12年10月22日

判決文

従来、「判例」「裁判例」を利用していたが、それは何を求めた事件か、事案においての法律判断はどういったものか、を重要視していたものである。おそらく皆さんも、その結末を労務管理や労働相談に役立てておられるに違いない。
ところで最近、パワハラの事件と労働時間の事件の裁判例を詳しくみる必要がでたため、判決文をみることにした。ネット社会はありがたいもので、上手く検索すれば判決文の全文をみることができる。尤も、判決文の構成がイマイチわからないので、抜粋なのかも知れないが。
パワハラについてはA4換算で14枚、労働時間については同39枚の容量である。原告の主張、被告の主張、事実、証拠(略してあるのが普通)、主文と裁判所の各主張事項についての見解といったものを読む。

パワハラはそうではないが、労働時間の事件(厳密には未払い賃金請求事件)となると労働組合員の事件であることがほとんどであるから、従来からの団交の経過といった労使関係の経緯、私的自治の模様などがうかがい知れるものである。労働時間に関する労務管理は面白みこそ無いにしろ、判決文全文を読むと色々と得るものが多い。これによくして次々と読む気にはなかなかなれないが、また人に勧めても誰もやろうと思わないだろうが、判例集止まりでは限界を感じないわけにはいくまい。
12年10月22日 | Category: General
Posted by: roumushi
仕事中のケガ、健康保険適用 厚労省、法改正視野に調整

・無年金者の救済措置として、後納制度が開始されているが、今後はその他にも従来より懸案事項として継続して上がっていたが着手にまでは至らなかった事項が次々と開始される予定である。(消費税の実施に合わせて行われるものも含む。)
主なものは
・受給資格期間の25年から10年の短縮
・短時間労働者への厚生年金の適用拡大
・遺族基礎年金の父子家庭への支給
・未支給年金の対象者を3親等まで拡大
・年金の繰り下げをしている者が5年を過ぎて請求した場合(通常70歳)、時効により消滅する期間が生じる事項について、70歳まで遡及して支給すること
・法定免除者が申し出により保険料を納付することができること(法定化されておらず、実務上念書提出により認めていたもの。違法ではないが、法の趣旨と反するとの解釈か)
・免除申請の遡及対象期間を時効の2年まで遡るとするもの
・任意加入中の未納期間についても合算対象期間にすることができること
・障害年金について、等級改定が可能だと明らかな場合、1年経過ルールを外す
・障害者特例については、長期加入特例同様、該当月の翌月から支給(請求要件を外す)
・低所得者への老齢基礎年金の加算
・高所得者への老齢基礎年金の支給停止
・共済組合の厚生年金への統合

長くなりましたが、そこに冒頭の健康保険制度の谷間解消がきた。社会保険制度の懸案事項の着手は、各運営機関等間の利害対立がすさまじいものと聞くだけに、大変な改革なのである。

まだ、見通しのない事項としては、
・1号被保険者なのに3号被保険者の記録のままになっている状態の解消
・年金過払い(スライド率2.5%)の解消
などがある。
12年10月20日 | Category: General
Posted by: roumushi
12年10月10日

国民をもてあます

職業訓練講座4分の1が中止に

《昨年10月に始まり、失業者が無料で職業訓練を受けられ生活費などの手当も支給される国の「求職者支援制度」で、計画された職業訓練9324講座のうち、4分の1以上の講座が今年7月末までに中止になったことが分かった。希望者が少なく、訓練を実施する側の負担増となることなどが主な理由。しかし、一方的な中止で受講予定者が不利益を被るケースも出ており、厚生労働省は「制度1年を機に改善を図りたい」としている。》

