15年04月02日
4月以降に結ぶパート雇用契約には気をつけよう
●4月以降に結ぶパート雇用契約には気をつけよう (27.4月号)
~4月以降、パートと雇用契約を締結する場合の留意点~
まず以下のパートタイム労働法の新設条文をご覧ください(4月1日施行)。
(短時間労働者の待遇の原則)
第8条 事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
少し分かりにくいですね。簡単に言ってしまうと、同じような仕事をしているのにパート契約だからといって合理的な理由もなく、正社員の労働条件を下回るような差別をしてはダメということです。労働契約法第20条にも有期効用労働者について既に同旨の条文が25年4月から施行されております。
この条文は先発の労働契約法第20条と同様、民事的効力のある規定とされており、この条文ができたことにより、これを根拠に差別されていると考えたパート労働者が、会社に損害賠償請求を行ってくる可能性が非常に高くなったということです。これはリスクです。
ここで差別の対象となる労働条件とは、一切のものが適用となり、例示すると次の通りです。
賃金・労働時間・災害補償・服務規律・教育訓練・福利厚生など
これらの労働条件が差別されているかかどうかを判断する方法は以下の通りとされてます。
(1)職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)
(2)当該職務の内容及び配置の変更の範囲(配転、昇進、昇格、職種変更など)
(3)その他の事情(労使慣行など)
とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などを相違させる場合は、特段の事情がない限り、合理性は認められないとされています。
ここで問題になるのが、パートではあるが、正社員と同じような仕事をしており、その責任や役割も変わらず、人材活用の仕組みも変わらない場合です。特に問題になるのが中小零細企業のパー労働者です。これらの企業では、パートといっても仕事内容が正社員と同じであったり、責任を持たせていたり、或いは配置その他の人材活用場面においても何ら変わらず従事しており、賃金だけが低いというケースがあり得ることです。
例えば、パートであっても社歴の長い方は、正社員以上の仕事をしている場合も想定されますし、配置など人材活用の仕組みにしても、そもそも正社員ですら、転勤などの異動がない所も多いでしょう。
このようなケースでは、今後、不満が鬱積してくると、この新設されたパーターム労働法第8条を根拠に、正社員と同じ待遇を請求してくるリスクが考えられるのです。
まだ判例が確立していないため、予断を許しませんが、恐らく差別があるとして裁判所が無効とした労働条件は、その企業における平均的な正社員の労働条件に引き上げられるか、定年退職者なら定年前の労働条件に戻されることが推測されます。
正社員と同等な待遇にできればそれでいいのですが、それが出来ず、このようなリスクを回避するためには、4月以降の労務管理について、以下のように合理的な差があるとして、きちんと説明できる実態を作っておくことです。
例えば・・・・
◎ 正社員に比べて仕事の内容や役割を軽減する
◎ 正社員と同等なノルマは求めない
◎ トラブルや緊急時の対応はパートにはさせない
◎ 職務や配置場所を限定する(特定の仕事しかしてもらわない、その場所でしか働いてもらわない)
◎ 重たい責任は負わせない
◎ 正社員には残業をお願いしても、パート労働者には時間通りに帰ってもらう など
そして雇用契約書においても、こういった違いを明示した上で交わした方が良いでしょう。
ちなみに雇用契約書のサンプルは以下弊社のHPに収録済みです。
(「期間契約用 雇用契約書」参照)
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~4月以降、パートと雇用契約を締結する場合の留意点~
まず以下のパートタイム労働法の新設条文をご覧ください(4月1日施行)。
(短時間労働者の待遇の原則)
第8条 事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
少し分かりにくいですね。簡単に言ってしまうと、同じような仕事をしているのにパート契約だからといって合理的な理由もなく、正社員の労働条件を下回るような差別をしてはダメということです。労働契約法第20条にも有期効用労働者について既に同旨の条文が25年4月から施行されております。
この条文は先発の労働契約法第20条と同様、民事的効力のある規定とされており、この条文ができたことにより、これを根拠に差別されていると考えたパート労働者が、会社に損害賠償請求を行ってくる可能性が非常に高くなったということです。これはリスクです。
ここで差別の対象となる労働条件とは、一切のものが適用となり、例示すると次の通りです。
賃金・労働時間・災害補償・服務規律・教育訓練・福利厚生など
これらの労働条件が差別されているかかどうかを判断する方法は以下の通りとされてます。
(1)職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)
(2)当該職務の内容及び配置の変更の範囲(配転、昇進、昇格、職種変更など)
(3)その他の事情(労使慣行など)
とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などを相違させる場合は、特段の事情がない限り、合理性は認められないとされています。
ここで問題になるのが、パートではあるが、正社員と同じような仕事をしており、その責任や役割も変わらず、人材活用の仕組みも変わらない場合です。特に問題になるのが中小零細企業のパー労働者です。これらの企業では、パートといっても仕事内容が正社員と同じであったり、責任を持たせていたり、或いは配置その他の人材活用場面においても何ら変わらず従事しており、賃金だけが低いというケースがあり得ることです。
例えば、パートであっても社歴の長い方は、正社員以上の仕事をしている場合も想定されますし、配置など人材活用の仕組みにしても、そもそも正社員ですら、転勤などの異動がない所も多いでしょう。
このようなケースでは、今後、不満が鬱積してくると、この新設されたパーターム労働法第8条を根拠に、正社員と同じ待遇を請求してくるリスクが考えられるのです。
まだ判例が確立していないため、予断を許しませんが、恐らく差別があるとして裁判所が無効とした労働条件は、その企業における平均的な正社員の労働条件に引き上げられるか、定年退職者なら定年前の労働条件に戻されることが推測されます。
正社員と同等な待遇にできればそれでいいのですが、それが出来ず、このようなリスクを回避するためには、4月以降の労務管理について、以下のように合理的な差があるとして、きちんと説明できる実態を作っておくことです。
例えば・・・・
◎ 正社員に比べて仕事の内容や役割を軽減する
◎ 正社員と同等なノルマは求めない
◎ トラブルや緊急時の対応はパートにはさせない
◎ 職務や配置場所を限定する(特定の仕事しかしてもらわない、その場所でしか働いてもらわない)
◎ 重たい責任は負わせない
◎ 正社員には残業をお願いしても、パート労働者には時間通りに帰ってもらう など
そして雇用契約書においても、こういった違いを明示した上で交わした方が良いでしょう。
ちなみに雇用契約書のサンプルは以下弊社のHPに収録済みです。
(「期間契約用 雇用契約書」参照)
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
