13年03月06日
4月以降に結ぶ有期雇用契約には気をつけよう
●4月以降に結ぶ有期雇用契約には気をつけよう
~4月以降、有期雇用契約を締結する場合の留意点~
来月4月1日より次の3つの労働法が同時に改正施行されます。
1.高齢者安定法 2.労働契約法 3.労働基準法
これらの改正は、相互に相関連するところがあり、特に、60歳定年制を実施している会社または有期(期間)雇用契約を採用している企業、或いは今後結ぶことがある企業は必ず留意しておいて頂きたいことがあります。その前に、法改正の概要を簡単に解説します。
1.高齢者安定法の改正
この4月以降に60歳定年を迎える従業員に対しては、原則希望者全員を65歳まで継続雇用する必要があります。但し、60歳定年自体は今まで通り有効であり、また定年後は一旦退職した後の再雇用となるため、新たな労働条件(例えば賃金水準の見直し)の設定は自由に行うことができます。すでに定年のない会社、65歳定年を実施している会社または希望者全員を65歳まで継続雇用する制度を既に導入している会社は何ら今回の改正による変更は必要ありません。
2.労働契約法の改正
有期雇用契約を更新して、5年を超えて継続している場合、6年目より、従業員の申し込みにより自動的に無期契約に転換されます。会社は申し入れがあれば拒否できません。5年の起算日は、4月以降に始期がある有期契約からカウントしますので、今迄の期間は通算されません。また無期転換となっても、期間が有期から無期に変わるだけで、賃金等の労働条件が正社員に変わるものではありません。
3.労働基準法の改正
雇用契約を締結する場面で、必ず文書により交付しなければならない事項があります。例えば有期契約の期間や賃金、労働時間などです。この文書交付による明示事項の中に、有期契約を締結する場合は、(1)更新の有無、(2)更新の基準を明示しなければならなくなりました。つまり、(1)は更新することがあるのかないのか、(2)はあるとした場合、どういう場合に更新することがあるのかを文書により交付しなければならなくなったのです。
ここからが本題です。
上記3つの改正にあわせ、定年後の再雇用契約やパートとの有期労働契約を4月以降に締結する場合、必ず嘱託雇用契約書または有期雇用契約書において、以下のように締結することを強くお勧めします。
A 雇用契約書中の雇用期間に関する記載方法。以下の例示ご参照ください。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
雇用期間:平成 年 月 日~平成 年 月 日
1.本契約をもって最終とする
2.甲(会社)は次の各号の全てが充足された場合に限り、乙(本人)との雇用契約を更新する。更新するときは再度労働条件を見直す。
(1)就業規則、誓約書その他会社のルールを遵守できること
(2)常に上司の指示をよく守り他の従業員と協調して職務を遂行できること
(3)契約期間中に無断欠勤、遅刻をしていないこと
(4)懲戒事由に該当する行為がないこと
(5)心身ともに健康であること
(6)事業場の移転、縮小、廃止などの事情が生じていないこと
(7)契約期間中に業務上、無事故無違反であること
(8)顧客とトラブルがないこと
(9)業務に必要な資格が停止となっていないこと
(10)その他労働契約の本旨に従った労務の提供ができること
3.前号により更新する場合でも、通算5年を超えて更新しない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【ポイント】その1 今回で更新最後となるときは1に○印を入れます。
その2 更新の可能性がある場合は、2に○印を入れます。この場合、例示(1)から(10)のような、更新するための基準を明示します。 60歳以上の再雇用者の場合は、この基準と労使協定の基準をリンクさせた方が良いでしょう。各社で基準を設定してください。自動更新は絶対にしないでください。
その3 3の記載により、5年を超える契約はしないことを、明示して理解してもらってください。有期契約者が無期転換してしまうリスクを初めから遮断するためです。特に定年後の再雇用者は、絶対に必要です。
B Aの内容を記載するだけでなく、充分な説明と理解を得る。
少なくとも雇用契約書の末尾にこのように記載し、必ずその意味を説明してください。
「乙(本人)は以上の内容を確認し、理解した上で甲(会社)との雇用契約を申し込み、上記に関し、お互いに承諾諾したことの証として各々1通保管する。こと雇用期間の(1)から(3)の更新に関する事項については、乙(本人)は充分な納得をした上で、契約を申し込むものとする」
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~4月以降、有期雇用契約を締結する場合の留意点~
来月4月1日より次の3つの労働法が同時に改正施行されます。
1.高齢者安定法 2.労働契約法 3.労働基準法
これらの改正は、相互に相関連するところがあり、特に、60歳定年制を実施している会社または有期(期間)雇用契約を採用している企業、或いは今後結ぶことがある企業は必ず留意しておいて頂きたいことがあります。その前に、法改正の概要を簡単に解説します。
1.高齢者安定法の改正