希望者が少ない、とは変化したものである。希望者が多いので、少し遠方の施設を希望してやっと通えることになったという話はもはや一昔か。
従来より、実施側企業の収支がギリギリの設定だとはよく聞いたし、実際そのようだろう。国の訓練施設に認められているという信用度が利益というものであった。生徒が減れば、すぐ赤字になる、そういう営業である。
雇用保険事業は、近年は詐欺事件と結びつきやすいという認識から、警察行政と密接してきており、慎重に進められる結果、実施側にも生徒側にも厳しいという事態である。もはや利用側の真意を問うまでになっているわけであるが、これがまたそこまでできない事情があって、すっきりとはいかない。国が、国民をもてあましている。

私も幾度か講師をしたことがあるが、半分は成功、半分は失敗である。成功については話さないことにして、失敗例は
・生徒といってもある部分詳しい人もいるわけで、その部分についてその生徒に解説してもらうことを考えた。そうすると他の生徒が、先生は何もしてない、といってのクレームである。その人は何をしに来ているのか、より詳しく聞くことよりもそっちの方が重要?
・職業訓練であるから、自分で色々と情報を得る工夫をしていくことが重要であるし、また明確な判断がない項目であったのだが、「すぐ答えを求める」生徒が2割ほどいた。前の会社でどういう経験をしたかは知らないが、これも今、何をしに来ているかがわかっていないといえる。
会社の慣用句で「結論を先に言え」というのがあるが、言い訳のようなことをぐだぐた言っている場合に使うが、説明者がちゃんとした理由を述べているにもかかわらず、結論から言えと使ってしまう人も多い。理由を後にして結論だけ聞いてもわかるわけがないのだが、これは命令を待てという姿勢である。
昔は「支持待ち」と言ってどうしようもない社員という意味であったが、最近はさらに上意下達を求める傾向に振れているように見受けられる。所謂メイド社員である。
一方、企業側としては、自分で企画し、実行し、責任も取れる万能社員(どう見ても代表取締役)を求める傾向に振れている。
このように、両者の思惑に相当な開きがある。そこを踏まえず、雇用保険事業を展開しても上手くいかないわけである。ただ、うまく使えば価値があるわけであり、それができる人は何をしたって成功するのである。

12年10月10日 | Category: General
Posted by: roumushi
12年10月03日

人材不足

韓国政府は、勤勉に働く外国人労働者のための再入国雇用制度や送り出し国における特別韓国語能力試験の実施など、技能を持つ外国人労働者の受入れを促進するための施策を実施している。外国人労働者政策委員会は、2013年の外国人労働者受入れ割当数を6万2000人(前年比8.8%増)に設定すると発表した。中小企業で顕著な労働力不足に対応するため、事業所規模に応じた外国人労働者雇用制限数も緩和される。

韓国も日本もまた他の国も、非正規労働の比率が上昇しているわけであるが、また同時に人材不足度も上昇しており、外国人労働者の比率もまた上昇している。韓国の方がちょっとリアルな政策で、同じ統計データを元にするとしても、日本の統計の元となるアンケート等に対する真面目度が違うからであろうか。それはどうか知るよしもないが、日本の場合アンケートを適当に書く傾向が強く、やはりそれを元にして決定された政策がポイントを常に外しているとしかみえない。まぁ自国に限ってやや強めに批判するという習わしであるかも知れないが。

ところで、以上は枕である。
私が参加している諸団体において、ちらほらと訃報を聞かされだした。40台から80台とに集中しているが、とりあえずはそれを自然減とするも、一方新たな人が入って来ない。年功序列という秩序は既に歴史的なメモリアル程度のイメージとなっているが、組織文化的には「濃密から希薄」へと進んでいる。
新たな人の冒険できる環境ではある。しかし、「失敗してもいいから遠慮なく」という環境ではない。とりあえず、引き継いでもらいつつ、冒険もリスクを考えながらしてもらうという条件付きである。やることは増えはするが、減ることはない。合理化するにも、知恵を出す力が陰り、また実行にはさらにエネルギーを必要とするので、なおさら誰も意見を言わなくなる。したがって、保守的な傾向が蔓延する。やる気のある者は歓迎されるけれども、それを支持する者は付いて来ない。現状維持がよくやったという評価となる。
そもそも「引継ぎ」はそれほど重視されてこなかった。新任者が首をひねりながら仕事を始めるということがよくあった。失敗すると大きなトラブルを生む現代社会で、この希薄化傾向は不安でしかない。サービスは落ちて当然だが、今のところ、踏ん張っているという姿がある。
12年10月03日 | Category: General
Posted by: roumushi
12年09月23日

