1 遺産分割は、遺産に属する物・権利の種類・性質・各相続人の年齢・職業・

 心身の状態・生活の状況その他一切の事情を考慮してするように定められ

 ています。



2 共同相続人は、被相続人が遺言で遺産分割を禁じた場合(相続開始時か

 ら5年以内に限る)を除いて、いつでも遺産分割の協議をすることができます。

  もっとも遺産分割の協議が調わないとか、協議をすることができないときは、

 その分割を家庭裁判所に請求することができます。



3 問題点

 (1) 共同相続人の協議によって遺産分割を禁止することができるでしょうか。

    相続人が数人いる時には、相続財産は共有になっていますから、共同

   相続人の協議によって遺産分割を禁止する時は、一種の共有物分割の

   禁止であり、当事者間の合意によって有効に成立します。

    また、当事者全員の合意があれば、当然その禁止の合意は解除するこ

   とができます。



 (2) では、遺産分割協議において、相続人の一人が負担した債務を履行しな

    い場合に、「他の共同相続人」は協議を解除することができるでしょうか。

     判例はできないとしています。遺産分割は、相続開始時に遡ってその効力

    を生じるので、分割協議の解除を認めると再分割を余儀なくされ、法的安定

    性を害するからです。



 (3) 一方、判例は、既に成立している遺産分割協議を「共同相続人全員」の合意

   によって解除し、改めて分割協議をすることができるとしています。

    もっとも、これについては、(2)と同様に法的安定性を重視して、合意解除は

   制限されるべきであるとする見解も有力です。