14年07月09日
非弁提携
読売新聞 7月8日(火)9時28分配信
《東京都内の男性弁護士3人が、弁護士資格のないNPO法人の元代表者から多数の債務者の紹介を受けたとして、東京地検特捜部から弁護士法違反(非弁提携)の疑いで事情聴取を受けたことが、関係者への取材でわかった》
《参》弁護士法
≪(非弁護士との提携の禁止)
第二十七条 弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
第七十三条 何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。
(非弁護士の虚偽標示等の禁止)
第七十四条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。 ≫
簡単にいうと、法律事務については弁護士がその契約の直接の当事者にならなければならない、ということである。
《関係者によると、小林元代表は弁護士資格を持っていないのに、2008年頃から、NPOなどに訪れた債務者の相談に乗り、提携する弁護士を紹介。一方、これら弁護士の事務所に事務員を派遣し、消費者金融などの貸金業者から、債務者が払いすぎた金(過払い金)を取り戻す交渉などを実際に担当させたという。
事務員は、貸金業者からの返還金が振り込まれる弁護士名義の口座も管理しており、返還金から手数料として約30%を引いて債務者に送金。弁護士には報酬として毎月40万~150万円を手渡し、事務所経費を除いた残りが元代表の報酬になっていた。元代表の報酬は、11年までの3年間で3億円以上あったとみられる。》
これではNPO法人が弁護士法人という呈である。弁護士は名義貸しの呈で、法律事務にタッチしていないことから、イソ弁の呈ですらないようだ。
《特捜部の事情聴取を受けているのは、多重債務者の支援を掲げるNPO法人「ライフエイド」(東京都、解散)の小林哲也・元代表(49)と、NPO側と提携していた46~81歳の弁護士3人。元代表は借金整理に伴う報酬を申告せず、所得税を1億円以上脱税したとして、所得税法違反容疑で東京国税局から告発されてもいる。》
おそらく、もともとはこれが発端であろう。非弁者が欲に欲をかいたがため、芋ズル式に明るみに出た。弁護士が直接仕事を受け、働けばよかっただけなのだが。
これも弁護士が増えたからという主張が出るのだろうか。検事と判事こそ本当は増やさないといけないはずなのだが……。まして自分の意思で資格取っているのだが、国家における司法体制の縛りというものか。
《東京都内の男性弁護士3人が、弁護士資格のないNPO法人の元代表者から多数の債務者の紹介を受けたとして、東京地検特捜部から弁護士法違反(非弁提携)の疑いで事情聴取を受けたことが、関係者への取材でわかった》
《参》弁護士法
≪(非弁護士との提携の禁止)
第二十七条 弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
第七十三条 何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。
(非弁護士の虚偽標示等の禁止)
第七十四条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。 ≫
簡単にいうと、法律事務については弁護士がその契約の直接の当事者にならなければならない、ということである。
《関係者によると、小林元代表は弁護士資格を持っていないのに、2008年頃から、NPOなどに訪れた債務者の相談に乗り、提携する弁護士を紹介。一方、これら弁護士の事務所に事務員を派遣し、消費者金融などの貸金業者から、債務者が払いすぎた金(過払い金)を取り戻す交渉などを実際に担当させたという。
事務員は、貸金業者からの返還金が振り込まれる弁護士名義の口座も管理しており、返還金から手数料として約30%を引いて債務者に送金。弁護士には報酬として毎月40万~150万円を手渡し、事務所経費を除いた残りが元代表の報酬になっていた。元代表の報酬は、11年までの3年間で3億円以上あったとみられる。》
これではNPO法人が弁護士法人という呈である。弁護士は名義貸しの呈で、法律事務にタッチしていないことから、イソ弁の呈ですらないようだ。
《特捜部の事情聴取を受けているのは、多重債務者の支援を掲げるNPO法人「ライフエイド」(東京都、解散)の小林哲也・元代表(49)と、NPO側と提携していた46~81歳の弁護士3人。元代表は借金整理に伴う報酬を申告せず、所得税を1億円以上脱税したとして、所得税法違反容疑で東京国税局から告発されてもいる。》
おそらく、もともとはこれが発端であろう。非弁者が欲に欲をかいたがため、芋ズル式に明るみに出た。弁護士が直接仕事を受け、働けばよかっただけなのだが。
これも弁護士が増えたからという主張が出るのだろうか。検事と判事こそ本当は増やさないといけないはずなのだが……。まして自分の意思で資格取っているのだが、国家における司法体制の縛りというものか。
14年07月07日
法違反とは
〇ようやく「これこれこういうことって労働法違反ですよね?」という質問に対して、躊躇することが普通になってきた。
違反が明らかな場合でもそうである。
一方からの質問であれ、両当事者が揃ってのものでも同じである。
今ではたいていの者は、判決が確定するまでは「容疑者」であって「犯人」ではないことは知っている。これもなかなか浸透しなかった内容であったが、今では「常識」にまで高まっている。これと似ている。
例えば、定期に、給料が払われていないことは既に「法違反」ということになるといえる。したがって「法違反ですよね?」という質問に、法違反確定ですと言いたいところなのだが、まだ話だけの段階なので、資料等で事実関係の確認を行う。で、確認できたとして、法違反だと言えるか。
質問の回答者には法違反と確定させる資格がない、だけの話。つまり、裁判所で確定してはじめて法違反なのである。
実際には無論、行政による調査と指導が行われたり、労組が取上げて団交したりして、裁判外で決着することが普通である。
〇裁判外で労使紛争の解決する技術はますます大事になっている。前段の質問のように、まだ刑事手続ルールについてまでの理解は一般に及んでいない(尤も、今の事項のみの理解で充分ともいえるが)。だからスッキリと整理されない状態で余計にややこしくなる。労働トラブルは客観物が貧弱なことが多く、刑罰を与えるだけの根拠が弱く、裁判の前段階で不起訴にされ、したがって立件されることも少ない。このあたりの事情こそ、日本の労働問題の核心というべきものである。よって結局、誰も法的認定の資格がない者どうしが裁判外(司法外)でモヤモヤとくすぶり続けているのである。
違反が明らかな場合でもそうである。
一方からの質問であれ、両当事者が揃ってのものでも同じである。
今ではたいていの者は、判決が確定するまでは「容疑者」であって「犯人」ではないことは知っている。これもなかなか浸透しなかった内容であったが、今では「常識」にまで高まっている。これと似ている。
例えば、定期に、給料が払われていないことは既に「法違反」ということになるといえる。したがって「法違反ですよね?」という質問に、法違反確定ですと言いたいところなのだが、まだ話だけの段階なので、資料等で事実関係の確認を行う。で、確認できたとして、法違反だと言えるか。
質問の回答者には法違反と確定させる資格がない、だけの話。つまり、裁判所で確定してはじめて法違反なのである。
実際には無論、行政による調査と指導が行われたり、労組が取上げて団交したりして、裁判外で決着することが普通である。
〇裁判外で労使紛争の解決する技術はますます大事になっている。前段の質問のように、まだ刑事手続ルールについてまでの理解は一般に及んでいない(尤も、今の事項のみの理解で充分ともいえるが)。だからスッキリと整理されない状態で余計にややこしくなる。労働トラブルは客観物が貧弱なことが多く、刑罰を与えるだけの根拠が弱く、裁判の前段階で不起訴にされ、したがって立件されることも少ない。このあたりの事情こそ、日本の労働問題の核心というべきものである。よって結局、誰も法的認定の資格がない者どうしが裁判外(司法外)でモヤモヤとくすぶり続けているのである。