この4月以降に60歳定年を迎える従業員に対しては、原則希望者全員を65歳まで継続雇用する必要があります。但し、60歳定年自体は今まで通り有効であり、また定年後は一旦退職した後の再雇用となるため、新たな労働条件(例えば賃金水準の見直し)の設定は自由に行うことができます。すでに定年のない会社、65歳定年を実施している会社または希望者全員を65歳まで継続雇用する制度を既に導入している会社は何ら今回の改正による変更は必要ありません。
2.労働契約法の改正
有期雇用契約を更新して、5年を超えて継続している場合、6年目より、従業員の申し込みにより自動的に無期契約に転換されます。会社は申し入れがあれば拒否できません。5年の起算日は、4月以降に始期がある有期契約からカウントしますので、今迄の期間は通算されません。また無期転換となっても、期間が有期から無期に変わるだけで、賃金等の労働条件が正社員に変わるものではありません。
3.労働基準法の改正
雇用契約を締結する場面で、必ず文書により交付しなければならない事項があります。例えば有期契約の期間や賃金、労働時間などです。この文書交付による明示事項の中に、有期契約を締結する場合は、(1)更新の有無、(2)更新の基準を明示しなければならなくなりました。つまり、(1)は更新することがあるのかないのか、(2)はあるとした場合、どういう場合に更新することがあるのかを文書により交付しなければならなくなったのです。
ここからが本題です。
上記3つの改正にあわせ、定年後の再雇用契約やパートとの有期労働契約を4月以降に締結する場合、必ず嘱託雇用契約書または有期雇用契約書において、以下のように締結することを強くお勧めします。
A 雇用契約書中の雇用期間に関する記載方法。以下の例示ご参照ください。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
雇用期間:平成 年 月 日~平成 年 月 日
1.本契約をもって最終とする
2.甲(会社)は次の各号の全てが充足された場合に限り、乙(本人)との雇用契約を更新する。更新するときは再度労働条件を見直す。
(1)就業規則、誓約書その他会社のルールを遵守できること
(2)常に上司の指示をよく守り他の従業員と協調して職務を遂行できること
(3)契約期間中に無断欠勤、遅刻をしていないこと
(4)懲戒事由に該当する行為がないこと
(5)心身ともに健康であること
(6)事業場の移転、縮小、廃止などの事情が生じていないこと
(7)契約期間中に業務上、無事故無違反であること
(8)顧客とトラブルがないこと
(9)業務に必要な資格が停止となっていないこと
(10)その他労働契約の本旨に従った労務の提供ができること
3.前号により更新する場合でも、通算5年を超えて更新しない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【ポイント】その1 今回で更新最後となるときは1に○印を入れます。
その2 更新の可能性がある場合は、2に○印を入れます。この場合、例示(1)から(10)のような、更新するための基準を明示します。 60歳以上の再雇用者の場合は、この基準と労使協定の基準をリンクさせた方が良いでしょう。各社で基準を設定してください。自動更新は絶対にしないでください。
その3 3の記載により、5年を超える契約はしないことを、明示して理解してもらってください。有期契約者が無期転換してしまうリスクを初めから遮断するためです。特に定年後の再雇用者は、絶対に必要です。
B Aの内容を記載するだけでなく、充分な説明と理解を得る。
少なくとも雇用契約書の末尾にこのように記載し、必ずその意味を説明してください。
「乙(本人)は以上の内容を確認し、理解した上で甲(会社)との雇用契約を申し込み、上記に関し、お互いに承諾諾したことの証として各々1通保管する。こと雇用期間の(1)から(3)の更新に関する事項については、乙(本人)は充分な納得をした上で、契約を申し込むものとする」
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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13年02月04日
4月1日施行! いよいよ改正高齢者雇用安定法、間近に迫る!!
●4月1日施行! いよいよ改正高齢者雇用安定法、間近に迫る!! (H25.2月号)
~3月31日までに、しておかねばならないこととは~
昨年12月にも、「高齢者等雇用安定法が改正されます ~いよいよ65歳まで雇用する時代へ~」と題して、本問題に関する記事を掲載いたしました。
法改正の概要は12月号に譲るとしまして、今回は今年の3月31日までに是非整備しておいて頂きたいことを申します。それは労使協定の締結です。
何の労使協定かと申しますと、定年後、継続雇用をすることが出来る従業員の基準を定めた労使協定です。
これを説明する前に、法改正前の現在はどうなっているのかを理解いただく必要があります。現在、国は全ての事業所に定年後の雇用確保措置を取ることを義務付けています。そして多くの企業では継続雇用制度を採用しています。継続雇用制度とは、60歳定年で一旦退職させ、継続雇用の希望がある従業員は65歳に到達するまで、有期雇用契約において更新してゆくものです。
原則的には本人が希望していれば、継続させなければならないのですが、現在は、継続雇用の対象となる方の基準を労使協定で定めれば、本人が希望していてもその基準に該当しないということで、継続雇用を排除できる例外が認められているのです。
