前回まででヒヤリハットが日常の問題発見と改善につながることを説明しました。

今回は人の意識の問題から生じるヒヤリハットの見つけ方について解説します。

ヒヤリハットというと難しいことのように感じるのですが、そうではありません。

例えば、日頃の職場での出来事でこんなことはないでしょうか。


●日頃、口で言ってることとやってることが違ってる人がいる

●周囲の環境を批評するくせに、自分からは行動しない人がいる

●何度注意されても同じようなミスをする人がいる

伝えたことを自分勝手に解釈して、なかなか意思疎通ができない人がいる

問題発言を良く口に出す人がいる


これらの現象は一見すると個人の性格に依存するように思えます。

また目立ったトラブルでなければ問題視されることも少ないでしょう。

でも、これらがヒヤリハットであることがあります。

というのは次の2つの理由からです。



まず「頭で判っていることと実行することは全く別モノ」と言われるように、

無意識の中の無関心や理解不足がヒューマンエラーの直接の原因となることが多く、

先の現象は、人間の意識の中の矛盾が見つかった兆候かも知れないということです。

だから「おや」とか「あれ?」とか「なんで」と思うことがあったら、

それはヒヤリハットではないかと疑って原因を考えて見ることが大切です。



次に、個人のこのような意識の矛盾は性格の問題などではなく、

問題行動を問題視しない組織の体質が原因であるかも知れないからです。

つまり組織に好ましくない習慣が潜んでいるかも知れないと疑ってみるべきです。

そのクセが引き金になって個人の価値観が影響を受けているのかも知れません。

これもヒヤリハットである可能性があります。



いずれにせよ、原因となる問題を放置すると大きなトラブルや事故につながるはずです。

組織のリーダーで責任ある立場の人は、このことに敏感でなくてはなりません。

個人の性格の問題として片付ける前に、組織がぜい弱な要素を抱えていないか

情報を集め、いろんな角度から検討すべきです。

そして課題が見つかったら、皆に問題提起をして改善すべきだと思います。


これがヒヤリハットに着目して問題の発生を未然防止する意味だと思います。


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