17年09月05日
●昨今の労務管理について思うこと
●昨今の労務管理について思うこと(H29.5月号)
皆さまこんにちは、西村社会保険労務士事務所の坂口と申します。今後不定期ではありますが寄稿させて頂ければと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
私が入社しまして10年が経過しました。月日の経過の早さを感じるのと同時に、10年前と今現在の労務上の問題やご相談も随分と変わってきたと感じます。例えば総合労働相談窓口においても以前は解雇、労働条件の引き下げなどの相談件数が多かったのがここ数年はいじめ、嫌がらせが1番多いようです。
またパワハラ問題においても私が入社した当時はセクハラはまだしもパワハラといった言葉自体があまり認識されてなかったように感じます。最近は様々なハラスメント問題が取り上げられており企業も対応が必要になっております。傷病手当金の申請内容も以前は新生物、循環器系が一番多かったのが今やメンタル関係が一番多いようです。
特に最近問題になっているSNS問題についてもSNSの急激な普及もありますが、10年前にはございませんでした。
長時間労働についても連日のように取り上げられ、また有給の義務化も現在審議中ではありますが、近いうちには義務化されるでしょう。
ハローワークの応募者についても以前と比べて変化が見られます。先日実際にハローワークで聞いた話しですが、社長が求人担当窓口に突然「求人の掲載内容について間違いないか」と聞いてこられたそうです。担当者が理由を聞くと職種が倉庫内作業で出していて以前は若い方の応募などほとんどなかったのが若い方の応募がすごく多かったとのことです。思うに人と接する職種を今の若い方は敬遠しがちなようです。たとえば営業職での求人は応募が少ないようですし、最近事務職にも男性の応募が増えていることが挙げられます。倉庫内作業での若い方の応募が多かったのもそういった理由が挙げられると思います。
また休憩時間などにおいても周りと談笑するといったことがあまりなく、携帯電話を片手に1人で休憩している方が多いと最近お客様からもよく聞きます。
求人票の記載内容について重要視する箇所も年々変わってきています。以前は応募が多くなるアピールの一つとして例えば残業をこれだけすれば、これぐらい稼げますといった記載内容でアピールしていたのが今は当社は完全週休二日、残業はございません、有給取得率も高いですといったアピールの感じでしょうか つまりは仕事の内容や賃金よりもどのように働くか、「働き方を最も重要視」するようになったのです。
先日監督署の行政指導にあった社長がこうおっしゃっていました。改善しないといけないことは改善していく。ただ労働者を守る法律があって経営者の受皿となる経営者基準局といったものはないのか、それでこそ平等な話し合いが出来るのでないかとおっしゃるのです。労働基準法はそもそも労働者を守る労働法の一つで、使用者、労働者が対等の立場であり、使用者労働者間の現実の力関係の不平等を解決することが大きな目的としてあります。
従業員の権利意識、情報収集力も高まりそこまで力関係に差があるのかと感じる場合も正直あります。ただ時代の流れと言えばそれまででしょうが、その流れに逆行してもあまり意味もありません。ブラック企業と呼ばれる会社もたくさんあります。しかし少なくとも私の顧問先においてはそのような企業はなくいかに業績を伸ばして会社を良くしていくかを考えられている顧問先ばかりだと感じます。
以前所長の西村に言われたことがあります。「結果責任は取ってくれ、ただ最終責任はいつも自分が取ると」。そう最終責任というのはいつも経営者なのです。
経営者は会社で愚痴の一つや弱音を中々言えません。今現在、これから先も人の存在は無くてはならないものです。少なくとも私共事務所が携わらせて頂いている人の部分については安心してご相談頂けるそのようにありたいと思います
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