●小規模企業の人事考課は社長の主観で決める。公平性・客観性は不要!好き嫌いで決めよう!! (H27.2月号)
1.日本の企業の86.5%は20人以下の小規模企業
世に人事本といわれる書籍群があります。その中で人事評価、賃金制度に関する書籍もおびただしく発刊されているのですが、中小企業では使いこなせません。
そもそも中小企業とひと言で言っても、日本に存在する企業の86.5%は従業員数が20人以下の小規模事業所と言われています。しかし書店に並ぶ人事本にはこの人数をはるかに超える規模の事業所をサンプルに取っていたり、前提にしているものが多く、大集団である20人以下の小規模企業のことは置き去りにされているように思えてなりません。
役所や大企業の人事制度を縮小化しているものは確かにたくさんあるのですが、正直、私のように人事労務を一応専門家として生業にしている人間にとっても、中々すっと理解して取り入れるのが難しい。小規模企業自身が取り組むのは更に困難なことです。
(参考)
中小企業白書2014年版より抜粋
小規模事業者 86.5%:製造業・その他 従業員数20人以下
商業・サービス業 従業員5人以下
中規模事業者:13.2% 製造業 資本金3億円以下又は従業員数300人以下
卸売業 資本金1億円以下又は従業員数100人以下
サービス業 資本金5千万円以下又は従業員数100人以下
小売業 資本金5千万円以下又は従業員数50人以下
大企業:0.3% 上記以上の規模
2.20人以下の小規模企業の人事考課は社長の「主観」、もっと言うなら「好き嫌い」で構わない
20人以下の小規模企業の人事考課は社長の「主観」、もっと言うなら「好き嫌い」で構わないと思います(人事評価と人事考課という言い方がありますが、各人の課題を考える、という意味合いでここでは人事考課で統一します)。
こんなことを言っている人事本は恐らく他にないのではないかと思いますが、私がこのような結論に至ったのには理由があります。
例えば解雇するほどでもないが、何となく合わない従業員を経営者の皆さんはどう考えますか?
すこし横道に反れるようですが、重要な論点ですのでお聞きください。
日本は企業にとって解雇規制が厳しい国とされています。裁判になれば一旦雇った人を、ちょっとやそっとでクビに出来ないのです。
しかし現実的に労務管理を行う上で、解雇をしたいと思う場面は、「能力不足」「勤務態度不良」という企業にとって立証が難しい曖昧な事由が多いのです。そして後者の「勤務態度不良」というのはさらににやっかいな要素があり、大きく二つに分類でき、一つは生来、協調性がないとか反抗的であるとか、気質的な執務態度自体の問題であり、紛争としては比較的対処しやすいパターンなのですが、もう一つは経営者と考え方、価値観が合わないことから来る共感性欠如や反抗的な態度です。これはやっかいです。この極めて曖昧な事由で解雇することは法的にほとんど不可能と言えます。しかし一緒にやって行くには非常にストレスになる。このような経営者と共感できないことから無視できない言動を繰り返す従業員を、どのように考えればいいのでしょうか?
この問題を考えるとき、私はこのように考えています。最終的には従業員が折れるべきだと。それが嫌なら自ら身を引くべきだと。
特に小規模企業の場合、実態上会社と経営者は分離されておらず、一体不可分の関係です。
他人が経営を引き継ぐことはほとんどなく、親族で承継される、いわば家業なのです。そして経営者は経営上起こりうる全てのリスクに最終的に向き合うこととなります。出資金額の範囲内で責任を取れば良いというような限定的なことにはなっていません。如何なる経営上の問題が生じても、お客様に対して、取引業者に対して、そして従業員とその家族に対して最終的に経営者が全責任を負うのです。極論すれば墓場まで会社を背負って行くのです。経営者は会社を選ぶことができません。逃げることが出来ないのです。
一方、従業員の方はどうかというと、最終的に会社がピンチになっても退職というリスクさえ甘受すれば、その他の諸々の責任を負う立場ではありません。しかも失業保険など社会保障政策にも守られています。いざとなれば、逃げることが出来るし、会社や経営者を自ら選択する自由もあるのです。
方針や考え方がどうしても合わなくとも、その結果に対して最終的に全責任を取るのは経営者です。そのリスクは経営者が引き受けるのです。リスクを取るのは従業員の方ではありません。であるなら、最後は従業員が折れるべきです。もしそれができないのなら、自ら身を引き、違う経営者の元でその力を発揮すべきです。その方が従業員にとっても、良いことです。嫌な経営者の元でくすぶる必要はありません。そこで意地を張る必要もない。合う環境で光ることを目指す方がずっといい。
残念ながら人間はそう大きく変われません。経営者も本質的には変わらないのです。そしてその経営者はその会社にずっと居ます。経営者が居なくなる状況はありません。その状況を変えられるのは、離脱する自由がある従業員の方なのです。それが現実だと思うのです。
少々長くなりましたが、このように考えるなら、小規模企業経営者は自らの責任において自らが好ましいと思う従業員を採用し、優遇して行けば良い。つまり主観です。好き嫌いです。経営者のあなたがリスクを負うのですから、自信をもってあなたが好む人材を優遇してください。これは理不尽でも何でもありません。社長が良いと思った人を評価し、ダメと感じた人は低く処遇するという、当たり前の“感じ”から出発しましょう。この現実を素直に受け止めるのです。
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
1.日本の企業の86.5%は20人以下の小規模企業
世に人事本といわれる書籍群があります。その中で人事評価、賃金制度に関する書籍もおびただしく発刊されているのですが、中小企業では使いこなせません。
そもそも中小企業とひと言で言っても、日本に存在する企業の86.5%は従業員数が20人以下の小規模事業所と言われています。しかし書店に並ぶ人事本にはこの人数をはるかに超える規模の事業所をサンプルに取っていたり、前提にしているものが多く、大集団である20人以下の小規模企業のことは置き去りにされているように思えてなりません。
役所や大企業の人事制度を縮小化しているものは確かにたくさんあるのですが、正直、私のように人事労務を一応専門家として生業にしている人間にとっても、中々すっと理解して取り入れるのが難しい。小規模企業自身が取り組むのは更に困難なことです。
(参考)
中小企業白書2014年版より抜粋
小規模事業者 86.5%:製造業・その他 従業員数20人以下
商業・サービス業 従業員5人以下
中規模事業者:13.2% 製造業 資本金3億円以下又は従業員数300人以下
卸売業 資本金1億円以下又は従業員数100人以下
サービス業 資本金5千万円以下又は従業員数100人以下
小売業 資本金5千万円以下又は従業員数50人以下
大企業:0.3% 上記以上の規模
2.20人以下の小規模企業の人事考課は社長の「主観」、もっと言うなら「好き嫌い」で構わない
20人以下の小規模企業の人事考課は社長の「主観」、もっと言うなら「好き嫌い」で構わないと思います(人事評価と人事考課という言い方がありますが、各人の課題を考える、という意味合いでここでは人事考課で統一します)。
こんなことを言っている人事本は恐らく他にないのではないかと思いますが、私がこのような結論に至ったのには理由があります。
例えば解雇するほどでもないが、何となく合わない従業員を経営者の皆さんはどう考えますか?
