10年04月07日
今年は人育ての年にしよう~個人面談のすすめ~
今年は人育ての年にしよう~個人面談のすすめ(H22.1月号の記事)
明けましておめでとうございます。昨年はこのメルマにお付き合いいただきまして、大変ありがとうございました。本年も人事労務に関する話題や情報を毎月2回発信してまいりますので、よろしくお願いいたします。
さて昨年は一年を通して、経済状態が非常に厳しい1年でした。現在も私共の多くのクライアントにおいて、雇用調整助成金をご利用いただいております。今年は反転するのか、それともまだ2番底があるのか、予断を許しません。今の経営は灯台のない暗黒の大海原を航行しなければならない時代です。経営者は大変です。しかし昨年最後のメルマガでも申し上げましたが、結局我々普通の経営者は、経営の王道を見失わないこと、それを灯台にするしかないと思うのです。
そうだとすると経営者として人事労務分野で、今年は何をなさいますか?もし具体的にこうしようとの計画がなければ、今年は個人面談を行うことを目標にされてはいかがでしょうか。
1.何を面談するか
面談する目的を明確にしましょう。目的とは「何とためにするのか」という動機付けです。そして中小経営者が従業員と個人面談する最大の目的は、「経営の意思の伝達とフィードバック」の作業だと思うのです。これを噛み砕いて申しますと、経営者はその従業員に何を期待しているのか、どうなって欲しいのかを伝え、従業員からそれに対しての反応をもらい、経営者と従業員の意思の溝を埋めてゆく作業だと思います。改まって意思表示するとき、何かきっかけがないとどうもやりにくいものです。飲みに行ったときか、もしくは個人面談のときがそのきっかけとなります。例えば当事務所の場合、営業職員には現在、次の5項目を大項目の課題として、挙げています。1知識 2役職者として(一般従業員は正確かつスピード 段取り) 3お客さん 4自己目標 5執務態度。そして各々大項目からさらに細分化した「重点的に見る視点」、「例えばこんなこと」として具体的な行動の例を挙げています。執務態度には良い社風を醸成するための10項目の行動指針が入れてあります(例えば、自分から元気よく挨拶している、注意指導には謙虚に従っている、うそをつかないなど)。
とにかく向こう1年間または半年間、何を面談の俎上に乗せて行くのかを明確にしておきます。ここで重要なことは経営者の思いを一所懸命伝えることです。
2.どのくらいの頻度で行うか
1年に1回だけですと、忘れます。かといってそう頻繁にもできません。適度な頃合と言うほかありませんが、できれば毎月1回、長くとも半年に1回は行いたいものです。できれば短い時間で毎月、月初とか給与支給日とか決めて行うのがいいと思います。年2回のボーナス支給のときは、特にメッセージを伝える良い機会です。ただ明細を渡す作業だけになっているのはもったいないですから、必ず行いたいものです。
3.どのくらいの時間で行うか
これも適度な頃合と言うほかありませんが、毎月行うなら双方負担にならないように、5分や10分程度でもいいでしょう。半年に1回の総括では、少し時間を取りたいものです。
4.どのようなツールを使用すればいいのか
面談項目、やる頻度が決まりましたら、1で決定した重点面談項目をペーパーに落とし、それを挟んで話をします。あまり分量が多くならないよう、せいぜい最大でもA3用紙1枚までに収まるようにしましょう。読み込まなければ分からない長文は避け、できるだけ簡単に記載しましょう。
5.どのように行うのか
まず自己申告をしてもらいましょう。毎月チェックするなら、簡単な◎○△×でもいいし、5・4・3・2・1でもいいでしょう。ペーパーはあくまでも方便に過ぎません。大事なのは「経営の意思の伝達とフィードバック」です。経営者の思いが伝わっているかの確認作業です。そのためのきっかけ作りです。決して査定だけに使用することはしないようにしましょう。
どうかこの1年が皆様にとりまして、明るい年となりますよう、お祈りいたします。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
明けましておめでとうございます。昨年はこのメルマにお付き合いいただきまして、大変ありがとうございました。本年も人事労務に関する話題や情報を毎月2回発信してまいりますので、よろしくお願いいたします。
さて昨年は一年を通して、経済状態が非常に厳しい1年でした。現在も私共の多くのクライアントにおいて、雇用調整助成金をご利用いただいております。今年は反転するのか、それともまだ2番底があるのか、予断を許しません。今の経営は灯台のない暗黒の大海原を航行しなければならない時代です。経営者は大変です。しかし昨年最後のメルマガでも申し上げましたが、結局我々普通の経営者は、経営の王道を見失わないこと、それを灯台にするしかないと思うのです。
そうだとすると経営者として人事労務分野で、今年は何をなさいますか?もし具体的にこうしようとの計画がなければ、今年は個人面談を行うことを目標にされてはいかがでしょうか。
1.何を面談するか
面談する目的を明確にしましょう。目的とは「何とためにするのか」という動機付けです。そして中小経営者が従業員と個人面談する最大の目的は、「経営の意思の伝達とフィードバック」の作業だと思うのです。これを噛み砕いて申しますと、経営者はその従業員に何を期待しているのか、どうなって欲しいのかを伝え、従業員からそれに対しての反応をもらい、経営者と従業員の意思の溝を埋めてゆく作業だと思います。改まって意思表示するとき、何かきっかけがないとどうもやりにくいものです。飲みに行ったときか、もしくは個人面談のときがそのきっかけとなります。例えば当事務所の場合、営業職員には現在、次の5項目を大項目の課題として、挙げています。1知識 2役職者として(一般従業員は正確かつスピード 段取り) 3お客さん 4自己目標 5執務態度。そして各々大項目からさらに細分化した「重点的に見る視点」、「例えばこんなこと」として具体的な行動の例を挙げています。執務態度には良い社風を醸成するための10項目の行動指針が入れてあります(例えば、自分から元気よく挨拶している、注意指導には謙虚に従っている、うそをつかないなど)。
とにかく向こう1年間または半年間、何を面談の俎上に乗せて行くのかを明確にしておきます。ここで重要なことは経営者の思いを一所懸命伝えることです。
2.どのくらいの頻度で行うか
1年に1回だけですと、忘れます。かといってそう頻繁にもできません。適度な頃合と言うほかありませんが、できれば毎月1回、長くとも半年に1回は行いたいものです。できれば短い時間で毎月、月初とか給与支給日とか決めて行うのがいいと思います。年2回のボーナス支給のときは、特にメッセージを伝える良い機会です。ただ明細を渡す作業だけになっているのはもったいないですから、必ず行いたいものです。
3.どのくらいの時間で行うか
これも適度な頃合と言うほかありませんが、毎月行うなら双方負担にならないように、5分や10分程度でもいいでしょう。半年に1回の総括では、少し時間を取りたいものです。
4.どのようなツールを使用すればいいのか
面談項目、やる頻度が決まりましたら、1で決定した重点面談項目をペーパーに落とし、それを挟んで話をします。あまり分量が多くならないよう、せいぜい最大でもA3用紙1枚までに収まるようにしましょう。読み込まなければ分からない長文は避け、できるだけ簡単に記載しましょう。
5.どのように行うのか
