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地方公務員の遺族補償年金受給、男女差は違憲 大阪地裁
朝日新聞デジタル 11月25日(月)15時7分配信


《夫を亡くした妻に手厚い地方公務員災害補償法(地公災法)の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に反するとして、自殺した女性教諭の夫(66)が、この規定に基づき遺族補償年金を不支給とした地方公務員災害補償基金の決定取り消しを求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。中垣内(なかがいと)健治裁判長は「男女で受給資格を分けることは合理的な根拠がない」として、規定を違憲と判断。同基金の決定を取り消した。
原告側によると、遺族補償年金の受給資格をめぐり、男女格差を違憲とした司法判断は初めて。同様の男女格差は、国家公務員災害補償法や民間を対象とした労働者災害補償保険法にも規定されており、今後議論となりそうだ。
 判決は、地公災法が遺族補償年金の支給条件を男女で区別していることについて、「正社員の夫と専業主婦が一般的な家庭モデルであった制定当時は、合理性があった」と指摘。だが一方で、女性の社会進出による共働き世帯の一般化や男性の非正規雇用の増加という社会情勢の変化を踏まえ、「配偶者の性別により、受給権の有無が異なるような取り扱いは、差別的で違憲」と結論付けた。
 訴状などによると、女性教諭は勤務先の中学校での校内暴力などで1997年にうつ病を発症し、夫が51歳だった98年に自殺。2010年に労災にあたる「公務災害」と認められ、夫は遺族補償年金の支給を求めた。しかし基金は11年、支給対象は夫を亡くした妻か、妻の死亡時に55歳以上の夫とする地公災法の規定を理由に不支給とした。》

大切なので全文を載せた。
裁判所が現行の法規定を違憲とした。「家庭モデル」が現在合理性がないものとした。

労働法の世界では「均等」思想による法改正がゆっくりと進みつつあるが、浸透度はまだまだといえる。一方、労働社会保険の世界ではようやく遺族基礎年金の改正が決まっているところまででなかなか進まない。こちらは法施行されれば一気に浸透する。

法規定を無効とし、したがって今までの女性と同じ給付が男性にもなされるということであるので、現行の法規定のままだと具合が悪い。といって、法改正がすぐに行われるとも思われない。実務的にどう進むのか興味深い。
なかなかすごい裁判官である。訴訟提起した者もすごい。このように公益に影響がある訴訟は本来国が負担すべきであろう。個人に負わすものではない。大半は権限も何もない事務の窓口で解決できるものとカン違いしているが。司法を利用しないと何も進まないということや裁判のルールを義務教育等でもっと力を入れてやるべきである。裁判官も増やさないと。
13年11月25日 | Category: General
Posted by: roumushi
第45回社会保険労務士試験の合格者発表

久しぶりにまじまじと発表を読む。

相変わらず、申込者数のうち実際受験する者が少ない。いつも不思議に思うこと。

・ 合格者数    2,666人(前年 3,650人)  
・ 合格率      5.4%(前年  7.0%)

うわっという数字である。
合格率の低さもさることながら、合格者数の少なさである。問題は見ていないが、相当難問であったことがわかる。来年はこれに比べれば少しは楽であろうから、すぐに次回に向けての方針を練ればよし。

結構長い水面下活動にあった特定社会保険労務士業務は、少しずつ頭を出しつつあり。同時に、職業倫理面も然り。無論、産業界全体にわたる改善意識が強まらないと、という要素はあるが、日本の労働界、労働社会保険界における潜在可能性はますます期待できる。
弁護士との協調も進んでおり、社労士登録をしてくる者も増えている。したがって、司法界の可能性もますます期待できる。司法技術が社労士に持ち込まれることで、より適確な労務管理アドバイスとなり、労働社会保険手続き等が弁護士に持ち込まれることで、より拡がった訴訟尋問となる。
一方、こうした動きをよしとしない保守的な者もいる。「判例解説」に止まったセミナーを依然として社労士相手にできるものと思っている者もいる。
実際に法律行為の代理権があるかないかは別として、「労働相談」では日本で可能な解決方法を知っておかねばならない。まして、直接的な委任契約を採らない「支援」を行う契約ではなおさらである。
社労士界では、従来、司法技術を社労士に研修するのをよしとしない弁護士を判例講師として呼ぶことがあったが、利益相反性の面から、公式に呼ぶのにはふさわしくないという態度に変じつつある。もとより事実確認に頭を悩ます労働事件のウェイトは低く、それのみで事務所を経営する弁護士は皆無と聞いているが、それでもここのところの弁社間の行き来は濃くなっている。(仲間の弁護士では労働事件の話ができる相手を探すのに一苦労するが、社労士は誰もが話し相手になるというオアシス楽園の発見!)

紛争解決業務は社労士にとってもまた大きなジャンプ台である。関与先の違法な労働社会保険手続きをできるところから少しずつ是正させていくのが、社労士の最も難しい仕事の一つであり、したがって不完全な手続きを当分の間社労士の手続き業務として加担する格好になってしまう。明白な違反、是正する意思なしならば契約解消事由となるが、たいていのそうでない場合、従来ならば説得材料の不足が否めなかったが、みずから紛争解決業務を展開することによって、特に民事的な観点が啓かれることになった。
裁判で展開される労働事件の類型はかなり限られたものであり、またそのほとんどは裁判和解である。社労士が業務として民事労働紛争を手がけることになったことから、企業内和解(従前の労務管理の一つ)もしくは紛争の未然への能力、技術が高まった。ただ、このことはこれからさらに加速される話で、企業の事務手続きの違法性からの克服(同じく企業事務を担当する税理士も同様かそれ以上のものと推定される)は、紛争解決業務の解決数と強く関連しあうもの。人事原資料の事務手続きの段階から評価していくことを常套手段とする傾向が性格上強いことから、社労士はより重要な資格となるだろう。しかし、そのマニアックな性質と横断性の強さは実際大変な労力を仕事をする前段階から大量に要求されるものであり、最も大成し難い資格といえる。いつになっても一人前にはなれまい。
そういうわけで、試験の大変さ、勉強量の多さは、将来を暗示、否、はっきりと明示するものであるということを掛け値なしでいえる。これも工夫の問題であるが、合格後は右から左に次々と仕事を処理していけばよいという資格ではなく、試験勉強に近い体制を解けない資格でもある。収益が出てないにもかかわらずその体制を続けなければならないのは一種の拷問といえなくもない。
13年11月08日 | Category: General
Posted by: roumushi