11年08月04日
従業員の能力(レベル)アップの方法を考える その3
従業員の能力(レベル)アップの方法を考える その3
前回はその2として「対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)」について申し上げました。今回はその第3弾、「自分で対策を考えさせる」について、考えたいと思います。
第1回目において、能力基準は従業員の人格の問題になりやすいから、仕事基準で物事を考えようと申し上げました。ほとんどの仕事は特別に優れた能力や資格がないとこなせないものではなく、経験すればある程度はこなせるもので、出来ないのは慣れていないからか、そもそもやらせてもらっていないとか教えてもらっていないことが多いからです。
しかし現実的に「能力がないなあ」と思わざるを得ないケースがあるのも事実です。それは大別すると、1.ミス(間違い)が多い、
2.やるスピードが遅い のどちらかに集約されると思うのです。で、厄介なことに、当の本人にあまりそのことに自覚がないことです。つまり周りから見ればイレギュラーなことに映るため、他の一般的な人と比較してミスが多いとか遅いとかの判断が可能なのに対して、当の本人はそういう状態で当たり前に人生を過ごして来たからだと思われます。その人とってはよくある普通のことなのです。自分を一般的な人と比較して、ミスが多いとか、遅いとかを深く認識していないのです。これに気付きを与える必要があります。
そこで自分で対策を考えさせる必要が生じるのですが、こういう人に対しては、漠然と考えろ、と言っても満足な対策は出てきません。対策を出させる前に管理者がリードすべきことがあると考えています。
その前に、ここでミスを起こし易い人の傾向を考えます。
1.仕事の意味を理解していないために起こるミス
(自分が今、何をしているのか分かっていないために、自分の勝手な解釈で加工したり、間引きが起こる)
2.中断すると起こるミス
(電話とか話しかけなどで作業が中断すると漏れや抜けが起こる)
3.直ぐに飛びつくミス
(取り掛かる前に全体を見渡さず、闇雲に取り掛かることで起こる)
4.同時並行で起こるミス
(違う業務を同時並行で行うことで起こる)
5.一気に処理しないで起こるミス
(その日に仕上げてしまわず、中途半端に持ち越すことで起こる)
6.円満な人間関係が築けずに起こるミス
(周りの人に聴きにくい関係になってしまっているから聞けず、未熟な判断で起こる)
7.テンパッて起こるミス
(焦る、あわてることから起こる)
8.集中できずに起こるミス
(業務中に何か違うことが頭に浮かんできて起こる)
9.無批判に信じることで起こるミス
(他人や機械の出した結果に間違いがないと思い込むことで起こる)
10.ちょっと先の予測が付かず起こるミス
(この業務の後工程で何が起こるかを予測できないことで起こる)
11.情報・知識不足で起こるミス
(そもそもその業務に対する知識や情報が不足していることで起こる)
12.融通が効かず起こるミス
(言われたことを咀嚼できず真に受けることで起こる)
13.些細な事案を溜め込むことで起こるミス
(早く目の前から消すべき小さな業務を溜め込むことで起こる)
14.マニュアルを守らないことで起こるミス
(皆で決めたことを守らないことで起こる)
15.見直し・メモ書き・尋ねることを省略することで起こるミス
(一度したことを見直しない、忘れるかもしれないことをメモしない、分からなかったら勝手に判断せず聞くことをしないことで起こる)
まだまだあると思いますが、いかがでしょうか?