皆さまこんにちは、西村社会保険労務士事務所の坂口と申します。今後不定期ではありますが寄稿させて頂ければと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
私が入社しまして10年が経過しました。月日の経過の早さを感じるのと同時に、10年前と今現在の労務上の問題やご相談も随分と変わってきたと感じます。例えば総合労働相談窓口においても以前は解雇、労働条件の引き下げなどの相談件数が多かったのがここ数年はいじめ、嫌がらせが1番多いようです。
またパワハラ問題においても私が入社した当時はセクハラはまだしもパワハラといった言葉自体があまり認識されてなかったように感じます。最近は様々なハラスメント問題が取り上げられており企業も対応が必要になっております。傷病手当金の申請内容も以前は新生物、循環器系が一番多かったのが今やメンタル関係が一番多いようです。
特に最近問題になっているSNS問題についてもSNSの急激な普及もありますが、10年前にはございませんでした。
長時間労働についても連日のように取り上げられ、また有給の義務化も現在審議中ではありますが、近いうちには義務化されるでしょう。
ハローワークの応募者についても以前と比べて変化が見られます。先日実際にハローワークで聞いた話しですが、社長が求人担当窓口に突然「求人の掲載内容について間違いないか」と聞いてこられたそうです。担当者が理由を聞くと職種が倉庫内作業で出していて以前は若い方の応募などほとんどなかったのが若い方の応募がすごく多かったとのことです。思うに人と接する職種を今の若い方は敬遠しがちなようです。たとえば営業職での求人は応募が少ないようですし、最近事務職にも男性の応募が増えていることが挙げられます。倉庫内作業での若い方の応募が多かったのもそういった理由が挙げられると思います。
また休憩時間などにおいても周りと談笑するといったことがあまりなく、携帯電話を片手に1人で休憩している方が多いと最近お客様からもよく聞きます。
求人票の記載内容について重要視する箇所も年々変わってきています。以前は応募が多くなるアピールの一つとして例えば残業をこれだけすれば、これぐらい稼げますといった記載内容でアピールしていたのが今は当社は完全週休二日、残業はございません、有給取得率も高いですといったアピールの感じでしょうか つまりは仕事の内容や賃金よりもどのように働くか、「働き方を最も重要視」するようになったのです。
先日監督署の行政指導にあった社長がこうおっしゃっていました。改善しないといけないことは改善していく。ただ労働者を守る法律があって経営者の受皿となる経営者基準局といったものはないのか、それでこそ平等な話し合いが出来るのでないかとおっしゃるのです。労働基準法はそもそも労働者を守る労働法の一つで、使用者、労働者が対等の立場であり、使用者労働者間の現実の力関係の不平等を解決することが大きな目的としてあります。
従業員の権利意識、情報収集力も高まりそこまで力関係に差があるのかと感じる場合も正直あります。ただ時代の流れと言えばそれまででしょうが、その流れに逆行してもあまり意味もありません。ブラック企業と呼ばれる会社もたくさんあります。しかし少なくとも私の顧問先においてはそのような企業はなくいかに業績を伸ばして会社を良くしていくかを考えられている顧問先ばかりだと感じます。
以前所長の西村に言われたことがあります。「結果責任は取ってくれ、ただ最終責任はいつも自分が取ると」。そう最終責任というのはいつも経営者なのです。
経営者は会社で愚痴の一つや弱音を中々言えません。今現在、これから先も人の存在は無くてはならないものです。少なくとも私共事務所が携わらせて頂いている人の部分については安心してご相談頂けるそのようにありたいと思います
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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17年04月04日
求人広告をもう一工夫して、当たり前の労務管理を募集に使おう!
~求人しても、応募がなく人が採れない企業へ~
●求人広告をもう一工夫して、当たり前の労務管理を募集に使おう!