しかしこの労使協定による例外は改正法施行の4月以降、段階的に利用することはできなくなり、希望があれば65歳までは継続雇用をして行かねばならなくなります(但し、60歳定年後の賃金などの労働条件は定年前と同一でなくても良く、再提示した労働条件で合意できなければ労使協定の運用を待つことなく、退職となることはある)。
それでこの経過的に利用できる労使協定、これは本年3月31日までに締結して実施している場合にのみ、4月以降引き続き有効に使用しても良いこととなっているのです。
ですから当面の間、希望者全員を継続雇用できない可能性があることが予想される企業においてまだ労使協定未締結の場合は、3月31日までに労使協定を整備する必要があるのです。
以下労使協定の雛形を掲示しますので、まだ未整備である場合はご参考にしてください。なお、これはあくまでもサンプルであり、これに囚われることなく、企業に応じた客観的かつ具体的な基準の策定が必要です。
(労 使 協 定 書)
株式会社ABCと従業員過半数代表者とは、高年齢者等の雇用の安定に関する法律の継続雇用制度の対象となる基準を定めるため、次のとおり合意する。
第1条 会社は、従業員が再雇用を希望し、次条の基準のすべてに該当する場合は、◎◎規程に定める条件で、期間を1年以内とする契約で、65歳前まで再雇用する。
第2条 前条にいう基準とは以下の通りとする。
(1) 勤労意欲に富み、引き続き勤務を希望する者
(2) 上司、同僚、部下との人間関係が良好で、協調性がある者
(3) 勤続■年以上の者
(4) 過去◆年間の人事考課等査定において、著しく悪くない者
(5) 過去◆年間に制裁処分を受けていない者
(6) 過去◆年間に無断欠勤がない者
(7) 過去◆年間に業務上無事故・無違反の者(いずれも交通事故に限らず、安全上または取引上の事故や違反及び自己責任の労災事故を含む)
(8) 過去◆年間の定期健康診断を全て受診し、有所見が出ておらずかつ業務を遂行する上で、心身ともに健康で体力的にも支障がないと判断される者
(9) 過去◆年間の出勤率が95%以上の者(出勤率の算定は年次有給休暇に準ずる)
(10) 製造職にあっては、過去◆年間の不良率が●%以下の者
(11) 営業職にあっては、過去◆年間に顧客からクレームを受けておらず、営業成績が著しく悪くない者
(12) 内勤職にあってはパソコンの基本操作(エクセル・ワード・メールなど、設計職は更にCAD)ができる者
(13) 運転業務に従事する者は、自動車運転免許停止中でない者
(14) 現場職においては、工事・保守等の遂行技術を保持している者
(15) 当該業務に必要な資格を保持している者
(16) 休職中でない者(社命による場合を除く)
(17) 労働条件(職務、賃金、時間、休日休暇、配置など)の変更を承諾できる者
(18) 自宅若しくは自己の用意する住居より通勤可能な者
(19) 前各号の他、労使協定の定める基準に準じて適合する者
第3条 この基準に該当しない場合でも、会社が必要と認めるときは再雇用する。
第4条 本労使協定について廃止又は変更の必要ある時は、会社又は従業員過半数代表者は他方に廃止又は協議の申込をすることができ、他方は協議に応じなければならない。
平成 年 月 日
株式会社ABC
代表取締役 甲野 太郎 印
株式会社ABC
従業員過半数代表 乙野 次郎 印
上記従業員過半数代表は、会社が恣意的に指名するのではなく、従業員間で民主的に選出されている必要があります。
また労使協定の整備だけでなく、これと連動させる就業規則(嘱託再雇用規程)の再整備も必要で、かつ同時に4月1日から施行される改正労働契約法及び改正労基法にも配慮した記載が必要ですが、ここでは割愛いたします。
なお、12月号で予告しておりますように、弊社で嘱託(再雇用)規程を整備させて頂いておりますクライアント様は必ず3月中には改訂版を再整備させて頂く予定でありますので、今しばらくお待ちください。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~3月31日までに、しておかねばならないこととは~
昨年12月にも、「高齢者等雇用安定法が改正されます ~いよいよ65歳まで雇用する時代へ~」と題して、本問題に関する記事を掲載いたしました。
法改正の概要は12月号に譲るとしまして、今回は今年の3月31日までに是非整備しておいて頂きたいことを申します。それは労使協定の締結です。
何の労使協定かと申しますと、定年後、継続雇用をすることが出来る従業員の基準を定めた労使協定です。
これを説明する前に、法改正前の現在はどうなっているのかを理解いただく必要があります。現在、国は全ての事業所に定年後の雇用確保措置を取ることを義務付けています。そして多くの企業では継続雇用制度を採用しています。継続雇用制度とは、60歳定年で一旦退職させ、継続雇用の希望がある従業員は65歳に到達するまで、有期雇用契約において更新してゆくものです。
原則的には本人が希望していれば、継続させなければならないのですが、現在は、継続雇用の対象となる方の基準を労使協定で定めれば、本人が希望していてもその基準に該当しないということで、継続雇用を排除できる例外が認められているのです。
しかしこの労使協定による例外は改正法施行の4月以降、段階的に利用することはできなくなり、希望があれば65歳までは継続雇用をして行かねばならなくなります(但し、60歳定年後の賃金などの労働条件は定年前と同一でなくても良く、再提示した労働条件で合意できなければ労使協定の運用を待つことなく、退職となることはある)。
