10年10月27日
社員の指導のために行動日記を付けよう H22.11月号
●社員の指導のために行動日記を付けよう ~従業員を指導する立場の方へ~
従業員を指導する立場にある使用者の方へ質問です。従業員との面談や人事考課は何のために行うのでしょうか?
私はこう考えています。人事考課とは「企業の経営の意思の伝達と、そのフィードバックの作業」であると。少し難しい言い方をしましたが、要するに「うちの会社ではこういう行動を取って欲しい」とか「こういう考え方を持って欲しい」とか「こういう結果を出して欲しい」など、企業が従業員に求めるものがあって、それをきちんと伝えることであり、また一定期間後にそれらが伝わっているかどうかを確認し、もし認識にズレや誤解があれば、それを埋め合わせてゆく作業だと思うのです。
そして会社として承認できることと、承認できないことを明らかにし、承認によってモチベーションを喚起すると共に、その望ましい行動を強化し、また逆に承認しないことによって望ましくない行動を弱化し、違う行動へと導いて行くことだと思うのです。
しかし理屈はそうなのですが、実務上これを行うのは結構難しい。何故なら、管理者が部下の望ましい行動や望ましくない行動をきちんと指摘できないからです。何故指摘できないかというと、それは記録がなく、記憶のみに頼っているからです。確かに記憶により、一定の印象形成はできますが、望ましい行動や考え方を具体的に承認できません。
そこで提案したいのが、社員の指導のために行動日記を付けようということなのです。このことを具体的に申し上げる前に、何故、行動を具体化する必要があるのかについて少し触れたいと思います。
行動分析学という心理学の学問があります。ここでの人間に対する考え方は人を性格や能力という漠然としたもので捉えるのではなく、表に出ている行動に着目し、それを制御することによって、教育指導して行こうとするものです。例えば次をご覧ください。
承認(笑顔)なし ⇒ {会議で進んで発言する} ⇒ 承認(笑顔)あり
仮に会議で積極的に発言しない人がいたとします。会社は積極的に発言して欲しいと思っています。その人が発言をしました。すると発言することによって管理者から承認(笑顔)という反応が返ってきました。これは{会議で進んで発言する}という望ましい行動を承認によって強化したことになるのです。
ポイントは{ }の部分です。この中に行動が入るわけで、それが望ましい行動ならその後の返しは承認(笑顔、褒める、うなずく)になり、望ましくない行動なら指導・注意となるのです。非常に単純な理屈です。
しかし実務上難しいのが、{ }内に入る行動を具体的に特定できないことです。これが特定できないと強化も弱化もできないのです。何故特定できないかと言えば、些細なことの連続であり、印象としては残るが具体的なことは忘れてしまうからです。だから記録を残すのです。
以下にサンプルを掲示しました。簡単で負担にならない書式で記録を残しましょう。半年分まとめて思い出すのは不可能です。毎日帰社前に、5分間、部下の行動記録をつけましょう。そして具体的事実を提示して、いい行動は翌日にはフィードバックしましょう。
サンプル書式
↓
http://www.nishimura-roumu.com/cgi-bin/nishimurashakai/siteup.cgi?category=4&page=5
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
従業員を指導する立場にある使用者の方へ質問です。従業員との面談や人事考課は何のために行うのでしょうか?
