年収500万円は、今やエリートなのか?
~これでいいのか?日本の賃金・・・。まさにデフレだ!!~

 今、日本のサラリーマンはどのような給与水準で暮らしているのでしょうか。
いくつかの統計資料を使って、皆様と一緒に考えたいと思います。私の簡単なコメントは付しておりますが、多くのコメントは控えます。
年収の相場はいくらなのか、毎月賃金の相場はいくらなのか、今春の賃上げ状況はどうなのか、この夏のボーナスはどうなのか?統計情報
をご提供します。
 まさに賃金デフレだと思うのですが、経営者の皆様はこの数字を見てどのようにお考えになられますか?


■平均年収(全国) 事業所規模別 ■ (国税庁 民間給与の実態調査結果 平成20年)

従事員10 人未満  344万円(男性432万円、女性239万円) ※内、賞与は19万円(5.9%)で男性21万円(5.2%)、女性17万円(7.7%)
従事員30人未満  408万円(男性486万円、女性279万円) ※内、賞与は38万円(10.1%)で男性43万円(9.7%)、女性29万円(11.5%)
従業員100人未満 406万円(男性490万円、女性264万円)※内、賞与は50万円(14.2%)で男性61万円(14.1%)、女性33万円(14.3%)
従業員500人未満 430万円(男性520万円、女性286万円)※内、賞与は72万円(20.2%)で男性90万円(20.8%)、女性44万円(18.3%)
従業員1000人未満 473万円(男性583万円、女性300万円)※内、賞与は93万円(24.6%)で男性120万円(26%)、女性51万円(20.3%)
これ以上、略。

<概要コメント> 10人未満と10人以上で大きな階差が見られるが、10人以上500人未満までは月給水準はほとんど大差がなく、おおよそ男
性で430万円台である。規模が大きくなるとボーナスの比率が少しずつ上がっているのが分かる。500人を超えると月給と賞与を含めた年収
水準自体が上がる。


■年収分布(全国) 事業所規模別 ■ (国税庁 民間給与の実態調査結果 平成20年) 単位:%

規模/年収  100万円以下   100~200万円    200~300万円    300~400万円   400~500万円    500万円以上

10人未満  11.6(男4.3) 22.1(男13.6)  21.6(男19.9)  16.2(男20.4)  11.5(男16.2) 17.1(男25.6)
30人未満    8.1(男3.4)  14.5(男7.4)   19.0(男15.2)   21.0(男23.5)  14.6(男19.1)  22.9(男31.6)  
100人未満 6.9(男2.3)  14.4(男7.0)   18.9(男14.4)   20.3(男22.2)  15.4(男20.1)  24.0(男34.2)  
500人未満 5.8(男2.1)  13.0(男5.6)   16.1(男11.1)   19.4(男19.2)   15.9(男19.5)  29.9(男42.5)
1000人未満 7.0(男2.1)  11.6(男4.6)   12.1(男7.6)    15.4(男13.9)   15.5(男17.8)  38.4(男53.9)
これ以上 略。

<概要コメント> 100人未満の中小企業で暮らす従業員は、年収400万円未満で6割以上、500万円未満で7割以上の人たちが暮らしており、
500万円以上の稼ぎのある方は全体の2割(男性だけで見ても3割)そこそこである。約5割の人たちが、200万~500万円の間で、約4割くらい
の人たちが300万~500万円で生活している。一番多い層は300~400万円でその次が200~300万円である。


■年齢階層別の平均年収(全国) 全規模■ (国税庁 民間給与の実態調査結果 平成20年)

   19歳以下 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳  40~44歳 45~49歳  50~54歳 55~59歳 60~64歳  65~69歳

男  154万円  264万円  378万円 453万円  530万円  617万円  663万円  670万円  630万円 514万円  402万円   
女  112万円  232万円  294万円 301万円  290万円  288万円  290万円  276万円  256万円 228万円  207万円
計  134万円  248万円  343万円 398万円  447万円  494万円  511万円  506万円  479万円 405万円  327万円


<概要コメント> 平均給与を年齢層別に見ると、男性では55歳未満までは年齢とともに高くなり、50~54歳層がピークになっている。女
性では年齢による変化はあまりない。おそらく結婚退職、パート労働が多いためだと思われる。従って女性でも正規雇用なら男性レベルで
考えるべきである。60歳以上になると8割から6割くらいにダウンする。


■年齢階層別の平均給与(大阪 産業計) 10人~99人規模■ (厚生労働省 賃金構造基本統計調査 平成21年) 単位:万円
 
男女計    月額総額(男)      内所定内分(男)     年間賞与(男)     勤続年数
19歳以下   182.8(184.7)       176.4(177.4)       84.5(91.7)      1.2
20~24歳   217.0(223.5)       206.5(211.7)      244.1(231.3)      1.9
25~29歳   250.5(266.1)       236.7(250.0)      427.8(463.1)      3.7
30~34歳   293.6(314.2)       277.5(294.1)      579.1(596.6)      6.1
35~39歳   322.4(342.8)       303.6(321.6)      673.9(729.3)      8.9
40~44歳   342.7(378.6)       325.2(358.3)      747.3(830.0)      9.7
45~49歳   358.8(392.0)       343.1(373.3)      813.9(842.1)      12.2
50~54歳   352.8(381.4)       336.2(362.5)      706.5(769.0)      15.1
55~59歳   349.9(367.9)       336.5(352.4)      673.5(710.8)      17.3
60~64歳   292.4(308.6)       285.3(301.0)      497.9(515.3)      18.3
65~69歳   238.3(246.5)       234.1(241.6)      397.6(455.3)      16.3