まず自己申告をしてもらいましょう。毎月チェックするなら、簡単な◎○△×でもいいし、5・4・3・2・1でもいいでしょう。ペーパーはあくまでも方便に過ぎません。大事なのは「経営の意思の伝達とフィードバック」です。経営者の思いが伝わっているかの確認作業です。そのためのきっかけ作りです。決して査定だけに使用することはしないようにしましょう。
どうかこの1年が皆様にとりまして、明るい年となりますよう、お祈りいたします。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
10年04月07日
経営者の危うい感覚 それはトラブルのモトです
経営者の危うい感覚 それはトラブルのモトです(H21.12月号の記事)
~今までは通用したかもしれないけれど~
私が社会保険労務士業を始めて来年で13年目に入ります。この間、不幸にして労使間に様々なトラブルが発生し、その都度経営者の立場でアドバイスを申し上げてきました。第三者の立場から見て、明らかに労働者に問題がある というケースもありますが、労使紛争には程度の差はあれ、労使どちらにもそれなりに帰責事由があるというのが私の実感です。
紛争は解雇事案を筆頭に、退職勧奨、賃金不払い、労働条件の引き下げ、いじめ・いやがらせ、離職事由をめぐる紛争など様々な類型がありますが、ここでは私が経験した中で、紛争の根にある経営者の危うい感覚を申し上げたいと思います。これらの紛争は法律上の権利義務関係をめぐる民事紛争の一形態なのですが、その根っこには、そこへ至るまでに労使間の感情的な鬱積があるのが普通です。いわば不満や恨みの蓄積が権利義務と結びついたときに、紛争として表面化します。 どうか対岸の火事と考えず、一つでも思い当たる節がないか、自問自答していただければ幸いです。
1.給料を自由に減額できるという感覚
経営が苦しいから給料は当然に下げても構わないとか、その月の総支給額を見て今月は多いと思えば事後的に調整するとか、個別の同意や理解を得ることなく勝手に従業員の給料を操作するというものです。
2.給与明細を自由に変更できるという感覚
1とは違い、総支給額自体を引き下げるということではありませんが、基本給や手当の内訳構成を勝手に変更するというものです。これも不信感の温床となります。
3.社会保険料を引き下げても良いという感覚
社会保険料の企業負担は確かに重いものです。できたら何とか軽くしたい気持ちは分かります。しかし実際の報酬額を申告せず、低い額で申告し、負担を抑えようとするのは常識論ではなく、もはや犯罪です。今問題になっている「消された年金」の一形態です。
4.有給休暇は当社にはない、又は○日しかないという感覚
使用者が労務管理上嫌がられる最たるものに、有給休暇があります。有給休暇が濫用されるかどうかは社風にもよるのですが、これについての私の考え方はかつてH19.11月号にて述べておりますのでここでは割愛しますが、「うちには最初からそんなものない!」と公言する感覚は非常に危険と言わざるを得ません。また○日までなら認めるというのも同様です。
5.就業規則を無視する感覚
就業規則(特に賃金規程)を無視して、使用者の裁量を優先させる場合も危険のタネです。就業規則には「皆勤手当は無欠勤時に支給する」と記載があるにもかかわらず、今回は遅刻があったからカットしとくというような感覚です。書いてあるルールと実際のルールがあっていない場合は、現状に合わせればいいのですが、最初から軽く考えて無視するのは後々禍根を残すことになります。
6.公私混同する感覚
労働契約の本質使用従属関係です。使用者は自らの管理下において指揮命令する権限を持っています。そして基本的に従業員はその命令に従わなければなりません。しかしそれはあくまでも業務に関してであり、私生活上の全人格まで売り渡しているわけではありません。たとえ関連会社の業務でも直接雇用関係のない会社の業務に従事させる場合においては「すまないな」くらいの遠慮が必要ですが、個人的な引越しの手伝いとかは問題外です。
7.権力の行使を拡大させる感覚
6で言いましたように、労働契約は使用従属関係です。したがって使用者が従業員にパワーを行使するのは当たり前です。しかしそれは適切に行使する必要があります。パワハラと呼ばれる事案は、このパワーの行使が人格否定に使われたときに紛争として顕在化します。使用者には人事権がありますが、生身の「人」と事物を表す「事」という言葉が組み合わさって、「人事」になっていることを忘れてはなりません。つまり事に焦点を当てずに人に焦点を当て過ぎると相手に恨みを買うだけになるのです。
8.人をモノ扱いにする感覚
7の人格否定の話に通ずるのですが、この厳しいデフレ経済化における価格競争を勝ち抜くために、間違った人件費カットをしていないでしょうか。勿論どうしようもない従業員も一部にいることは事実ですが、そのほとんどは平均的人物です。その人にも人生があります。大切に育てた親御さんがいます。その人に生計を共にしている配偶者がいます。その人に育てられている子供がいます。生身の人間を経理上の経費として見ている感覚も危険なタネです。
9.労働法を守ると会社が潰れるという感覚
労働基準法や社会保険諸法令は道路交通法のようなもので、生活に密着した法律ですが、なかなかそのすべてを遵守するのは難しいものです。すべての車が法定速度以内で走ってないようなものでしょう。しかしだからと言って最初から守らなくいいとか、守る気がないというのは話が別です。よく法律論の話をすると、「そんなことしていたら会社が潰れる」と伝家の宝刀のように言われるケースがありますが、本当に潰れるのでしょうか。言い訳にしていないでしょうか?。
10.ばれなければOKという感覚
最近品格という言葉がはやっていますが、経営にも品格なるものがあるような気がするのです。何をやってもばれなければOKという感覚。儲かりさえすればいいという感覚。これもトラブルの温床になります。従業員は経営者の姿を見ています。完全無欠な聖人君子を誰も求めていませんが、自ずと信頼できる経営者かどうかを判断しています。
11.ヒステリーな感覚
これは感覚というより性格的なものかもしれませんが、経営者がヒステリーを起こすと従業員は絶対についてきません。自分の思い通りにならないとき、ミスしたとき、忙しいとき、虫の居所が悪いときなどにその傾向があります。一事が万事。ヒステリーをおこされた従業員はその悪い印象をずっと脳裏に刻んでいます。
12.パート、試用期間は労働者でないという感覚
これも社会保険の適用や解雇などの場面でよく遭遇する事案です。経営者の中には正社員だけが常用雇用の従業員と考えておられることがしばしばあります。確かに社会保険の適用対象にならない勤務形態のパートはいますし、試用期間は解雇権が比較的広いなどの相違はありますが、雇った以上はどのような形態であれ、会社の従業員です。パートだから、試用期間中だからといって、無原則に経営者の裁量権が認められるわけではありません。
13.小さな約束なんて大したことないという感覚
経営者から見れば、従業員は10分の1であり50分の1の存在かもしれません。しかし従業員から見れば常に1対1の関係であることを忘れてはならないと思うのです。そしてこの感覚は小さな約束の場面でよく見られます。経営者からみれば些細な約束ごとでも、相手はよく覚えています。紛争後によく分かることですが、そんな些細なことで、と思われることが遠因となっているケースが多いのです。
14.従業員はバカだという感覚
