木造軸組工法には1軒の家に通し柱が何本か有る事が多いです。此処で
「有る事が多い」と書いたのは最近では金物を使用して通し柱を使わな
いケースも表われてきたのでわざと書いた訳です。

話を戻して、この通し柱は呼び名の通り土台から軒桁(屋根の構造材を
支える梁)まで1本の柱になっている物です。

ある時この通し柱を多く使って欲しいと言う要望が出た時が有りました。
この通し柱は家の角の1階2階共揃っている所に使うのですが、この話
のときは1階2階共柱位置が同じ所に全部使って欲しいと言うものでし
た。通し柱を使えば強くなると考えての事だとの話ですが、実際はそう
でも有りません。

柱には梁が横から付きますが梁を受けるためにホゾ穴(ホゾと言う漢字
は「木」辺に「内」と書くのですが漢字コードが割り当てられていなく
て入力しても?マークになるためにカタカナで書きます。)
と言う穴を開け、梁はホゾを作って柱に差し込んで柱と梁を繋ぎます。
当然梁が多くなればそれだけ柱の穴も多くなるわけです。
ですから梁が少ない所でないと穴だらけになって通し柱の役目を果たさ
なくなるわけです。

良い物を多く使えば良い物が出来るという訳には行かない事も有るのです。


画像の家はこの記事の家では有りません。画像真中の角の柱が通し柱です。