1.国内初三角合併

 19年5月1日以後、三角合併、三角株式交換、三角吸収分割が解禁され、その1番手として米の大手金融グループであるシティグループと?日興コーディアルグループ(以下「日興C」という)との間で三角株式交換が行われることになりました。
 新聞等では「三角合併」として報道されていましたが、正確にいうと今回のケースは「三角株式交換」です。
両社は既に支配関係があり、敵対的M&Aではなく友好的M&Aであるといえます。
  

2.なぜ、株式交換の手法を採用したのか?
  
 TOBでは多額のお金を用意しなければなりませんが、株式交換方式を採用することにより、お金を使わないで日興Cを完全子会社化することが可能であり、また、TOBの場合は株主がTOBに応じるかどうかが不確定要素としてあったからだとも言われています。
  

3.今回、シティの日本子会社であるシティ・グループ・ジャパン・ホールディングス株式会社(以下「CJHD」という)と日興Cとの間で株式交換が行われますが、なぜ直接シティとの株式交換としなかったのか?
  
 それは、会社法で日本の会社と外国の会社との間の株式交換は認められていないからです。外国の会社法制は国ごとに異なるため、日本の会社法制との手続・効果・効力発生時期などの差異を調整するのは困難であるからです。 
 したがって、シティは日本子会社であるCJHDを受け皿会社として、対価の柔軟化の規定を利用して外国親会社であるシティの株式を日興Cの株主に交付するという手法を採用したのだと考えられます。


4.税制適格、非適格?
 
 18年度税制改正前までは、親会社の株式を交付する三角合併等は無条件で税制非適格でしたが、19年度税制改正により親会社の株式のみを交付した場合については、一定の適格要件を満たせば、税制適格となる取扱いが新設されました。
 今回のシティグループと日興Cとの間の三角株式交換は企業グループ内の組織再編であり、一定の要件を満たせば税制適格とすることが可能であると考えられます。
文責:企業部


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