私はこう考えています。人事考課とは「企業の経営の意思の伝達と、そのフィードバックの作業」であると。少し難しい言い方をしましたが、要するに「うちの会社ではこういう行動を取って欲しい」とか「こういう考え方を持って欲しい」とか「こういう結果を出して欲しい」など、企業が従業員に求めるものがあって、それをきちんと伝えることであり、また一定期間後にそれらが伝わっているかどうかを確認し、もし認識にズレや誤解があれば、それを埋め合わせてゆく作業だと思うのです。
そして会社として承認できることと、承認できないことを明らかにし、承認によってモチベーションを喚起すると共に、その望ましい行動を強化し、また逆に承認しないことによって望ましくない行動を弱化し、違う行動へと導いて行くことだと思うのです。
しかし理屈はそうなのですが、実務上これを行うのは結構難しい。何故なら、管理者が部下の望ましい行動や望ましくない行動をきちんと指摘できないからです。何故指摘できないかというと、それは記録がなく、記憶のみに頼っているからです。確かに記憶により、一定の印象形成はできますが、望ましい行動や考え方を具体的に承認できません。
そこで提案したいのが、社員の指導のために行動日記を付けようということなのです。このことを具体的に申し上げる前に、何故、行動を具体化する必要があるのかについて少し触れたいと思います。
行動分析学という心理学の学問があります。ここでの人間に対する考え方は人を性格や能力という漠然としたもので捉えるのではなく、表に出ている行動に着目し、それを制御することによって、教育指導して行こうとするものです。例えば次をご覧ください。
承認(笑顔)なし ⇒ {会議で進んで発言する} ⇒ 承認(笑顔)あり
仮に会議で積極的に発言しない人がいたとします。会社は積極的に発言して欲しいと思っています。その人が発言をしました。すると発言することによって管理者から承認(笑顔)という反応が返ってきました。これは{会議で進んで発言する}という望ましい行動を承認によって強化したことになるのです。
ポイントは{ }の部分です。この中に行動が入るわけで、それが望ましい行動ならその後の返しは承認(笑顔、褒める、うなずく)になり、望ましくない行動なら指導・注意となるのです。非常に単純な理屈です。
しかし実務上難しいのが、{ }内に入る行動を具体的に特定できないことです。これが特定できないと強化も弱化もできないのです。何故特定できないかと言えば、些細なことの連続であり、印象としては残るが具体的なことは忘れてしまうからです。だから記録を残すのです。
以下にサンプルを掲示しました。簡単で負担にならない書式で記録を残しましょう。半年分まとめて思い出すのは不可能です。毎日帰社前に、5分間、部下の行動記録をつけましょう。そして具体的事実を提示して、いい行動は翌日にはフィードバックしましょう。
サンプル書式
↓
http://www.nishimura-roumu.com/cgi-bin/nishimurashakai/siteup.cgi?category=4&page=5
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
10年10月13日
勤務態度不良または能力不足で解雇したと思ったとき H22.10月号
勤務態度不良または能力不足で解雇したと思ったとき
ここ近年、労使紛争が激増しています。不幸にして労働組合に加入されたり、訴訟沙汰になったりと、深刻なケースに発展することも少なくありません。中にはやくざまがいの恫喝をもって、威圧的に迫ってくることすらあり、その度に「もう人を使うのが怖くなる」という心情を吐露される経営者もおられます。
インターネットの影響もあり、従業員が会社の労務管理の不備を知りうる状態になり、また合同労組や弁護士などへのアクセスも飛躍的に向上したことが原因としてあります。会社にとって最悪なケースは、解雇でもめて、合同労組へ駆け込まれ、解雇無効と未払いの残業代を請求されるようなケースです。相手に非があっても、数百万円の解決金を用意しなければならないことも少なくありません。その他労基署への申告、弁護士からの内容証明等があります。裁判所に在職中であるとの仮処分が認められると、その間、就労がないにもかかわらず賃金の支払が発生し、その後和解になっても更に解決金が必要ということも有り得ます。
昔から能力不足とか執務態度が悪いとかで従業員を解雇したいとの相談を良く受けます。法的には以下の2点を検討する必要があります。
1.労働基準法上の解雇手続きを踏んでいるか
2.民事上の解雇権の行使が濫用に当たらないかどうか
1.労働基準法では解雇の場合、30日以前の予告か、30日分の解雇予告手当の支払か、その両方の折半(10日前に予告して20日分の予告手当の支給など)を求めています。つまり労基署段階ではこの手続きを踏んでいれば、問題はありません。ちなみに予告手当は給与とは別で支払うことが望ましいですが、給与明細に入れるときは非課税になります。科目は退職金勘定になります。この手続きは解雇理由を問いません。仮に従業員に帰責事由があっても、踏まなければならない手続きになります。
