07年11月29日

相続人2

1 相続人に関して注意しなければならないのは、「胎児」は相続については

  既に生まれたものとみなされ、相続権が認められるということです。

  また、胎児は代襲相続についても、既に生まれたものとみなされます。



2 相続に関して不正の利益を得ようとして不法な行為をし、またはしようとした

  者に相続させることは、法律感情の許さないところである。そこで、刑罰とは

  別に、民法でもこれらの者から相続権を剥奪して、相続人となることができ

  ないものとしています(相続人の欠格事由)。



 (1)故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡

   するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者



 (2)被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者

   ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは

   直系血族(祖父母・父母・子・孫などです)であったときは、相続権は認められま

   す。国家の刑罰権よりも家族感情の方を重視したのですね。



 (3)詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、

   又は変更することを妨げた者



 (4)詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、取り消させ、又は

   変更させた者



 (5)相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

   判例上、遺言書の破棄隠匿が、相続に関する不当な利益を目的としない場合

   は、相続欠格事由に当たらないとされています。
07年11月29日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
07年11月28日

相続人

1 被相続人の子は、相続人となります。

  では、被相続人の子が相続の開始以前に死亡していた時はどうでしょう。

  この場合には、代襲相続といって、その者の子が相続人となります。

  そして、代襲者も、相続の開始以前に死亡していたときは、再代襲して

  その者の子が相続人となります。



2 被相続人の子及び代襲者がいない場合には、被相続人の直系尊属(父母、

  祖父母等)、被相続人の兄弟姉妹がこの順序で相続人となります。

  そして、兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡していた時は、その者の子が

  代襲して相続人となります。兄弟姉妹の代襲はここまでで、再代襲はありま

  せん。甥・姪まででストップです。



3 被相続人の配偶者は、常に相続人となります。

  そして、子あるいは直系尊属ないし兄弟姉妹が相続人となるときには、これら

  の者と同順位で相続人となります。
07年11月28日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
07年11月27日

相続の一般的効果

 今日から相続関係の記事にしたいと思っています。



 皆さんご承知のように、相続人は相続開始の時から、被相続人の「財産上の

法律関係」を当然かつ包括的に承継します。



 承継するのは、財産上の法律関係ですから、「被相続人の一身に専属したもの」

は相続の対象になりません。例えば、委任者・受任者たる地位や代理における本人・

代理人たる地位などは、個人的信頼関係に基づいているため、相続の対象とはなら

ず、当人が死亡すると委任関係や代理関係が終了するものとされています。



 このように法の明文がなくても、身元保証人の地位や財産分与請求権、扶養の権利

義務なども、一身に専属するものとされ、相続の対象となりません。
07年11月27日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
07年11月26日

試験後の解放感

 紛争解決手続代理試験が土曜日に終わってホッとしている。



 特別研修の修了が受験資格になっているため、この2ヶ月余り



 体力的にも時間的にもキツかった。



 試験が終わったら、あれもやろうこれもやろうと思っていたけど、



 すぐには集中できない。



 何日かの空白の期間を置いて、エネルギーを充電してから



 取り掛かることにしよう。
07年11月26日 | Category: つぶやき
Posted by: marutahoumuj
07年11月22日

治癒と復職の関係

 治癒の概念はそれぞれの場面で異なる。

 例えば、労災保険上は、「症状が安定し、疾病が固定した状態にあるものをいい、

治療の必要がなくなったもの」であるとされる。



 私傷病により休職していた者が、復職をする場合、会社は主治医や指定医の診断

をもとに職場復帰が可能かどうか、すなわち治癒したかどうかを判断する。

 ここにおける治癒は、「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復したとき」と

解されている。この考え方によれば、従前の職務より軽度な職務は行えるが、従前の

職務を行うには困難である場合には、治癒したとはいえないことになる。したがって、

会社は復職を認めなくてもいいということになる。



 これでは、労働者の雇用の維持が失われる。

 ここにおいて、最高裁の画期的な判例が出ました(最判H10,4,9)(片山組事件)

 「職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結し、現場監督業務に従事していた労

働者がバセドウ病に罹患し、現場監督業務に従事することは不可能であるが事務作業

は行える場合に、会社が自宅治療を命じ、その間の賃金等を支給しなかった事案」につ

いて、「労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合において、現に

命ぜられた特定の業務についての労務提供が十全にできないとしても、能力、経験、地位、

企業規模、業種、労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置さ

れる現実的可能性があると認められる業務について労務の提供をすることができ、かつ

申し出ている場合には債務の本旨に従った履行の提供があると解すべきである。」



 この判例は、治癒したかどうかの問題とせず、現実的配置可能性の業務の有無を問題と

していることに注意が必要です。
07年11月22日 | Category: 労働関係
Posted by: marutahoumuj
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