木・火・土・金・水の五行は、季節の移り変わりに応じて自然に働いています。

それぞれ、春は風、夏は暑、土用は湿、秋は(乾)燥、冬は寒。

自然界にはこのような気の働きがあり、人はこの気を受けて健康で居られ、また
この気を受けて病気にもなります。

風・暑・湿・燥・寒の気が、悪気とも云われるゆえんです。

受け過ぎることが、人体を傷めるのですが、人には五情があって、感情もまた、
気のせいではなく、自然の気を受けて、病気をもたらす作用があるのです。

人には、怒・喜・憂・悲・恐の感情がありますね。

怒りすぎると気が昇り、肝が弱って風気を受けやすくなります。
風を受けると、手足の力が抜け、めまいを起こしやすくなります。

喜びすぎると陽気が浮き上がり、心が弱って暑気を受けやすくなります。
暑を受けると、身体の内に熱がこもり、腫れ物ができやすくなります。

憂いすぎると胃の陽気が働かなくなります。
陽気が不足すると、胃に湿気(水気)が多くなり、下痢がちになります。

悲しみすぎると肺が弱り、乾燥の気を受けやすくなります。
燥気は体液を欠乏させ、便秘やカラ咳を生じることになります。

恐れすぎると腎気が働かなくなり、下半身に陽気が不足します。
そうすると寒気を受けやすくなり、腰以下が冷え、痛んだりします。

喜びといえど、過ぎたるはナオ及ばざるがごとし。^^;

されど、喜びがなければ心は働かず、陽気が不足して元気にもなれません。

黄帝内経の素問に、玉機真臓論があり、五臓の気の大過・不及についての記載があります。

大過とは、気の過剰なことで、実症と言います。
不及とは、気の不足していることで、虚症と言います。

木気・・・肝の実症:ボーっとのぼせる。目がくらんだり、めまいがする。
     肝の虚症:胸が痛む。背が痛む。両脇が苦しくなる。

火気・・・心の実症:身体が熱して、皮膚が痛む。腫れ物ができる。
     心の虚症:胸苦しい。気が昇ったときは咳をし出し、唾液を吐く。
          気が下ったときは、ガスが盛んに出る。

土気・・・脾の実症:手足が重く、だるくなる。
     脾の虚症:目・耳・鼻・口・生殖器などの働きが、全部悪くなる。

金気・・・肺の実症:気がつき上げてきて、胸苦しい。背が痛む。
     肺の虚症:呼吸がしづらい。咳が出る。喘息。喀血。

水気・・・腎の実症:背中の筋肉が痛む。呼吸が浅くなる。ものを言うことが 
          嫌になる。身体がだるく、働きたくなくなる。
     腎の虚症:胸の中が頼りない感じがする。空腹感はあるが、食べない。
          背中の筋肉が冷えたり、痛んだりする。下腹部が張る。
          小便の回数や量に、変化が現れる。

実症は外からの邪気から、虚症は内因から起こるものです。

通評虚実論には、こんな記載があります。

黄帝:「何をか、虚実と言う。」
岐伯:「邪気盛んなるは実、精気奪われるは虚なり。」

虚とは、精気=正気=真気=(身体の正しい働き)の不足です。
精気は、精神的動揺、労働やセックス過多、飲食の過不足などによって不足します。
多くの病気、特に慢性病は、精気が虚(不足)することによって、生じるものです。

この精気の不足しているところに外から邪気が侵入した場合が、実です。
邪気あるところには、必ず精気の虚がありますので、陰陽の原理で、先ず虚を補い、
そして実を瀉(追い出す)ことが効を奏する治療となります。

黄帝:「虚実とは如何に。」
岐伯:「気虚は、肺虚なり。」

虚にも気虚にも種類があるのですが、岐伯先生、言い切りましたね。(笑)

肺は、気を全身に巡らせる働きをしています。

人体の気は胃のあたりから発して、肺を通り、全身にいたるのですが、「肺は諸気を統括する。」といわれ、
諸々の気の生成と運行をつかさどっているのです。

肺の主な機能は、何と言っても呼吸ですね。

「一呼一吸して、自然を出納(すいとう)する」肺。

気功では、吐納(とのう)と言い、古い濁気を吐き、新しい清気を納めることを
意味します。

普段は無意識にしている呼吸ですが、意識して、古い濁った気を吐き出して、自
然のエネルギーある清気を、肺いっぱいに満たしてみましょう。

元気・活気が湧いてきて、姿勢も見事になるものですよ。^^v