中小企業の求人募集は中途採用が主流です。中途採用ということは、応募者の多くは過去に数社の会社勤務を経験していることになります。そしてその転職動機には前職の労働条件や労務管理に不満があって転職する層が少なからずいるのです。
そして世間では、意外?にも、当たり前の労務管理が行われていない実態が多くあり、労働者はそういった現実を経験しています。例えば…、
○限度を超えて長時間労働になっている・・・・・。
○残業代が出ない・・・・・。
○正社員にすら健康診断を行っていない、ましてやパートなど・・・・・。
○労働条件は社長の意のままで、勝手に変更されることも。契約を交わすという発想がない・・・・。
○そもそも有給休暇など、うちの会社にはないと言われた・・・・・・。
○社会保険は認められた者だけしか入れない・・・・・・。
まだまだありますが、残念ながらこれが多くの中小企業の実態なのです。実は転職労働者は、このような当たり前のはずのことが、中小企業ではきちんと行われていないことをある程度理解しており、ほとんどが妥協しながら良心的に我慢している現実があるのです。ということは、特別魅力的で有利な労働条件を提示できなくとも、当たり前の労務管理が相対的にまだまだ武器となり得るのです。
むしろ中小企業で特別有利な労働条件を提示できることの方が少ないでしょう。ですから、当たり前の労務管理ができている会社は、そのことをアピールするのです。「ここは労務管理をちゃんとしている会社」ということがアピールできれば、それだけで相対的に有利になります。この当たり前の労務管理は、自社では中々気づきにくいので、外部からチェックしてもらうのが良いでしょう。
求職者は過去の自分が勤めた会社と比べて、次の会社はどうか、という視点を常に持っていることに留意しなければなりません。
そこで今回は、その当たり前の労務管理を具体的にどのように表現したらいいかをご提案したいと思います。
■労働時間に関すること
1.多様なシフトが可能か
(記載例)(1)09:00~18:00(8時間コース) (2)09:30~18:00(7.5時間コース)(3)09:30~17:30(7時間コース)
※お好きなシフトをお選びください。
2.残業はどれくらいあるか
(記載例1) 残業はありません。定時で帰社できます。
(記載例2) 平均残業時間1ヵ月30時間(36協定内であり、長時間残業はありません)
3.休憩時間は休めるか
(記載例) 休憩時間12時から13時 ※休憩時間はきちんと取ることができます。
4.早出があるのか
(記載例) 9時~18時 ※9時前にお入りいただければ結構です。早出はありません。
■休日休暇に関すること
1.休日出勤はあるか
(記載例) 会社休日に出勤をお願いすることはありません。
2.年間休日は何日か(120日以上ならベスト)
(記載例) 完全週休2日制の年間休日125日
3.有給休暇は取得できるか
(記載例1) 有給休暇取得すること可
(記載例2) 有給休暇取得率50%超。パートも取得可。
■賃金に関すること
1.残業代はきちんと支払われるか
(記載例) 18時を過ぎた場合は、きちんと残業代お支払いします。
■社会保険に関すること
1.入社初日(試用期間中)から入れるか
(記載例) 社会保険は入社初日からご加入頂けます。
■その他
1.就業規則は開示されるか
(記載例) 入社時にきちんと就業規則を開示します。
2.労働条件は文書で交付されるか
(記載例) 労働条件は、きちんと文書で交わします。
3.健康診断はしているのか
(記載例) 健康診断は毎年7月に実施。全員が受診できます。
4.勉強・学習の機会
(記載例1) ●●勉強会開催(参加任意)
(記載例2) ●●研修、××講習などでキャリアアップ可
5.分煙禁煙
(記載例) 事務所内は全面禁煙です。
6.服装(特に女性)
(記載例1) ジーパン、Tシャツ以外なら服装自由。
(記載例2) 制服貸与しますので、毎日服装で悩みません。
■できれば表に出したい数字に関すること
1.勤続年数(10年以上なら良し)
2.男女の割合
3.平均残業時間(36協定以内の時間なら可)
4.有給取得率(平均が45%くらいなので、それ以上であれば)
5.年収平均(ボーナスや平均残業代を加算して 350万円以上あれば)
6.昇給額・率(平均1.5% 4000円位なので、これ以上であれば)
■キャッチフレーズ
(記載例)
私どもは小さな会社ですが、自社の労務管理は、きちんと行っております。
大したことはできませんが、愚直なまでに「ちゃんとすること」を心がけています。
年間105日は休めて、休憩時間もしっかり取り、残業は一切ありません。仮に残業があってもきちんと割増賃金は支払いますし、有給も取れます。
就業規則も開示、労働条件は文書で交わします。研修や勉強会もよく行っていますし、社員の健康にも配慮します。
とにかく真面目で誠実な社風の会社だと思っております。
長らく私はこういった仮説を主張してきましたが、たまたまこの2月に自社で募集を出すことがあり、こいった趣旨の広告を作成してネット求人媒体に載せたところ、1週目に39名、2週目に36名の応募がありました。職種は一般事務で比較的集まりやすい職種でしたが、給与は僅か18万円でした。僅か5名の平野区の個人事業所です。
志望動機を尋ねると、「ちゃんとした」誠実な会社だと感じて応募したという趣旨の動機が多かったのです。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
●求人広告をもう一工夫して、当たり前の労務管理を募集に使おう!