まず管理者は、当人が上記のような傾向があることを冷静に指摘してあげる必要があると思います。そのような傾向があるという前提条件を認識してもらった上で、このような傾向を防ぐためにはどうすればいいかは、当人に考えさせる必要があります。そしてその内容を紙に書かせる必要があります。しかしこの紙もただ、白紙用紙に自分で書いて来いと言っても期待はできません。前提条件に沿った、シートを提供するところまではお膳立てが必要だと思っています。そこまでお膳立てしたら、後は本人に考えさせましょう。
但し、下表のⅡ及びⅣに該当する人は残念ながら対象外です。
高業績 低業績
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
企業価値を実践する Ⅰ 報奨を与える Ⅲ トレーニングを施す
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
企業価値を実践しない Ⅱ 排除する Ⅳ 辞めてもらう
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
前回はその2として「対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)」について申し上げました。今回はその第3弾、「自分で対策を考えさせる」について、考えたいと思います。
第1回目において、能力基準は従業員の人格の問題になりやすいから、仕事基準で物事を考えようと申し上げました。ほとんどの仕事は特別に優れた能力や資格がないとこなせないものではなく、経験すればある程度はこなせるもので、出来ないのは慣れていないからか、そもそもやらせてもらっていないとか教えてもらっていないことが多いからです。
しかし現実的に「能力がないなあ」と思わざるを得ないケースがあるのも事実です。それは大別すると、1.ミス(間違い)が多い、
2.やるスピードが遅い のどちらかに集約されると思うのです。で、厄介なことに、当の本人にあまりそのことに自覚がないことです。つまり周りから見ればイレギュラーなことに映るため、他の一般的な人と比較してミスが多いとか遅いとかの判断が可能なのに対して、当の本人はそういう状態で当たり前に人生を過ごして来たからだと思われます。その人とってはよくある普通のことなのです。自分を一般的な人と比較して、ミスが多いとか、遅いとかを深く認識していないのです。これに気付きを与える必要があります。
そこで自分で対策を考えさせる必要が生じるのですが、こういう人に対しては、漠然と考えろ、と言っても満足な対策は出てきません。対策を出させる前に管理者がリードすべきことがあると考えています。
その前に、ここでミスを起こし易い人の傾向を考えます。
1.仕事の意味を理解していないために起こるミス
(自分が今、何をしているのか分かっていないために、自分の勝手な解釈で加工したり、間引きが起こる)
2.中断すると起こるミス
(電話とか話しかけなどで作業が中断すると漏れや抜けが起こる)
3.直ぐに飛びつくミス
(取り掛かる前に全体を見渡さず、闇雲に取り掛かることで起こる)
4.同時並行で起こるミス
(違う業務を同時並行で行うことで起こる)
5.一気に処理しないで起こるミス
(その日に仕上げてしまわず、中途半端に持ち越すことで起こる)
6.円満な人間関係が築けずに起こるミス
(周りの人に聴きにくい関係になってしまっているから聞けず、未熟な判断で起こる)
7.テンパッて起こるミス
(焦る、あわてることから起こる)
8.集中できずに起こるミス
(業務中に何か違うことが頭に浮かんできて起こる)
9.無批判に信じることで起こるミス
(他人や機械の出した結果に間違いがないと思い込むことで起こる)
10.ちょっと先の予測が付かず起こるミス
(この業務の後工程で何が起こるかを予測できないことで起こる)
11.情報・知識不足で起こるミス
(そもそもその業務に対する知識や情報が不足していることで起こる)
12.融通が効かず起こるミス
(言われたことを咀嚼できず真に受けることで起こる)
13.些細な事案を溜め込むことで起こるミス
(早く目の前から消すべき小さな業務を溜め込むことで起こる)
14.マニュアルを守らないことで起こるミス
(皆で決めたことを守らないことで起こる)
15.見直し・メモ書き・尋ねることを省略することで起こるミス
(一度したことを見直しない、忘れるかもしれないことをメモしない、分からなかったら勝手に判断せず聞くことをしないことで起こる)
まだまだあると思いますが、いかがでしょうか?
まず管理者は、当人が上記のような傾向があることを冷静に指摘してあげる必要があると思います。そのような傾向があるという前提条件を認識してもらった上で、このような傾向を防ぐためにはどうすればいいかは、当人に考えさせる必要があります。そしてその内容を紙に書かせる必要があります。しかしこの紙もただ、白紙用紙に自分で書いて来いと言っても期待はできません。前提条件に沿った、シートを提供するところまではお膳立てが必要だと思っています。そこまでお膳立てしたら、後は本人に考えさせましょう。
但し、下表のⅡ及びⅣに該当する人は残念ながら対象外です。
高業績 低業績
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企業価値を実践する Ⅰ 報奨を与える Ⅲ トレーニングを施す
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企業価値を実践しない Ⅱ 排除する Ⅳ 辞めてもらう
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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