これは経営者の人間観に帰する事柄かも知れません。たしかに退路を断って仕事に打ち込む経営者から見れば、ほとんどの平均的な人は物足りなく映るかもしれません。しかし経営者とサラリーマンの背負っているリスクの大きさが全然違うため、その溝は簡単に埋まりません。それよりも、我が社に働きに来ている人間に対しては、雇った以上責任があるのだから、お客様の幸せの次に従業員を幸せを本気で考えていれば、誤解を恐れずに言えば、多少の労働法違反があっても、大問題には発展しません。お客様から頂いた利益で経営者と従業員がWIN・WINの関係になりたい思いを出すのです。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~今までは通用したかもしれないけれど~
私が社会保険労務士業を始めて来年で13年目に入ります。この間、不幸にして労使間に様々なトラブルが発生し、その都度経営者の立場でアドバイスを申し上げてきました。第三者の立場から見て、明らかに労働者に問題がある というケースもありますが、労使紛争には程度の差はあれ、労使どちらにもそれなりに帰責事由があるというのが私の実感です。
紛争は解雇事案を筆頭に、退職勧奨、賃金不払い、労働条件の引き下げ、いじめ・いやがらせ、離職事由をめぐる紛争など様々な類型がありますが、ここでは私が経験した中で、紛争の根にある経営者の危うい感覚を申し上げたいと思います。これらの紛争は法律上の権利義務関係をめぐる民事紛争の一形態なのですが、その根っこには、そこへ至るまでに労使間の感情的な鬱積があるのが普通です。いわば不満や恨みの蓄積が権利義務と結びついたときに、紛争として表面化します。 どうか対岸の火事と考えず、一つでも思い当たる節がないか、自問自答していただければ幸いです。
1.給料を自由に減額できるという感覚
経営が苦しいから給料は当然に下げても構わないとか、その月の総支給額を見て今月は多いと思えば事後的に調整するとか、個別の同意や理解を得ることなく勝手に従業員の給料を操作するというものです。
2.給与明細を自由に変更できるという感覚
1とは違い、総支給額自体を引き下げるということではありませんが、基本給や手当の内訳構成を勝手に変更するというものです。これも不信感の温床となります。
3.社会保険料を引き下げても良いという感覚
社会保険料の企業負担は確かに重いものです。できたら何とか軽くしたい気持ちは分かります。しかし実際の報酬額を申告せず、低い額で申告し、負担を抑えようとするのは常識論ではなく、もはや犯罪です。今問題になっている「消された年金」の一形態です。
4.有給休暇は当社にはない、又は○日しかないという感覚
使用者が労務管理上嫌がられる最たるものに、有給休暇があります。有給休暇が濫用されるかどうかは社風にもよるのですが、これについての私の考え方はかつてH19.11月号にて述べておりますのでここでは割愛しますが、「うちには最初からそんなものない!」と公言する感覚は非常に危険と言わざるを得ません。また○日までなら認めるというのも同様です。
5.就業規則を無視する感覚
就業規則(特に賃金規程)を無視して、使用者の裁量を優先させる場合も危険のタネです。就業規則には「皆勤手当は無欠勤時に支給する」と記載があるにもかかわらず、今回は遅刻があったからカットしとくというような感覚です。書いてあるルールと実際のルールがあっていない場合は、現状に合わせればいいのですが、最初から軽く考えて無視するのは後々禍根を残すことになります。
6.公私混同する感覚
労働契約の本質使用従属関係です。使用者は自らの管理下において指揮命令する権限を持っています。そして基本的に従業員はその命令に従わなければなりません。しかしそれはあくまでも業務に関してであり、私生活上の全人格まで売り渡しているわけではありません。たとえ関連会社の業務でも直接雇用関係のない会社の業務に従事させる場合においては「すまないな」くらいの遠慮が必要ですが、個人的な引越しの手伝いとかは問題外です。
7.権力の行使を拡大させる感覚
6で言いましたように、労働契約は使用従属関係です。したがって使用者が従業員にパワーを行使するのは当たり前です。しかしそれは適切に行使する必要があります。パワハラと呼ばれる事案は、このパワーの行使が人格否定に使われたときに紛争として顕在化します。使用者には人事権がありますが、生身の「人」と事物を表す「事」という言葉が組み合わさって、「人事」になっていることを忘れてはなりません。つまり事に焦点を当てずに人に焦点を当て過ぎると相手に恨みを買うだけになるのです。
8.人をモノ扱いにする感覚
7の人格否定の話に通ずるのですが、この厳しいデフレ経済化における価格競争を勝ち抜くために、間違った人件費カットをしていないでしょうか。勿論どうしようもない従業員も一部にいることは事実ですが、そのほとんどは平均的人物です。その人にも人生があります。大切に育てた親御さんがいます。その人に生計を共にしている配偶者がいます。その人に育てられている子供がいます。生身の人間を経理上の経費として見ている感覚も危険なタネです。
9.労働法を守ると会社が潰れるという感覚
労働基準法や社会保険諸法令は道路交通法のようなもので、生活に密着した法律ですが、なかなかそのすべてを遵守するのは難しいものです。すべての車が法定速度以内で走ってないようなものでしょう。しかしだからと言って最初から守らなくいいとか、守る気がないというのは話が別です。よく法律論の話をすると、「そんなことしていたら会社が潰れる」と伝家の宝刀のように言われるケースがありますが、本当に潰れるのでしょうか。言い訳にしていないでしょうか?。
10.ばれなければOKという感覚
最近品格という言葉がはやっていますが、経営にも品格なるものがあるような気がするのです。何をやってもばれなければOKという感覚。儲かりさえすればいいという感覚。これもトラブルの温床になります。従業員は経営者の姿を見ています。完全無欠な聖人君子を誰も求めていませんが、自ずと信頼できる経営者かどうかを判断しています。
11.ヒステリーな感覚
これは感覚というより性格的なものかもしれませんが、経営者がヒステリーを起こすと従業員は絶対についてきません。自分の思い通りにならないとき、ミスしたとき、忙しいとき、虫の居所が悪いときなどにその傾向があります。一事が万事。ヒステリーをおこされた従業員はその悪い印象をずっと脳裏に刻んでいます。
12.パート、試用期間は労働者でないという感覚
これも社会保険の適用や解雇などの場面でよく遭遇する事案です。経営者の中には正社員だけが常用雇用の従業員と考えておられることがしばしばあります。確かに社会保険の適用対象にならない勤務形態のパートはいますし、試用期間は解雇権が比較的広いなどの相違はありますが、雇った以上はどのような形態であれ、会社の従業員です。パートだから、試用期間中だからといって、無原則に経営者の裁量権が認められるわけではありません。
13.小さな約束なんて大したことないという感覚
経営者から見れば、従業員は10分の1であり50分の1の存在かもしれません。しかし従業員から見れば常に1対1の関係であることを忘れてはならないと思うのです。そしてこの感覚は小さな約束の場面でよく見られます。経営者からみれば些細な約束ごとでも、相手はよく覚えています。紛争後によく分かることですが、そんな些細なことで、と思われることが遠因となっているケースが多いのです。
14.従業員はバカだという感覚
これは経営者の人間観に帰する事柄かも知れません。たしかに退路を断って仕事に打ち込む経営者から見れば、ほとんどの平均的な人は物足りなく映るかもしれません。しかし経営者とサラリーマンの背負っているリスクの大きさが全然違うため、その溝は簡単に埋まりません。それよりも、我が社に働きに来ている人間に対しては、雇った以上責任があるのだから、お客様の幸せの次に従業員を幸せを本気で考えていれば、誤解を恐れずに言えば、多少の労働法違反があっても、大問題には発展しません。お客様から頂いた利益で経営者と従業員がWIN・WINの関係になりたい思いを出すのです。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
