1.世の中から要望される税理士
 前述のとおり、顧客の多様な要望に応えられる税理士等集団の一員たる税理士、規制緩和、制度廃止があっても顧客の要求を満たせる税理士。

2.税理士事務所が採用したい順位別の税理士及び税理士予備軍の人材
(1)即戦力の人材(実務経験者)
(2)税理士合格者で実務経験者
(3)税理士試験4科目取得者(パート採用、合格後本採用)
(4)税理士無資格者でも特殊な税務に得意分野を持っている者
(5)税理士事務所の実務経験があり業績向上コンサルティングなどができる者
(6)中小企業診断士、社会保険労務士、司法書士などの有資格者
(7)経理代行(経理のできる)の人材
(8)税理士資格を持っているが実務経験無しの人材

3.活躍できる税理士に対する大学教育及び大学院教育
(1)一番重要なのは、関与先に専門家として貢献できる知識や技能ではなく、関与先とともに悩み、貢献していくという志がもっとも大事である。つまり、税理士としての使命と職業倫理および志であると思う。
(2)第6章で掲げた項目や将来の税理士像を踏まえたうえで、最優先すべきは職業倫理教育であり、次に税理士関連学問、理論教育はもちろんであるが、もっと実社会ですぐに使える実践技能教育が重要である。現状では、一人前になるのに入社して早くて2年から3年がかかり、パソコン教育なども同様である。その年月が税理士事務所及び関与先企業に貢献できる時間が遅れるため、社会人前教育の重要性が増大している。大学及び大学院では、教職員に実務者を多く登用し、実践教育を早くやることであると思う。もっというならば、実業高校からでも早くはないと思う。また、税務等を経営工学と位置づければ、商業高校だけでなく工業高校で経営工学論・情報工学論・コンピュータ会計論等の授業科目を増やし、パソコンの知識技能及びパソコン技能を駆使した税務実務を修得しておくべきではないだろうか。
  ところで、政治の課題の中に税金は必ずあるが、大学等の教育現場では、経済系には簿記・会計が存在し、また、法律系には憲法、民法、商法は存在するが税法はない。日本は諸外国に比べ税法科目を専門(専攻)教科に持つ大学・大学院がかなり少ないのはなぜだろうか。そこで、現在の会計大学院の内容を変え会計税法専門職大学院の設置をもっと拡大しなければ上場企業、非上場企業の会計・税務の需要の増大に応えられない状況になるのは明らかではないだろうか。実業高校、大学の経済学部の必修科目に税法を導入し、会計税法専門職大学院の創設と継続教育を実施しその先に公認会計士・税理士の育成をすることに意義があるのではないかと思う。

4.産学連携
 1)学校と税理士事務所の連携
   税理士新聞(別紙参照)に掲載があるように、学生を期間限定で税理士事務所に実習させる。現在、大学教授が高校の授業を受け持ち、高校教諭が大学の授業を受け持つ相互交流が各地で行われている。また、小学生が一般の会社に実習にもいっているなど進んでいるのに対し、税理士事務所の人材予備軍が税理士事務所の実務を知らない現実がそこにある。もっと、相互交流を深め、社会に貢献できる税理士等を育成するプログラムを構築すべきではないだろうか。

(1)税理士事務所の大学生等の受入
実習内容
 ・仕事の流れ等や事務所見学
 ・記帳(パソコン入力等)の実習
 ・決算・申告書の作成法の実習
 ・経営計画書策定の実習
 ・コンサルティングの見学     など
(2)大学側の税理士の講師受入
講義内容
 ・決算実務、申告書作成法
 ・日常の税務会計の実務教育
 ・管理会計の応用と経営者へのアドバイス研究
 ・経営計画策定実務
 ・企業政策の事例研究
 ・税法と財務の事例研究
 ・職業倫理
 ・税理士法研究     など
文責:企業部


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