12年09月15日

不法行為

「パワハラ」というのは、職場に普及しやすいように作られた言葉です。したがって、これは案内標示のようなものに止まります。
根本は、民法第709条の「不法行為」に含まれるものです。

《故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。》

「不法行為」という言葉はわかりにくく、そのものの定義がないので困ったものですが、検索すればすぐありますのでご確認ください。

で、まず、「保護される権利」とは何か、次にそれが侵害されたとはどういうことか、そしてその賠償額はどれくらいかという話になります。賠償額はともかく、「保護される権利」あるいは侵害された権利とは何かが重要です。

で、普通一般的には、平穏無事に仕事をする権利ということになるでしょう。退職に発展するならば、もう少し働けたであろう期間の賃金相当の賠償。また、精神的に参ったのであれば慰謝料。
なお、権利の侵害を感じる度合いは人それぞれであり、また人間関係によっても異なります。なるべく早い段階で、相手に対し、どう感じているのかを意思表示しとくべきでしょう。それが一番難しいのですが。


指導云々については、暴力的なものは通らないでしょう。指導面が多少認められれば、損害賠償額の減額要素となります。
商売そっちのけで、中高校生事件のようにいじめ行為に走ってしまっている管理者も少なくないようです。会社の目的とか度外視ですので、ライバル企業の回し者かもしれません。したがって本来なら、会社がそのような管理者に対して処分することが筋ですが、多くの場合、会社にはそのような力が備わっておりません。結果、利益もまた備わってきません。会社は誰が仕切っているのかという話になってしまいます。
12年09月15日 | Category: General
Posted by: roumushi
12年08月24日

改正年金の施行

・老齢基礎年金の受給資格期間を10年に短縮する。

《税制抜本改革の施行時期にあわせて施行(平成27年10月)》というところが少し引っかかるが、27年10月より10年で受給資格ができるようになった。なお、27年9月末日までで、後納の期間が終了する。これらに伴い、脱退手当金の申し出には注意を要する。
《税制抜本改革により得られる税収(消費税収)を充てる。》というところが、やはり不安で、条件付きのような、しかし期日が明記されているので、素直に施行されると考えればよいのか。上記HPをじっくり読む必要がありそうだ。

・被用者年金制度の一元化

いよいよ共済が廃止され、厚生年金に一本化される。この期日も27年10月である。公的年金制度史において、非常に大きな変化がようやく実現される。
12年08月24日 | Category: General
Posted by: roumushi
『うつ・自殺予防マニュアル』

現在、うつ病に関する本を集中的に読み進めており、特に自殺と強く関係づけたものを求めているものであるが、なかでもこの本はよさそうである。

序盤の以下の5つのプログラムが実に興味深い。
・悲しみのプログラム
・不安のプログラム
・怒りのプログラム
・驚きのプログラム
・焦りのプログラム

これらは原始、人が周りの危機に対するために備わったものとし、たとえば不安のプログラムについては、未来の危険を察知するもので
《不安のプログラムが働くと、私たちは将来の出来事の仲で自分に不利な場面を取り出して、その展開を想像します。しかも常に悪い条件を想定して、シミレーションを続けていくのです。もしその結果、命が危ないという結論に達したとすれば、その行為は避けなけれればなりません。》

読み始めたばかりであるが、この原始の人の危機意識を持ち込んでいることは興味深く、説得力もある。尤も、悲しみのプログラムから引用しなかったのは、少々わかりづらかったことによるが、いずれにせよ、こうしたプログラムが、精神疲労の蓄積を経て、誤作動を起したというものが本旨である。
それと、自己犠牲のくだりであるが、自分がいなくなれば皆が助かる/自分がいれば皆に迷惑がかかるという考えに凝り固まるという点については、これはかなり差し迫った段階なのであるが、やはりここで「がんばれ」という励ましはマズイであろう。最後のトリガーを引くのは近い者という皮肉がある。視野狭窄という状態であるため、普通の人に対するような接し方は取り返しのつかないことになろう。日ごろから、「人の気も知らないで」「おせっかい」「自分の考えを押し付け」と言われている人は、よかれと思っていても、本人と関われば大事になる。たとえばたまに、その接し方を見て、この人は猫という動物がよくわかっているのかなと感ずるときがあるが、猫を犬のように思っている人は危険視すべきである。猫を猫として接することができる人間は意外と(でもないか)少ないものである。(アメショーはほとんど犬に近い動物と思っているが…)