10年04月07日
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合のQ&A
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合のQ&A(H21.11月号の記事)
~労働基準法上の標記問題に関する賃金支払についてQ&A方式の通達が出ました~
これから新型インフルエンザの本格的流行が懸念されています。このメルマガでも本年9月号において、感染予防を中心とした内容で発信させていただきましたが、労務管理上その休業に関しての賃金支払問題について、明確な通達がでておりませんでしたが、このたび下記の通り、一定の解釈が出ましたので、お知らせいたします。
以下厚労省の見解です。
感染拡大防止の観点からは、感染又は感染の疑いがある場合には、保健所の要請等に従い外出を自粛することその他感染拡大防止に努めることが重要ですが、その際、欠勤中の賃金の取扱については、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合、上記のとおり労使が協力して体制を整えていただくことが望まれますが、法律上、賃金の支払の必要性の有無等については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですが、一般的には以下ように考えられます。
※なお、以下は現時点の状況を基にしており、今後の新型インフルエンザの流行状況等に応じて保健所の要請等が変更される可能性がありますのでご留意ください。(平成21年9月時点)
Q1.労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合は、会社は労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染しており、医師等による指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。医師や保健所による指導や協力要請の範囲を超えて(外出自粛期間経過後など)休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q2.労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱えば足りるものであり、病気休暇制度を活用すること等が考えられます。一方、例えば熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q3.労働者が感染者と近くで仕事をしていたため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染している者の近くにおり、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q4.労働者の家族が感染したためその労働者を休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
家族が新型インフルエンザに感染している労働者について、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。協力要請等の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
なお、Q1~Q4で休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討する等休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
Q5.新型インフルエンザに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はありませんか。病気休暇を取得したこととする場合はどうですか。
年次有給休暇は原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものですので、使用者が一方的に取得させることはできません。事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則等の規定に照らし適切に取り扱ってください。
以上が、このたびの厚労省通達です。どうぞご参考にして下さい。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~労働基準法上の標記問題に関する賃金支払についてQ&A方式の通達が出ました~
これから新型インフルエンザの本格的流行が懸念されています。このメルマガでも本年9月号において、感染予防を中心とした内容で発信させていただきましたが、労務管理上その休業に関しての賃金支払問題について、明確な通達がでておりませんでしたが、このたび下記の通り、一定の解釈が出ましたので、お知らせいたします。
以下厚労省の見解です。
感染拡大防止の観点からは、感染又は感染の疑いがある場合には、保健所の要請等に従い外出を自粛することその他感染拡大防止に努めることが重要ですが、その際、欠勤中の賃金の取扱については、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。
新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合、上記のとおり労使が協力して体制を整えていただくことが望まれますが、法律上、賃金の支払の必要性の有無等については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですが、一般的には以下ように考えられます。
※なお、以下は現時点の状況を基にしており、今後の新型インフルエンザの流行状況等に応じて保健所の要請等が変更される可能性がありますのでご留意ください。(平成21年9月時点)
Q1.労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合は、会社は労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染しており、医師等による指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。医師や保健所による指導や協力要請の範囲を超えて(外出自粛期間経過後など)休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q2.労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱えば足りるものであり、病気休暇制度を活用すること等が考えられます。一方、例えば熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q3.労働者が感染者と近くで仕事をしていたため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
新型インフルエンザに感染している者の近くにおり、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。保健所による協力要請の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