それでこの経過的に利用できる労使協定、これは本年3月31日までに締結して実施している場合にのみ、4月以降引き続き有効に使用しても良いこととなっているのです。
ですから当面の間、希望者全員を継続雇用できない可能性があることが予想される企業においてまだ労使協定未締結の場合は、3月31日までに労使協定を整備する必要があるのです。
以下労使協定の雛形を掲示しますので、まだ未整備である場合はご参考にしてください。なお、これはあくまでもサンプルであり、これに囚われることなく、企業に応じた客観的かつ具体的な基準の策定が必要です。
(労 使 協 定 書)
株式会社ABCと従業員過半数代表者とは、高年齢者等の雇用の安定に関する法律の継続雇用制度の対象となる基準を定めるため、次のとおり合意する。
第1条 会社は、従業員が再雇用を希望し、次条の基準のすべてに該当する場合は、◎◎規程に定める条件で、期間を1年以内とする契約で、65歳前まで再雇用する。
第2条 前条にいう基準とは以下の通りとする。
(1) 勤労意欲に富み、引き続き勤務を希望する者
(2) 上司、同僚、部下との人間関係が良好で、協調性がある者
(3) 勤続■年以上の者
(4) 過去◆年間の人事考課等査定において、著しく悪くない者
(5) 過去◆年間に制裁処分を受けていない者
(6) 過去◆年間に無断欠勤がない者
(7) 過去◆年間に業務上無事故・無違反の者(いずれも交通事故に限らず、安全上または取引上の事故や違反及び自己責任の労災事故を含む)
(8) 過去◆年間の定期健康診断を全て受診し、有所見が出ておらずかつ業務を遂行する上で、心身ともに健康で体力的にも支障がないと判断される者
(9) 過去◆年間の出勤率が95%以上の者(出勤率の算定は年次有給休暇に準ずる)
(10) 製造職にあっては、過去◆年間の不良率が●%以下の者
(11) 営業職にあっては、過去◆年間に顧客からクレームを受けておらず、営業成績が著しく悪くない者
(12) 内勤職にあってはパソコンの基本操作(エクセル・ワード・メールなど、設計職は更にCAD)ができる者
(13) 運転業務に従事する者は、自動車運転免許停止中でない者
(14) 現場職においては、工事・保守等の遂行技術を保持している者
(15) 当該業務に必要な資格を保持している者
(16) 休職中でない者(社命による場合を除く)
(17) 労働条件(職務、賃金、時間、休日休暇、配置など)の変更を承諾できる者
(18) 自宅若しくは自己の用意する住居より通勤可能な者
(19) 前各号の他、労使協定の定める基準に準じて適合する者
第3条 この基準に該当しない場合でも、会社が必要と認めるときは再雇用する。
第4条 本労使協定について廃止又は変更の必要ある時は、会社又は従業員過半数代表者は他方に廃止又は協議の申込をすることができ、他方は協議に応じなければならない。
平成 年 月 日
株式会社ABC
代表取締役 甲野 太郎 印
株式会社ABC
従業員過半数代表 乙野 次郎 印
上記従業員過半数代表は、会社が恣意的に指名するのではなく、従業員間で民主的に選出されている必要があります。
また労使協定の整備だけでなく、これと連動させる就業規則(嘱託再雇用規程)の再整備も必要で、かつ同時に4月1日から施行される改正労働契約法及び改正労基法にも配慮した記載が必要ですが、ここでは割愛いたします。
なお、12月号で予告しておりますように、弊社で嘱託(再雇用)規程を整備させて頂いておりますクライアント様は必ず3月中には改訂版を再整備させて頂く予定でありますので、今しばらくお待ちください。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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13年01月09日
目的(ミッション)を社員に伝えよう (H25.1月号)
●目的(ミッション)を社員に伝えよう (H25.1月号)
~それは何のためですか?~
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて新年にあたり、経営者の方々も色々と年間目標を立てられていることかと思います。そんな中、労務管理に関して、今年は何か目標はありますか。もし特に思い当たることが未だなければ、今年は目的(ミッション)を社員に繰り返し伝える年にしてみては如何でしょうか。
人間のモチベーションの喚起には様々な仕掛けがあるとされていますが、その中で如何に目的やミッションがはっきりしているか、というものがあります。
次の事例を考えてみてください。
(例1)
A、B、C3名の従業員が城壁の石垣を組むという作業をしています。しかしその仕事ぶりには明らかに違いがありました。
Aさんに尋ねます。「あなたは今何をしていますか?」
するとAさんはこう答えます。「はい、石垣を組んでいます」。
次にBさんに尋ねます。「あなたは今何をしていますか?」
するとBさんはこう答えます。「はい、お城を作っています」。
さらにCさんに尋ねます。「あなたは今何をしていますか?」
するとCさんはこう答えます。「はい、難攻不落の要塞を作っています」。
この中で、一番やりがいをもっていい仕事をするのは誰でしょうか?
(例2)
「バケツに水を汲んできて」と指示した場合と、「飲み水として蓄えておく必要があるから水を汲んできて」と頼んだ場合で比較するとどうなるでしょうか?
