養育費の相談を受けていると、養育費に対する権利や支払われない時の法律について聞かれます。日本では、子どものいる家庭で、離婚時に養育費の取り決めをしているケースが全体の30%しかありません。しかも、支払いが続いているのは17%程度と言われています。
 本来、養育費とは、離れて暮らす子どもが経済的にも健全に育つ事ができるように、離れて暮らす親が子どもを育てている親に支払うべきものです。離婚は親の都合であって、子どもにはまったく責任のないところです。養育費とはその意味で子どもの権利であるとも言えます。

 民法の中に、債権債務という考え方があります。債権と債務は相対するもので、片方に債権が生じれば他方に債務が生じます。そして、債権が生じた時同じ人に債務も生じます。
 例えば、店で100円の商品を買う時、買う人は100円を支払うという債務を負い、商品を受取るという債権を手に入れます。店側は、100円を受取るという債権を手に入れると同時に商品を渡す債務を負います。権利と義務はこのように同時に発生し、ただ権利だけということはほとんどなく、権利の裏側には必ず義務が付随している事になります。

 最近は、子どもを育てる側が養育費を受取る権利ばかりを主張して、その裏側にある義務について忘れてしまっていることを感じます。もし、権利があるとすれば当然に相手に対する義務があるはずです。養育費相談の時は、その義務についても考えていただきます。
 「子どもを健全に育て、それを相手に伝える事」多くの方から、こんな答えをいただきます。私もその通りではないかと思います。養育費を受取る側には、相手に対してその義務を負います。離婚後、なかなか子どもの状態を知らせることが困難だったり、相手がそれを望まないケースもあります。でも気持ちの上で、そんな義務を負っていることを忘れずにいたいものです。

 とかく今の世の中は、権利ばかりが主張されがちです。権利と権利はぶつかり合います。債権債務の考え方にある、権利の裏側にある義務についても考えていただく事が大切と考えます。養育費を例に取れば、離婚するご夫婦がこのような視点で話し合ったケースでは、離婚後養育費の支払が順調である事が多いようです。
☆「女性の生活立て直し相談室」ホームページ
☆「家庭内の問題相談室」ブログ
☆メール☆
TEL:042-548-4456:立川市錦町1-5-6-402