“事業承継”と聞いて「あ〜、8割納税猶予のことでしょ?」と思われる方も多いでしょう。しかし、事業承継には相続時精算課税制度を使ったものもあります。前者の8割納税猶予は『中小企業の経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年5月9日成立。同10月1日施行。)』に関連するものですが、後者のものは『特定同族株式等の贈与を受けた場合の特例』というもので、平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に20歳以上である子が60歳以上65歳未満の親から「特定同族株式等」の贈与(その特定同族株式等の贈与価額の合計額が500万円以上となる場合の贈与に限ります。)を受け、かつ、その年12月31日においてその特定同族株式等に係る法人の役員等の地位を有する場合において、確認日の翌日から2月以内に確認書を納税地の所轄税務署長に提出することが確実であると見込まれるときは、その特定同族株式等の贈与について相続時精算課税を選択することができるというものです。これを選択した場合、相続時精算課税の特別控除額2,500万円のほかに、500万円の特定同族株式等特別控除額を控除することができます。
  この特例の適用を受けるためには、さまざまな要件がありますが、主なものに次のようなものがあります。

1.贈与の時において特定同族株式等に係る法人の代表者が2人以上おらず、かつ、贈与の直前及び贈与の時においてその法人の発行済株式又は出資の時価総額(相続税評価額による総額)の合計額が20億円未満であること。

2.贈与者である親が、贈与の直前において、法人の代表者であり、発行済株式の総数又は出資の総額並びに議決権の50パーセント超をそれぞれ有していること。

3.この特例の適用を受けることについて、贈与者である親の推定相続人のすべての同意を得ていること。

  また、この特例の適用を受けるための手続として、贈与税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、相続時精算課税選択届出書、法人の定款の写し、登記事項証明書など一定の書類を添付する必要があります。
  さらに、この特例の適用を受けた場合には、贈与者である親の相続税の課税価格の計算において小規模宅地等の特例、及び特定事業用資産の特例の適用を受けることはできない等の制約もありますので、適用には慎重な判断が必要になりますが、8割猶予の施行を待ちきれないという方は一度検討されてはいかがでしょうか。

文責 事業承継部


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