2.ただ手続き上は上記の通りとしても、民事上有効かどうかは別問題です。いわゆる能力不足や勤務態度不良による解雇は予測可能性が困難です。一般論としては、企業の規模や職務内容、採用理由(特に職種限定採用か、管理職採用か)、勤務成績や態度の不良の程度(解雇をもって臨まなければ為らないほどか)、回数(繰り返し起こしているか)、改善の余地(指導すれば何とか為るか)、指導教育の程度(何度も警告、教育したか)、他の労働者との均衡(同様事案で不問にしている人はないか)など、総合的に判断されることとなります。
後ほど解雇の効力をめぐって紛争に至った場合を想定して、こういった事由で解雇に発展する場合、いかに会社が常に指導、注意、警告を行なってきたかを書証で残しておくことが肝要です。例えば初めのうちは口頭による注意から始まり、改善しないときは指導書や勧告書なる文書で記録を残します。それでも従わない又は改善しない場合は更に踏み込んで始末書、減給、出勤停止等の段階をおった制裁処分により、解雇する前に様子をみます。そしてなおダメなときに初めて解雇できるくらいの辛抱が求められるのです。また制裁罰を課すときは、就業規則にその根拠規程がないとできません。
これらは、解雇に本人が納得せず、民事訴訟に及んだ場合の話です。
また法律論だけでなく以下の点も、会社が内々に考慮しておくことがいいでしょう。
1.有給休暇の残日数をどうするか(交渉によっては買い上げもある)
2.雇用保険の受給資格はあるか(自己都合で1年、解雇で6ヶ月)
3.離職票は普通解雇扱いにするのか懲戒になるのか(退職合意書を取って本人の為にすぐもらえるように解雇扱いすることも)
4.退職金は考慮するのか(所謂手切れ金)
5.仮に解雇としても合意解約の形で文書が取れるのか(後々の為に安心)
ここからは法律論ではなく感情論です。
同じ解雇でもモノは言い様、うそも方便。できるだけ本人の感情に配慮すべきです。例えば本人のことを慮るようにして、「今までの勤務状況をみているとこのままウチの会社で続けるのは難しいんじゃないか。このままでは、○○さんを会社は評価できないし、つまりこれ以上重要なポジションで仕事を任せることもなければ、給料も上がらない。査定も低くなる。恐らく同僚や後輩にも抜かれ、プライドを傷つけられることになるだろう。まだまだ今ならやり直しは効くと思う。残念ながらウチの会社では浮かばれなかったが、きっと広い世の中、○○さんがもっと輝いて自己実現できるところがあるだろう。今のうちにお互いきれいな形で分かれた方がお互いの為になるのではないか。じっくりよく考えてみてはどうか」なんて感じで、歩み寄り、合意解約に持ってゆければ、後顧の憂えなしです。条件を出せば応じる場合は、出すのも一計でしょう。
とにかくモノは言い様です。
また、いくら従業員に非があっても、退職した従業員から反撃をくらい、そこで費やす不毛な時間、労力、金銭、精神的負担を考えると、後腐れなく分かれた方が賢明です。
労働関係のトラブル事案は私の経験上も公的統計上も、この手の離職をめぐって起こることが一番多いからです。しかもトラブルになっているときは、得てして法的な問題というよりも、「恨み」による、感情的なしこりによるものが多いのです。これは普段から鬱積してきた不満もありますからなかなか難しいものがありますが、それでも経営者は別れ際に一工夫欲しいものです。
そこで私が常に別れ際に関して一つだけアドバイスしていることを申し上げます。そしてこれにより離職後、トラブルを拡大させることなく終了していることが多いのです。これからはいかなる事由であれ、従業員と別れるときはこのようにされてはいかがでしょうか。
1.握手する
離職日には必ず社長が立ち会い、別れ際に握手をしてください。それも片手ではいけません。両手です。こちらから両手を差し出して相手の手を握る感じです(選挙の時、議員が両手を差し出して有権者と握手するイメージ)。心理学的には接触効果といわれるもので、印象の向上につながります。
2.頭を下げる
握手の際、相手の目を見るとともに、頭を下げましょう。「今迄ご苦労さんでした。ありがとう。」の一言を添えて。
3.今後の幸せを祈念して送り出しましょう。
「(ウチの会社では○○さんの力を充分活かせなかったかもしれないが)次の会社(今後の人生)では、もっともっといい人に出会って、幸せになってくれ。」という感じで、今後の人生の成功を祈る気持ちを伝えましょう。
ただこれだけです。特に今の経済情勢では、退職勧奨や整理解雇も増えることが予想されます。相手に特に非がない場合は必ずそうして頂きたいし、また相手に問題がある場合でもそうです。社長にプライドが有るのは分かります。むしろ社長から見て問題のあるその従業員に、文句を言いたい気持ちも分からないではありませんが、そこはぐっと我慢です。これだけのことでその後の不毛なトラブルを回避できるとしたらそれでいいではありませんか?
