本社事務所の残土置場地中約2mに埋められたスーツケース内、自宅のクローゼットに収納された衣服のポケット内、トランクルームに保管されたダンボール内の金庫や「空茶箱」と表示のある茶箱内。これらは平成二十二年度、実際にあった不正資金の隠し場所です。
国税庁の平成二十二年度査察調査発表によると、査察に着手した件数は196件で検察庁に告発された件数が156件でした。
告発した脱税額は総額213億円で、一件あたりの脱税額は平均で1億3700万円と前年度の1億7100万円より減少しました。また、平成二十二年度中に一審判決が言い渡されたのは152件で、すべてに有罪判決が出され実刑判決は6人でした。
今回、告発が多かった業種は都市部における地価高騰の影響を受けた不動産業のほか、建設業や運送業などが多くみられました。主な脱税の手段や方法は、経費の架空計上や課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目仮装したもの、税金を極端に低くしている国や地域に関係法人を設立し、架空の外注費を計上するといった国際取引を利用したものなどがありました。
こうした特別なケースを除き、私たちは日々懸命に努力し、額に汗した成果の一部を税金として適切に納めています。ですからぜひ、これからの日本のために有効活用していただきたいですね。