すこし横道に反れるようですが、重要な論点ですのでお聞きください。
日本は企業にとって解雇規制が厳しい国とされています。裁判になれば一旦雇った人を、ちょっとやそっとでクビに出来ないのです。
しかし現実的に労務管理を行う上で、解雇をしたいと思う場面は、「能力不足」「勤務態度不良」という企業にとって立証が難しい曖昧な事由が多いのです。そして後者の「勤務態度不良」というのはさらににやっかいな要素があり、大きく二つに分類でき、一つは生来、協調性がないとか反抗的であるとか、気質的な執務態度自体の問題であり、紛争としては比較的対処しやすいパターンなのですが、もう一つは経営者と考え方、価値観が合わないことから来る共感性欠如や反抗的な態度です。これはやっかいです。この極めて曖昧な事由で解雇することは法的にほとんど不可能と言えます。しかし一緒にやって行くには非常にストレスになる。このような経営者と共感できないことから無視できない言動を繰り返す従業員を、どのように考えればいいのでしょうか?
この問題を考えるとき、私はこのように考えています。最終的には従業員が折れるべきだと。それが嫌なら自ら身を引くべきだと。
特に小規模企業の場合、実態上会社と経営者は分離されておらず、一体不可分の関係です。
他人が経営を引き継ぐことはほとんどなく、親族で承継される、いわば家業なのです。そして経営者は経営上起こりうる全てのリスクに最終的に向き合うこととなります。出資金額の範囲内で責任を取れば良いというような限定的なことにはなっていません。如何なる経営上の問題が生じても、お客様に対して、取引業者に対して、そして従業員とその家族に対して最終的に経営者が全責任を負うのです。極論すれば墓場まで会社を背負って行くのです。経営者は会社を選ぶことができません。逃げることが出来ないのです。
一方、従業員の方はどうかというと、最終的に会社がピンチになっても退職というリスクさえ甘受すれば、その他の諸々の責任を負う立場ではありません。しかも失業保険など社会保障政策にも守られています。いざとなれば、逃げることが出来るし、会社や経営者を自ら選択する自由もあるのです。
方針や考え方がどうしても合わなくとも、その結果に対して最終的に全責任を取るのは経営者です。そのリスクは経営者が引き受けるのです。リスクを取るのは従業員の方ではありません。であるなら、最後は従業員が折れるべきです。もしそれができないのなら、自ら身を引き、違う経営者の元でその力を発揮すべきです。その方が従業員にとっても、良いことです。嫌な経営者の元でくすぶる必要はありません。そこで意地を張る必要もない。合う環境で光ることを目指す方がずっといい。
残念ながら人間はそう大きく変われません。経営者も本質的には変わらないのです。そしてその経営者はその会社にずっと居ます。経営者が居なくなる状況はありません。その状況を変えられるのは、離脱する自由がある従業員の方なのです。それが現実だと思うのです。
少々長くなりましたが、このように考えるなら、小規模企業経営者は自らの責任において自らが好ましいと思う従業員を採用し、優遇して行けば良い。つまり主観です。好き嫌いです。経営者のあなたがリスクを負うのですから、自信をもってあなたが好む人材を優遇してください。これは理不尽でも何でもありません。社長が良いと思った人を評価し、ダメと感じた人は低く処遇するという、当たり前の“感じ”から出発しましょう。この現実を素直に受け止めるのです。
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
15年01月27日
雇用労働相談センター」を開設のお知らせ
大阪府社会保険労務士会では、国からの委託を受け、「グランフロント大阪北館ナレッジキャピタルコラボオフィスK827」に、労働紛争の未然防止を目的とした「雇用労働相談センター」を開設し、平成27年1月7日から業務を開始しています。
このセンターでは、新規開業直後の方(概ね5年以内の方又は開業を予定されている方)、海外からの進出を考えておられる方、これらの企業に働いておられる方などに対して、わかりにくいとされる「日本の雇用ルール」を「わかりやすく」ご説明させて頂いたり、雇用管理、労働基準法等の労働法、就業規則・労働契約等について、「お気軽にご相談」頂いております。
(お電話でのご相談も大歓迎です。)
相談員は、経験豊富な弁護士や社会保険労務士が担当致します。
相談料は無料。日本語だけではなく、英語・中国語・韓国語での対応も可能です。平日午前11時から午後8時までご利用頂けます。
お越し頂く場合は、お手数ですが、事前にお電話頂けるとスムーズです。まずは下記までお気軽にお電話下さい。
●相談・お問合せ
TEL: 06-6359-8666(代表)/06-6136-3194
多くの皆様のご利用をお待ちしています。
このセンターでは、新規開業直後の方(概ね5年以内の方又は開業を予定されている方)、海外からの進出を考えておられる方、これらの企業に働いておられる方などに対して、わかりにくいとされる「日本の雇用ルール」を「わかりやすく」ご説明させて頂いたり、雇用管理、労働基準法等の労働法、就業規則・労働契約等について、「お気軽にご相談」頂いております。
(お電話でのご相談も大歓迎です。)
相談員は、経験豊富な弁護士や社会保険労務士が担当致します。
相談料は無料。日本語だけではなく、英語・中国語・韓国語での対応も可能です。平日午前11時から午後8時までご利用頂けます。
お越し頂く場合は、お手数ですが、事前にお電話頂けるとスムーズです。まずは下記までお気軽にお電話下さい。
●相談・お問合せ
TEL: 06-6359-8666(代表)/06-6136-3194
多くの皆様のご利用をお待ちしています。
