18年01月30日
大手企業で行われている働き方改革の中味とは(2018.2月号)
●大手企業で行われている働き方改革の中味とは(2018.2月号)
前回1月号におきまして、「今年は労働生産性の向上を経営課題としよう」と題する記事を配信いたしました。今後経営課題として取り組むべき4つの切り口として、
1.社内風土と役員・従業員の意識改革、
2.社内の仕組みの改革、
3.業務システムの改革、
4.人事制度の改革
をご提案いたしましたが、実際、世間の大手企業ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?
今回は、2016年度に労務行政研究所が調査した調査結果をもとに、その内容の一部をご紹介したいと思います。
1.長時間労働削減に向けて実施している施策の内容 ベスト10
(1)管理職層に対する意識啓発への取り組み 76.9%
(2)一般社員に対する意識啓発への取り組み 67.0%
(2)ノー残業デーの設定 67.0%
(4)自分の労働時間数が簡単に分かる仕組み 55.7%
(5)時間外労働の事前届出制・許可制の導入 53.8%
(6)経営層から社内に向けて長時間労働是正へのッセージを発信 44.8%
(7)社内イントラネット、パンフレットの作成、掲示物による長時間労働是正の啓発 37.1.%
(8)会議を減らす等、業務の進め方への改善の取り組み 35.7%
(9)間接部門の合理化、IT化の推進 34.8%
(10)要員増、配置の適正化 33.9%
こうして概観してみると、やはり4つの切り口に集約できるのではないかと思いますが、その中でも「社内風土と役員・従業員の意識改革」に関するものが多く、しかも上位を占めており、大手企業でも意識改革を重視していることが伺えます。
2.現在実施している施策のうち、2016年以降に導入したもの ベスト10
(1)長時間労働削減に向けた社内プロジェクトの設置 61.0%
(2)36協定の協定時間の短縮 55.0%
(3)勤務間インターバル制度の導入 50.0%
(4)労働時間削減に対する顧客、取引先等への理解促進に向けた働きかけ 40.0%
(5)時間外労働の削減状況を人事考課により賃金や賞与に反映 37.5%
(6)総労働時間の目標を設定 35.5%
(7)36協定とは別途にこれを下回る「原則限度時間」の設定 32.4.%
(8)会議を減らす等、業務の進め方への改善の取り組み 30.4%
(9)経営層から社内に向けて長時間労働是正へのメッセージを発信 30.3%
(10)一定の時間になると強制的に消灯 27.6%
やはり大手企業ですから、いち早く経営課題と認識し、長時間労働削減のためのプロジェクト(おそらく特別委員会のようなものと考えられる)を立ち上げ、本腰を入れていることが分かります。
ここには収録しておりませんが、これらの施策のうち、取り組みの効果を尋ねている質問もあるのですが、「大いに効果がある」「ある程度効果がある」を併せて5割を超えていない施策は、「勤務間インターバル制度の導入」くらいで、おおよそ全ての施策で効果が実感されているようです。
3.その他、自由回答で出てきた必要と考える主な施策
◎業務プロセスの見直し、無駄な労働慣行や業務の廃止
◎アウトソーシング、外注化の促進
◎省力化のための設備投資、社内手続きのシステム化
◎情報共有できる環境整備
◎属人化、一極集中をを平準化、多能工化
◎顧客への過剰サービスの見直し
◎AI導入
◎人事が全社員の残業時間を定点観測のよるデータ化と現場への定期報告
◎巡回パトロール
◎管理職に対する原因・対策書を求める
これら自由回答の中で、効果が得られているとして多く感じられているのが、「人事が全社員の残業時間を定点観測のよるデータ化と現場への定期報告」に類する施策です。やはり時間外労働の現状をデータ化、見える化して現場、特に管理者に突きつけるのが効果的と考えられているように思われます。
如何だったでしょうか?好むと好まざるに拘わらず、世の中は、一斉にこういった方向へ梶を切ったのです。もう後戻りはしないでしょう。中小企業だから無理、●●業だから無理、こんなことやってたら経営なんてできない、潰れる、なんて言い訳は、逃げの何ものでもありません。働き方改革、待ったなしなのです。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
前回1月号におきまして、「今年は労働生産性の向上を経営課題としよう」と題する記事を配信いたしました。今後経営課題として取り組むべき4つの切り口として、
1.社内風土と役員・従業員の意識改革、
2.社内の仕組みの改革、
3.業務システムの改革、
4.人事制度の改革
をご提案いたしましたが、実際、世間の大手企業ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?