中小企業の求人募集は中途採用が主流です。中途採用ということは、応募者の多くは過去に数社の会社勤務を経験していることになります。そしてその転職動機には前職の労働条件や労務管理に不満があって転職する層が少なからずいるのです。
そして世間では、意外?にも、当たり前の労務管理が行われていない実態が多くあり、労働者はそういった現実を経験しています。例えば…、
○限度を超えて長時間労働になっている・・・・・。
○残業代が出ない・・・・・。
○正社員にすら健康診断を行っていない、ましてやパートなど・・・・・。
○労働条件は社長の意のままで、勝手に変更されることも。契約を交わすという発想がない・・・・。
○そもそも有給休暇など、うちの会社にはないと言われた・・・・・・。
○社会保険は認められた者だけしか入れない・・・・・・。
まだまだありますが、残念ながらこれが多くの中小企業の実態なのです。実は転職労働者は、このような当たり前のはずのことが、中小企業ではきちんと行われていないことをある程度理解しており、ほとんどが妥協しながら良心的に我慢している現実があるのです。ということは、特別魅力的で有利な労働条件を提示できなくとも、当たり前の労務管理が相対的にまだまだ武器となり得るのです。
むしろ中小企業で特別有利な労働条件を提示できることの方が少ないでしょう。ですから、当たり前の労務管理ができている会社は、そのことをアピールするのです。「ここは労務管理をちゃんとしている会社」ということがアピールできれば、それだけで相対的に有利になります。この当たり前の労務管理は、自社では中々気づきにくいので、外部からチェックしてもらうのが良いでしょう。
求職者は過去の自分が勤めた会社と比べて、次の会社はどうか、という視点を常に持っていることに留意しなければなりません。
そこで今回は、その当たり前の労務管理を具体的にどのように表現したらいいかをご提案したいと思います。
■労働時間に関すること
1.多様なシフトが可能か
(記載例)(1)09:00~18:00(8時間コース) (2)09:30~18:00(7.5時間コース)(3)09:30~17:30(7時間コース)
※お好きなシフトをお選びください。
2.残業はどれくらいあるか
(記載例1) 残業はありません。定時で帰社できます。
(記載例2) 平均残業時間1ヵ月30時間(36協定内であり、長時間残業はありません)
3.休憩時間は休めるか
(記載例) 休憩時間12時から13時 ※休憩時間はきちんと取ることができます。
4.早出があるのか
(記載例) 9時~18時 ※9時前にお入りいただければ結構です。早出はありません。
■休日休暇に関すること
1.休日出勤はあるか
(記載例) 会社休日に出勤をお願いすることはありません。
2.年間休日は何日か(120日以上ならベスト)
(記載例) 完全週休2日制の年間休日125日
3.有給休暇は取得できるか
(記載例1) 有給休暇取得すること可
(記載例2) 有給休暇取得率50%超。パートも取得可。
■賃金に関すること
1.残業代はきちんと支払われるか
(記載例) 18時を過ぎた場合は、きちんと残業代お支払いします。
■社会保険に関すること
1.入社初日(試用期間中)から入れるか
(記載例) 社会保険は入社初日からご加入頂けます。
■その他
1.就業規則は開示されるか
(記載例) 入社時にきちんと就業規則を開示します。
2.労働条件は文書で交付されるか
(記載例) 労働条件は、きちんと文書で交わします。
3.健康診断はしているのか
(記載例) 健康診断は毎年7月に実施。全員が受診できます。
4.勉強・学習の機会
(記載例1) ●●勉強会開催(参加任意)
(記載例2) ●●研修、××講習などでキャリアアップ可
5.分煙禁煙
(記載例) 事務所内は全面禁煙です。
6.服装(特に女性)
(記載例1) ジーパン、Tシャツ以外なら服装自由。
(記載例2) 制服貸与しますので、毎日服装で悩みません。
■できれば表に出したい数字に関すること
1.勤続年数(10年以上なら良し)
2.男女の割合
3.平均残業時間(36協定以内の時間なら可)
4.有給取得率(平均が45%くらいなので、それ以上であれば)
5.年収平均(ボーナスや平均残業代を加算して 350万円以上あれば)
6.昇給額・率(平均1.5% 4000円位なので、これ以上であれば)
■キャッチフレーズ
(記載例)
