1 被相続人は、遺言で、共同相続人の相続分を定めたり、あるいはこれを定める

 ことを第三者に委託することができます。ただ、この場合、遺留分(以前の記事を

 参照)に関する規定に違反することはできません。

  ここで、遺留分を侵害する行為は、当然に無効となるのかが問題となります。

  この点に関しては、遺留分を侵害する行為も当然には無効とならず、減殺請求

 (遺留分を保留する権利)ができるだけであるとされていますから、遺留分を侵害

 する相続分の指定も一応効果は生じ、減殺請求がされたときには、遺留分を侵害

 する範囲でその効果が失われることになります。

  cf. 兄弟姉妹以外の相続人の遺留分は、直系尊属のみが相続人である場合に

   は、被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合には2分の1とされています。



2 特別受益者(共同相続人の中で、被相続人から遺贈を受けたり、婚姻・養子縁組

 のためあるいは生計の資本として贈与を受けた者)の相続分は、被相続人が相続

 開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産と

 みなし、法定相続分ないし遺言による指定相続分の中からその遺贈・贈与の価額

 を控除した残額となります。

  そして、遺贈・贈与の価額が、相続分の価額に等しかったり、これを超える時には

 特別受益者はその相続分を受けることができません。



3 逆に、特別寄与者(共同相続人の中で、被相続人の事業に関する労務の提供・財

 産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持・増

 加について特別の寄与をした者)の相続分は、被相続人が相続開始時に有した財産

 の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産

 とみなし、法定相続分ないし指定相続分に寄与分を加えた額となります。

  勿論、共同相続人の協議で寄与分の額が定まらないときには、家庭裁判所に寄与

 分審判の請求をすることができます。