上記の感情的配慮とともに、退職願もしくは退職合意書を必ず、残すようにしてください。これもおざなりに出来ない、別れ際の重要な手続きです。最近では「退職勧奨による退職合意書」を結ぶことをお勧めしています。これは本人から見れば、雇用保険を早くもらえるメリットがあり、会社からは解雇した実績が法的に残らないメリットがあるからで、しかも事後紛争を蒸し返さないという清算条項が入った契約になっているからです。書式の雛形は弊社のHPに用意しています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
ここ近年、労使紛争が激増しています。不幸にして労働組合に加入されたり、訴訟沙汰になったりと、深刻なケースに発展することも少なくありません。中にはやくざまがいの恫喝をもって、威圧的に迫ってくることすらあり、その度に「もう人を使うのが怖くなる」という心情を吐露される経営者もおられます。
インターネットの影響もあり、従業員が会社の労務管理の不備を知りうる状態になり、また合同労組や弁護士などへのアクセスも飛躍的に向上したことが原因としてあります。会社にとって最悪なケースは、解雇でもめて、合同労組へ駆け込まれ、解雇無効と未払いの残業代を請求されるようなケースです。相手に非があっても、数百万円の解決金を用意しなければならないことも少なくありません。その他労基署への申告、弁護士からの内容証明等があります。裁判所に在職中であるとの仮処分が認められると、その間、就労がないにもかかわらず賃金の支払が発生し、その後和解になっても更に解決金が必要ということも有り得ます。
昔から能力不足とか執務態度が悪いとかで従業員を解雇したいとの相談を良く受けます。法的には以下の2点を検討する必要があります。
1.労働基準法上の解雇手続きを踏んでいるか
2.民事上の解雇権の行使が濫用に当たらないかどうか
1.労働基準法では解雇の場合、30日以前の予告か、30日分の解雇予告手当の支払か、その両方の折半(10日前に予告して20日分の予告手当の支給など)を求めています。つまり労基署段階ではこの手続きを踏んでいれば、問題はありません。ちなみに予告手当は給与とは別で支払うことが望ましいですが、給与明細に入れるときは非課税になります。科目は退職金勘定になります。この手続きは解雇理由を問いません。仮に従業員に帰責事由があっても、踏まなければならない手続きになります。
2.ただ手続き上は上記の通りとしても、民事上有効かどうかは別問題です。いわゆる能力不足や勤務態度不良による解雇は予測可能性が困難です。一般論としては、企業の規模や職務内容、採用理由(特に職種限定採用か、管理職採用か)、勤務成績や態度の不良の程度(解雇をもって臨まなければ為らないほどか)、回数(繰り返し起こしているか)、改善の余地(指導すれば何とか為るか)、指導教育の程度(何度も警告、教育したか)、他の労働者との均衡(同様事案で不問にしている人はないか)など、総合的に判断されることとなります。
後ほど解雇の効力をめぐって紛争に至った場合を想定して、こういった事由で解雇に発展する場合、いかに会社が常に指導、注意、警告を行なってきたかを書証で残しておくことが肝要です。例えば初めのうちは口頭による注意から始まり、改善しないときは指導書や勧告書なる文書で記録を残します。それでも従わない又は改善しない場合は更に踏み込んで始末書、減給、出勤停止等の段階をおった制裁処分により、解雇する前に様子をみます。そしてなおダメなときに初めて解雇できるくらいの辛抱が求められるのです。また制裁罰を課すときは、就業規則にその根拠規程がないとできません。
これらは、解雇に本人が納得せず、民事訴訟に及んだ場合の話です。
また法律論だけでなく以下の点も、会社が内々に考慮しておくことがいいでしょう。
1.有給休暇の残日数をどうするか(交渉によっては買い上げもある)
2.雇用保険の受給資格はあるか(自己都合で1年、解雇で6ヶ月)