今回は、2016年度に労務行政研究所が調査した調査結果をもとに、その内容の一部をご紹介したいと思います。
1.長時間労働削減に向けて実施している施策の内容 ベスト10
(1)管理職層に対する意識啓発への取り組み 76.9%
(2)一般社員に対する意識啓発への取り組み 67.0%
(2)ノー残業デーの設定 67.0%
(4)自分の労働時間数が簡単に分かる仕組み 55.7%
(5)時間外労働の事前届出制・許可制の導入 53.8%
(6)経営層から社内に向けて長時間労働是正へのッセージを発信 44.8%
(7)社内イントラネット、パンフレットの作成、掲示物による長時間労働是正の啓発 37.1.%
(8)会議を減らす等、業務の進め方への改善の取り組み 35.7%
(9)間接部門の合理化、IT化の推進 34.8%
(10)要員増、配置の適正化 33.9%
こうして概観してみると、やはり4つの切り口に集約できるのではないかと思いますが、その中でも「社内風土と役員・従業員の意識改革」に関するものが多く、しかも上位を占めており、大手企業でも意識改革を重視していることが伺えます。
2.現在実施している施策のうち、2016年以降に導入したもの ベスト10
(1)長時間労働削減に向けた社内プロジェクトの設置 61.0%
(2)36協定の協定時間の短縮 55.0%
(3)勤務間インターバル制度の導入 50.0%
(4)労働時間削減に対する顧客、取引先等への理解促進に向けた働きかけ 40.0%
(5)時間外労働の削減状況を人事考課により賃金や賞与に反映 37.5%
(6)総労働時間の目標を設定 35.5%
(7)36協定とは別途にこれを下回る「原則限度時間」の設定 32.4.%
(8)会議を減らす等、業務の進め方への改善の取り組み 30.4%
(9)経営層から社内に向けて長時間労働是正へのメッセージを発信 30.3%
(10)一定の時間になると強制的に消灯 27.6%
やはり大手企業ですから、いち早く経営課題と認識し、長時間労働削減のためのプロジェクト(おそらく特別委員会のようなものと考えられる)を立ち上げ、本腰を入れていることが分かります。
ここには収録しておりませんが、これらの施策のうち、取り組みの効果を尋ねている質問もあるのですが、「大いに効果がある」「ある程度効果がある」を併せて5割を超えていない施策は、「勤務間インターバル制度の導入」くらいで、おおよそ全ての施策で効果が実感されているようです。
3.その他、自由回答で出てきた必要と考える主な施策
◎業務プロセスの見直し、無駄な労働慣行や業務の廃止
◎アウトソーシング、外注化の促進
◎省力化のための設備投資、社内手続きのシステム化
◎情報共有できる環境整備
◎属人化、一極集中をを平準化、多能工化
◎顧客への過剰サービスの見直し
◎AI導入
◎人事が全社員の残業時間を定点観測のよるデータ化と現場への定期報告
◎巡回パトロール
◎管理職に対する原因・対策書を求める
これら自由回答の中で、効果が得られているとして多く感じられているのが、「人事が全社員の残業時間を定点観測のよるデータ化と現場への定期報告」に類する施策です。やはり時間外労働の現状をデータ化、見える化して現場、特に管理者に突きつけるのが効果的と考えられているように思われます。
如何だったでしょうか?好むと好まざるに拘わらず、世の中は、一斉にこういった方向へ梶を切ったのです。もう後戻りはしないでしょう。中小企業だから無理、●●業だから無理、こんなことやってたら経営なんてできない、潰れる、なんて言い訳は、逃げの何ものでもありません。働き方改革、待ったなしなのです。
小規模企業の賃金制度、管理職研修を得意としています。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com