11年10月17日
赤字企業の黒字化戦略
黒字化は、売上アップと経費削減が重要なポイント。まずは経営者に
「なぜ黒字経営にしなければならないのか」
を考えてもらいましょう。なぜ黒字経営でないといけないかというと、それは次のようなことが言えるからです。
(1)赤字は資金を垂れ流し企業の命取りになる。
赤字とは資金を垂れ流している状態のことです。過去の蓄えによって1年~2年は持つかもしれませんが、いずれは資金が枯渇し、企業の命取りになりかねません。黒字にしなければ、早晩企業は倒産にいたります。従って、「赤字でもそのうちなんとかなる」とか「赤字でもしょうがない」などと考えていてはダメです。また、例えば、会社は赤字なのに経営者が高額な給与を受けているのであれば、給与を下げるなどして利益がでるようにすべきです。
(2)赤字では資金調達ができない
「企業が赤字でお金がなければ、借りてくればいい」と安易に考えている経営者が多いようです。しかし、金融機関は以前のように簡単には融資に応じてくれず、赤字企業であればなおさら融資を受けられないのが現状です。資金調達ができなければ、特に借り入れに頼っている企業ではやりくりがつかず行き詰まり、やがて生活を脅かされることにもなりかねません。赤字であれば税金を納めなくてもよいという程度の問題ではないのです。
赤字経営から黒字経営にするには?
いずれにせよ自社を赤字のままにしていては、自分たちの生活もいずれ脅かされることになります。
(1)売上を増やす
①製品市場マトリックスを利用する。
製品市場マトリックスとは、製品と市場を既存のものを使うのか、それとも新規のものにするのかといったことを判断する上で重要です。製品市場マトリックスでは次の順序で売上増加を考えていくのが良いと思われます。
第1番目・・・既存の製品を既存の市場で売り込む(市場深耕戦略)
これは現在の商品を現在のお客様により買ってもらおうという戦略です。今まで1個しか買ってもらえなかったものを2個買ってもらおうということなのです。アイデアや付加価値を付けることが鍵となります。
第2番目・・・既存の製品を新たな市場で売り込む(新規顧客開発戦略)
これは現在の商品を新たなお客様に売り込んでいく戦略です。例えば、小売店がインターネット通販を行うことです。これにより、商圏が店舗近隣から全国へと広げることが出来ます。ただし、インターネット販売は競争が激しいため、商品に特色があるとか、売り方が独特であるといった差別化が図れていないと難しいですが、今後は対応できない企業は非常に厳しいと思われます。
第3番目・・・新製品を既存の市場で売り込む(新製品開発戦略)
これは新しい製品を開発して現在のお客様に売り込んでいく戦略です。お客様は既に会社のファンであるため、新たな製品を開発できれば、広告宣伝費等をそれほどかけずに売り込むことが出来るのです。
第4番目・・・新製品を新市場で売り込む(多角化戦略)
これは第1番目から第3番目までやりつくして、やることがなくなったときの戦略です。失敗しているところが多いので、お勧めしません。ただし、独創的で消費者が望むであろうと思われる商品やアイデアならば、市場シェアを獲る事ができ、先駆者利益を得ることができます。
②トップ・セールス
中小企業ではトップ・セールスが重要。トップがお客様を廻って声を聞いているか?お客様の満足度調査をしているか?お客様のニーズを実現する方法を考えているかなどを見直していきます。
③営業マンの時間の効果・効率をあげる。
顧客の格付けと訪問基準を作っているか計画と管理ができているか?そして何より時間管理をしているかが重要です。
(2)仕入れを安くする
言い換えると、利益率を上げるということです。その際、もうこれ以上は安くならないなどの固定観念をまず、捨てるべきです。具体的には、つぎのようなことが考えられます。
①現在の仕入先以外からの相見積を取ってみる。
②現金で仕入れて、安くしてもらう。
③まとめて仕入れて安くしてもらう。
④仕入れのタイミングをみて安く仕入れる。
⑤コストの値下げ依頼をしてみる。
⑥ロス・ミス・不良を減らす。
⑦外注作業を内作化する。
⑧低採算商品の見直しする。
(3)経費は活かしてつかう
経費は、ムダなものは削減し、活かしてつかうことが重要です。とくに固定費すべてについて節約可能かどうかを吟味し、見直します。
(4)過剰在庫等は早めに処分する