前者は何のために水を汲むのか理解していないため、ただただバケツに水を入れて持ってくる行為を行うだけでしょう。非常に退屈な作業です。
しかし後者の場合はどうでしょうか。飲み水として蓄えるという重要なミッションを理解していると、汚いバケツで汲みに行くことはしないでしょう。また組んできた後も、ゴミが入らないように蓋をしてくるかもしれません。単なる作業ではなく、考えて工夫をする仕事になることでしょう。
ここで重要なことは、「何のために」ということです。つまり「目的」です。これがはっきりしていないと、いい働きには繋がらないと思うのです。「分かってくれるだろう」「意図を汲んでくれるだろう」というのはこちら側の勝手な都合の良い思い込みなのです。
「目的」とは辞書にこうあります。「到達したい状態として意図され、行動を方向づけるもの」。
繰り返し、繰り返し、何のためなのか?「目的」を伝え、望むべき方向へ行動を定着させましょう。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~それは何のためですか?~
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて新年にあたり、経営者の方々も色々と年間目標を立てられていることかと思います。そんな中、労務管理に関して、今年は何か目標はありますか。もし特に思い当たることが未だなければ、今年は目的(ミッション)を社員に繰り返し伝える年にしてみては如何でしょうか。
人間のモチベーションの喚起には様々な仕掛けがあるとされていますが、その中で如何に目的やミッションがはっきりしているか、というものがあります。
次の事例を考えてみてください。
(例1)
A、B、C3名の従業員が城壁の石垣を組むという作業をしています。しかしその仕事ぶりには明らかに違いがありました。
Aさんに尋ねます。「あなたは今何をしていますか?」
するとAさんはこう答えます。「はい、石垣を組んでいます」。
次にBさんに尋ねます。「あなたは今何をしていますか?」
するとBさんはこう答えます。「はい、お城を作っています」。
さらにCさんに尋ねます。「あなたは今何をしていますか?」
するとCさんはこう答えます。「はい、難攻不落の要塞を作っています」。
この中で、一番やりがいをもっていい仕事をするのは誰でしょうか?
(例2)
「バケツに水を汲んできて」と指示した場合と、「飲み水として蓄えておく必要があるから水を汲んできて」と頼んだ場合で比較するとどうなるでしょうか?
前者は何のために水を汲むのか理解していないため、ただただバケツに水を入れて持ってくる行為を行うだけでしょう。非常に退屈な作業です。
しかし後者の場合はどうでしょうか。飲み水として蓄えるという重要なミッションを理解していると、汚いバケツで汲みに行くことはしないでしょう。また組んできた後も、ゴミが入らないように蓋をしてくるかもしれません。単なる作業ではなく、考えて工夫をする仕事になることでしょう。
ここで重要なことは、「何のために」ということです。つまり「目的」です。これがはっきりしていないと、いい働きには繋がらないと思うのです。「分かってくれるだろう」「意図を汲んでくれるだろう」というのはこちら側の勝手な都合の良い思い込みなのです。
「目的」とは辞書にこうあります。「到達したい状態として意図され、行動を方向づけるもの」。
繰り返し、繰り返し、何のためなのか?「目的」を伝え、望むべき方向へ行動を定着させましょう。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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12年12月20日
高齢者等雇用安定法が改正されます
●高齢者等雇用安定法が改正されます(25年4月1日より)。
~いよいよ65歳まで雇用する時代へ~
今秋、「改正 高年齢者雇用安定法」が可決成立し、来年の25年4月1日から施行されることが決まりました。ご存知のように男性では来年4月から(4/2以降に60歳になる方)から厚生年金の報酬比例部分が2年ごとに段階的に65歳まで引き上げられることとなっており、この年金支給開始年齢の引上げに合わせて、60歳定年と年金支給開始年齢との空白期間を埋めるために、企業に雇用確保措置の強化が義務付けされるものです。
この雇用確保措置とは1.定年の引上げ、2.継続雇用制度の導入、3.定年の廃止 のいずれかの措置を取ることであり、18年4月から既に義務付けられており、大多数の企業が2の継続雇用制度を選択しています。継続雇用制度とは、60歳定年はそのままとしながらも、本人が希望すれば原則全員を期間契約を締結することで、65歳まで更新してゆくものです。
ただこの継続雇用制度には希望者全員の雇用といいながら、抜け道があり、継続雇用制度の対象となる高年齢者に関する基準を労使協定により定めたときは、希望者全員を対象としない制度も可能となっています。つまり人事考課点が低いとか、社歴が●年に満たないなど、企業ごとの独自の基準に抵触する定年者は、本人が希望していても排除できたのですが、この労使協定による基準が廃止されるのが今回の大きな改正点です。
弊社のクライアント様もそうですが、多くの企業は、この労使協定で基準を設ける継続雇用制度を採用しているため、必ず来年の4月までに就業規則や労使協定のやり直しが必要となります。