私どもは小さな会社ですが、自社の労務管理は、きちんと行っております。
大したことはできませんが、愚直なまでに「ちゃんとすること」を心がけています。
年間105日は休めて、休憩時間もしっかり取り、残業は一切ありません。仮に残業があってもきちんと割増賃金は支払いますし、有給も取れます。
就業規則も開示、労働条件は文書で交わします。研修や勉強会もよく行っていますし、社員の健康にも配慮します。
とにかく真面目で誠実な社風の会社だと思っております。
長らく私はこういった仮説を主張してきましたが、たまたまこの2月に自社で募集を出すことがあり、こいった趣旨の広告を作成してネット求人媒体に載せたところ、1週目に39名、2週目に36名の応募がありました。職種は一般事務で比較的集まりやすい職種でしたが、給与は僅か18万円でした。僅か5名の平野区の個人事業所です。
志望動機を尋ねると、「ちゃんとした」誠実な会社だと感じて応募したという趣旨の動機が多かったのです。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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17年02月28日
同一労働同一賃金ガイドライン(案)が出た影響は?
●同一労働同一賃金ガイドライン(案)が出た影響は? (H29.3月号)
最近、報道においてよく耳にすることが多くなりました。現政権が目指そうとしているらしい?「同一労働同一賃金」という言葉です。昨年12月20日に、「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」なるのもが初めて発表されました。
その内容は、このガイドライン(案)の趣旨目的を明らかにした上で、賃金(基本給、賞与、手当)・福利厚生・教育訓練や安全管理について、非正規労働者においても正社員と同じ雇用管理であれば同一にし、違うとしても違いに応じた処遇をすべきとして、それぞれ<問題とならない事例>と<問題となる事例>を示しています。
例えば賞与について言うと、<問題となる事例>として、①企業への貢献度に応じた支給をする会社において、正社員と非正規社員で同一の貢献度があるにもかかわらず、正社員のみ支給しているケース、②正社員は職務内容や貢献度にかかわらず支給しているが、非正規社員には支給していないケースが挙げられています。
このガイドライン(案)による影響ですが、結論を先に申し上げますと、直ぐに企業が何かを対応しなければならないことはありません。むしろ、様子見をした方が良いくらいです。
そもそもこのガイドライン(案)には、何の拘束力もありません。また、今回ちょっと変わっているのは、通常、ガイドラインと言うのは、まず大原則となる法律が先にあり、本則に書ききれない細かなことを政令や施行規則で定め、さらに運用解釈を助ける指針として出されるものです。にもかかわらず、今回はガイドラインが先に出てるという得意なケースです。しかもその(案)です。
更に言うと、現在我が国には、今まで同一労働同一賃金を規定した法令も、司法判断も存在しません。つまりこのガイドライン(案)は、考え方や将来に対する方向性を示したものでしかないのです。
ただ、今後こういった方向で法制化を進めるということを宣言するかのような、政府の強い意志が感じられます。前文に書かれている「我が国から「非正規」という言葉を一掃する」と言う文言にも現れています。この同一労働同一賃金と、長時間労働の削減による生産性の向上という施策は、大命題の政策とされているのです。
今後、労使代表の協議を経て、どのように決着するかは予断を許しませんが、今後の労務管理についてはっきり言えることが一つだけあります。
それは「正社員と非正規社員の待遇を全く同じものにしなければならないという単純なことではなく、差があっても良いが、その差は不合理なものであってはならない」という根本を見失わずに、処遇することです。この解釈は、現行法の労働契約法第20条、パートタイム労働法第8条から導くことができます。合理的でなくとも良いが、不合理はダメだ!ということなのですが、分かりにくいですね。
待遇に差異が生じるのであれば、次の4点のいずれかを、如何にきちんと説明できるかがポイントとなるのです。
①職務の内容の違い
②その職務に伴う責任の程度の違い
③人材活用の仕組み(配置転換、キャリアコースなど)の違い