在庫品等は利息がつかない預金と同じです。過剰在庫等は陳腐化すると価値がなくなり損失になりますので、現金化できるものは現金化しましょう。
(5)赤字の得意先等がないかチェックする
赤字の得意先がないかチェックします。もしあれば、縮小・撤退を視野に入れて検討します。
(6)不要不急の資産は処分し身軽になる
あまり使わないレジャークラブの会員権など不要不急の資産は、この際、損をしてでも売却します。会社自身をスリム化し、財務体質を強化しましょう。
(7)経営者自身の意識を変える
赤字経営あるいは赤字体質は、そもそも経営者の姿勢にあります。まず経営者自身に「赤字は悪だ」との意識が必要です。そして赤字からの脱出は経営者の責任でトップダウンで行わなければなりません。経営者には次のことが求められます。
<経営者に求められるもの>
①業績悪化を経営環境のせいにしない
景気がよくないのは他社も同じです。業績悪化の原因を自社に求め、どう改善していくか創意工夫することが必要です。
②自社をシビアに見る
ご存じのとおり金融機関は取引先企業を厳しくチェックしています。同時に自社に関係のある人の目も厳しくなってきています。したがって、きちんと利益を出し税金を納め、内部留保もして、しっかりと経営していかないと良い評価につながらず融資も受けられません。経営者は、「自社の評価はどれぐらいか」を客観的に評価し現状をしっかり把握すべきです。
③改善には相当の覚悟が必要
社内を改善・改革していくには、相当の決意と不退転の覚悟がもとめられます。
④迅速に意思決定し即実行する
時期を逸すると、状況は悪化するばかりです。改善・改革においては、迅速に意思決定し、経営者が率先して実行していかなければなりません。
⑤現状は厳しいが改善に向けての努力は怠らない
景気は依然として低迷しており、売上げの増加、利益率の改善、経費の削減など簡単にできるものはありません。しかし、何も努力せず「しようがない」と手をこまねいていても状況は悪化するばかりです。改善に向けて知恵を絞り必死に努力する事が重要です。なお、売上げの増加や利益率の改善、経費削減等については、自社ですぐ実行できるものから行うようにしましょう。その際、社員にも充分説明して協力を得るようにします。
⑥中期の経営計画をたてる
企業の経営には様々な問題が出てきます。その不確実な未来に対して仮説を立てて、そのうえで取り組んでいくべきです。経営計画をしっかり立てることで、同じ資金と時間とを、より効果的に、経営の目的が達せられます。経営 計画書は効果的な経営を行なう為の機能だけでなく、銀行や取引先等の利害関係者に対してのアピール機能もあります。後者の方も重要で、銀行は融資等の書類を稟議しますので、書類がない状態では最終的に融資の判断を下す本部にまで届かないのです。企業の業績により融資の可否を判断するため、2期連続の赤字になりそうな企業は融資の引き上げ等の検討がされてしまうこともあります。そうならないように、自社の改善計画を3年から5年の中期計画書として作成し、積極的に銀行に提出することをお薦めします。
文責 法人ソリューション部
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「なぜ黒字経営にしなければならないのか」
を考えてもらいましょう。なぜ黒字経営でないといけないかというと、それは次のようなことが言えるからです。
(1)赤字は資金を垂れ流し企業の命取りになる。
赤字とは資金を垂れ流している状態のことです。過去の蓄えによって1年~2年は持つかもしれませんが、いずれは資金が枯渇し、企業の命取りになりかねません。黒字にしなければ、早晩企業は倒産にいたります。従って、「赤字でもそのうちなんとかなる」とか「赤字でもしょうがない」などと考えていてはダメです。また、例えば、会社は赤字なのに経営者が高額な給与を受けているのであれば、給与を下げるなどして利益がでるようにすべきです。
(2)赤字では資金調達ができない
「企業が赤字でお金がなければ、借りてくればいい」と安易に考えている経営者が多いようです。しかし、金融機関は以前のように簡単には融資に応じてくれず、赤字企業であればなおさら融資を受けられないのが現状です。資金調達ができなければ、特に借り入れに頼っている企業ではやりくりがつかず行き詰まり、やがて生活を脅かされることにもなりかねません。赤字であれば税金を納めなくてもよいという程度の問題ではないのです。
赤字経営から黒字経営にするには?
