少子化・高齢化社会は、今、少子・高齢社会になろうとしています。その中で、今までの時代では起こり得なかったいろいろな新しい問題が今起きてきているようです。特に相続に関する問題はこれからますます複雑になりそうです。子どもの数が減少している上に、親族間の関係が薄れてきている時代です。遺言はかつては富裕層が作るものといった認識が大きかったようですが、今はむしろ庶民も作る必要が求められるようになりました。
 そのような時代の中で最近ご相談が多いのが負担付贈与契約や死因贈与契約、また相続時清算課税制度に関わるものです。親族の介護が必要となったり、遠隔地にいる親族が介護に非協力的、あるいはわずかな財産を老後どのように運用していくかなど相談内容は多岐に渡っています。

 生前贈与の場合、普通贈与税が課税されます。贈与税は控除額が少なく税率も高いため、一般的にはあまり生前に贈与を行なうことは少なかったようです。しかし、贈与する側としては、自分の意思のはっきりとしているうちに、将来自分の介護をゆだねたり面倒を見てもらうという負担をつけた贈与契約を結び、特定の人に予め贈与しておきたいという気持ちもあります。遺言を残すことも一つの手段ですが、生前贈与であれば贈与を受ける側(受贈者)にとっても確実性を高くすることができます。
 特に不動産などの場合は、相続人が複数いるときなど、相続の際その分割が複雑になってしまう可能性も残ります。被相続人が存命中に贈与をしたほうが、後々禍根を残すことも少ないことが予想されます。

 他にも、生前の贈与にはいろいろなメリットがありますが税金面での負担が大きいためあまり活用されていませんでした。このような場合のために、相続時清算課税制度が設けられました。贈与する側が満65歳以上で受贈者が20歳以上であればこの制度を選択することができます。この制度を利用することにより、被相続人の意思がはっきりとしているうちに、不動産などの財産についての贈与の可能性も検討できるようになりました。
 この制度を選択するかどうかは、事前にそのメリットとデメリットを調べてみる必要がありますが、上手に利用することで相続時に起きるいろいろな問題を回避することも可能です。
 親族間の関係が希薄になっている現代において、相続に関わる問題も急増しています。満65歳を過ぎたら、将来を考えてこのような制度を選択することも視野の中に入れてみてはいかがでしょうか? 
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