3.離職票は普通解雇扱いにするのか懲戒になるのか(退職合意書を取って本人の為にすぐもらえるように解雇扱いすることも)
4.退職金は考慮するのか(所謂手切れ金)
5.仮に解雇としても合意解約の形で文書が取れるのか(後々の為に安心)
ここからは法律論ではなく感情論です。
同じ解雇でもモノは言い様、うそも方便。できるだけ本人の感情に配慮すべきです。例えば本人のことを慮るようにして、「今までの勤務状況をみているとこのままウチの会社で続けるのは難しいんじゃないか。このままでは、○○さんを会社は評価できないし、つまりこれ以上重要なポジションで仕事を任せることもなければ、給料も上がらない。査定も低くなる。恐らく同僚や後輩にも抜かれ、プライドを傷つけられることになるだろう。まだまだ今ならやり直しは効くと思う。残念ながらウチの会社では浮かばれなかったが、きっと広い世の中、○○さんがもっと輝いて自己実現できるところがあるだろう。今のうちにお互いきれいな形で分かれた方がお互いの為になるのではないか。じっくりよく考えてみてはどうか」なんて感じで、歩み寄り、合意解約に持ってゆければ、後顧の憂えなしです。条件を出せば応じる場合は、出すのも一計でしょう。
とにかくモノは言い様です。
また、いくら従業員に非があっても、退職した従業員から反撃をくらい、そこで費やす不毛な時間、労力、金銭、精神的負担を考えると、後腐れなく分かれた方が賢明です。
労働関係のトラブル事案は私の経験上も公的統計上も、この手の離職をめぐって起こることが一番多いからです。しかもトラブルになっているときは、得てして法的な問題というよりも、「恨み」による、感情的なしこりによるものが多いのです。これは普段から鬱積してきた不満もありますからなかなか難しいものがありますが、それでも経営者は別れ際に一工夫欲しいものです。
そこで私が常に別れ際に関して一つだけアドバイスしていることを申し上げます。そしてこれにより離職後、トラブルを拡大させることなく終了していることが多いのです。これからはいかなる事由であれ、従業員と別れるときはこのようにされてはいかがでしょうか。
1.握手する
離職日には必ず社長が立ち会い、別れ際に握手をしてください。それも片手ではいけません。両手です。こちらから両手を差し出して相手の手を握る感じです(選挙の時、議員が両手を差し出して有権者と握手するイメージ)。心理学的には接触効果といわれるもので、印象の向上につながります。
2.頭を下げる
握手の際、相手の目を見るとともに、頭を下げましょう。「今迄ご苦労さんでした。ありがとう。」の一言を添えて。
3.今後の幸せを祈念して送り出しましょう。
「(ウチの会社では○○さんの力を充分活かせなかったかもしれないが)次の会社(今後の人生)では、もっともっといい人に出会って、幸せになってくれ。」という感じで、今後の人生の成功を祈る気持ちを伝えましょう。
ただこれだけです。特に今の経済情勢では、退職勧奨や整理解雇も増えることが予想されます。相手に特に非がない場合は必ずそうして頂きたいし、また相手に問題がある場合でもそうです。社長にプライドが有るのは分かります。むしろ社長から見て問題のあるその従業員に、文句を言いたい気持ちも分からないではありませんが、そこはぐっと我慢です。これだけのことでその後の不毛なトラブルを回避できるとしたらそれでいいではありませんか?
上記の感情的配慮とともに、退職願もしくは退職合意書を必ず、残すようにしてください。これもおざなりに出来ない、別れ際の重要な手続きです。最近では「退職勧奨による退職合意書」を結ぶことをお勧めしています。これは本人から見れば、雇用保険を早くもらえるメリットがあり、会社からは解雇した実績が法的に残らないメリットがあるからで、しかも事後紛争を蒸し返さないという清算条項が入った契約になっているからです。書式の雛形は弊社のHPに用意しています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com