亭主関白という言葉が古くからあって、今でも、妻は夫に従うべきものといった考え方をする男性は多いようです。また、自分本位な夫や我侭な夫に関するご相談も数多くありますが、それだけでモラルハラスメントと決めることはできません。ここに線引きの難しさがあるようです。

 しかし、意識的か無意識かは別として、相手の心を傷付ける行為を続けている場合はモラルハラスメントに相当するようです。言い換えれば、相手から継続して心を傷付けられている、一種のいじめ行為があれば、程度の差こそあれモラルハラスメントということになるようです。

 夫婦喧嘩とモラルハラスメントは基本的には別物です。被害にあっている人は、最初の内その差に気付きません。でも、喧嘩といじめは異なります。モラルハラスメントの被害者が、意外なことに離婚を望む人が少ないのは、そういった背景があるからかもしれません。

 モラルハラスメントに関するご相談は、今、年齢や男女に関わらず増加の一途をたどっています。被害者の多くは、女性である妻ですが、夫が被害者という例も決して少なくはありません。また、かなり年齢の高い夫婦間でもモラルハラスメントに関わるご相談があります。

 こういった事例が増加する背景には様々な要因があるようですが、その根底には現代の人間関係のあり方の変化が関係するようです。モラルハラスメントという言葉がない時代でも、同じような夫婦間の問題はあったのかもしれません。しかし、現代は様相が少し違うようです。

 離婚の選択をするかどうかは、当事者の選択であって、私たちがそれを決めることはできません。ただ、いじめ行為は根が深いことが多く、いじめを行なっている本人が心を入れ替えることはなかなか難しいという現実があります。モラルハラスメントという家庭内のいじめからどうやって自分の身を守るかは、視野を広く取って冷静に選択していただきたいと思います。 

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