Q4.労働者の家族が感染したためその労働者を休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要がありますか。
家族が新型インフルエンザに感染している労働者について、濃厚接触者であることなどにより保健所による協力要請等により労働者を休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。協力要請等の範囲を超えて休業させる場合や、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
なお、Q1~Q4で休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討する等休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
Q5.新型インフルエンザに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はありませんか。病気休暇を取得したこととする場合はどうですか。
年次有給休暇は原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものですので、使用者が一方的に取得させることはできません。事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則等の規定に照らし適切に取り扱ってください。
以上が、このたびの厚労省通達です。どうぞご参考にして下さい。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
10年04月01日
雇用契約書について考える~最初が肝心、トラブルのない取り決めを~
雇用契約書について考える~最初が肝心、トラブルのない取り決めを~(H21.10月号の記事)
多くの中小企業で雇用契約書の重要性が過小評価されています。そもそも口頭だけですませ、文書で交わしておられないケースも多くあるのが現状です。そこで今回のテーマは、よく雇い入れ後にトラブルになりやすい事案に絞って、雇用契約書の記載の仕方を考えたいと思います。
1.高い給与で雇ったが期待はずれの場合または既存の従業員より高い給与で雇わざるをえない場合
A 高い技術や貴重な経験を買いたいとき・前職の給与の水準を考慮するときなど。
ポイント→基本給水準を上げず、減額・取り外し可能な特別(保障)手当で対応する。
「記載例」
基本給 20万円 家族手当 2万円 通勤手当 1万円 特別(保障)手当 7万円
総合計 30万円
※特別(保障)手当は下記の職務能力(以下基準という)があることを見込んで、入社より3ヶ月間暫定的に保障し、職能に合わ せて見直しする。万が一基準を満たさないと会社が判断したときは、これを減額またはカットする。
(1).・・・・・・
(2).・・・・・・
B 特に技術者や銀行や親企業からの転籍者を年俸で雇う場合(年俸の保障を求められた場合)
仮に年俸700万円保障を言われたとすると、
ポイント→初年度は賞与込みで年俸を保証し、次年度からは賞与部分は変動給にする。
「記載例」
賃 金:基本給30万円 役職手当 10万円 家族手当 1万円 通勤手当2万円
総合計 43万円
賞 与:夏期 7月 100万円 冬期 12月 84万円(支払い月は変更することがある)
※賞与は入社後1年間はこの金額を保障し、2年目からは会社業績、勤務成績等を総合的に勘案して決定し、諸事情により支給しないこともある。
2.歩合(出来高給)のある従業員を雇う場合
ポイント→力のある営業員でも直ぐに成績を出すのは酷なので、最初の3ヶ月間は安心してもらう意味と、成績が悪い場合は、合理的に減額できる仕組みにする。
「記載例」
基本給 20万円 営業手当 2万円 歩合手当 3万円
総合計 25万円
1)営業手当は時間外手当相当額として支給する。
2)歩合手当は入社後3ヶ月の間、営業成績にかかわらず定額で支給し、歩合額がこれを上回るときはそれによる。3ヶ月経過後はカットし、営業成績に基づく歩合給に変更する。
3.時間外手当をどうしても超過時間に応じて支給できない場合
A 内込み残業代方式
ポイント→基本給の中に何時間分でいくらの残業代が内込みになっているのかを明確にする。
前提条件 月給 45万円 時間外労働時間数 45時間/月 1ヶ月平均160時間とすると
「記載例」
基本給45万円(基本部分 332,948円、時間外45時間分117,052円)
上記の計算式
①45時間×1.25=56.25時間
②45万円÷(160時間+56.25時間)=@2080.92
③@2080.92×160時間=332,948
④@2080.92×1.25×45時間=117,052円 ③+④=45万円
B 固定残業代方式(何時間分か)
ポイント→定額手当が時間外手当相当額であることを明記する。
前提条件 1ヶ月平均1所定労働時間160時間とすると
「記載例」
月給 45万円 営業手当10万円(内5万円を固定残業代とする)
上記の計算式
①(45万円+5万円)÷160時間=@3125
②5万円÷(3125×1.25)=12.8時間 12.8時間分までは支払い済みとなる。
C 年俸制方式(何時間分か)
ポイント→年俸の中に何時間分でいくらの時間外手当が内込みになっているのかを明確にする。
前提条件 年俸額 900万円(月給75万円) 1ヶ月平均160時間 年間残業時間数240時間(20時間/月) 年間休日労働時間数96時間(8時間/月)
(月給75万円の中に20時間分の時間外労働及び8時間分の休日割増分が含まれていることにしたい場合)
「記載例」
給与:年俸制 今年度年俸額900万円【月給 75万円(基本給612,870円 時間外手当95,761円 休日手当 41,369円)】
上記の計算式
①20時間×1.25=25時間
②8時間×1.35=10.8時間
③75万円÷(160時間+25時間+10.8時間)=@3830.43
④@3830.43×160時間=612,870円
⑤@3830.43×1.25×20時間=95,761円
⑥@3830.43×1.35×8時間=41,369円 ④+⑤+⑥=75万円
4.外勤(営業)職を雇う場合
ポイント→みなし労働時間を適用することをその意味を含めてきちんと説明する。
「記載例」
労働時間:9時00分~18時00分(実働8時間)
1)みなし労働時間制を採用する。
みなし労働時間制とは、事業場外労働と事業場内労働の両方がある場合でも、現実の労働時間にかかわりなく前記のみなした労働時間を実労働時間とするものであり、その効果は事後に変更されないものである。
5.試用期間を設ける場合
ポイント→本採用へ移行するための判断基準を明確にする。
「記載例」
試用期間:平成 年 月 日~ 年 月 日
(1)会社の都合によりこの期間を本人へ通知した上で、延長または短縮することがある。
(2)試用期間中は以下の執務態度を重点的に考慮の上、本採用への移行を検討し、会社が以下の項目を満たしていないと判断したときは、本採用しない。
①他の社員と仲良く協調する。
②分からないことは勝手な判断で行わず、質問する。
③忘れる恐れがある場合は、メモする。
④間違いがないか見直し、点検をする。
⑤上司へ常に連絡、報告、相談をする。
6.期間契約の場合
A ポイント→今回が最終なのかどうか、更新がある場合は更新基準が明らかかどうか
「記載例」
雇用期間:平成 年 月 日~平成 年 月 日 以下(1)(2)のいずれかに○すること
(1)本契約をもって最終とする