しかし前述の通り、厚生年金の支給開始年齢の引上げは段階的に行われるため、その間、労使協定による基準もそれに合わせて段階的に廃止してゆくこととなります。
これを図示すれば、以下の通りです
生年月日による区分 労使協定の基準適用可能年齢
昭和28年4月2日~昭和30年4月1日に生まれた者 61歳
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日に生まれた者 62歳
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日に生まれた者 63歳
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日に生まれた者 64歳
※例えば、昭和28年4月2日~昭和30年4月1日に生まれた男性は、厚生年金の支給が61歳からとなるため、60歳から61歳までの1年間は、労使協定の基準によって継続雇用を排除す ることができず、61歳到達後は、従来通り、労使協定による基準を使用することができる。
※上記生年月日による区分は、男性の年金支給年齢引上げに合わせたもので、女性は男性より5年遅れの引上げとなっているが、こと継続雇用制度では男性の引上げスケジュールに合
わせて同時に行われる。
※各人の実際の年金受給権に関わらず、生年月日により、画一的に行われる(加入期間を満たさず、年金がそもそももらえない方でも関係がない)。
※労使協定による基準が廃止される場合でも、定年後の個別の労働条件(賃金、労働時間等)は、各人別に見直しすることが可能で、これは改正前と同様である。
ただ個別の労働条件の設定に関し、今までは厚生年金の支給額との関連で、60歳後の給与額を設計することが可能でしたが、来年の4月からはこれが不可能となります(雇用保険の雇用継続給付とのシミュレーションは今まで通り可能)。つまり、会社から支給される給与を引き下げ、その反作用として年金を増加させて実質手取りが下がらないように調整することが困難になります。
また従来ですと、60歳定年時に引き下げた給与に対して、社会保険料も翌月から連動して引き下げる操作も不可能となります(この手続きを同日得喪というが、これは年金の受給権があることが前提となるため。4月以降は男性はそもそも60歳で受給権自体が発生しない)。
またこれも大きな問題ですが、今秋、労働契約法も改正され、来年4月1日から同日施行されます。ここでの大きな改正は、有期労働契約者の契約が5年を超えて更新されたときは、本人の申し出があれば、企業の事情に関わらず、無期契約に自動的に転換されることとなりました。
これは定年後の継続雇用制度により、期間契約している高齢者にも適用されます。つまり、一旦、定年により有期契約で更新制になった人が、継続義務化年齢の65歳となったときに無期契約を希望すれば、会社は再び無期契約に戻す必要がでてくるのです。しかも今度は定年というリミットもありません。
今回の改正は実務上の影響が大きいため、これらに対応した規程類の改正が必要です。少なくとも弊社にて嘱託規程(継続雇用制度)の導入をお手伝いさせて頂いたクライアント様には、今後個別に改訂手続きを行って参る所存です。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~いよいよ65歳まで雇用する時代へ~
今秋、「改正 高年齢者雇用安定法」が可決成立し、来年の25年4月1日から施行されることが決まりました。ご存知のように男性では来年4月から(4/2以降に60歳になる方)から厚生年金の報酬比例部分が2年ごとに段階的に65歳まで引き上げられることとなっており、この年金支給開始年齢の引上げに合わせて、60歳定年と年金支給開始年齢との空白期間を埋めるために、企業に雇用確保措置の強化が義務付けされるものです。
この雇用確保措置とは1.定年の引上げ、2.継続雇用制度の導入、3.定年の廃止 のいずれかの措置を取ることであり、18年4月から既に義務付けられており、大多数の企業が2の継続雇用制度を選択しています。継続雇用制度とは、60歳定年はそのままとしながらも、本人が希望すれば原則全員を期間契約を締結することで、65歳まで更新してゆくものです。
ただこの継続雇用制度には希望者全員の雇用といいながら、抜け道があり、継続雇用制度の対象となる高年齢者に関する基準を労使協定により定めたときは、希望者全員を対象としない制度も可能となっています。つまり人事考課点が低いとか、社歴が●年に満たないなど、企業ごとの独自の基準に抵触する定年者は、本人が希望していても排除できたのですが、この労使協定による基準が廃止されるのが今回の大きな改正点です。
弊社のクライアント様もそうですが、多くの企業は、この労使協定で基準を設ける継続雇用制度を採用しているため、必ず来年の4月までに就業規則や労使協定のやり直しが必要となります。
しかし前述の通り、厚生年金の支給開始年齢の引上げは段階的に行われるため、その間、労使協定による基準もそれに合わせて段階的に廃止してゆくこととなります。
これを図示すれば、以下の通りです
生年月日による区分 労使協定の基準適用可能年齢
昭和28年4月2日~昭和30年4月1日に生まれた者 61歳
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日に生まれた者 62歳
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日に生まれた者 63歳
