07年03月17日
個人事業と会社の違い
今回から暫く会社設立に関する記事とします。
初回はまず、個人事業で行くべきか、それとも会社形態にすべきか、悩んでいる起業家の方もおられると思うので、個人事業と会社とはどのように違うのか、そのメリット・デメリットを考えてみましょう。
1 法は、権利義務の帰属主体として自然人と法人を予定しています。ですから、個人事業の場合、契約などをしたときに生じる権利義務は、個人の事業主に帰属します。これに対して、会社の場合、たとえ一人会社であったとしても、法律行為をした代表取締役ではなく、会社自身に帰属します。この点が、両者の根本的な違いであり、メリット・デメリットも多くはここから生じているものと思われます。
2 会社にするメリットは、よく言われるように、社会的信用の違いです。個人事業の場合、社会的信用は事業主個人の人格や資産に依存するため、概して低いと思われるのに対して、会社の場合、個人とは離れて莫大な会社自身の資産やネームヴァリュウがあるため、社会的信用が高いのです。取締役の業務執行の適正を確保するため、会社法により様々な規制を受けることも、社会的信用を引き上げる要因となっているものと思われます。
3 また、会社にすると、事業の継続性がある点もメリットとなります。すなわち、会社では、代表取締役や株主が代わっても、会社自身には何の変わりもなく継続しますが、個人事業では、事業主が亡くなると、事業は終了します。これは、例えば、息子が事業を継いだとしても、同じことです。息子さんは新たに事業を始めることになり、税務署に事業廃止届と事業開始届を提出することになるのです。親父さんの事業を息子さんが継ぐと、社会通念上は事業が継続しているようにも思えますが、法律上は一代で終わりなのです。
4 株式会社や新会社法で設けられた合同会社では、株主や社員は有限責任であり、会社債権者に対して、出資の価額の限度でしか責任を負わないという点も、メリットでしょう。個人事業主は、事業用財産だけでなく、自己固有の財産をもってしても、債権者に対して責任を無限に負います。
5 会社形態にすると、税法上の利点もあります。例えば、社長は会社から給料をもらいますが、会社はこれを必要経費に計上できるだけでなく、社長自身は給与所得控除を受けることができます。個人事業では、事業主に給料を出すことはできず、したがって、必要経費に計上することもできません。また、青色申告での損失の繰越控除ができる期間についても差があります。個人事業の場合は3年であるのに対し、会社の場合は5年ですから、当初の赤字を5年間繰り越して黒字から差し引くことができるのです。
6 会社形態にすることがすべてメリットだとは限りません。例えば、会社を作るのに他の人に出資をしてもらったら、原則として、出資の割合で利益の配分をしなければいけないでしょうし、会社の意思決定においても、彼らの意思を尊重しなければならないことになると思われます。この点、個人事業の場合は、利益はすべて事業主のものだし、意思決定も事業主が自由に決定することができます。
メールによるご相談は、m-sgo@gaia.eonet.ne.jpまでお気軽にどうぞ。
今回はこの辺で。
初回はまず、個人事業で行くべきか、それとも会社形態にすべきか、悩んでいる起業家の方もおられると思うので、個人事業と会社とはどのように違うのか、そのメリット・デメリットを考えてみましょう。
1 法は、権利義務の帰属主体として自然人と法人を予定しています。ですから、個人事業の場合、契約などをしたときに生じる権利義務は、個人の事業主に帰属します。これに対して、会社の場合、たとえ一人会社であったとしても、法律行為をした代表取締役ではなく、会社自身に帰属します。この点が、両者の根本的な違いであり、メリット・デメリットも多くはここから生じているものと思われます。
2 会社にするメリットは、よく言われるように、社会的信用の違いです。個人事業の場合、社会的信用は事業主個人の人格や資産に依存するため、概して低いと思われるのに対して、会社の場合、個人とは離れて莫大な会社自身の資産やネームヴァリュウがあるため、社会的信用が高いのです。取締役の業務執行の適正を確保するため、会社法により様々な規制を受けることも、社会的信用を引き上げる要因となっているものと思われます。
3 また、会社にすると、事業の継続性がある点もメリットとなります。すなわち、会社では、代表取締役や株主が代わっても、会社自身には何の変わりもなく継続しますが、個人事業では、事業主が亡くなると、事業は終了します。これは、例えば、息子が事業を継いだとしても、同じことです。息子さんは新たに事業を始めることになり、税務署に事業廃止届と事業開始届を提出することになるのです。親父さんの事業を息子さんが継ぐと、社会通念上は事業が継続しているようにも思えますが、法律上は一代で終わりなのです。
4 株式会社や新会社法で設けられた合同会社では、株主や社員は有限責任であり、会社債権者に対して、出資の価額の限度でしか責任を負わないという点も、メリットでしょう。個人事業主は、事業用財産だけでなく、自己固有の財産をもってしても、債権者に対して責任を無限に負います。
5 会社形態にすると、税法上の利点もあります。例えば、社長は会社から給料をもらいますが、会社はこれを必要経費に計上できるだけでなく、社長自身は給与所得控除を受けることができます。個人事業では、事業主に給料を出すことはできず、したがって、必要経費に計上することもできません。また、青色申告での損失の繰越控除ができる期間についても差があります。個人事業の場合は3年であるのに対し、会社の場合は5年ですから、当初の赤字を5年間繰り越して黒字から差し引くことができるのです。
6 会社形態にすることがすべてメリットだとは限りません。例えば、会社を作るのに他の人に出資をしてもらったら、原則として、出資の割合で利益の配分をしなければいけないでしょうし、会社の意思決定においても、彼らの意思を尊重しなければならないことになると思われます。この点、個人事業の場合は、利益はすべて事業主のものだし、意思決定も事業主が自由に決定することができます。
メールによるご相談は、m-sgo@gaia.eonet.ne.jpまでお気軽にどうぞ。
今回はこの辺で。