12年02月06日
中小企業のメンタルへルス問題 ④
~うつ病社員の休職制度への乗せ方~
1.休職制度への基本的な流れ
(1) 心の問題による休業要の診断書の受領
(まず主治医から必要な療養見込み期間を記載した診断書を取るところから始まります)
↓
(2) 就業規則の休職の規定に基づき運用
(自社の就業規則の休職に関する規定内容を確認します。休職を経ないでの解雇は無効の可能性があります。多くの中小企業ではこの休職規定の作り込みが甘いため、実務で使用できません。早急な整備が必要です)
↓
(3) 休職制度の内容の説明
療養できる期間、退職となる時期(休職満了時期)、欠勤と出勤を繰り返す場合の通算制度、有給休暇の使用の可否など、休職制度の内容を説明します。この際休職によって、安心して療養に専念するよう伝えると共に、万が一復職できないときは退職になる旨をきちんと伝えます)
↓
(4) 休業中の所得保障、負担金等を当該従業員に説明
(健康保険から休業中の所得保障である傷病手当金があることを説明して安心感を与える(仮に退職となっても受給権は継続することもあります)と共に、保険料や住民税の会社預かり分をどうするかを確認しておきます)
↓
(5) 休業中の接触の方法の確認
(療養中の連絡先を確認しておきます。また会社の窓口の統一を図ります。例えば、
「毎月、傷病手当金の申請書を出す際に、○○まで病状を報告して欲しい」
「主治医の診断を受けた日に連絡をいただけますか」といった具合です。
また接触手段は当初は負担のかからないメールから始まり、→電話→面談と移行してゆくのが望ましいです。
本人が接触を拒否するときは、家族や仲の良い同僚のサポートを受けることも検討します。とにかくほったらかしは良くありません。
↓
(6) 復職時の手続き説明
(復職願いや復帰可能の診断書を出せば、直ぐに復職できる誤解を招かないようにします。復職に関しては次号でお話しますが、休職制度の中で復職判断が最も難しいのです。本人と話が進まないときは、場合によりご家族にお伝えすることもありえます。例えば、
「当社における職場復帰においては、主治医の職場復帰可能な旨の診断書が提出された後に、産業医(会社指定医)の診察や総務部における判断がありますので、職場復帰を希望される場合には、遅くとも休職期間満了日の●週間前までに復職願いに添えて、主治医の診断書を提出してください」 といった具合です。
↓
(7) 外部利用機関の案内、情報提供
当該従業員への配慮として、無料で利用できる心の問題の相談機関がいくつかありますので、情報提供してあげると親切でしょう。
例えば以下のような機関があります。
◎大阪労災病院勤労者予防医療センター(勤労者心の電話相談)
TEL072-251-9556
◎大阪府こころの健康総合センター(こころの電話相談専用ダイヤル)
TEL06-6607-8814
◎働く人のメンタルヘルス ポータルサイト http://kokoro.mhlw.go.jp/
2.休職中の対応
一旦、休職を発令しても、上記(5)のように接触を試み、ほったらかしにするのは良くありません。接触自体はNGではないのです。
最初はメールでのやり取りなど負担の掛からない接触方法から徐々に電話、面談へと移行してゆきますが、会社での面談には通勤ラッシュ時間や他の社員と顔を合わせる時間帯を避けるなどの配慮も必要です。また休職期間満了前には余裕を持って休職が満了する通知文を出す配慮も欲しいところです。
また、当該従業員への配慮だけでなく、周りの従業員への配慮と個人情報保護も必要です。病名まで公表する必要はないと思いますが、例えば
「しばらくは人数が減った分、各人に負担をお願いすることになるかもしれません。今回はたまたま○○さんが対象だが、誰がつらい状況になっても同じ対応を受ける権利があります。今回は皆でカバーしてやっていきましょう」といった具合です。
次回は復職に関してお話いたします。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
1.休職制度への基本的な流れ
(1) 心の問題による休業要の診断書の受領
(まず主治医から必要な療養見込み期間を記載した診断書を取るところから始まります)
↓
(2) 就業規則の休職の規定に基づき運用
(自社の就業規則の休職に関する規定内容を確認します。休職を経ないでの解雇は無効の可能性があります。多くの中小企業ではこの休職規定の作り込みが甘いため、実務で使用できません。早急な整備が必要です)
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(3) 休職制度の内容の説明
療養できる期間、退職となる時期(休職満了時期)、欠勤と出勤を繰り返す場合の通算制度、有給休暇の使用の可否など、休職制度の内容を説明します。この際休職によって、安心して療養に専念するよう伝えると共に、万が一復職できないときは退職になる旨をきちんと伝えます)
↓
(4) 休業中の所得保障、負担金等を当該従業員に説明
(健康保険から休業中の所得保障である傷病手当金があることを説明して安心感を与える(仮に退職となっても受給権は継続することもあります)と共に、保険料や住民税の会社預かり分をどうするかを確認しておきます)
↓
(5) 休業中の接触の方法の確認
(療養中の連絡先を確認しておきます。また会社の窓口の統一を図ります。例えば、
「毎月、傷病手当金の申請書を出す際に、○○まで病状を報告して欲しい」
「主治医の診断を受けた日に連絡をいただけますか」といった具合です。
また接触手段は当初は負担のかからないメールから始まり、→電話→面談と移行してゆくのが望ましいです。
本人が接触を拒否するときは、家族や仲の良い同僚のサポートを受けることも検討します。とにかくほったらかしは良くありません。
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(6) 復職時の手続き説明
(復職願いや復帰可能の診断書を出せば、直ぐに復職できる誤解を招かないようにします。復職に関しては次号でお話しますが、休職制度の中で復職判断が最も難しいのです。本人と話が進まないときは、場合によりご家族にお伝えすることもありえます。例えば、
「当社における職場復帰においては、主治医の職場復帰可能な旨の診断書が提出された後に、産業医(会社指定医)の診察や総務部における判断がありますので、職場復帰を希望される場合には、遅くとも休職期間満了日の●週間前までに復職願いに添えて、主治医の診断書を提出してください」 といった具合です。
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(7) 外部利用機関の案内、情報提供
当該従業員への配慮として、無料で利用できる心の問題の相談機関がいくつかありますので、情報提供してあげると親切でしょう。
例えば以下のような機関があります。
◎大阪労災病院勤労者予防医療センター(勤労者心の電話相談)
TEL072-251-9556
◎大阪府こころの健康総合センター(こころの電話相談専用ダイヤル)
TEL06-6607-8814
◎働く人のメンタルヘルス ポータルサイト http://kokoro.mhlw.go.jp/
2.休職中の対応
一旦、休職を発令しても、上記(5)のように接触を試み、ほったらかしにするのは良くありません。接触自体はNGではないのです。
最初はメールでのやり取りなど負担の掛からない接触方法から徐々に電話、面談へと移行してゆきますが、会社での面談には通勤ラッシュ時間や他の社員と顔を合わせる時間帯を避けるなどの配慮も必要です。また休職期間満了前には余裕を持って休職が満了する通知文を出す配慮も欲しいところです。
また、当該従業員への配慮だけでなく、周りの従業員への配慮と個人情報保護も必要です。病名まで公表する必要はないと思いますが、例えば
「しばらくは人数が減った分、各人に負担をお願いすることになるかもしれません。今回はたまたま○○さんが対象だが、誰がつらい状況になっても同じ対応を受ける権利があります。今回は皆でカバーしてやっていきましょう」といった具合です。
次回は復職に関してお話いたします。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com