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日に生まれた者 64歳
※例えば、昭和28年4月2日~昭和30年4月1日に生まれた男性は、厚生年金の支給が61歳からとなるため、60歳から61歳までの1年間は、労使協定の基準によって継続雇用を排除す ることができず、61歳到達後は、従来通り、労使協定による基準を使用することができる。
※上記生年月日による区分は、男性の年金支給年齢引上げに合わせたもので、女性は男性より5年遅れの引上げとなっているが、こと継続雇用制度では男性の引上げスケジュールに合
わせて同時に行われる。
※各人の実際の年金受給権に関わらず、生年月日により、画一的に行われる(加入期間を満たさず、年金がそもそももらえない方でも関係がない)。
※労使協定による基準が廃止される場合でも、定年後の個別の労働条件(賃金、労働時間等)は、各人別に見直しすることが可能で、これは改正前と同様である。
ただ個別の労働条件の設定に関し、今までは厚生年金の支給額との関連で、60歳後の給与額を設計することが可能でしたが、来年の4月からはこれが不可能となります(雇用保険の雇用継続給付とのシミュレーションは今まで通り可能)。つまり、会社から支給される給与を引き下げ、その反作用として年金を増加させて実質手取りが下がらないように調整することが困難になります。
また従来ですと、60歳定年時に引き下げた給与に対して、社会保険料も翌月から連動して引き下げる操作も不可能となります(この手続きを同日得喪というが、これは年金の受給権があることが前提となるため。4月以降は男性はそもそも60歳で受給権自体が発生しない)。
またこれも大きな問題ですが、今秋、労働契約法も改正され、来年4月1日から同日施行されます。ここでの大きな改正は、有期労働契約者の契約が5年を超えて更新されたときは、本人の申し出があれば、企業の事情に関わらず、無期契約に自動的に転換されることとなりました。
これは定年後の継続雇用制度により、期間契約している高齢者にも適用されます。つまり、一旦、定年により有期契約で更新制になった人が、継続義務化年齢の65歳となったときに無期契約を希望すれば、会社は再び無期契約に戻す必要がでてくるのです。しかも今度は定年というリミットもありません。
今回の改正は実務上の影響が大きいため、これらに対応した規程類の改正が必要です。少なくとも弊社にて嘱託規程(継続雇用制度)の導入をお手伝いさせて頂いたクライアント様には、今後個別に改訂手続きを行って参る所存です。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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12年11月05日
労務は感情、労務は心理学 パワハラ問題 その2
●労務は感情、労務は心理学 パワハラ問題 その2 (H24.11月号)
~できるだけ不満のたまらない企業文化(社風)醸成のために~
前回は人格攻撃にならないために、「人・事(じんじ)を分けて考える」「あなたメッセージをしない」「従業員にも家族がいることを思い出す」をお話しました。
今回は前回に引き続き、パワハラとの関係で、企業文化について考える第2回目です。
4.簡単にできるコミュニケーション方法 「忙」と「認」と「ど付き質問」
上司と部下の良好なコミュニケーション手法を解説する書籍や講座はたくさんあります。私も仕事上、または自分も部下を管理する立場として、そのような勉強を人並み以上にしている方だと思います。でも勉強したことを実践しようとすると、実際は中々難しい。
そこで意識すればできる非常に簡単なコミュニケーションをご紹介したいと思います。
ア) 「忙しい」は禁句
「忙しい」という言葉は非常に便利です。何が便利かと言うと、ただ一言、「忙しいっ!」とやるだけで、相手を簡単にはねつけることができます。便利なだけに濫用し易い言葉です。
でも、何かを聞きに行ったとき、「忙しいっ!」とやられると、結構、嫌な気持ちになりませんか?居場所がなくなるというか、立場がないというか、軽んじられたというか・・・・・・。
もうあの人にはあまり近づきたくない、出来たら避けたいと思わせる効果はありますよね。
「忙しい」という文字を良く見ると、心を亡うと書いて、「忙」なのです。得てして、「忙しいっ!」とやってしまう姿は、周りから見ればイヤーなオーラを出して、心を亡くした姿に映ることでしょう。
できたら職場では避けたい言葉の一つです。
イ)相手を「認める」とは?
自分の人格が軽んじられたと思うとき、自分は認められていないと感じています。しかし承認欲求は誰でもい持っているのです。
相手を認めるには、褒め言葉をあたかもシャワーのように、浴びせ続けなければならない誤解をしてはいないでしょうか?
でも実際はそうではなく、相手の話を聴くだけで結構認められたという実感を持つものです。
「認」という字、ごんべんに忍と書いて、認めると読ませています。つまり言葉を忍ぶということが相手を認めることだというのです。何も上手く褒めなければ成らないことはない。ただ上司が言葉を慎むだけで、承認したことになるのです。饒舌に、冗長に成らないように、したいものです。
ウ)「ど」つき質問のすすめ
しかしそうは言っても、ただ言葉を忍ぶだけでは、不充分。どうしても言葉も必要なのは当然です。でも上司があまり饒舌になってはいけない。では、どうするか?
