労働審判制度においては、社労士資格者が経済団体からの推薦を受け、審判員として活動しているという。ただし、労働者側であるとか使用者側であるとかは関係なく、審判員として中立の立場の義務が課される。
労働者側か使用者側かという差別化は、本来マルクス主義運動が強化したもので、従来は弁護士がそれを引き継いだものとして考えられていた。ただ、近代主義思想においての潮流の一つとしてその運動を位置づける今日においては、またマ主義が継承されにくくなった今日においては、さほど基本的な観点ではない。
ただ、国の諸労働制度において、労公使という区分けにより概括されるのが先例であるので、少し封建的なかたちではあるにしても、疑問も感じさせないまま、今日まで来ている。
弁護士はそれぞれの派に分けて所属している。(代理人としては中立の立場をとることはない。また、絶対数が少ないことによる、相談を含め労使両方からの代理を受けてしまうことを避けるのに役立っている。)社労士においては、経営に接するだけに、双方の立場を身につけることが大切であろう。人数も多いことによって、双方代理となるケースはまずありえそうにもない。

<新司法試験>合格率5回連続低下23.5% 過去最悪更新

《法務省は8日、法科大学院の修了者を対象とした6回目の新司法試験の合格者を発表した。合格者数は2063人(男性1585人、女性478人)で昨年より11人減。合格率は23.5%と5回連続で低下し、過去最悪を更新した。政府が02年に閣議決定した「合格者3000人」には今年も届かなかった。》

《企業内弁護士を目指して建設会社を休職し、今回1回目で合格した立教大法科大学院修了の男性(30)は「預金400万円は使い果たした。一発合格できなければあきらめていた」と話した。独協大法科大学院を修了し、3回目で合格した男性(27)は「費用を親に負担してもらった。お金に余裕のある人しか勉強に集中できない」と話し、「弁護士になりたいが、就職難を考えると安心できない」と気を引き締めた。》

ところで、弁護士会の肝いりで、社労士会に対し、能力担保を形づくる運動が進められてきた。なかでも民事訴訟法については、かつて社労士会において司法研修の際に展開されたものであるが、その後、特定社労士制度によるあっせん和解研修がはさまり、そしてまた労働審判制度を見据えて、各自調停も含めての訴訟手続きの学習等にいそしんでいるところである。まことに長い道のりである。