<概要コメント> これを見る限り、大阪の中小企業で働くほとんどの人たちは、残業代を含めて40万円未満の給与しか得ていない。所定
内給与の年齢層のピークは55~59歳であるが男は45~49歳であり、ピークが若干早い。また勤続年数も20年続くことは非常にまれである。


■中小企業における2010年の賃上げ状況  大阪府下■ (大阪市信用金庫)

○賃上げ実施状況 ( )は昨年
         1.賃上げ実施    2.据え置き     3.賃下げ
<業種別>
製造業      11.2 ( 9.9)     73.5 (63.5)    15.3 (26.6)
卸売業      14.7 (11.0)     73.3 (75.9)     12.0 (13.1)
小売業      11.0 (16.4)     80.8 (74.0)     8.2 ( 9.6)
建設業      10.5 ( 5.7)     75.1 (75.4)     14.4 (18.9)
運輸業      8.0 ( 6.5)     73.3 (59.7)     18.7 (33.8)
サービス業    11.5 (10.9)     82.8 (69.8)     5.7 (19.3)

<規模別>
10 人未満     7.9 ( 6.3)     78.6 (72.5)     13.5 (21.2)
10~19 人   10.4 (11.2)     75.8 (68.2)    13.8 (20.6)
20~49 人   23.2 (16.2)     66.7 (57.3)    10.1 (26.5)
50 人以上   34.1 (28.3)      50.0 (52.1)     15.9 (19.6)
全 体      11.5 ( 9.8)     75.2 (68.6)     13.3 (21.6)

<概要コメント>今春賃上げを実施した企業は僅か11.5%。引き下げが13.3%もある。大半の企業は据え置き。


○平均賃上げ率   (  )内は賃上げを実施した企業での割合
          2010年4月      2009年4月
<業種別>
製造業      ▲0.47 (2.85)    ▲1.28 (2.80)
卸売業      ▲0.01 (3.13)    ▲0.24 (3.14)
小売業      ▲0.05 (3.19)     0.01 (3.58)
建設業      ▲0.28 (3.29)    ▲1.04 (1.61)
運輸業      ▲0.60 (2.83)    ▲1.76 (1.90)
サービス業     0.11 (3.46)    ▲0.66 (2.46)

<規模別>
10 人未満 ▲0.38 (3.25) ▲1.02 (3.01)
10~19 人 ▲0.33 (3.54) ▲0.80 (2.38)
20~49 人 0.21 (2.66) ▲1.04 (2.93)
50 人以上 ▲0.05 (2.40) ▲0.47 (2.77)
全 体 ▲0.28 (3.06) ▲0.94 (2.77)

<概要コメント>今春の前年対比での賃上げ率は、全体ではマイナス0.28%。引上げした企業の平均で3.06%。



■中小企業の夏季ボーナス支給状況  2010年 大阪府下■ (大阪市信用金庫)

○ボーナス支給企業割合の推移と企業規模別割合
           98年  99年  00年  01年  02年  03年  04年  05年  06年  07年  08年  09年  10年
「支給する」企業   93.8   76.4   70.3  72.1  62.9  64.0  65.8   68.4  68.5  68.5  65.6  56.7  51.0(%)

        1.支給する   2.支給しない (少額手当)(全くなし) 
20 人未満     46.5         53.5    (36.3) (17.2)
20~49 人     69.0         31.0    (19.3) (11.7)
50 人以上    88.9         11.1    ( 8.3) ( 2.8)
全 体      51.0 49.0 (33.0) (16.0)

<概要コメント>かつては7割以上支給していたボーナスが、今夏、支給企業は僅か51%。50人以上はほとんど支給しているが、20人未満で
は5割を切る。但し寸志程度は出していることが多い。


○ボーナス支給額 平均
<業種>
製造業    247,701 円
卸売業    270,334 円
小売業    281,311 円
建設業    258,564 円
運輸業    223,648 円
サービス業  246,055 円
全 体     253,559 円

<規模>
20 人未満    247,630円       
20~49 人   260,765円        
50 人以上   320,698円 

<概要コメント>中小企業ではボーナス平均25.3万円。企業規模が小さくなるほど支給額は低くなっている。


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もっと詳しくご覧になりたい方は、以下をご参照ください。
① http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2008/minkan.htm(国税庁 民間給与の実態調査結果 平成20年)
② http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011429(厚生労働省 賃金構造基本統計調査 平成21年)
③ http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2010/2010-07-01.pdf(大阪市信用金庫 中小企業における2010年の賃上げ状況、
夏季ボーナス支給状況)

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com