2月21日付の日本経済新聞の朝刊の一面に『みすず・実質解体へ』という記事が掲載さ
れました。

エー、そんな事があるのかと、我が目を疑いながらも、手を止めてすぐその記事に目を
通しました。
全く寝耳に水のニュースであり、驚きです。
記事によれば、大手監査法人のみすず監査法人(旧中央青山監査法人)は、20日、今年
7月をメドに監査業務を新日本、トーマツ、あずさの3監査法人に移管すると正式発表
した、とあります。
旧中央青山監査法人からみすず監査法人への移行の経緯を考えるならば、経営状態は厳
しい状況にあったのであろう、ということは部外者にも推測できます。
しかし、まさか、まさかです。そこまで追いつめられていたとは思いませんでした。
これにより、日本の4大監査法人の一角が空中分解することになり、この夏頃には3大
監査法人時代の幕明けとなります。

海の向こうのアメリカでは、2002年エンロン事件によって、アーサー・アンダーセンと
いう大手会計事務所が解散に追い込まれました。
それと同じことが、日本でも現実に起きたのです。
海の向こうのどこか遠い出来事と違い、日本での出来事であり、より身近です。
みすず監査法人には大学時代の友人も在籍していたりと、今後が心配です。

ネコはたとえネズミをとらなくなってもネコとして大きな存在感がありますが、監査業
務を行わない監査法人はまさに有名無実、カラッポの存在です。

しかし、それにしても組織のモロさ、コワさを痛感します。
零から、一から組織を築き上げていくことの困難さ、組織を維持・発展させていくこと
の困難さに比べ、何と組織の崩壊することの呆気ないことでしょう。
どんなに長い時間をかけて築いた組織でも、崩壊する時は、一瞬にして音をたてて崩れ
ていくガラス細工のようです。

どんな組織もそうですが、組織の大多数の人達は本当に一生懸命頑張っています。
大多数は問題なくとも、組織の一部の不祥事から、組織の崩壊が始まります。
一旦、組織崩壊の歯車が廻り出すと、顧客離れ、人材の流出、信用不安、同業者からの
攻勢等々、懸命になって一箇所の水漏れを防ごうとしている時に次から次とアチコチか
ら水が流れ出し、やがて一気に決壊していくダムのようです。崩壊の歯車は止められま
せん。

経営者として、人を育て、組織を育てることは苦労の連続です。
労多くして割りの合わない仕事に思える時もあります。
しかし、ここでウカツに手を放せば、ダムは決壊するかもしれません。

やるしかないか、第2のみすずや不二家にならないように・・・。