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従業員の能力(レベル)アップの方法を考える  その5

1.能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)
2.対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)
3.自分で対策を考えさせる
4.グラフを使って視える化する
5.毎月チェックする
6.いい行動は強化する
7.インセンティブを与える
8.指導担当責任者を決める

 前回は上記のうち、4の「グラフを使って視える化する」について申し上げました。今回はその第5弾、「毎月チェックする」について、考えたいと思います。

 従業員のキャリア形成を行う場合、半年ごとに1回のペースで、人事考課として行うことが一般的に行われています。おおよそ年2回支給するボーナスの査定期間に合わせて行うことが多い

ようです。

 このテーマの本題とは少し外れますが、まず最初に確認しておきたいのは、この人事考課(と呼ぶことが多いもの)は、決して査定のために行うものではないという事です。そこには必ず、「

従業員のキャリアアップ」の視点、つまり従業員に継続的に成長して欲しいという視点がなければなりません。そのためにはどうしても査定というイメージの強い「人事考課」という言い方よりも、

「キャリアアップのための面談シート」とか「社員育成プロジェクト」とか、何でもいいですから社員の育成のために行っているということが分り易い呼び名にした方がいいでしょう。
ちなみに当社では「毎月 会社と従業員の確認シート」という名で行っています。
 要するに何のために行っているのかという、「目的」がはっきりしていないとぼやけるのです。簡潔にまとめれば「経営目標を達成するための社員育成の仕組み」であり、その確認作業は「経

営の意思の伝達とフォードバック」の作業です。つまり会社が「こうして欲しい」「こうなって欲しい」というメッセージが社員に伝わっているか、そしてそれを受け止めて成長してくれているかを

確認する作業なのです。

 それと前置きをもう一つ。二つの有名なモチベーション理論があります。まず一つはハーツバーグという臨床心理学者が唱えた二要因理論です。
ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるというのではなくて、「満足」に関わる要因と「不満足」に関わる要因は別のものであると考えられています。
 満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」など。これらが満たされると満足感を覚えますが、欠けていても不満足を引き起こすわけではありません

。これらは「動機付け要因」と呼ばれます。
 一方、不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」など。これらが不足すると不満足を引き起こしますが、満たされたからといっても満足感に繋が

るわけではないとされています。単に不満足を予防する意味しか持たないという意味で「衛生要因」と呼ばれます。

 またアメリカの心理学者マズローは欲求理論を唱えました。これは人間の行動を引き起こす欲求は次の五つの階層を持つとした理論で、人間はこの順番でモチベーションが高まるとしまし

た。
   1)生存の欲求(食欲、睡眠など生命の維持に関する欲求で労務管理で言うと生活できる賃金など)
   2)安全の欲求(危険や不安から逃れたい、衣服や住居など生命に関するものを安定的に維持したいという欲求で労務で言うと安定した雇用など)
   3)社会的欲求(帰属の欲求ともいい、集団に所属し仲間からの愛情を求める欲求)
   4)自尊欲求(承認の欲求ともいい、他人から尊敬されたいとか、人の注目を得たいという欲求で、名声や地位を求める出世欲もこの欲求の一つ)
   5)自己実現欲求(各人が自分を高めていこうとする欲求のことで、潜在的な自分の可能性の探求や自己の成長、発展を求める欲求)
 人間は第1段階の生存の欲求が満たされると、より高次元の段階の欲求(第2~第4)を求めるようになり、最終的には第5段階の自己実現の欲求を求めるようになるとしています。


 これらの考え方からも分るように、、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」など動機付け要因を通じて、自尊欲求や自己実現欲求が満たされるように誘導して行くのが、理想の姿

です。この理想に近づけるための手段が、いわゆる人事考課と呼ばれるものだと思います。

 で、前置きが長くなりましたが、社員に成長して欲しいと強く望む中小企業ほど、また採用の段階で大手企業が採るような人材を採用できない中小企業ほど、この仕組みを導入してゆかな

いと、偶然の結果しかありません。偶然の結果とは、たまたまいい人が来てくれたとか、たまたまウチの企業に合ったとか、「偶然の産物」なのです。
 そしてその仕組みで重要なのが、毎月チェックするということです。これは永年の経験上、確信的に言い得ます。なぜなら、半年に1回の確認では労使双方とも確認すべきことを忘れてしま

うからです。総括した重い面談は半年に1回でもいいですが、5分程度の短い時間で毎月簡単に会社と社員が確認し合える仕組みが必要です。
 月末とか月初とか給与支給日とか、一定の日を設定しておくことをお勧めします。目的を見失わず、「こうして欲しい」「こうなって欲しい」というメッセージが社員に伝わっているか、そしてそ

れを受け止めて成長してくれているかを毎月確認しましょう。

 そのための仕組み作りを当事務所ではお手伝いいたします。お気軽にご相談ください。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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11年09月13日 | Category: General
Posted by: nishimura
従業員の能力(レベル)アップの方法を考える  その4

1.能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)
2.対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)
3.自分で対策を考えさせる
4.グラフを使って視える化する
5.毎月チェックする
6.いい行動は強化する
7.インセンティブを与える
8.指導担当責任者を決める

 前回は上記のうち、3の「自分で対策を考えさせる」について申し上げました。今回はその第4弾、「グラフを使って視える化する」に
ついて、考えたいと思います。

 アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則というものがあります。この研究は人間のコミュニケーション
について何が影響を及ぼすかというもので、、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報
が55%の割合であるとされました。つまり人は話の内容よりも見た目でほとんどを理解しているということを表しています。

 この心理法則を利用したのかは分かりませんが、トヨタ自動車を始め、各方面で「視える化」が行われています。要するに「目で視る管
理」のことです。販売系の営業会社ではよく売上高やシェアをグラフにして行われていますが、中小企業では事務所へお邪魔しても、余り
見かけることがありません。大手のマネをするのではなく、身の丈に合った「視みる化」を仕掛けとして取り入れてみることをお勧めしま
す。これを行うと、従業員のレベルアップにも繋がるからです。

 自分の経験ですが、かつて求人広告の営業マンでした。しかし特段ノルマはなく、3人の営業マンが皆で協力して紙面を満稿にすればいい
という空気でした。でも景気が悪く、世は求人どころではなく、ボードに貼り出した白紙紙面に受注した原稿枠で黒く埋めるのは大変でし
た。枠が埋まらずほとんど白いままのときすらあります。でも従業員時代の自分は気楽です。大した危機感もなく給料を安定してもらって
います。
 ある日社長がマジックで白紙ボードに太線を2本引きました。白ボードが3分割されたのです。分割された横には3名それぞれの名前が書き
込まれました。それを目で見ると、自分の名前が書かれている範囲が白いままだとかっこ悪い。皆で仲良くではなく、自分の役割は最低こ
こまでということが「視える化」されたのです。たったこれだけのことです。
イメージが付きましたでしょうか?

 ですから難しく考える必要はありません。その企業独自の「視える化」されたものを貼り出して欲しいのです。何でもいいです。
例えば、
・工数の棒グラフ(1時間当たり何個作っているか)
・賞与の壷(壷の絵の中に賞与原資が溜まってゆくイメージ。多ければ多いほど分配額が上がる)
・お客様からのお褒めメッセージカードの貼り出し(気持ちのいい店員の名前)
・無事故、無違反、無災害の記録(ゴールド賞、シルバー賞)
・退職金のポイントが給与明細欄外に加算され表示される  などなど

 あまり窮屈にならず、難しく考えず、「視える化」の仕掛けを一緒に考えて行きませんか?

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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11年09月05日 | Category: General
Posted by: nishimura
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