10年03月16日
外勤仕事がある会社は、残業代が要らない、「みなし労働時間制」を適用しよう!!
外勤仕事がある会社は、残業代が要らない、「みなし労働時間制」を適用しよう!!(H20.7月号の記事)
営業など外勤活動において、会社がその労働時間を正確に把握できないときは、裁量労働制の一種である「みなし労働時間制」を適用することができます。この場合は、社内で行った業務を含めて、所定労働時間の労働とすることができ、残業代は発生しません。所定労働時間とは9時から18時とか、その会社で定めている正規の時間帯のことです。例えば、所定労働時間が8時間で午前中は事業場内で業務に従事し、午後から事業場外で業務に従事した場合、午後からの労働時間の算定が困難なためにその日全体としての労働時間の算定ができないのであれば、みなし労働時間制の適用ができ、原則として、その日は事業場内で業務に従事した時間を含めて全体として所定労働時間の8時間を労働したことになるというもので、始業終業時刻の前後にはみ出した時間が有っても、特段の指示でもない限り、8時間だけの労働になります。あくまでも使用者の具体的な指揮監督が及ばないことが重要で、例えば次のようなケースは該当しません。
①グループ活動において、労働時間を管理する人がその中にいる場合
②携帯電話などで逐一、会社から指示を受けている場合
③外出前に訪問場所や時間を予定し、その通りに帰ってくる場合
つまり外出すると、従業員の自由裁量が確保されていることが必要です。また残業代が要らない「みなし」の場合は、通常その外勤活動が所定労働時間の7時間とか8時間程度でこなせる必要があり、普通にやっても明らかに10時間はかかるとかいう場合には、基本的に残業代が必要になります。
この「みなす」という意味は非常に重たく、法律効果を固定させることを意味し、仮に18時終業の会社でタイムカードが毎日1時間オーバーで印字されていても、その各1時間分について残業代は発生しません。あくまでも18時までの労働で固定させるのです。このあたりが事実によって効果が覆る「推定」規定と異なるところです。
従業員の自由裁量のある外勤職(ある程度の統制は可)のある会社は、この規定を上手に活用しましょう。具体的にはこうです。
①就業規則を整備し、みなし労働時間の規定を入れる。
②求人募集の段階で1行入れる。 ※みなし労働時間制の適用有りと。
③面接時にその意味をきちんと説明する。 例えば、当社営業はみなし労働時間制といって、一旦外へ出ると細かな指示命令はない代わりに、多少遅くなっても9時から18時の労働となり、残業代は付きませんと。
④雇用契約書をきちんと交わし、時間の欄に以下のように記載し、再度③の説明を行う。 時間:9時から18時(実働8時間) ※営業職はみなし労働時間制を適用し、前記時間帯を超えても、特段の指示のない場合は9時から18時の労働とみなす。
また出来ることなら、営業手当などによって慰労する手当を付け、就業規則(賃金規程)に「営業手当は通常の時間を超えて労働することに対する定額時間外手当の性格として支給する」というような説明をしておく方が、なお良いと思われます。ただ品格に欠ける経営者は要注意です。いたずらに濫用し、かえってトラブルを招くだけだからです。
(参考) 労働基準法 第38条の2(事業場外労働)
第三十八条の二 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時問を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場においては、当該業務に関しては命令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。(以下略)
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com
営業など外勤活動において、会社がその労働時間を正確に把握できないときは、裁量労働制の一種である「みなし労働時間制」を適用することができます。この場合は、社内で行った業務を含めて、所定労働時間の労働とすることができ、残業代は発生しません。所定労働時間とは9時から18時とか、その会社で定めている正規の時間帯のことです。例えば、所定労働時間が8時間で午前中は事業場内で業務に従事し、午後から事業場外で業務に従事した場合、午後からの労働時間の算定が困難なためにその日全体としての労働時間の算定ができないのであれば、みなし労働時間制の適用ができ、原則として、その日は事業場内で業務に従事した時間を含めて全体として所定労働時間の8時間を労働したことになるというもので、始業終業時刻の前後にはみ出した時間が有っても、特段の指示でもない限り、8時間だけの労働になります。あくまでも使用者の具体的な指揮監督が及ばないことが重要で、例えば次のようなケースは該当しません。
①グループ活動において、労働時間を管理する人がその中にいる場合
②携帯電話などで逐一、会社から指示を受けている場合
③外出前に訪問場所や時間を予定し、その通りに帰ってくる場合
つまり外出すると、従業員の自由裁量が確保されていることが必要です。また残業代が要らない「みなし」の場合は、通常その外勤活動が所定労働時間の7時間とか8時間程度でこなせる必要があり、普通にやっても明らかに10時間はかかるとかいう場合には、基本的に残業代が必要になります。
この「みなす」という意味は非常に重たく、法律効果を固定させることを意味し、仮に18時終業の会社でタイムカードが毎日1時間オーバーで印字されていても、その各1時間分について残業代は発生しません。あくまでも18時までの労働で固定させるのです。このあたりが事実によって効果が覆る「推定」規定と異なるところです。
従業員の自由裁量のある外勤職(ある程度の統制は可)のある会社は、この規定を上手に活用しましょう。具体的にはこうです。
①就業規則を整備し、みなし労働時間の規定を入れる。
②求人募集の段階で1行入れる。 ※みなし労働時間制の適用有りと。
③面接時にその意味をきちんと説明する。 例えば、当社営業はみなし労働時間制といって、一旦外へ出ると細かな指示命令はない代わりに、多少遅くなっても9時から18時の労働となり、残業代は付きませんと。
④雇用契約書をきちんと交わし、時間の欄に以下のように記載し、再度③の説明を行う。 時間:9時から18時(実働8時間) ※営業職はみなし労働時間制を適用し、前記時間帯を超えても、特段の指示のない場合は9時から18時の労働とみなす。
また出来ることなら、営業手当などによって慰労する手当を付け、就業規則(賃金規程)に「営業手当は通常の時間を超えて労働することに対する定額時間外手当の性格として支給する」というような説明をしておく方が、なお良いと思われます。ただ品格に欠ける経営者は要注意です。いたずらに濫用し、かえってトラブルを招くだけだからです。
(参考) 労働基準法 第38条の2(事業場外労働)
第三十八条の二 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時問を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場においては、当該業務に関しては命令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。(以下略)
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com