や所属会も電子証明書の取得を呼びかけている。

 この電子申請は、今後伸びていくのだろうか、と思うことがある。

 確かに、出頭しなくてもいいのだから、便利であることは疑いない。しかし、一点疑問に思うことがある。それは、電子申請で送れない添付書類のことである。

 この2月に税務署を訪れたとき、所得税の電子申請のことについて少し尋ねてみた。源泉徴収票や保険料の支払証明書等は、電子申請した場合、どういう扱いになるのかを。

 そうしたら、源泉徴収票等は、後で郵送してもらいます、ということであった。

 私が心配しているのは、この点なのです。どうせ一度は郵送しなければならないのであれば、国民は、確定申告書に源泉徴収表等を貼り付けて郵送する方を選択しないか、ということです。

 源泉徴収票等を後で郵送しなくてもいい方法を模索しているということであったが、他の分野においても、代替性のない添付書類の処遇が、電子申請の増減に影響を及ぼすのではないかと思うのです。

 今回はこの辺で。

07年04月09日 | Category: つぶやき
Posted by: marutahoumuj
ページ移動 前へ 1,2, ... ,10,11,12,13 次へ Page 11 of 13