「どう思う?」「どうしたらいい?」「どうしたいんだ?」と聞いてみましょう。「ど」の付く質問、ただそれだけです。
前回のあなたメッセージでも少し触れましたが、従業員の心の矢印を自分の方向へ向けさせなければなりません。ただ一方的に、上司から指揮命令の矢印を向けるだけでなく、「ど」つき質問を多用する社内文化を醸成しましょう。
部下はこの会社で「自分がいる」という存在感を今まで以上に持つことができるはずです。
2.労務は1対1の関係 上司は自分の存在の大きさを自覚しよう
上司の存在は自分が思っている以上に、部下から大きな存在で見られていることを自覚しましょう。何気ない一言や態度でも、従業員の心の中には意外と蓄積されていることが多いのです。その理由は簡単。上司から部下の存在は5分の1、10分の1の存在かも知れませんが、部下から見た場合、上司は一人しかいません。つまり部下から見ると、常に1対1の関係なのです。それを忘れてはいけません。
3.それでも指導、注意、警告を恐れるな
しかし出来が悪いと見たならば、パワーを行使することを躊躇してはいけません。よっぽどフラットな組織機構を目指していない限り、組織は縦の関係で規律が保たれている側面があり、社長又はその権限の一部を委譲された上司は、本来的にパワーを有しているのです。要はその行使の仕方の問題です。
また日本の労働法制は採用に甘く、解雇に異常に厳しい法制です。従って、能力不足だとか勤務態度不良といっても、簡単に解雇することはできません。日頃から如何に指導、注意、警告をして来たかが問われ、漫然とやり過ごしていると会社の教育がなっていないとされて解雇は無効となってしまうのです。問題社員ほど、繰り返し、厳しく指導せざるを得ないのです。
そして他の問題ない従業員から見ても、問題社員を放置しておくことがかえって組織風土に悪影響を与えることすら懸念されます。
従って、人格攻撃をせず、コミュニケーションに意を尽くして頂ければ、パワーの行使はむしろ望ましいことなので、臆することなく、適切にパワーを行使しましょう。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
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~できるだけ不満のたまらない企業文化(社風)醸成のために~
前回は人格攻撃にならないために、「人・事(じんじ)を分けて考える」「あなたメッセージをしない」「従業員にも家族がいることを思い出す」をお話しました。
今回は前回に引き続き、パワハラとの関係で、企業文化について考える第2回目です。
4.簡単にできるコミュニケーション方法 「忙」と「認」と「ど付き質問」
上司と部下の良好なコミュニケーション手法を解説する書籍や講座はたくさんあります。私も仕事上、または自分も部下を管理する立場として、そのような勉強を人並み以上にしている方だと思います。でも勉強したことを実践しようとすると、実際は中々難しい。
そこで意識すればできる非常に簡単なコミュニケーションをご紹介したいと思います。
ア) 「忙しい」は禁句
「忙しい」という言葉は非常に便利です。何が便利かと言うと、ただ一言、「忙しいっ!」とやるだけで、相手を簡単にはねつけることができます。便利なだけに濫用し易い言葉です。
でも、何かを聞きに行ったとき、「忙しいっ!」とやられると、結構、嫌な気持ちになりませんか?居場所がなくなるというか、立場がないというか、軽んじられたというか・・・・・・。
もうあの人にはあまり近づきたくない、出来たら避けたいと思わせる効果はありますよね。
「忙しい」という文字を良く見ると、心を亡うと書いて、「忙」なのです。得てして、「忙しいっ!」とやってしまう姿は、周りから見ればイヤーなオーラを出して、心を亡くした姿に映ることでしょう。
できたら職場では避けたい言葉の一つです。
イ)相手を「認める」とは?
自分の人格が軽んじられたと思うとき、自分は認められていないと感じています。しかし承認欲求は誰でもい持っているのです。
相手を認めるには、褒め言葉をあたかもシャワーのように、浴びせ続けなければならない誤解をしてはいないでしょうか?
でも実際はそうではなく、相手の話を聴くだけで結構認められたという実感を持つものです。
「認」という字、ごんべんに忍と書いて、認めると読ませています。つまり言葉を忍ぶということが相手を認めることだというのです。何も上手く褒めなければ成らないことはない。ただ上司が言葉を慎むだけで、承認したことになるのです。饒舌に、冗長に成らないように、したいものです。
ウ)「ど」つき質問のすすめ
しかしそうは言っても、ただ言葉を忍ぶだけでは、不充分。どうしても言葉も必要なのは当然です。でも上司があまり饒舌になってはいけない。では、どうするか?
「どう思う?」「どうしたらいい?」「どうしたいんだ?」と聞いてみましょう。「ど」の付く質問、ただそれだけです。
前回のあなたメッセージでも少し触れましたが、従業員の心の矢印を自分の方向へ向けさせなければなりません。ただ一方的に、上司から指揮命令の矢印を向けるだけでなく、「ど」つき質問を多用する社内文化を醸成しましょう。
部下はこの会社で「自分がいる」という存在感を今まで以上に持つことができるはずです。
2.労務は1対1の関係 上司は自分の存在の大きさを自覚しよう
上司の存在は自分が思っている以上に、部下から大きな存在で見られていることを自覚しましょう。何気ない一言や態度でも、従業員の心の中には意外と蓄積されていることが多いのです。その理由は簡単。上司から部下の存在は5分の1、10分の1の存在かも知れませんが、部下から見た場合、上司は一人しかいません。つまり部下から見ると、常に1対1の関係なのです。それを忘れてはいけません。
3.それでも指導、注意、警告を恐れるな
しかし出来が悪いと見たならば、パワーを行使することを躊躇してはいけません。よっぽどフラットな組織機構を目指していない限り、組織は縦の関係で規律が保たれている側面があり、社長又はその権限の一部を委譲された上司は、本来的にパワーを有しているのです。要はその行使の仕方の問題です。
また日本の労働法制は採用に甘く、解雇に異常に厳しい法制です。従って、能力不足だとか勤務態度不良といっても、簡単に解雇することはできません。日頃から如何に指導、注意、警告をして来たかが問われ、漫然とやり過ごしていると会社の教育がなっていないとされて解雇は無効となってしまうのです。問題社員ほど、繰り返し、厳しく指導せざるを得ないのです。
そして他の問題ない従業員から見ても、問題社員を放置しておくことがかえって組織風土に悪影響を与えることすら懸念されます。
従って、人格攻撃をせず、コミュニケーションに意を尽くして頂ければ、パワーの行使はむしろ望ましいことなので、臆することなく、適切にパワーを行使しましょう。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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