④その他諸々の事情
④は違いの説明というより、世間一般の状況とか、他の待遇面の向上とか、労使の話し合いの経緯とかいった色々な事情のことです。
いずれにしても予断を許しませんが、少なくとも欧米のような均等な同一労働同一賃金にはならず、均衡に配慮した同一労働同一賃金になって行くものと考えられます。最終的な姿がどのようななるかは分かりませんが、非正規社員の処遇を改善するという大きな方向性は変わらないと思われ、そのためには上記①から④を意識した労務管理が益々必要になって来るでしょう。
(参考)
◎同一労働同一賃金ガイドライン(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf
◎労働契約法 第20条
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
◎パートタイム労働法 第8条
(短時間労働者の待遇の原則)
事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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最近、報道においてよく耳にすることが多くなりました。現政権が目指そうとしているらしい?「同一労働同一賃金」という言葉です。昨年12月20日に、「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」なるのもが初めて発表されました。
その内容は、このガイドライン(案)の趣旨目的を明らかにした上で、賃金(基本給、賞与、手当)・福利厚生・教育訓練や安全管理について、非正規労働者においても正社員と同じ雇用管理であれば同一にし、違うとしても違いに応じた処遇をすべきとして、それぞれ<問題とならない事例>と<問題となる事例>を示しています。
例えば賞与について言うと、<問題となる事例>として、①企業への貢献度に応じた支給をする会社において、正社員と非正規社員で同一の貢献度があるにもかかわらず、正社員のみ支給しているケース、②正社員は職務内容や貢献度にかかわらず支給しているが、非正規社員には支給していないケースが挙げられています。
このガイドライン(案)による影響ですが、結論を先に申し上げますと、直ぐに企業が何かを対応しなければならないことはありません。むしろ、様子見をした方が良いくらいです。
そもそもこのガイドライン(案)には、何の拘束力もありません。また、今回ちょっと変わっているのは、通常、ガイドラインと言うのは、まず大原則となる法律が先にあり、本則に書ききれない細かなことを政令や施行規則で定め、さらに運用解釈を助ける指針として出されるものです。にもかかわらず、今回はガイドラインが先に出てるという得意なケースです。しかもその(案)です。
更に言うと、現在我が国には、今まで同一労働同一賃金を規定した法令も、司法判断も存在しません。つまりこのガイドライン(案)は、考え方や将来に対する方向性を示したものでしかないのです。
ただ、今後こういった方向で法制化を進めるということを宣言するかのような、政府の強い意志が感じられます。前文に書かれている「我が国から「非正規」という言葉を一掃する」と言う文言にも現れています。この同一労働同一賃金と、長時間労働の削減による生産性の向上という施策は、大命題の政策とされているのです。
今後、労使代表の協議を経て、どのように決着するかは予断を許しませんが、今後の労務管理についてはっきり言えることが一つだけあります。
それは「正社員と非正規社員の待遇を全く同じものにしなければならないという単純なことではなく、差があっても良いが、その差は不合理なものであってはならない」という根本を見失わずに、処遇することです。この解釈は、現行法の労働契約法第20条、パートタイム労働法第8条から導くことができます。合理的でなくとも良いが、不合理はダメだ!ということなのですが、分かりにくいですね。
待遇に差異が生じるのであれば、次の4点のいずれかを、如何にきちんと説明できるかがポイントとなるのです。
①職務の内容の違い
②その職務に伴う責任の程度の違い
③人材活用の仕組み(配置転換、キャリアコースなど)の違い
④その他諸々の事情
④は違いの説明というより、世間一般の状況とか、他の待遇面の向上とか、労使の話し合いの経緯とかいった色々な事情のことです。