(2)甲は次の各号の全てが充足された場合に限り、乙との労働契約を更新する。更新するときは再度労働条件を見直す。
①就業規則及び付属規程、誓約書を遵守したこと
②常に上司の指示をよく守り他の従業員と協調して職務を遂行したこと
③契約期間中に無断欠勤、遅刻をしていないこと
④懲戒事由に該当する行為がなかったこと
⑤心身ともに健康であって、更新後の契約期間内に、労働契約の本旨に沿った労
務の提供ができると見込まれること
⑥経営上の必要又は天災事変その他これに準ずる事由により余剰員を生じていないこと
⑦担当業務の遂行状況及び進捗状況又はその必要性などから判断して契約更新の必要性があること
⑧その他上記に準ずる事由があること
B ポイント→契約終了を意味する期間雇用ではなく、一定の労働条件で雇用する期間だけを定め、再度条件を見直したい場合
「記載例」
雇用期間 平成○年○月○日から平成○年○月○日
但しこの雇用期間は労働者の退職を制限し、または会社の解雇を制限する雇用期間ではなく、以下の労働条件による雇用期間の定めをいう。
7.限定契約と解されないために
ポイント→私はこれしかやりません、ここでしか働きませんと、わがままを言われないようにする。下の事例だと全般とはどいうことか、雑務にはトイレ掃除もありますとか事前に了解を得ておく。
「記載例」
職種:一般事務全般及び営業員の補助その他の雑務
(1)業務の都合により、職種変更、配置転換、転勤を命ずることがある。
(2)業務上必要ある場合には、勤務日の変更、所定外勤務を命ずる場合がある。
8.限定契約を利用した解除条件の拡大
ポイント→職種変更や場所変更には限定契約の場合、本人の同意がいるが、その限定された職務が遂行できなくなれば自動的に退職となる契約
「記載例」ドライバーの場合
職種:ドライバーに限定する。
就業場所:○○(大阪市・・・・・)
退職:1.自ら退職を申し出て会社が承認したとき(承認日)
2.無断欠勤が1ヶ月に達したとき(最後の連絡日)
3.免停になったとき(その日から2週間後)
4.帰責事由にかかわらず、就業場所○○との取引がなくなった場合(最終取引日より2週間後)
9.特約を付す場合
「記載例」
特約:1.時間外労働を行うときは、原則として事前に所属長の承認を得るものとし、自らの判断で行わないものとし、これに反する労働は原則として労働時間として参入しない。
2.退職時に○○職以上の管理職に在る場合、または経営者と一体的な立場にある場合、もしくは○○職にある場合は、「守秘義務及び競業避止に関する誓約書」を締結する。
3.会社は法令の改正、経済状況、社会情勢、会社状況等によりやむを得ず就業規則を変更して、労働条件を変更(引き下げる)ことがある。
4.今後の労働条件の変更は有利不利にかかわらず、就業規則の変更による。
10.通知書ではなく、雇用契約書
ポイント→通知書ではなく、双方が記名押印する雇用契約書にし、最初に納得して来てもらった確認の証を残す
必ず、最後に「上記、お互いに確認、承諾したことの証として各々1通保管する」などと記載し、労働者は署名押印、使用者は署名押印または記名押印
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
多くの中小企業で雇用契約書の重要性が過小評価されています。そもそも口頭だけですませ、文書で交わしておられないケースも多くあるのが現状です。そこで今回のテーマは、よく雇い入れ後にトラブルになりやすい事案に絞って、雇用契約書の記載の仕方を考えたいと思います。
1.高い給与で雇ったが期待はずれの場合または既存の従業員より高い給与で雇わざるをえない場合
A 高い技術や貴重な経験を買いたいとき・前職の給与の水準を考慮するときなど。
ポイント→基本給水準を上げず、減額・取り外し可能な特別(保障)手当で対応する。
「記載例」
基本給 20万円 家族手当 2万円 通勤手当 1万円 特別(保障)手当 7万円
総合計 30万円
※特別(保障)手当は下記の職務能力(以下基準という)があることを見込んで、入社より3ヶ月間暫定的に保障し、職能に合わ せて見直しする。万が一基準を満たさないと会社が判断したときは、これを減額またはカットする。
(1).・・・・・・
(2).・・・・・・
B 特に技術者や銀行や親企業からの転籍者を年俸で雇う場合(年俸の保障を求められた場合)
仮に年俸700万円保障を言われたとすると、
ポイント→初年度は賞与込みで年俸を保証し、次年度からは賞与部分は変動給にする。
「記載例」
賃 金:基本給30万円 役職手当 10万円 家族手当 1万円 通勤手当2万円
総合計 43万円
賞 与:夏期 7月 100万円 冬期 12月 84万円(支払い月は変更することがある)
※賞与は入社後1年間はこの金額を保障し、2年目からは会社業績、勤務成績等を総合的に勘案して決定し、諸事情により支給しないこともある。
2.歩合(出来高給)のある従業員を雇う場合
ポイント→力のある営業員でも直ぐに成績を出すのは酷なので、最初の3ヶ月間は安心してもらう意味と、成績が悪い場合は、合理的に減額できる仕組みにする。
「記載例」
基本給 20万円 営業手当 2万円 歩合手当 3万円
総合計 25万円
1)営業手当は時間外手当相当額として支給する。
2)歩合手当は入社後3ヶ月の間、営業成績にかかわらず定額で支給し、歩合額がこれを上回るときはそれによる。3ヶ月経過後はカットし、営業成績に基づく歩合給に変更する。
3.時間外手当をどうしても超過時間に応じて支給できない場合
A 内込み残業代方式
ポイント→基本給の中に何時間分でいくらの残業代が内込みになっているのかを明確にする。
前提条件 月給 45万円 時間外労働時間数 45時間/月 1ヶ月平均160時間とすると
「記載例」
基本給45万円(基本部分 332,948円、時間外45時間分117,052円)
上記の計算式
①45時間×1.25=56.25時間
②45万円÷(160時間+56.25時間)=@2080.92
③@2080.92×160時間=332,948
④@2080.92×1.25×45時間=117,052円 ③+④=45万円
B 固定残業代方式(何時間分か)
ポイント→定額手当が時間外手当相当額であることを明記する。
前提条件 1ヶ月平均1所定労働時間160時間とすると
「記載例」
月給 45万円 営業手当10万円(内5万円を固定残業代とする)
上記の計算式
①(45万円+5万円)÷160時間=@3125
②5万円÷(3125×1.25)=12.8時間 12.8時間分までは支払い済みとなる。
C 年俸制方式(何時間分か)
ポイント→年俸の中に何時間分でいくらの時間外手当が内込みになっているのかを明確にする。
前提条件 年俸額 900万円(月給75万円) 1ヶ月平均160時間 年間残業時間数240時間(20時間/月) 年間休日労働時間数96時間(8時間/月)
(月給75万円の中に20時間分の時間外労働及び8時間分の休日割増分が含まれていることにしたい場合)
「記載例」
給与:年俸制 今年度年俸額900万円【月給 75万円(基本給612,870円 時間外手当95,761円 休日手当 41,369円)】
上記の計算式
①20時間×1.25=25時間
②8時間×1.35=10.8時間
③75万円÷(160時間+25時間+10.8時間)=@3830.43
④@3830.43×160時間=612,870円
⑤@3830.43×1.25×20時間=95,761円
⑥@3830.43×1.35×8時間=41,369円 ④+⑤+⑥=75万円
4.外勤(営業)職を雇う場合
ポイント→みなし労働時間を適用することをその意味を含めてきちんと説明する。