●人事総務事務に大きな影響が。いよいよ見えてきた、マイナンバー制度の概要 その2 (H27.1月号)
~全ての民間事業者は2015年中には対応する必要があります~
明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い致します。
さて、今回は昨年12月に引き続き、マイナンバーに関する続きです。
今後、総務担当者を煩わす事務の一つにマイナンバーの収集作業があります。今年の秋以降に、順次全国民に通知されますが、この収集事務は相当の困難が予想されます。パートも含めて雇用者全員から提供してもらう必要があるほか、その扶養家族からも提供を求めなければなりません。原則的には運転免許証の提示など厳格な本人確認が求められますが、雇用関係にある場合は省略できる見込みです。ただ、番号収集時に利用目的を公表する義務があり、その利用目的以外では一切使用できません。後から利用目的を追加することは出来ないとされていますので、就業規則等で包括的に利用させてもらう根拠規程が必要になると思われます。また万が一、提供を拒否された場合は事務が進まない可能性もあります。
何かと対応を迫られるマイナンバーですが、これが導入されると事務が省略できるメリットもあります。現在考えられる主なものとしては、
1.社会保険の手続きや年末調整など、様々な手続きに添付資料が省略できる(行政がマイナンバーで照会可能となるため)
2.自治体ごとに仕分けして書類を送る必要がなくなる(給与支払報告書など)
3.医療費控除、生命保険料控除などで申告漏れがなくなるなど
また、将来的には預金口座や医療分野への導入、法務省や国交省の関係事務への利用拡大も検討されていますが、まだ先の話でしょう。
以下からは、14年11月現在で政府から公表されているQ&A集から主なものを抜粋しています。その全文及びマイナンバー全般に関することは以下のサイトをご覧ください。なお、文章中、「個人番号関係事務実施者」と出てくるのは一般的に民間企業のことで、「個人番号利用事務実施者」とは行政機関のことを言います。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/
(抜粋)
Q4-1-1 民間事業者もマイナンバー(個人番号)を取り扱うのですか?
A4-1-1 民間事業者でも、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票や社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関などに提出する必要があります。また、証券会社や保険会社が作成する支払調書、原稿料の支払調書などにもマイナンバーを記載する必要があります。(2014年6月回答)
Q4-1-2 マイナンバー(個人番号)を記載する必要のある帳票(調書・届出書類)は、いつ頃決まりますか?
A4-1-2 社会保障、国税、地方税、防災の各事務に係る関係省令によって、詳細が規定されます。国税に関する財務省令は平成26年7月、それ以外の関係省令も平成26年秋頃までに公布される見込みです。(2014年6月回答)
※ちなみに現在、源泉徴収票の新モデルは公開されており、従業員本人はもとより、扶養親族すべての氏名と個人番号も印字させる様式になっています(筆者注)。
Q4-1-5 小規模な事業者でもマイナンバーを取り扱い、特定個人情報の保護措置を講じなければならないのですか?
A4-1-5 小規模な事業者も、法で定められた社会保障や税などの手続きで、従業員などのマイナンバーを取り扱うことになり、[Q4-4-1]でお答えしているような個人情報の保護措置を講じる必要があります。小規模な事業者は、個人情報保護法の義務の対象外ですが、番号法の義務は規模に関わらず全ての事業者に適用されます。(2014年7月回答)
Q4-2-3 従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得する際は、利用目的を明示しなければならないのですか。番号法のどこに規定されていますか?
A4-2-3 [Q5-5]にあるとおり、番号法に特段の規定がない限り、マイナンバーを含む特定個人情報にも個人情報保護法が適用されるので、同法第18条に基づき、マイナンバーを取得するときは、利用目的を本人に通知又は公表しなければなりません。 なお、複数の利用目的をまとめて明示することは可能ですが、[Q4-2-4]のとおり、利用目的を後から追加することはできません。(2014年7月回答)
Q4-2-4 源泉徴収のために取得した従業員のマイナンバー(個人番号)を社会保険の手続で利用するなど、ある個人番号関係事務のために取得した特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)を別の個人番号関係事務に利用することはできますか?
A4-2-4 マイナンバーを含む特定個人情報については、番号法第29条第3項により読み替えられた個人情報保護法第16条が適用されるため、本人の同意の有無にかかわらず、利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用することはできません。このため、源泉徴収のために取得したマイナンバーは源泉徴収に関する事務に必要な限度でのみ利用が可能です。なお、[Q4-2-3]のとおり、従業員からマイナンバーを取得する際に、源泉徴収や健康保険の手続きなど、マイナンバーを利用する事務・利用目的を包括的に明示して取得し、利用することは差し支えありません。(2014年7月更新)
Q4-2-5 従業員や金融機関の顧客などがマイナンバー(個人番号)の提供を拒んだ場合、どうすればよいですか?
