「辛」(つらい)に「一」(いち)を足すと「幸」という字になります。辛くても、あと一歩、もう一歩と前に進もうという気持ちが幸せを呼び込みます。漢字にはもともとの成り立ちや由来がありますが、このように「因数分解」して解釈するとまた違ったメッセージが見えてきます。
 コピーライターのひすいこうたろうさんにとって「漢字は感字」だそうで、著書『漢字幸せ読本』ではユニークな視点から独自に解析した漢字の意味を紹介しています。たとえば、「大丈夫」の3文字にはすべて「人」という字が入っています。
 あなたに何かあったとき、周りの人はあなたを支えてくれます。どんなときにもあなたには3人の味方がいるのです。または、「幸」を縦に読むと「+-=-+」(プラス・マイナス・イコール・マイナス・プラス)。物事はすべてプラス・マイナスの中立で、あとはその人がどう見るかだけ。それが「幸せ」の本質です。なかなかうまいことを言うと思いませんか。
 さて、「働く」ということを漢字の因数分解で考えてみましょう。
 「人」が「動く」と書いて「働」。しかし、やみくもに動けばいいわけではありません。「働く」=「はたらく」=「端」(はた)が「楽」(らく)。つまり、端が楽になるような動きをしたときに「働いた」と言えるようです。
 さらには「端」が「楽」しくなるように動いたら、自分も同じように楽しくなります。 今の自分の行動は周囲の手助けになっているだろうか。今やっていることで周りが楽しくなるだろうか。このように、常に「端」が「楽」の発想を持って動いていたら、きっと商売は上向いていくことでしょう。「人間というものは、気分が大事です。気分がくさっていると、立派な知恵才覚を持っている人でも、それを十分に生かせません。しかし気分が非常にいいと、今まで気づかなかったことも考えつき、だんだん活動が増してきます」。これは松下幸之助さんの言葉です。
 「周りを楽しませ自分も楽しむ」、いついかなるときでもそんな好循環の商売をしていきたいですね。