現在約12万床ある介護療養病床を全廃、約25万床ある医療療養病床を15万床に大幅削減する療養病床再編成が4年後に迫っています。もともと今回の療養病床削減は介護療養型については「社会的入院」をなくすことを、医療療養型については医療費削減が目的で始まりました。この政策のとおり療養病床が削減されたとすると、単純計算で22万人の患者が行き場をなくすことになります。厚生労働省は様々な支援措置を講じてはいるようですが、国の構想と現場の状況は大きく乖離しているのが実態のようです。

厚生労働省は、医療依存度の低い社会的入院患者が療養病床に多いと指摘し、現在療養病床施設は充足しているといいます。また減床の受け皿施設として新設される「介護療養型老人保健施設」を含めると社会的入院患者への対応は十分と考えています。
しかし、医療法人等の医療機関では、療養病床の患者のほとんどは医療依存度が高い人と認識しているようです。また受け皿施設の介護療養型老人保健施設では医師配置の設置基準、スタッフの制限、報酬額の減額などさまざまな問題があり、医療レベルも大きく下がることになるからでしょうか、積極的に介護療養型老人保健施設に転換する動きは見られず、この受け皿となるであろう施設の整備が不十分と考えるのが現場の意見のようです。事実、現存する老健施設やケアハウスなどの受け入れ態勢は十分な状態になく、そもそも介護施設やサービスの数が少ないということもあるでしょう。このまま病床削減の決定だけが先行したままでは、社会的入院患者などの受け皿がなくなってしまい、介護療養病床と医療療養病床とを合わせて約11万人の「介護医療難民」が出るという指摘もあり、現場の医療機関の問題だけではなく、入院患者やその家族などに与える影響も大きいものです。

今回の療養病床再編成では、転換支援として特別養護老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅・サテライト施設の多様化などが設けられてはいますが、2009年の介護報酬改定、2010年の医療報酬改定の具体的な内容が見えないうちは動けないという医療機関が多いと思います。今後は介護施設や在宅などで医療依存度の高い人を支えていくことも予想されます、今現在の病医院の経営状況・財政状態をしっかり把握し、明確な将来の事業計画を考えなければなりません。

文責 医業部


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