A4-2-5 社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。(2014年7月回答)
Q4-3-1 従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得するときは、どのように本人確認を行えばよいのでしょうか。また、対面以外の方法(郵送、オンライン、電話)でマイナンバーを取得する場合はどのように本人確認を行えばよいのでしょうか。
A4-3-1 マイナンバーを取得する際は、正しい番号であることの確認(番号確認)と現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要であり、原則として、
1. 個人番号カード(番号確認と身元確認)
2.通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
3.個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
のいずれかの方法で確認する必要があります。ただし、これらの方法が困難な場合は、過去に本人確認を行って作成したファイルで番号確認を行うことなども認められます。また、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは身元確認を不要とすることも認められます。詳しくは、下の表のとおりです。また、対面だけでなく、郵送、オンライン、電話によりマイナンバーを取得する場合にも、同様に番号確認と身元確認が必要となります。(2014年7月更新)
Q4-3-6 従業員の扶養家族のマイナンバー(個人番号)を取得するときは、事業者が扶養家族の本人確認も行わなければならないのでしょうか?
A4-3-6 扶養家族の本人確認は、各制度の中で扶養家族のマイナンバーの提供が誰に義務づけられているのかによって異なります。例えば、税の年末調整では、従業員が、事業主に対してその扶養家族のマイナンバーの提供を行うこととされているため、従業員は個人番号関係事務実施者として、その扶養家族の本人確認を行う必要があります。この場合、事業主が、扶養家族の本人確認を行う必要はありません。一方、国民年金の第3号被保険者の届出では、従業員の配偶者(第3号被保険者)本人が事業主に対して届出を行う必要がありますので、事業主が当該配偶者の本人確認を行う必要があります。通常は従業員が配偶者に代わって事業主に届出をすることが想定されますが、その場合は、従業員が配偶者の代理人としてマイナンバーを提供することとなりますので、事業主は代理人からマイナンバーの提供を受ける場合の本人確認を行う必要があります。なお、配偶者からマイナンバーの提供を受けて本人確認を行う事務を事業者が従業員に委託する方法も考えられます。(2014年7月回答)
Q4-5-1 子会社などに出向・転籍する場合、従業員の特定個人情報(マイナンバー(個人番号)を含む個人情報)を出向・転籍先に提供することに問題はありますか?
A4-5-1 出向・転籍先の事業者に特定個人情報を提供すること、出向・転籍元の事業者から特定個人情報を取得することは、番号法第19条、第20条に違反するので、出向・転籍先の事業者が直接本人から提供を受けていただく必要があります。ただし、従業員の出向・転籍元の事業者が、出向・転籍先の事業者と委託契約又は代理契約を交わして個人番号関係事務の一部を受託し、従業員から番号の告知を受け、本人確認を行うこととされている場合は、出向・転籍元の事業者が改めて本人確認を行った上で、出向・在籍先の事業者に特定個人情報を提供することも認められます。
なお、出向・転籍元の事業者が現に保有している特定個人情報は、当該事業者の個人番号関係事務の処理のために保有しているものであり、これを出向・転籍先の事業者の個人番号関係事務に転用することは目的外利用となるため、出向・転籍先の事業者の個人番号関係事務の受託者として、改めて本人から番号の告知を受ける必要があります。(2014年6月回答)
Q4-5-3 事業者が取得した従業員やその扶養家族のマイナンバー(個人番号)を当該従業員などが加入している健康保険組合に提供してもよいですか?
A4-5-3 健康保険法等の法令の規定により、事業主が健康保険組合に対して、従業員やその扶養家族のマイナンバーの提供を行うこととされている場合には、個人番号利用事務実施者である健康保険組合に対して、事業者は個人番号関係事務実施者になるので、事業者から健康保険組合にマイナンバーを提供することは可能です。なお、事業者がマイナンバーを取得するにあたっては、健康保険に関する個人番号関係事務において利用することを明示しておく必要があります。(2014年7月回答)
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~全ての民間事業者は2015年中には対応する必要があります~
明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い致します。
さて、今回は昨年12月に引き続き、マイナンバーに関する続きです。
今後、総務担当者を煩わす事務の一つにマイナンバーの収集作業があります。今年の秋以降に、順次全国民に通知されますが、この収集事務は相当の困難が予想されます。パートも含めて雇用者全員から提供してもらう必要があるほか、その扶養家族からも提供を求めなければなりません。原則的には運転免許証の提示など厳格な本人確認が求められますが、雇用関係にある場合は省略できる見込みです。ただ、番号収集時に利用目的を公表する義務があり、その利用目的以外では一切使用できません。後から利用目的を追加することは出来ないとされていますので、就業規則等で包括的に利用させてもらう根拠規程が必要になると思われます。また万が一、提供を拒否された場合は事務が進まない可能性もあります。
何かと対応を迫られるマイナンバーですが、これが導入されると事務が省略できるメリットもあります。現在考えられる主なものとしては、
1.社会保険の手続きや年末調整など、様々な手続きに添付資料が省略できる(行政がマイナンバーで照会可能となるため)
2.自治体ごとに仕分けして書類を送る必要がなくなる(給与支払報告書など)
3.医療費控除、生命保険料控除などで申告漏れがなくなるなど
また、将来的には預金口座や医療分野への導入、法務省や国交省の関係事務への利用拡大も検討されていますが、まだ先の話でしょう。
以下からは、14年11月現在で政府から公表されているQ&A集から主なものを抜粋しています。その全文及びマイナンバー全般に関することは以下のサイトをご覧ください。なお、文章中、「個人番号関係事務実施者」と出てくるのは一般的に民間企業のことで、「個人番号利用事務実施者」とは行政機関のことを言います。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/
(抜粋)
Q4-1-1 民間事業者もマイナンバー(個人番号)を取り扱うのですか?
A4-1-1 民間事業者でも、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票や社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関などに提出する必要があります。また、証券会社や保険会社が作成する支払調書、原稿料の支払調書などにもマイナンバーを記載する必要があります。(2014年6月回答)
Q4-1-2 マイナンバー(個人番号)を記載する必要のある帳票(調書・届出書類)は、いつ頃決まりますか?