「記載例」
労働時間:9時00分~18時00分(実働8時間)
1)みなし労働時間制を採用する。
みなし労働時間制とは、事業場外労働と事業場内労働の両方がある場合でも、現実の労働時間にかかわりなく前記のみなした労働時間を実労働時間とするものであり、その効果は事後に変更されないものである。
5.試用期間を設ける場合
ポイント→本採用へ移行するための判断基準を明確にする。
「記載例」
試用期間:平成 年 月 日~ 年 月 日
(1)会社の都合によりこの期間を本人へ通知した上で、延長または短縮することがある。
(2)試用期間中は以下の執務態度を重点的に考慮の上、本採用への移行を検討し、会社が以下の項目を満たしていないと判断したときは、本採用しない。
①他の社員と仲良く協調する。
②分からないことは勝手な判断で行わず、質問する。
③忘れる恐れがある場合は、メモする。
④間違いがないか見直し、点検をする。
⑤上司へ常に連絡、報告、相談をする。
6.期間契約の場合
A ポイント→今回が最終なのかどうか、更新がある場合は更新基準が明らかかどうか
「記載例」
雇用期間:平成 年 月 日~平成 年 月 日 以下(1)(2)のいずれかに○すること
(1)本契約をもって最終とする
(2)甲は次の各号の全てが充足された場合に限り、乙との労働契約を更新する。更新するときは再度労働条件を見直す。
①就業規則及び付属規程、誓約書を遵守したこと
②常に上司の指示をよく守り他の従業員と協調して職務を遂行したこと
③契約期間中に無断欠勤、遅刻をしていないこと
④懲戒事由に該当する行為がなかったこと
⑤心身ともに健康であって、更新後の契約期間内に、労働契約の本旨に沿った労
務の提供ができると見込まれること
⑥経営上の必要又は天災事変その他これに準ずる事由により余剰員を生じていないこと
⑦担当業務の遂行状況及び進捗状況又はその必要性などから判断して契約更新の必要性があること
⑧その他上記に準ずる事由があること
B ポイント→契約終了を意味する期間雇用ではなく、一定の労働条件で雇用する期間だけを定め、再度条件を見直したい場合
「記載例」
雇用期間 平成○年○月○日から平成○年○月○日
但しこの雇用期間は労働者の退職を制限し、または会社の解雇を制限する雇用期間ではなく、以下の労働条件による雇用期間の定めをいう。
7.限定契約と解されないために
ポイント→私はこれしかやりません、ここでしか働きませんと、わがままを言われないようにする。下の事例だと全般とはどいうことか、雑務にはトイレ掃除もありますとか事前に了解を得ておく。
「記載例」
職種:一般事務全般及び営業員の補助その他の雑務
(1)業務の都合により、職種変更、配置転換、転勤を命ずることがある。
(2)業務上必要ある場合には、勤務日の変更、所定外勤務を命ずる場合がある。
8.限定契約を利用した解除条件の拡大
ポイント→職種変更や場所変更には限定契約の場合、本人の同意がいるが、その限定された職務が遂行できなくなれば自動的に退職となる契約
「記載例」ドライバーの場合
職種:ドライバーに限定する。
就業場所:○○(大阪市・・・・・)
退職:1.自ら退職を申し出て会社が承認したとき(承認日)
2.無断欠勤が1ヶ月に達したとき(最後の連絡日)
3.免停になったとき(その日から2週間後)
4.帰責事由にかかわらず、就業場所○○との取引がなくなった場合(最終取引日より2週間後)
9.特約を付す場合
「記載例」
特約:1.時間外労働を行うときは、原則として事前に所属長の承認を得るものとし、自らの判断で行わないものとし、これに反する労働は原則として労働時間として参入しない。
2.退職時に○○職以上の管理職に在る場合、または経営者と一体的な立場にある場合、もしくは○○職にある場合は、「守秘義務及び競業避止に関する誓約書」を締結する。
3.会社は法令の改正、経済状況、社会情勢、会社状況等によりやむを得ず就業規則を変更して、労働条件を変更(引き下げる)ことがある。
4.今後の労働条件の変更は有利不利にかかわらず、就業規則の変更による。
10.通知書ではなく、雇用契約書
ポイント→通知書ではなく、双方が記名押印する雇用契約書にし、最初に納得して来てもらった確認の証を残す
必ず、最後に「上記、お互いに確認、承諾したことの証として各々1通保管する」などと記載し、労働者は署名押印、使用者は署名押印または記名押印
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
10年04月01日
中小企業も無関心ではいられない、新型インフルエンザ対策
中小企業の新型インフルエンザ対策 (H21.9月号の記事)
~倒産をまぬがれるために~
新型インフルエンザの猛威が一向に収まる気配がありません。むしろこれから寒くなり、乾燥する秋以降の大流行(パンデミック)が懸
念されています。ひとたび蔓延すれば、全国民の25%が感染し、従業員の40%が欠勤すると予想されています。まさに人ごとではあり
ません。ここでは小規模企業ができる範囲のことはどんなことかということに絞って記載しています。
新型インフルエンザの主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」といわれており、空気を通して遠方の人でも感染する「空気感染」は
今のところ心配ないとされています。
⇒飛沫感染:くしゃみや咳による唾液などに含まれるウイルスを吸い込むことによる感染。但し空気中では2m以内でしか飛散しない。
⇒接触感染:汚染された手などで鼻や目を触ることによる感染。例えば感染者のウイルスが付着したドアノブやスイッチなどを健康者が触
れ、その手で目をこすったりした場合。ドアノブなどに付着したウイルスは最大24時間程度感染力を持っている。
ところで会社経営にどんな影響が考えられるのでしょうか。例えば最悪こんなことが考えられます。
◎薬、マスクや消毒液などが品薄になり入手困難になる。
↓
◎患者が急増し、満足に医療機関を受診できず、回復が遅れる。
↓
◎学校や集会が自粛され、子供のいるパートなどは自分が健康でも出勤できなくなる。
↓
◎社内感染者や子の休校による欠勤、感染予備者の待機などで欠勤率が40%に達する。
↓
◎労働力不足、原材料の供給ストップ、顧客激減などで売上が停滞する。
↓
◎資金不足に陥るが融資窓口は大混雑。
↓
◎会社が傾く。
このような危機に陥らないために、日常の会社経営の中で、実施できる感染予防は次の通りです。
●社内でしておくこと、すべきこと
1.マスク、速乾性アルコール消毒剤、ティッシュ、専用ゴミ箱とゴミ袋、使い捨て手袋、石鹸、体温計、医薬品の備蓄をしておく。
※マスクは1人8週間分の備蓄が望ましいとされている。
2.不特定多数の人が触れる蛇口、スイッチ、マウス、ドアノブ、エレベータボタン、トイレの流水レバーなどは頻繁に清掃する。
3.保健所(発熱相談センター)など緊急連絡先を調べておく。
●外出からの帰社時、出社時または来訪者に対して
1.入り口に速乾性アルコール消毒剤を常置し、外から来た者は一番先に手を消毒してから入室する。
2.洗面所が社内にある場合は、上記の後、手洗い・うがいを行い、賃貸事務所などで外にある場合は先に手洗い・うがいを行う。
●社内で感染者(疑いのある者)が出た場合
1.2m以上の対人距離を取る。
2.咳エチケットを守る。
⇒咳エチケット:咳やくしゃみの際はティッシュで口と鼻を覆い、顔を背ける。ティッシュがない場合は、前腕部で覆う。手のひらで
覆ってはいけない。
3.ティッシュ専用のゴミ箱に捨てる(出来れば蓋付き)。
4.マスクを着用させる。
