12年06月05日
●「社長時間」と「社員時間」と賃金をリンクさせよう
●「社長時間」と「社員時間」と賃金をリンクさせよう
~社長は2時間は残業して欲しい、社員は8時間で終わりと思っている、このギャップを埋めるために~
時間外労働をめぐる、いわゆるサービス残業代に関するトラブルが後を絶ちません。これには様々な原因がありますが、その一つに「社長時間」と「社員時間」がそもそも最初から違うということがあります。その誤解があるまま雇用しているという事実があるのです。たとえばこういうことです。
社長の感覚 「うちの会社では1日2時間くらいの残業は当たり前。最低でも月200時間は働いてくれないと、仕事が回らない。給料28万円はそれらを含んでいる」
社員の感覚 「うちの会社は1日8時間労働の会社。それを超えると全て残業で、28万円とは別に、残業代がもらえる」
こういう意識の場合、出るところへ出て紛争になれば、分は社員にあります。でも社長のその感覚も、分からないでもありません。ではこの意識ギャップを埋めるにはどうすればいいでしょうか?
もし、社長が給与設定する頭の中に最初から一定の残業が前提となっているなら、給与をその感覚に合わせて支給しましょう。具体的にはこうです。
前提条件 月所定平均170時間の会社 給与を総額28万円で支給(手当なし)
月30時間の残業があらかじめ含まれているとした場合
計算式 まず28万円のうち、30時間分の残業代がいくらかを計算します。
1)30時間×1.25=37.5時間
2)28万円÷(170時間+37.5時間)=@1349.39(この単価が正社員として適正か検討を要します)
3)@1349.39×170時間=229,397
4)@1349.39×1.25×30時間=50,603円 3)+4)=28万円
つまりこの場合、A 基本給229,397円 定額時間外手当(30時間分)50,603円 合計28万円
または、 B 基本給28万円(基本部分229,397円 定額時間外30時間分50,603円) となるのです。
これを雇用契約時、または給与改定時にきちんと説明して雇用契約書を交わします。こうすることで、社長が「28万円には残業も入っている!!」とする感覚に近付けることができ、かつ30時間まではサービス残業代の問題も発生しません。そして実際の残業が30時間に満たないケースでも減額はしません。
ただこれをきちんと行うには以下がポイントとなります。
1 定額時間外手当と実際の残業代との比較が可能である(上記ケースでは30時間を境として比較可能)
2 労働契約書(賃金規程)上の定めが必要
3 固定額で足りない部分の精算の定めが必要(上記ケースでは実際の残業が30時間を超えた場合)
4 実際の残業の計算式の分子に当該手当が入っていない(上記ケースでは定額時間外手当のこと)
5 雇用契約書(賃金規程)の名称と給与明細の名称とが合致している(上記ケースでは定額時間外手当という名称)
6 社員に一人ひとりきちんと説明する(できれば個別同意をもらう)
今まで在籍の社員には経過的に行うとしても、今後採用する社員の給与はこのようになされては如何でしょうか?
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
~社長は2時間は残業して欲しい、社員は8時間で終わりと思っている、このギャップを埋めるために~
時間外労働をめぐる、いわゆるサービス残業代に関するトラブルが後を絶ちません。これには様々な原因がありますが、その一つに「社長時間」と「社員時間」がそもそも最初から違うということがあります。その誤解があるまま雇用しているという事実があるのです。たとえばこういうことです。
社長の感覚 「うちの会社では1日2時間くらいの残業は当たり前。最低でも月200時間は働いてくれないと、仕事が回らない。給料28万円はそれらを含んでいる」
社員の感覚 「うちの会社は1日8時間労働の会社。それを超えると全て残業で、28万円とは別に、残業代がもらえる」
こういう意識の場合、出るところへ出て紛争になれば、分は社員にあります。でも社長のその感覚も、分からないでもありません。ではこの意識ギャップを埋めるにはどうすればいいでしょうか?
もし、社長が給与設定する頭の中に最初から一定の残業が前提となっているなら、給与をその感覚に合わせて支給しましょう。具体的にはこうです。
前提条件 月所定平均170時間の会社 給与を総額28万円で支給(手当なし)
月30時間の残業があらかじめ含まれているとした場合
計算式 まず28万円のうち、30時間分の残業代がいくらかを計算します。
1)30時間×1.25=37.5時間
2)28万円÷(170時間+37.5時間)=@1349.39(この単価が正社員として適正か検討を要します)
3)@1349.39×170時間=229,397
4)@1349.39×1.25×30時間=50,603円 3)+4)=28万円
つまりこの場合、A 基本給229,397円 定額時間外手当(30時間分)50,603円 合計28万円
または、 B 基本給28万円(基本部分229,397円 定額時間外30時間分50,603円) となるのです。
これを雇用契約時、または給与改定時にきちんと説明して雇用契約書を交わします。こうすることで、社長が「28万円には残業も入っている!!」とする感覚に近付けることができ、かつ30時間まではサービス残業代の問題も発生しません。そして実際の残業が30時間に満たないケースでも減額はしません。
ただこれをきちんと行うには以下がポイントとなります。
1 定額時間外手当と実際の残業代との比較が可能である(上記ケースでは30時間を境として比較可能)
2 労働契約書(賃金規程)上の定めが必要
3 固定額で足りない部分の精算の定めが必要(上記ケースでは実際の残業が30時間を超えた場合)
4 実際の残業の計算式の分子に当該手当が入っていない(上記ケースでは定額時間外手当のこと)
5 雇用契約書(賃金規程)の名称と給与明細の名称とが合致している(上記ケースでは定額時間外手当という名称)
6 社員に一人ひとりきちんと説明する(できれば個別同意をもらう)
今まで在籍の社員には経過的に行うとしても、今後採用する社員の給与はこのようになされては如何でしょうか?
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com