A4-1-2 社会保障、国税、地方税、防災の各事務に係る関係省令によって、詳細が規定されます。国税に関する財務省令は平成26年7月、それ以外の関係省令も平成26年秋頃までに公布される見込みです。(2014年6月回答)
※ちなみに現在、源泉徴収票の新モデルは公開されており、従業員本人はもとより、扶養親族すべての氏名と個人番号も印字させる様式になっています(筆者注)。
Q4-1-5 小規模な事業者でもマイナンバーを取り扱い、特定個人情報の保護措置を講じなければならないのですか?
A4-1-5 小規模な事業者も、法で定められた社会保障や税などの手続きで、従業員などのマイナンバーを取り扱うことになり、[Q4-4-1]でお答えしているような個人情報の保護措置を講じる必要があります。小規模な事業者は、個人情報保護法の義務の対象外ですが、番号法の義務は規模に関わらず全ての事業者に適用されます。(2014年7月回答)
Q4-2-3 従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得する際は、利用目的を明示しなければならないのですか。番号法のどこに規定されていますか?
A4-2-3 [Q5-5]にあるとおり、番号法に特段の規定がない限り、マイナンバーを含む特定個人情報にも個人情報保護法が適用されるので、同法第18条に基づき、マイナンバーを取得するときは、利用目的を本人に通知又は公表しなければなりません。 なお、複数の利用目的をまとめて明示することは可能ですが、[Q4-2-4]のとおり、利用目的を後から追加することはできません。(2014年7月回答)
Q4-2-4 源泉徴収のために取得した従業員のマイナンバー(個人番号)を社会保険の手続で利用するなど、ある個人番号関係事務のために取得した特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)を別の個人番号関係事務に利用することはできますか?
A4-2-4 マイナンバーを含む特定個人情報については、番号法第29条第3項により読み替えられた個人情報保護法第16条が適用されるため、本人の同意の有無にかかわらず、利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用することはできません。このため、源泉徴収のために取得したマイナンバーは源泉徴収に関する事務に必要な限度でのみ利用が可能です。なお、[Q4-2-3]のとおり、従業員からマイナンバーを取得する際に、源泉徴収や健康保険の手続きなど、マイナンバーを利用する事務・利用目的を包括的に明示して取得し、利用することは差し支えありません。(2014年7月更新)
Q4-2-5 従業員や金融機関の顧客などがマイナンバー(個人番号)の提供を拒んだ場合、どうすればよいですか?
A4-2-5 社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。(2014年7月回答)
Q4-3-1 従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得するときは、どのように本人確認を行えばよいのでしょうか。また、対面以外の方法(郵送、オンライン、電話)でマイナンバーを取得する場合はどのように本人確認を行えばよいのでしょうか。
A4-3-1 マイナンバーを取得する際は、正しい番号であることの確認(番号確認)と現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要であり、原則として、
1. 個人番号カード(番号確認と身元確認)
2.通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
3.個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
のいずれかの方法で確認する必要があります。ただし、これらの方法が困難な場合は、過去に本人確認を行って作成したファイルで番号確認を行うことなども認められます。また、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは身元確認を不要とすることも認められます。詳しくは、下の表のとおりです。また、対面だけでなく、郵送、オンライン、電話によりマイナンバーを取得する場合にも、同様に番号確認と身元確認が必要となります。(2014年7月更新)
Q4-3-6 従業員の扶養家族のマイナンバー(個人番号)を取得するときは、事業者が扶養家族の本人確認も行わなければならないのでしょうか?
A4-3-6 扶養家族の本人確認は、各制度の中で扶養家族のマイナンバーの提供が誰に義務づけられているのかによって異なります。例えば、税の年末調整では、従業員が、事業主に対してその扶養家族のマイナンバーの提供を行うこととされているため、従業員は個人番号関係事務実施者として、その扶養家族の本人確認を行う必要があります。この場合、事業主が、扶養家族の本人確認を行う必要はありません。一方、国民年金の第3号被保険者の届出では、従業員の配偶者(第3号被保険者)本人が事業主に対して届出を行う必要がありますので、事業主が当該配偶者の本人確認を行う必要があります。通常は従業員が配偶者に代わって事業主に届出をすることが想定されますが、その場合は、従業員が配偶者の代理人としてマイナンバーを提供することとなりますので、事業主は代理人からマイナンバーの提供を受ける場合の本人確認を行う必要があります。なお、配偶者からマイナンバーの提供を受けて本人確認を行う事務を事業者が従業員に委託する方法も考えられます。(2014年7月回答)
Q4-5-1 子会社などに出向・転籍する場合、従業員の特定個人情報(マイナンバー(個人番号)を含む個人情報)を出向・転籍先に提供することに問題はありますか?
A4-5-1 出向・転籍先の事業者に特定個人情報を提供すること、出向・転籍元の事業者から特定個人情報を取得することは、番号法第19条、第20条に違反するので、出向・転籍先の事業者が直接本人から提供を受けていただく必要があります。ただし、従業員の出向・転籍元の事業者が、出向・転籍先の事業者と委託契約又は代理契約を交わして個人番号関係事務の一部を受託し、従業員から番号の告知を受け、本人確認を行うこととされている場合は、出向・転籍元の事業者が改めて本人確認を行った上で、出向・在籍先の事業者に特定個人情報を提供することも認められます。
なお、出向・転籍元の事業者が現に保有している特定個人情報は、当該事業者の個人番号関係事務の処理のために保有しているものであり、これを出向・転籍先の事業者の個人番号関係事務に転用することは目的外利用となるため、出向・転籍先の事業者の個人番号関係事務の受託者として、改めて本人から番号の告知を受ける必要があります。(2014年6月回答)
Q4-5-3 事業者が取得した従業員やその扶養家族のマイナンバー(個人番号)を当該従業員などが加入している健康保険組合に提供してもよいですか?