いずれにしても予断を許しませんが、少なくとも欧米のような均等な同一労働同一賃金にはならず、均衡に配慮した同一労働同一賃金になって行くものと考えられます。最終的な姿がどのようななるかは分かりませんが、非正規社員の処遇を改善するという大きな方向性は変わらないと思われ、そのためには上記①から④を意識した労務管理が益々必要になって来るでしょう。
(参考)
◎同一労働同一賃金ガイドライン(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf
◎労働契約法 第20条
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
◎パートタイム労働法 第8条
(短時間労働者の待遇の原則)
事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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17年02月22日
一般事務をお任せする正社員募集(内勤) 完全週休2日制
17年02月01日
見えてきた「働き方改革 残業は月60時間まで?」
●見えてきた「働き方改革 残業は月60時間まで?」 (H29.2月号)
1月28日付、日本経済新聞によると、「残業上限60時間 月平均で規制 全業種対象 政府原案」という報道がなされました。
現在の労基法では36協定を締結することで、月45時間までの残業を認めており、さらに特別な協定を結ぶと、1年に6回までは青天井で残業可能となっています。政府はこれが長時間労働の温床となっていると考えているのです。
今行われている通常国会でも、本テーマが取り上げられており、使用者側は80時間あたりを、労働者側は45時間あたりを考えていたようですが、どうやらその間の60時間で収まる気配が見えてきました。まだ予断を許しませんが、規制を強化したい政府と労働側の思惑はおおよそ一致しているため、経営側の巻き返しがない限り、この方向で進む可能性が高いと思われます。
さて、昨年のメルマガ8月号から11月号にかけて、長時間労働対策を特集いたしました。これからは長時間労働のある会社は、行政からも市民(特に求職者)からも見放され、経営が立ち行かなくなる危機感から出たものです。特に11月号では、以下のような19の対策案をご提示しました。
1.デスク及びパソコンの整理整頓 2.仕事の整理整頓(棚卸し) 3.1時間早帰り制度
4.時間外労働を許可届出制にする 5.19時退社制度 6.変形労働時間制を活用する
7.社風改革 8.人事考課で長時間労働を抑制 9.TO DOリストを活用する
10.集中タイムを設ける 11.タスク管理(プロセス分析) 12.共有フォルダを活用する
13.分業化(IT活用) 14.アウトソーシング 15.チームで競わせる
16.帰社時間宣言フラッグ 17.社内メールは件名のみ 18.時短アイデアコンテスト
19.マネジメントの改善
しかし、細かなテクニック論もあり、どこから手をつけて良いかわからない!、そんな企業の為に、今年はまず次の2つを実践して頂きたいと思います。
1.社長が強く号令をかける
2.簡単は数字目標を取り込む
1.社長が強く号令をかける
まず、これがないとすべてが始まりません。社員教育もそうですが、自主性に任せているだけでは改善されす、強制しないと自然には良くならないのです。
トップである社長が「今年は残業を減らす!」と全社員に向けて、強く号令を掛けるべきです。強い意志を示してください。そして、これからの企業の生き残りのためには、「少ない時間で同じ成果を出す」ことが喫緊の課題であることも説明してください。目的を伝えないと腹落ちしません。
幸いに、最近は長時間労働に関するニュースが毎週のように報道されますので、外堀環境は埋められつつあります。このように社長が号令を発するだけで、一定の効果がでる企業もあります。
しかし、大抵の場合、1回だけの言いっぱなしでは、直ぐに元に戻ります。そうならないためには、会社の本気度が問われ、しつこいくらいに言い続ける必要があります。しつこいくらいで丁度です。「あの社長、また言ってる!?」と、従業員から思われるくらいになれば、しめたものです。
2.簡単な数字目標を取り込む