いずれにせよ自社を赤字のままにしていては、自分たちの生活もいずれ脅かされることになります。
(1)売上を増やす
①製品市場マトリックスを利用する。
製品市場マトリックスとは、製品と市場を既存のものを使うのか、それとも新規のものにするのかといったことを判断する上で重要です。製品市場マトリックスでは次の順序で売上増加を考えていくのが良いと思われます。
第1番目・・・既存の製品を既存の市場で売り込む(市場深耕戦略)
これは現在の商品を現在のお客様により買ってもらおうという戦略です。今まで1個しか買ってもらえなかったものを2個買ってもらおうということなのです。アイデアや付加価値を付けることが鍵となります。
第2番目・・・既存の製品を新たな市場で売り込む(新規顧客開発戦略)
これは現在の商品を新たなお客様に売り込んでいく戦略です。例えば、小売店がインターネット通販を行うことです。これにより、商圏が店舗近隣から全国へと広げることが出来ます。ただし、インターネット販売は競争が激しいため、商品に特色があるとか、売り方が独特であるといった差別化が図れていないと難しいですが、今後は対応できない企業は非常に厳しいと思われます。
第3番目・・・新製品を既存の市場で売り込む(新製品開発戦略)
これは新しい製品を開発して現在のお客様に売り込んでいく戦略です。お客様は既に会社のファンであるため、新たな製品を開発できれば、広告宣伝費等をそれほどかけずに売り込むことが出来るのです。
第4番目・・・新製品を新市場で売り込む(多角化戦略)
これは第1番目から第3番目までやりつくして、やることがなくなったときの戦略です。失敗しているところが多いので、お勧めしません。ただし、独創的で消費者が望むであろうと思われる商品やアイデアならば、市場シェアを獲る事ができ、先駆者利益を得ることができます。
②トップ・セールス
中小企業ではトップ・セールスが重要。トップがお客様を廻って声を聞いているか?お客様の満足度調査をしているか?お客様のニーズを実現する方法を考えているかなどを見直していきます。
③営業マンの時間の効果・効率をあげる。
顧客の格付けと訪問基準を作っているか計画と管理ができているか?そして何より時間管理をしているかが重要です。
(2)仕入れを安くする
言い換えると、利益率を上げるということです。その際、もうこれ以上は安くならないなどの固定観念をまず、捨てるべきです。具体的には、つぎのようなことが考えられます。
①現在の仕入先以外からの相見積を取ってみる。
②現金で仕入れて、安くしてもらう。
③まとめて仕入れて安くしてもらう。
④仕入れのタイミングをみて安く仕入れる。
⑤コストの値下げ依頼をしてみる。
⑥ロス・ミス・不良を減らす。
⑦外注作業を内作化する。
⑧低採算商品の見直しする。
(3)経費は活かしてつかう
経費は、ムダなものは削減し、活かしてつかうことが重要です。とくに固定費すべてについて節約可能かどうかを吟味し、見直します。
(4)過剰在庫等は早めに処分する
在庫品等は利息がつかない預金と同じです。過剰在庫等は陳腐化すると価値がなくなり損失になりますので、現金化できるものは現金化しましょう。
(5)赤字の得意先等がないかチェックする
赤字の得意先がないかチェックします。もしあれば、縮小・撤退を視野に入れて検討します。
(6)不要不急の資産は処分し身軽になる
あまり使わないレジャークラブの会員権など不要不急の資産は、この際、損をしてでも売却します。会社自身をスリム化し、財務体質を強化しましょう。
(7)経営者自身の意識を変える
赤字経営あるいは赤字体質は、そもそも経営者の姿勢にあります。まず経営者自身に「赤字は悪だ」との意識が必要です。そして赤字からの脱出は経営者の責任でトップダウンで行わなければなりません。経営者には次のことが求められます。
<経営者に求められるもの>
①業績悪化を経営環境のせいにしない
景気がよくないのは他社も同じです。業績悪化の原因を自社に求め、どう改善していくか創意工夫することが必要です。
②自社をシビアに見る
ご存じのとおり金融機関は取引先企業を厳しくチェックしています。同時に自社に関係のある人の目も厳しくなってきています。したがって、きちんと利益を出し税金を納め、内部留保もして、しっかりと経営していかないと良い評価につながらず融資も受けられません。経営者は、「自社の評価はどれぐらいか」を客観的に評価し現状をしっかり把握すべきです。
③改善には相当の覚悟が必要
社内を改善・改革していくには、相当の決意と不退転の覚悟がもとめられます。
④迅速に意思決定し即実行する
時期を逸すると、状況は悪化するばかりです。改善・改革においては、迅速に意思決定し、経営者が率先して実行していかなければなりません。
⑤現状は厳しいが改善に向けての努力は怠らない
景気は依然として低迷しており、売上げの増加、利益率の改善、経費の削減など簡単にできるものはありません。しかし、何も努力せず「しようがない」と手をこまねいていても状況は悪化するばかりです。改善に向けて知恵を絞り必死に努力する事が重要です。なお、売上げの増加や利益率の改善、経費削減等については、自社ですぐ実行できるものから行うようにしましょう。その際、社員にも充分説明して協力を得るようにします。
⑥中期の経営計画をたてる
企業の経営には様々な問題が出てきます。その不確実な未来に対して仮説を立てて、そのうえで取り組んでいくべきです。経営計画をしっかり立てることで、同じ資金と時間とを、より効果的に、経営の目的が達せられます。経営 計画書は効果的な経営を行なう為の機能だけでなく、銀行や取引先等の利害関係者に対してのアピール機能もあります。後者の方も重要で、銀行は融資等の書類を稟議しますので、書類がない状態では最終的に融資の判断を下す本部にまで届かないのです。企業の業績により融資の可否を判断するため、2期連続の赤字になりそうな企業は融資の引き上げ等の検討がされてしまうこともあります。そうならないように、自社の改善計画を3年から5年の中期計画書として作成し、積極的に銀行に提出することをお薦めします。
文責 法人ソリューション部
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