A4-5-3 健康保険法等の法令の規定により、事業主が健康保険組合に対して、従業員やその扶養家族のマイナンバーの提供を行うこととされている場合には、個人番号利用事務実施者である健康保険組合に対して、事業者は個人番号関係事務実施者になるので、事業者から健康保険組合にマイナンバーを提供することは可能です。なお、事業者がマイナンバーを取得するにあたっては、健康保険に関する個人番号関係事務において利用することを明示しておく必要があります。(2014年7月回答)
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
●人事総務事務に大きな影響が。いよいよ見えてきた、マイナンバー制度の概要 その1 (H26.12月号)
~全ての民間事業者は2015年中には対応する必要があります~
皆様はご存知でしょうか。2016年からマイナンバー制度が運用開始されることを。そのために全ての事業者が来年2015年中には何らかの対応策を講ずる必要があることを。
マイナンバーとは全国民に12桁の番号を振り出して、所得や年金などの受給状況を把握しやすくし、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止することを主眼としながら、国民の利便性の向上を企図して2016年1月から運用開始されるものです。2015年の10月から順次、マイナンバー通知書が送られて来ますので、その後各自が自治体へ出向き、顔写真付の個人番号カード(マイナンバーカード)の発行手続きを行います。カードには「氏名」「住所」「性別」「生年月日」の4情報がICチップと共に記載されますが、当面はその他の健康情報や所得情報は収録されません。また身分証明書としても利用可能になります。
また法人にも同様に13桁の番号が振り出され、これはインターネット上でも公開される予定です。
このマイナンバーは、当面の間、社会保障関係の手続き、税務関係の手続きにおいて利用されます。役所でいうと、「自治体」「税務署」「全国健康保険協会または健康保険組合」「日本年金機構」「ハローワーク」で使用されます。具体的には「健康保険や年金の資格取得手続き」、「ハローワークへの資格取得手続き」、「税務署に提出する源泉徴収票ほかの法定調書」、「自治体へ届出する給与支払報告書」などで、人事総務部門や経理部門にとっては非常に身近な日常業務で必要となってきます。これらの事務においてその届出書にその従業員のマイナンバーを必ず記載しなければならず、また健康保険の被扶養者や源泉徴収における扶養親族に関しても、事業所の方でマイナンバーを収集し、記載して行かなければなりません。つまり赤ん坊が生まれたから保険証を作るとか、所得控除を受けるために扶養家族として扶養控除等申告書に記載してもらう場面など、極めて日常的にマイナンバーを取り扱うこととなるのです。また会社から出す書類にもそれぞれ法人番号の記載が必要となります。
このシステムは上述の役所間において横串で一元的に管理されるのではなく、今まで通り各役所で分散管理する情報を、情報提供ネットワークシステムを通じて、情報照会及び提供が行われる仕組みのようです。また独立した特定個人情報保護委員会の設置により、指導・監督・立入検査等が行われ、個人でもマイポータルにより、自分の情報が役所間でどのように使われたかを確認できることとなります(マイポータルは2018年1月開始予定)。さらにマイナンバーを不正に提供したり盗用したりした場合の罰則が個人情報保護法よりも強化され、直接の行為者だけでなく、法人も連帯して責任を問われることとなります。
先ほども言いましたが、運用は2016年1月からですのであと1年ありますが、この間に様々な対応が迫られることとなり、またスムーズな運用のためには事前に知識を付けておく必要もあり、準備作業に迫られることとなります。考えられる必要な対策及びスケジュールは以下の通りです。
【会社が2015年中に行っておくべきこと】
1.総務部門を中心とした従業員研修及び社内体制の整備
2.情報システム(人事給与計算ソフト、会計ソフト等)の改修
【会社が2016年に行うこと】
1.在職社員(パート含む)全員及び扶養家族からのマイナンバーの収集
2.社会保険手続き、税金関係手続き(年末調整、退職者への源泉徴収票、住民税異動)におけるマイナンバーの使用
※2016年中に退職される方に源泉徴収票を発行するときから、その都度記載が必要。
※社会保険関係手続きは2016年から開始できるか微妙。年末調整は2016年分から開始。
※マイナンバーの収集作業は、かなり事務負担になると思われる。
【会社が2017年に行うこと】
1.法定調書(給与支払報告書、報酬の支払調書、不動産使用等の支払調書など、2017年1月末期限のもの)におけるマイナンバーの使用
また、情報システムの改修に関してはある程度の費用は避けられず、業務ソフト会社または事務委託先と連携を取って進める必要があるでしょう。また社内体制の整備に関しては、「安全管理措置」を取ることが求められており、具体的には以下の6点です(100人以下の中小事業者は緩やかな措置で可能となる見込み)。
(1)基本方針の策定
(2)取扱規程の策定
(3)組織的安全管理措置
(4)人的安全管理措置
(5)物理的安全管理措置
(6)技術的安全管理措置
以下順に簡潔に見てゆきます
(1)基本方針の策定について
◆関係法令、ガイドラインを把握し、遵守すること
◆質問、苦情処理の窓口を設けるなど
(2)取扱規程の策定について
◆マイナンバーの取扱い方法、責任者や事務取扱者、その任務等を以下の管理段階ごとに定める
ア.取得する段階
イ.利用を行う段階
ウ.保存する段階
エ.提供を行う段階
オ.消去・廃棄を行う段階
(3)組織的安全管理措置について
◆事務における責任者の設置及び責任の明確化
◆事務取扱者の事務範囲の明確化や取扱規程に違反する場合の報告連絡体制
◆利用、消去、持ち出し、アクセスなどを記録化すること
◆情報漏洩等事故発生時の体制整備など
(4)人的安全管理措置について
◆事務取扱者に対する監督と教育
◆就業規則への記載など
(5)物理的安全管理措置について
◆管理区域を指定し、機器の持ち込み制限
◆ICカード等による入退室管理システム
◆間仕切りの設置や座席配置の工夫
◆キャビネット・書庫への施錠
◆データの暗号化やパスワードによる保護
◆廃棄媒体の物理的破壊や専用のデータ消去ソフトの使用
◆保存年限を経過した個人番号の自動消去システムの構築など
(6)技術的安全管理措置
