14日成立した、いわゆる「国民投票法」の正式名称は、「日本国憲法の改正手続に関する法律」なのです。

 これに対して、民主党の対案では、「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」となっていました。

 そうです。民主党は、憲法改正だけでなく、国政における重要な問題についても国民の意思を問う手続として、一般的な国民投票制度の導入を目指していたのです。

 確かに、地方自治においては、住民自治が支配するため、原発の誘致など地域の重要施策について、住民投票を行い、長がそれを尊重するという構図ができつつあります。

 しかし、国政レベルで直接民主制を採用するのは、時として危険を伴います。世論が正しいとは限らないからです。

 日本国憲法が、国政において間接民主制(議会制民主主義)を基本としていることの意味を考えてみませんか。

07年05月15日 | Category: 法令
Posted by: marutahoumuj
 事案は、「定年を55歳とするが、その後3年間定年後在職が認められていた銀行において、定年を60歳に延長する代わりに、給与等の減額が就業規則に定められたため、従来の55歳から58歳までの賃金総額が新定年制の下での55歳から60歳までの賃金総額と同程度となった。そこで、60歳で定年退職した者が、就業規則の変更は既得権を侵害するから自己には効力を生じないとして、銀行に対して賃金の差額の支払等を求めたもの」である。

 これは、第四銀行事件であるが、最高裁(最判H9,2,28)は次のように判示した。

1 新たな就業規則の作成又は変更によって労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が「合理的なもの」である限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されない。

2 そして、合理性の有無は、(1)変更により労働者が被る不利益の程度、(2)変更の必要性、(3)変更の社会的相当性、(4)変更手続の相当性等、を総合考慮して判断すべきであるとしている。

3 その上で、実質的な不利益が、賃金という労働者にとって重要な労働条件に関するものであるから、本件就業規則の変更は、これを受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合に、その効力を生じると解し、諸事情に照らし必要性と相当性を肯定し、当該就業規則の「合理性」を認定した。

 ここでお分かりのように、就業規則はただ作ればいいというものではなく、「合理的な内容」を有するものでなければならないというところが、ポイントです。

 メールによるご相談は、m-sgo@gaia.eonet.ne.jpまでお気軽にどうぞ(無料)。

07年05月15日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
 最近は、駅のホームや電車の中などで、一途に化粧をしている女の人を見かけることがよくある。

 家で化粧をする時間がなかったのかもしれない。

 それにしても、私は、個人的にはこのような光景を見るのは、あまり好きではない。

 化粧の歴史的沿革はさておき、化粧は化けて、粧(装)うところに本質がある。

 で、化けるところを人に見せるのは、種明かしをしてしてから手品を人に見せるようなもので、興醒めしてしまうのです。

 女性の方、どうか、化粧は家か化粧室でお願いします。

07年05月14日 | Category: つぶやき
Posted by: marutahoumuj
 事案は、「頸肩腕症候群と診断された電話交換作業従事職員に対して、会社は頸肩腕症候群の精密検査を受診するよう、二度にわたって業務命令を発したが、当該従業員がこれを拒否したため、就業規則の「上長の命令に服さないとき」という懲戒事由に該当するとして、懲戒処分をしたもの」である。

 電電公社帯広局事件であるが、最高裁(最判S61,3,13)は次のように判示した。

 業務命令の根拠は、「労働者がその労働力の処分を使用者に委ねることを約する労働契約にある」と解すべきであるとした上で、個々の労働契約と就業規則との関係を以下のように述べている。

 就業規則が労働者に対し、一定の事項につき使用者の業務命令に服従すべき旨を定めているときは、そのような「就業規則の規定内容が合理的なものである」かぎりにおいて、「当該具体的労働契約の内容をなしている」ものということができる。

 そして、当該就業規則の合理性を認定して、当該労働契約の内容をなしているとして、懲戒処分を適法なものとした。

 ちなみに、就業規則と労働契約の規範的効力関係は、就業規則が労働契約に優先し、したがって、就業規則に定める基準に達しない労働契約は、その部分については無効となることに注意を要します。

 メールによるご相談は、m-sgo@gaia.eonet.ne.jpまでお気軽にどうぞ(無料)。

07年05月14日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
 事案は、「就業規則を変更し、これまでの定年制度を改正したため、それまで定年制の適用がなかった者が定年制の対象となり、解雇されたもの」である。

 これは、秋北バス事件であり、最高裁(最判S43,12,25)は次のように判示した。

 就業規則の法規範性を認めた上で、「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されない」と解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、「当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない」と解するべきであるとしました。

 つまり、就業規則が合理的なものであれば、労働者は、就業規則の存在・内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるということです。

 使用者は、就業規則の作成・変更をする場合、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者の「意見」を聴かなければなりませんが、「同意」までは必要ないということには、注意する必要があります。

 メールによるご相談は、m-sgo@gaia.eonet.ne.jpまでお気軽にどうぞ(無料)。

07年05月12日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
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