売上総利益とは、商品・製品の販売による値差つまり売上と原価の差額です。
経常利益とは、売上総利益から販売・管理の費用を引いてこれに金融収益を足して金融費用を引いたもの、つまり企業の総合的な収益を表しています。
と、職業会計人なら誰でも知っている利益のお話ではなく、資金繰りの側面から見た場合にそれぞれの利益が何を意味しているのかを、今回は考えてみましょう。

ここにコンビニA店とコンビニB店を登場させます。
A店は自己資金をジャブジャブうなるほど持っているお店、一方のB店は手元資金をほどんど持っておらずいつも自転車操業で廻しているお店とします。

さて今月は新商品の1000円(原価600円)の幕の内弁当が絶好調!他のお店では仕入れた先からドンドン売れているようです。
普段はあまり元気の無いB店も今月はウハウハだぁ!と思いきや、ある会社からお弁当10,000個の注文が入ったことで少し雲行きが怪しくなってきました。この10,000個の注文代金は来月末に支払う、掛け売り注文だったのです。今月の仕入代金は来月頭に支払わなくてはならないため、仕方なくこのお金は銀行から借入れ(月利率1%)をして支払うことにしました。

今月の収支計算
A店 弁当売上個数1万個 弁当売上金額1,000円×1万個=10,000,000円
弁当売上原価 600円×1万個= 6,000,000円
弁当売上総利益10,000,000-6,000,000=4,000,000円

B店 弁当売上個数1万個 弁当売上金額1,000円×1万個=10,000,000円
弁当売上原価 600円×1万個=6,000,000円
弁当売上総利益10,000,000-6,000,000=4,000,000円

A店もB店も売上総利益は同じですね。では経常利益はどうでしょうか?(シミュレーションを解りやすくするため、販売・管理費用やその他の収益費用はないものと仮定します。)

 A店 経常利益  4,000,000円

 B社 支払利息  600円×10,000個×1%=60,000円
経常利益  4,000,000円―60,000円=3,940,000円

ん、あれ!?同じ個数のお弁当を販売したのに経常利益が違いますよ。
そう!これが資金繰りによる利益の違いなのです。手元資金が潤沢なA店なら、お弁当の大量注文の代金を来月末に支払うという回収条件でも、ジャブジャブ自己資金を持っているから借り入れをしなくてすむ、つまり支払利息が発生しないから経常利益は悪化しないんです。

そのような目線で損益計算書を見てみれば、支払利息の多い会社は「借入金が多い」という当たり前な理由じゃなく、実は資金繰りが大変な会社なんだなということが理解できると思います。

今回は極端な例でシミュレーションしていますが、似たようなケースってたくさんありますよね。考えられる改善施策としては、①手元資金を充足させる、②回収条件を当店有利に変更する、③支払条件を当店有利に変更する、こういったところでしょうか?

さあ、あなたがB店の会計顧問なら、この状況を改善するために、何を提案しますか?

文責:法人ソリューション部
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