◆ユーザーIDの付与、磁気カードの使用など内部アクセス制御システムの構築
◆ファイアーウォールなど外部からの不正アクセスの防止
◆データの暗号化やパスワードによる保護など
以下次号にて
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
ページ移動
前へ
1,2, ... ,12,13,14, ... ,30,31
次へ
Page 13 of 31
~全ての民間事業者は2015年中には対応する必要があります~
皆様はご存知でしょうか。2016年からマイナンバー制度が運用開始されることを。そのために全ての事業者が来年2015年中には何らかの対応策を講ずる必要があることを。
マイナンバーとは全国民に12桁の番号を振り出して、所得や年金などの受給状況を把握しやすくし、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止することを主眼としながら、国民の利便性の向上を企図して2016年1月から運用開始されるものです。2015年の10月から順次、マイナンバー通知書が送られて来ますので、その後各自が自治体へ出向き、顔写真付の個人番号カード(マイナンバーカード)の発行手続きを行います。カードには「氏名」「住所」「性別」「生年月日」の4情報がICチップと共に記載されますが、当面はその他の健康情報や所得情報は収録されません。また身分証明書としても利用可能になります。
また法人にも同様に13桁の番号が振り出され、これはインターネット上でも公開される予定です。
このマイナンバーは、当面の間、社会保障関係の手続き、税務関係の手続きにおいて利用されます。役所でいうと、「自治体」「税務署」「全国健康保険協会または健康保険組合」「日本年金機構」「ハローワーク」で使用されます。具体的には「健康保険や年金の資格取得手続き」、「ハローワークへの資格取得手続き」、「税務署に提出する源泉徴収票ほかの法定調書」、「自治体へ届出する給与支払報告書」などで、人事総務部門や経理部門にとっては非常に身近な日常業務で必要となってきます。これらの事務においてその届出書にその従業員のマイナンバーを必ず記載しなければならず、また健康保険の被扶養者や源泉徴収における扶養親族に関しても、事業所の方でマイナンバーを収集し、記載して行かなければなりません。つまり赤ん坊が生まれたから保険証を作るとか、所得控除を受けるために扶養家族として扶養控除等申告書に記載してもらう場面など、極めて日常的にマイナンバーを取り扱うこととなるのです。また会社から出す書類にもそれぞれ法人番号の記載が必要となります。
このシステムは上述の役所間において横串で一元的に管理されるのではなく、今まで通り各役所で分散管理する情報を、情報提供ネットワークシステムを通じて、情報照会及び提供が行われる仕組みのようです。また独立した特定個人情報保護委員会の設置により、指導・監督・立入検査等が行われ、個人でもマイポータルにより、自分の情報が役所間でどのように使われたかを確認できることとなります(マイポータルは2018年1月開始予定)。さらにマイナンバーを不正に提供したり盗用したりした場合の罰則が個人情報保護法よりも強化され、直接の行為者だけでなく、法人も連帯して責任を問われることとなります。
先ほども言いましたが、運用は2016年1月からですのであと1年ありますが、この間に様々な対応が迫られることとなり、またスムーズな運用のためには事前に知識を付けておく必要もあり、準備作業に迫られることとなります。考えられる必要な対策及びスケジュールは以下の通りです。
【会社が2015年中に行っておくべきこと】
1.総務部門を中心とした従業員研修及び社内体制の整備
2.情報システム(人事給与計算ソフト、会計ソフト等)の改修
【会社が2016年に行うこと】
1.在職社員(パート含む)全員及び扶養家族からのマイナンバーの収集
2.社会保険手続き、税金関係手続き(年末調整、退職者への源泉徴収票、住民税異動)におけるマイナンバーの使用
※2016年中に退職される方に源泉徴収票を発行するときから、その都度記載が必要。
※社会保険関係手続きは2016年から開始できるか微妙。年末調整は2016年分から開始。
※マイナンバーの収集作業は、かなり事務負担になると思われる。
【会社が2017年に行うこと】
1.法定調書(給与支払報告書、報酬の支払調書、不動産使用等の支払調書など、2017年1月末期限のもの)におけるマイナンバーの使用
また、情報システムの改修に関してはある程度の費用は避けられず、業務ソフト会社または事務委託先と連携を取って進める必要があるでしょう。また社内体制の整備に関しては、「安全管理措置」を取ることが求められており、具体的には以下の6点です(100人以下の中小事業者は緩やかな措置で可能となる見込み)。
(1)基本方針の策定
(2)取扱規程の策定
(3)組織的安全管理措置
(4)人的安全管理措置
(5)物理的安全管理措置
(6)技術的安全管理措置
以下順に簡潔に見てゆきます
(1)基本方針の策定について
◆関係法令、ガイドラインを把握し、遵守すること
◆質問、苦情処理の窓口を設けるなど
(2)取扱規程の策定について
◆マイナンバーの取扱い方法、責任者や事務取扱者、その任務等を以下の管理段階ごとに定める
ア.取得する段階
イ.利用を行う段階
ウ.保存する段階
エ.提供を行う段階
オ.消去・廃棄を行う段階
(3)組織的安全管理措置について
◆事務における責任者の設置及び責任の明確化
◆事務取扱者の事務範囲の明確化や取扱規程に違反する場合の報告連絡体制
◆利用、消去、持ち出し、アクセスなどを記録化すること
◆情報漏洩等事故発生時の体制整備など
(4)人的安全管理措置について
◆事務取扱者に対する監督と教育
◆就業規則への記載など
(5)物理的安全管理措置について
◆管理区域を指定し、機器の持ち込み制限
◆ICカード等による入退室管理システム
◆間仕切りの設置や座席配置の工夫
◆キャビネット・書庫への施錠
◆データの暗号化やパスワードによる保護
◆廃棄媒体の物理的破壊や専用のデータ消去ソフトの使用
◆保存年限を経過した個人番号の自動消去システムの構築など
(6)技術的安全管理措置
◆ユーザーIDの付与、磁気カードの使用など内部アクセス制御システムの構築
◆ファイアーウォールなど外部からの不正アクセスの防止
◆データの暗号化やパスワードによる保護など
以下次号にて
小規模企業の賃金制度を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com