うつ症状に関しては多くの本が出ているが、もひとつよくわからない表現が多い。得てしてこういう場合は著者もわかっていないのである。陸上自衛隊のカウンセラーという異色の著者だけに、原始の人のプログラムという発想も出てきたのだろう。
12年07月25日 | Category: General
Posted by: roumushi
12年07月15日

不利益変更ゼミ

・人が減り、その分残業が増えた。
・今までの業務とは別に、新たな業務を増やされた。
・昇進した(サセラレタ !)が、責任が重くなっただけとしか考えられない。

人間というものは、どこかで安定したいという気持ちが働くということが多くみられ、任意のある点を基準にして、少しでも過重が増えると「不利益」と感ずる。その任意のある点は、労使慣行でみたように、長期にわたっての包括契約である雇用契約、集団が活動する職場においては、無数に存在する。
また、プラス思考とマイナス思考という思考基準により、仕事に対するモチベーションをとらえる傾向もあり、それによれば、人それぞれの思考方法に委ねるまでである。かつては、会社ぐるみでプラス思考に相当する情操育成の研修(寒中水泳など含めて)が行われていたが、バブル崩壊や人件費負担の上昇により、人材より労働力としての観点を重視する傾向が強くなり、「会社に骨をうずめる」という昭和の会社意識が遠のいた。また、会社による情操育成の研修は「同じ釜の飯を食った」という仲間意識の点では成功したが、バブル以前において既に、個人主義的傾向が強まった若者には敬遠されるようになっていた。
初任時には安い賃金が、少しずつ年数を経過することにより増加する諸々の人事モデルが、バブル債務精算のため、中高齢者のリストラにより、歪つになり説得力を失った。また既に、バブル期において初任給は跳ね上がってしまっていた。そして、従前の採用枠を狭め、非正規労働という新たな枠を設け、労働力のやりくりに気を取られることになる。日本的経営モデル(職業人生設計も含めて)の破綻、海外資本による影響、国際為替上の苦境に加え、少子高齢化問題など、どれもマイナスを与えるものばかりであるから、不利益変更は連続もしくは継続するものと考えるのが普通で、もはやどの点とどの点を比べて不利益であるのかという検討すら億劫にもなろうが、具体的な労働事案においては多少なりとも解決できるのが幸いである。

1、(全体責任の観点)
経営において、売上げ等「利益」要素の見込みがない限り、普通に考えれば、「不利益」は相当なものでない限り、従業員も甘んじて受け入れなければならないか。

2、(労働量についての観点)
前置きのようなケースはよくあるが、不利益変更とは言えないのか。
=例示=
・人が減り、その分残業が増えた。
・今までの業務とは別に、新たな業務を増やされた。
・昇進した(サセラレタ !)が、責任が重くなっただけである。
12年07月15日 | Category: General
Posted by: roumushi
12年05月25日

珍しい人

『社会保険労務士法詳解』という本がある。
社会保険労務士資格の沿革、法改正史、条文逐次解説、通達等が載っている。法律というのは固い表現で威厳を示しているので、深く理解するにはこうした詳しい本で見るに限るわけだが、なかなか自分では買う勇気が出ず、そこで借りることにしてみたが、案外誰も持っていないものである(自分で買えば済む話であるが)。しかしようやく借りることが叶い、読み始めてみるとまんざらでもない。

社会保険労務士業務というのは複雑であるが、沿革を読むとその経緯が把握できる。その経緯から視点が定まり、次の態勢がとれる。ただ、複雑なだけに、社会保険労務士であるといっても、実際にはよくわかっていないのである。オール オア ナッシング というものでもないが、社会保険労務士が社会保険労務士たりうる自制は資格者間で相当な相違がある。当資格についての唯一の権威書籍たるこの本の所有者を探すのに苦労するくらい-。この相当な相違は次に見解の相違に移り、意見の相違となり、なかなか総員の目指す方向の舵取りが難しくもあるわけであるが、現実問題として、資格や業務に関する基礎的理解については地固めをしておくのに頃合の時期と思われる。近年の国民事情より業務が拡がるのみならず詳細で的確な処理が求められる一方で、治外法権的な面もあることは何ら変っておらず、無論答えという答えがない世界とはいえ、社会保険労務士が関与する対象は相当な幅をもち、複雑である。こうした事情のなかで、内部より渦を巻かせ、波紋を拡げるにはあらためて社会保険労務士法に取り組むことが肝要であろうと考えた。果たして何か成果があるのかはこれから読み進めていくうちにわかるが、いずれにせよ、そういうことをやろうとする珍しい者も必要であろう。
12年05月25日 | Category: General
Posted by: roumushi
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