何の落度もないのに、いじめやハラスメントの被害に合う方からのご相談がよくあります。仮に、落度があったとしてもそういった行為は許されないのですが、家庭や学校、あるいは職場でまったく身に覚えがないのに中傷を受けたり、無視され続けるといったことを耳にします。そういった被害に合えば、当然心は深く傷付きます。根も葉もないうわさが広がったり、根拠のない差別を受けたり、それに反論すればするほど周囲から冷たい扱いを受けることになります。

 こういった現象の原因の一つに、今、社会がとても被害妄想化していることがあげられているようです。ちょっとした言葉が、敵意と受け止められてしまったり、差別的な発言と捉えられることで反感を買ってしまいます。たわいのない冗談がきっかけで会社にいられなくなったという事例のご相談を受けたこともあります。
 このところ、学校に対する親の理不尽な要求が問題になっているようです。この風潮の中にも同じような現象が見て取れます。教師が良かれと思ってとった処置に、親はクレームをつけます。親側の被害意識が強いと、両者の間に大きな確執が生じ、時に大きな問題に発展してしまうこともあるようです。教師の側にも同じように被害的な意識が生じることもあるようです。

 今の時代は豊かで、すべての人が対等な関係で付き合うことができます。このことは素晴らしい事だと思います。しかし、長い日本の歴史の中でこういった時代は初めての経験で、何か人の心の中に戸惑いもあるようです。より良い人間関係に対する自信のなさも感じます。
 誰もが対等に関わることができるという素晴らしさを享受するためには、相手の立場からも考えてみる、広い視野が必要です。また、相手を思いやる心も不可欠ではないかと思います。

 人の行為には、それぞれ理由があるそうです。もし、少しでも冷静な気持ちを持つことが可能であれば、何故相手がその行為をしたのかを考えたいところです。そして、そのことで相手はどのような心を手に入れようとしているかも感じてみたいものです。
相手から、思わぬ加害者扱いを受けてしまった時も、同じように考えてみることが、問題を深刻にせず、より良い解決を生み出しやすくするようです。
 また、こういったときこそ一人で抱え込まず安心できる相談場所に相談をすることが解決の糸口を見つけるために大切と思います。
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