できれば計測しやすい、簡単な数字を意識するようにしてください。「19時帰社」とか、「20時以降在社禁止」とか、「残業は1日2時間まで」とか、「5割削減」とか、分かりやすいものが良いでしょう。完結で分かりやすい評語を貼り出し、朝礼やミーティング等、ことあるごとに言い続けてください。
こういった大原則をまず、今年は本気で取りみましょう。そうやって残業削減に取り組める社内環境が整備されてきたら、更に進めて先に掲げた19の方法を個別に検討することが良策かと思います。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
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1月28日付、日本経済新聞によると、「残業上限60時間 月平均で規制 全業種対象 政府原案」という報道がなされました。
現在の労基法では36協定を締結することで、月45時間までの残業を認めており、さらに特別な協定を結ぶと、1年に6回までは青天井で残業可能となっています。政府はこれが長時間労働の温床となっていると考えているのです。
今行われている通常国会でも、本テーマが取り上げられており、使用者側は80時間あたりを、労働者側は45時間あたりを考えていたようですが、どうやらその間の60時間で収まる気配が見えてきました。まだ予断を許しませんが、規制を強化したい政府と労働側の思惑はおおよそ一致しているため、経営側の巻き返しがない限り、この方向で進む可能性が高いと思われます。
さて、昨年のメルマガ8月号から11月号にかけて、長時間労働対策を特集いたしました。これからは長時間労働のある会社は、行政からも市民(特に求職者)からも見放され、経営が立ち行かなくなる危機感から出たものです。特に11月号では、以下のような19の対策案をご提示しました。
1.デスク及びパソコンの整理整頓 2.仕事の整理整頓(棚卸し) 3.1時間早帰り制度
4.時間外労働を許可届出制にする 5.19時退社制度 6.変形労働時間制を活用する
7.社風改革 8.人事考課で長時間労働を抑制 9.TO DOリストを活用する
10.集中タイムを設ける 11.タスク管理(プロセス分析) 12.共有フォルダを活用する
13.分業化(IT活用) 14.アウトソーシング 15.チームで競わせる
16.帰社時間宣言フラッグ 17.社内メールは件名のみ 18.時短アイデアコンテスト
19.マネジメントの改善
しかし、細かなテクニック論もあり、どこから手をつけて良いかわからない!、そんな企業の為に、今年はまず次の2つを実践して頂きたいと思います。
1.社長が強く号令をかける
2.簡単は数字目標を取り込む
1.社長が強く号令をかける
まず、これがないとすべてが始まりません。社員教育もそうですが、自主性に任せているだけでは改善されす、強制しないと自然には良くならないのです。
トップである社長が「今年は残業を減らす!」と全社員に向けて、強く号令を掛けるべきです。強い意志を示してください。そして、これからの企業の生き残りのためには、「少ない時間で同じ成果を出す」ことが喫緊の課題であることも説明してください。目的を伝えないと腹落ちしません。
幸いに、最近は長時間労働に関するニュースが毎週のように報道されますので、外堀環境は埋められつつあります。このように社長が号令を発するだけで、一定の効果がでる企業もあります。
しかし、大抵の場合、1回だけの言いっぱなしでは、直ぐに元に戻ります。そうならないためには、会社の本気度が問われ、しつこいくらいに言い続ける必要があります。しつこいくらいで丁度です。「あの社長、また言ってる!?」と、従業員から思われるくらいになれば、しめたものです。
2.簡単な数字目標を取り込む
できれば計測しやすい、簡単な数字を意識するようにしてください。「19時帰社」とか、「20時以降在社禁止」とか、「残業は1日2時間まで」とか、「5割削減」とか、分かりやすいものが良いでしょう。完結で分かりやすい評語を貼り出し、朝礼やミーティング等、ことあるごとに言い続けてください。
こういった大原則をまず、今年は本気で取りみましょう。そうやって残業削減に取り組める社内環境が整備されてきたら、更に進めて先に掲げた19の方法を個別に検討することが良策かと思います。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com