07年12月13日

相続の放棄

1 相続の放棄は、例の3箇月の熟慮期間内に、家庭裁判所に申述

 しなければなりません。



2 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人と

 ならなかったものとみなされます。



  この相続の放棄は、登記の有無を問わず、何人に対しても、その

 効力を生じます。



 (1)共同相続人中に相続の放棄をした者がいるときには、放棄者は

  初めから相続人ではなかったものとみなされるので、他の共同相

  続人は限定承認をすることができることになります。



 (2)共同相続人中に相続の放棄をした者があるときには、相続人の

  順序や相続分が変わることがあります。

   例えば、妻と一人息子が相続人であった場合に、一人息子が相

  続の放棄をすると、一人息子は初めから相続人ではなかったもの

  とみなされるので、妻と父母等の直系尊属が相続人となり、妻の相

  続分は2分の1だったものが、3分の2になるのです。

07年12月13日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
07年12月12日

相続の承認

1 相続の承認には、単純承認と限定承認とがあります。

  単純承認は、無限に被相続人の権利義務を承継する承認であり、

 限定承認は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人

 の債務と遺贈を弁済すべきことを留保してする承認です。後者は、

 相続財産が債務超過であるか否かが不明の場合に実益があります。

 明らかに債務超過である場合には、相続放棄をすれば足りるのです。



2 次の場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。



 (1)相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただ、保存行為

  や短期賃貸借はこの処分に該当しません。

   そして、判例によれば、相続人が自己のために相続が開始した事実を

  知りながら相続財産を処分したか、または、少なくとも相続人が被相続人

  の死亡した事実を確実に予想しながら敢えてその処分をしたことを要する

  とされています。



 (2)相続人が3箇月の熟慮期間内に限定承認も相続放棄もしなかったとき。



 (3)相続人が、限定承認又は相続放棄をした後であっても、相続財産の全部

  又は一部を隠匿したり、私にこれを消費したり、あるいは悪意でこれを相続

  財産の目録中に記載しなかったとき。これは、相続財産に対する背信行為

  があったときに、民法上の一種の制裁として、単純承認の効果を負わせたも

  のです。

   ただし、その相続人が相続放棄をしたことによって相続人となった者が相続

  の承認をした後は、背信行為をしても単純承認をしたものとみなされません。

  相続債権者や受遺者などとの関係が複雑化するからです。



3 相続人が数人いるときには、限定承認は共同相続人の全員が共同してのみ

 行うことができます。
07年12月12日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
1 相続人が相続の承認・放棄をしないで死亡した時には、3箇月の熟慮

 期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知

 った時から起算されます。第1の相続人の死亡の時から起算するので

 はないので、注意が必要です。



2 相続に承認・放棄は、3箇月の熟慮期間内であっても、撤回することは

 できません。



  勿論、民法の総則編や親族編の規定によって、取り消すことはできます。

  したがって、未成年者・成年被後見人が単独でした承認・放棄、被保佐人

 が保佐人の同意なしにした承認・放棄、補助人の同意を要する場合におい

 て被補助人が補助人の同意なしにした承認・放棄、詐欺・強迫によってした

 承認・放棄、後見監督人の同意を得ないで後見人のした承認・放棄は、いず

 れも取り消すことができます。



  ただ、この取消権は、追認をすることができる時から6箇月間行使しない時

 は、時効によって消滅します。相続の承認・放棄の時から10年経過した時も

 同様です。
07年12月11日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
07年12月10日

相続の承認・放棄

 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時

から3箇月以内に、相続の承認・放棄をしなければなりません。



 「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、単に

相続開始の原因たる事実を知った時ではなく、自己が相続人と

なったことを確知した時と解されています。



 さらに、判例は、この熟慮期間は、相続人が相続財産の全部

または一部の存在を認識した時または通常認識することのでき

る時から起算するべきであるとしています。



 そして、相続人が数人いる場合には、3箇月の期間は、相続人

がそれぞれ自己のために相続の開始があったことを知った時か

ら各別にに進行します。



 もっとも、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、

家庭裁判所において伸長することができます。

07年12月10日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
07年12月07日

遺産分割2

1 遺産分割の協議は、相続人全員でしなければ効力がありません。

  では、共同相続人中に行方不明の者がいた場合にはどうしたらいい

 でしょうか。

  この場合には、二つの方法があります。

 (1)失踪宣告をしてもらう方法。ただ7年間生死不明である必要があり

   ます。

 (2)不在者の財産管理人の選任を家庭裁判所に請求する方法。この

   場合、不在者財産管理人が家裁の許可を得て遺産分割の協議に

   参加することになります。



2 では、相続の開始後に認知によって相続人となった者がいた場合に

 は、この者の遺産分割の請求と遺産分割協議との関係はどうなるでし

 ょうか。

  この場合には、認知された時と遺産分割協議の成立時の先後によっ

 て変わってきます。すなわち、遺産分割協議が成立する前に認知され

 ていたのであれば、その者を除外してなされた遺産分割協議は無効で

 あり、その者を加えて改めて遺産分割協議をやり直す必要があります。

  これに対して、遺産分割協議が成立した後に認知された場合には、

 遺産分割協議をやり直す必要はなく、その者は価額のみによる支払い

 の請求権を有するだけです。



3 遺産分割の協議が成立したら、必ず遺産分割協議書という書面にして

 おくことをお勧めします。成立の時点では口約束だけでいいと思うかもし

 れませんが、後々事情が変わって紛争が生じることが多いため、それを

 回避する必要があるからです。勿論、当事務所でも承っております。

  また、不動産の相続登記を行うときには、遺産分割協議書が添付書類

 として必要となるからです。
07年12月07日 | Category: 相続関係
Posted by: marutahoumuj
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