黒字の会社と赤字の会社の本質的な違いは何か?

 税理士業界に入って今年で31年目を迎える私にとって、その時代背景や経営環境に合った企業経営を考える時、この命題がきわめて重要な指導の「モノサシ」になっています。

 まず、なぜ儲からないのか?

1.人の使い方を間違っている。
(1)要らない社員が多すぎる。では、誰の責任なのか?
  儲からない会社はある日突然気が付くと、不必要な社員が多すぎることに気づきませんか?しかもその社員たちのすべては経営者が採用しているのです。社員たちは入社後、上司からの業務命令によって仕事を覚え、業務をこなしているにしかすぎません。また、その都度必要な教育を行い、仕事の能力を高め、最終的に会社の戦力になっているはずなのだが、現実はまったく逆である。そのような状態になっている究極の責任は経営者自身にあって、社員そのものに責任はありません。従って会社にとって真に必要な社員とするためには熱意を持って育てなければならないのではないでしょうか?

(2)社員の使い方がおかしい。社員は機械ではない。
 経営者や上司が社員に対して指示命令を出せば社員は全て指示通りに動き、期待している成果を100%あげる、というふうに錯覚をして社員を使っていませんか?機械ならば適切なメンテナンスを行い燃料を与えれば期待通りに動きます。しかし社員には感情があり、からだの健康があり、意欲の温度差があります。機械のメンテナンスのように社員もまた動機付けをし、職場の安全管理に留意し、モチベーションを高めるようなインセンティブを用意する経営努力がなければ、思ったとおりの成果が出るはずがありません。特に社員は使い方をうまくやれば機械以上の成果を出せるものです。モノ扱いで社員と接する間は期待する成果の半分も出ないことに留意すべきです。

(3)適正人員規模のつかみ方が単純すぎる。
 売上が増加するにつれて単純に社員を増員していませんか?企業経営は売上に占める総人件費率を低く抑え、各人別の給与の金額を高めに持っていくことが重要です。そのためには少数精鋭主義や作業部分のアウトソーシングなどを工夫して、正社員が一人三役をこなせるように工夫することが求められます。従って、単純な人員増を行っている会社は人件費倒れとなって赤字体質から脱却できないのではありませんか?

(4)社員に振り回されている。
 経営者が現場のことを知らないで社員の報告だけでものごとを判断しようとするとき、その内容によっては社員に振り回される場面に遭遇していませんか?社員も悪気があるのではないでしょうが、人間誰しも自分を守るためにはそれなりの言い訳を用意するのは常です。経営者はいつも問題が発生したときの原因分析について、自ら現場に出かけて正しく把握する努力をしなければ的確な指示命令が出せません。穴熊社長になっていてはいけません。

【参考資料及び参考図書】
5月14日開催プロネットビジネスカレッジ『経営維新塾1』 井上 昭二
「新 なぜ儲からないか?」 あさ出版 木子吉永著
「利益を3倍にするたった5つの手法」 ビジネス社 大久保恒夫著


文責:井上 昭二


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