後納制度について

「後納制度」の受付が開始されて、3週間ばかしとなった。どうしようかと思案されている方が多いようである。

25年という老齢の年金受給資格期間を満たせていない方が、2年から10年にまで保険料納付の時効を3年間に限り認めることによって、年金受給につなげるというのがメインの趣旨である。
そして、老齢基礎年金の受給権のない状態の人であれば、適用対象とした。
・65歳未満であること。なおかつ、老齢基礎年金の繰上げをしていないこと。
・65歳以上だが、25年等老齢の年金受給資格期間を満たせていないこと。

したがって、増やすという目的での申請も増えつつある。

というものなのだが、例によって色々と側面的な情報も必要である。
・10月から一斉に納付書を発行する。
・その納付書の使用期限は25年3月31日までのものであること。4月1日からは、年度が代るため、加算額も25年度価額に代わり、それまでに発行した納付書の納付額より変更されているため。したがって、残した期間分については、時効消滅していなければ、再申請ということになる。
・平成14年10月分は10月中に納付しなければ時効にかかる。納付書発行には審査があるため、9月末に近い申請は10月発行が困難になる可能性が高い。
・窓口にてその審査の軽減のため確認作業を少し時間をかけて行っている。したがって、申請書を出しにきただけ、忙しいのですぐに帰る、という人が困る。
・65歳未満のパターンの人は、基礎期間(老齢基礎年金に反映される期間)が480月まで。
・65歳以上のパターンの人は、300月までしか納付できない。65歳以上での任意加入と扱いは同じ。
・65歳になった時点で、老齢基礎年金を受ける状態になる人は、もう保険料を納付できなくなる。受給者と被保険者との二重資格を禁じているため。(厚生年金は別)
・後納利用、任意加入利用、それと60歳までの義務期間分の納付は併行できる。義務期間分については、差押さえと障害・遺族年金における保険料納付要件の絡みから、優先を推奨。
・カラ期間(海外居住、61.4前の厚生年金等加入者の配偶者期間、外国人登録証等)は、後納制度より優先されるため、それを利用すれば25年達する人は、後納できない。したがって、戸籍等を持ってきてもらわないと受付できないケースがある。3号記録の整理も、しておかないといけないケースもある。
・27年10月施行予定だが、受給資格期間が十年に短縮される。したがって、既に10年はあるという人は後納制度をそれでも利用されるかの意思表示が必要。還付しないため。なお、消費税率が10%になることを前提としての施行となる。政治的判断で凍結される場合もあるので今後とも要注意。
・後納制度を利用しても受給資格期間が満たせなかった人にも、還付しないので、申請時に意思表示が必要。保険料もまとまると結構高額になるので、悩ましい問題である。
・10年前の平成14年10月から納付可能となる。厚生年金から国民年金への切り替えが未手続の人は、遡って資格取得(1号変更)の届出も同時に出す。
・高齢の方は、たいてい平成14年10月から60歳になるまでの期間となることから、実際10年すべて納付できるものではないということ。任意加入中の未納期間であれば後納できる。
・免除期間については後納の対象外であるが、「追納」はもともと同じ10年遡及可能なので問題なし。全額免除以外で、免除認定期間中の未納(半額未納など)は未納扱いなので、後納することができる。

以上、自分に関連する部分は注意して理解しておいてください。
12年09月23日 | Category: General
Posted by: roumushi
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