5.感染者の体液の付着が予想される場合は、その周りの机や床、機械をアルコール製剤で消毒する。
●業務に関して
1.不要不急の人ごみへの外出・出張を避ける。
2.不要不急な会議や集会は避ける。
3.食堂等の時差利用。
4.交替勤務とクロストレーニング(別の仕事もできるようにすること)。
5.在宅勤務。
6.体力保持のため、長時間残業はさせない。
●出勤に関して
1.38度以上の発熱または全身倦怠感がある場合は出社をさせない(欠勤扱い)。
2.家族に同様の症状が出た場合も同様とする(休業手当必要か)。
※自宅待機には10日程度が必要といわれている。
3.時差出勤を試みる。
4.パンデミック期にはマイカー・自転車通勤を奨励する。
●その他
1.海外旅行をする社員の届出義務(発生国への渡航は禁止することも。損害補填必要か)。
2.従業員への教育・周知。
また社会機能維持事業者は事業継続が政府から要請されることがあり、得意先がその場合、自社が直接社会機能維持事業者でなくても通
常稼動をしなければならないこともあり得ます。
⇒社会機能維持事業者:医療従事者・公務員・福祉介護事業者・ライフライン(電気、ガス、水道、通信)関連・物流・金融・生活必需
品製造販売業者など。
何と言っても事業運営上、直接被害が大きいのは要員不足です。狭い同一空間で仕事をしている中小企業の場合、社内で感染者が出ると
特段の配慮をしないと、全従業員に広がり、休業に追い込まれることが考えられます。また民事上の安全配慮義務違反を問われる可能性も
否定できません。
また要員不足は取引先にも言えることで、取引先の業務が停滞すれば、物資の供給や販売も滞る可能性があり、関連業者や金融機関と詰
めておく必要があります。万が一、業務停止した場合、免責となるかどうか取引先との約款を確認、協議しておくことも必要でしょう。
参考までに従業員に配布するリーフレットと入場者への配慮のお願い文を下記に掲示しておきましたので、ご利用ください。
http://www.nishimura-roumu.com/cgi-bin/nishimurashakai/siteup.cgi?category=4&page=5
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
ページ移動
前へ
1,2, ... ,25,26,27, ... ,30,31
次へ
Page 26 of 31
~倒産をまぬがれるために~
新型インフルエンザの猛威が一向に収まる気配がありません。むしろこれから寒くなり、乾燥する秋以降の大流行(パンデミック)が懸
念されています。ひとたび蔓延すれば、全国民の25%が感染し、従業員の40%が欠勤すると予想されています。まさに人ごとではあり
ません。ここでは小規模企業ができる範囲のことはどんなことかということに絞って記載しています。
新型インフルエンザの主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」といわれており、空気を通して遠方の人でも感染する「空気感染」は
今のところ心配ないとされています。
⇒飛沫感染:くしゃみや咳による唾液などに含まれるウイルスを吸い込むことによる感染。但し空気中では2m以内でしか飛散しない。
⇒接触感染:汚染された手などで鼻や目を触ることによる感染。例えば感染者のウイルスが付着したドアノブやスイッチなどを健康者が触
れ、その手で目をこすったりした場合。ドアノブなどに付着したウイルスは最大24時間程度感染力を持っている。
ところで会社経営にどんな影響が考えられるのでしょうか。例えば最悪こんなことが考えられます。
◎薬、マスクや消毒液などが品薄になり入手困難になる。
↓
◎患者が急増し、満足に医療機関を受診できず、回復が遅れる。
↓
◎学校や集会が自粛され、子供のいるパートなどは自分が健康でも出勤できなくなる。
↓
◎社内感染者や子の休校による欠勤、感染予備者の待機などで欠勤率が40%に達する。
↓
◎労働力不足、原材料の供給ストップ、顧客激減などで売上が停滞する。
↓
◎資金不足に陥るが融資窓口は大混雑。
↓
◎会社が傾く。
このような危機に陥らないために、日常の会社経営の中で、実施できる感染予防は次の通りです。
●社内でしておくこと、すべきこと
1.マスク、速乾性アルコール消毒剤、ティッシュ、専用ゴミ箱とゴミ袋、使い捨て手袋、石鹸、体温計、医薬品の備蓄をしておく。
※マスクは1人8週間分の備蓄が望ましいとされている。
2.不特定多数の人が触れる蛇口、スイッチ、マウス、ドアノブ、エレベータボタン、トイレの流水レバーなどは頻繁に清掃する。
3.保健所(発熱相談センター)など緊急連絡先を調べておく。
●外出からの帰社時、出社時または来訪者に対して
1.入り口に速乾性アルコール消毒剤を常置し、外から来た者は一番先に手を消毒してから入室する。
2.洗面所が社内にある場合は、上記の後、手洗い・うがいを行い、賃貸事務所などで外にある場合は先に手洗い・うがいを行う。
●社内で感染者(疑いのある者)が出た場合
1.2m以上の対人距離を取る。
2.咳エチケットを守る。
⇒咳エチケット:咳やくしゃみの際はティッシュで口と鼻を覆い、顔を背ける。ティッシュがない場合は、前腕部で覆う。手のひらで
覆ってはいけない。
3.ティッシュ専用のゴミ箱に捨てる(出来れば蓋付き)。
4.マスクを着用させる。
5.感染者の体液の付着が予想される場合は、その周りの机や床、機械をアルコール製剤で消毒する。
●業務に関して
1.不要不急の人ごみへの外出・出張を避ける。
2.不要不急な会議や集会は避ける。
3.食堂等の時差利用。
4.交替勤務とクロストレーニング(別の仕事もできるようにすること)。
5.在宅勤務。
6.体力保持のため、長時間残業はさせない。
●出勤に関して
1.38度以上の発熱または全身倦怠感がある場合は出社をさせない(欠勤扱い)。
2.家族に同様の症状が出た場合も同様とする(休業手当必要か)。
※自宅待機には10日程度が必要といわれている。
3.時差出勤を試みる。
4.パンデミック期にはマイカー・自転車通勤を奨励する。
●その他
1.海外旅行をする社員の届出義務(発生国への渡航は禁止することも。損害補填必要か)。
2.従業員への教育・周知。
また社会機能維持事業者は事業継続が政府から要請されることがあり、得意先がその場合、自社が直接社会機能維持事業者でなくても通
常稼動をしなければならないこともあり得ます。
⇒社会機能維持事業者:医療従事者・公務員・福祉介護事業者・ライフライン(電気、ガス、水道、通信)関連・物流・金融・生活必需
品製造販売業者など。
何と言っても事業運営上、直接被害が大きいのは要員不足です。狭い同一空間で仕事をしている中小企業の場合、社内で感染者が出ると
特段の配慮をしないと、全従業員に広がり、休業に追い込まれることが考えられます。また民事上の安全配慮義務違反を問われる可能性も
否定できません。
また要員不足は取引先にも言えることで、取引先の業務が停滞すれば、物資の供給や販売も滞る可能性があり、関連業者や金融機関と詰
めておく必要があります。万が一、業務停止した場合、免責となるかどうか取引先との約款を確認、協議しておくことも必要でしょう。
参考までに従業員に配布するリーフレットと入場者への配慮のお願い文を下記に掲示しておきましたので、ご利用ください。
http://www.nishimura-roumu.com/cgi-bin/nishimurashakai/siteup.cgi?category=4&page=5
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com